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2025.11.02

「リア王」を見る

Bunkamura Production 2025/DISCOVER WORLD THEATRE vol.15「リア王」
作 ウィリアム・シェイクスピア
上演台本・演出 フィリップ・ブリーン
翻訳 木内宏昌
出演 大竹しのぶ/宮沢りえ/成田凌/生田絵梨花
    鈴鹿央士/西尾まり/大場泰正/松田慎也
    和田琢磨/井上尚/吉田久美/比嘉崇貴/青山達三
    横田栄司/安藤玉恵/勝村政信/山崎一
ミュージシャン 会田桃子(Vn.)/熊谷太輔(Perc.)/平井麻奈美(Vc.)
観劇日 2025年11月1日(土曜日)午後0時開演
劇場 THEATER MILANO-Za
上演時間 3時間30分(20分の休憩あり)
料金 S席 13000円 A席 8500円

 ロビーではパンフレットが販売されていた、と思う。
 ネタバレありの感想は以下に。

 Bunkamuraの公式Webサイト内、「リア王」のページはこちら。

 ネタバレありと書いたものの、かの「リア王」である。ストーリーは周知のことといったものである。
 でも、それはそれとして、今回の「リア王」はもの凄く分かりやすかった。何故だろう。
 言葉遣いや衣装が現代的だったということもあると思いつつ、それもあって役者さんたちがくっきりしていて見分けやすかった、ということもあるような気がする。

 そういえば、ブリテン王国の分割案をリア王が示すシーンで、OCRを使っていて懐かしかった。まだあるんだね! と思う。
 この「最新機器ではなく、ちょっと遅れ気味の機械」を使っているのも面白いと思う。
 とはいえ、このシーンだけで他にこういう電気製品が表に出てくることはなく、それほど重要な役は担っていなかったと思う。

 リア王を大竹しのぶが演じるというところがポイントである。
 何故、リア王を女優に演じさせようと思ったのか。「女優が演じる」というよりも「大竹しのぶが演じる」ということだったのだろうと思う。
 シェイクスピアの芝居は、男性の登場人物が多く、女性の登場人物が少ないからなのか。
 それが理由であるなら、墓掘り人とか道化を女優が演じてもいいような気がする。何なら、「オールメールシリーズ」ならぬ「オールフェメールシリーズ」をどこかでやってくれないものか。

 とはいえ、大竹しのぶのリア王は、嫌みのないリア王で「女優が演じている」ということをことさらにアピールするでなく、非常に自然に溶け込んでいたように思う。
 敢えていうと、長身の役者さんたちが多かったのか、大竹しのぶが非常に小柄に見えた。従者に囲まれるシーンなど、見失ってしまうほどだ。衣装も薄いグレーのスーツっぽい感じで、目立つよりも溶け込むことを第一としているように見える。

 逆に、西尾まり演じるゴネリルの執事は、「男性の役を女優が演じていること」をかなり表に出しているように感じた。
 何故だろう。
 この役が、一対一でゴネリルやリーガンとやりとりすることが多いからかも知れない。「女性同士のやりとり」という感じがするのである。
 何か意味があったのだと思うけれども、これという回答を出すことはできなかった。

 「リア王」という芝居は、リア王が主役なんだろうか。
 何というか、リア王は流されているだけで、主体的に動くときには概ね怒って支離滅裂である。マクベスとかリチャード三世みたいに自ら進んで企んだり野心に満ちあふれたりはしていない。そもそも、リア王の幕開けは、リアが隠居宣言をするところから始まっている。
 「リア王」は隠居宣言をしたリアが、財産を娘たちに譲って自分は一文無しになり、娘達から冷遇される、という話である。
 現代の遺産相続でも起こりそうな話だ。安易に名義を変えてはいけない、という話である。

 それでは誰が企んでいるのかといえば、グロスター伯の庶子であるところの、成田凌演じるエドモンドだ。
 ゴネリルとリーガンも企んでいるといえば企んでいるけれど、それは結局のところ、父親から遺産を相続して欲を出しただけである。ついでに、エドモンドのことを取り合ってもいるけれど、それだって元々がエドモンドが仕掛けた罠だ。
 嫡子であるエドガーを羨み妬み、その地位をそっくりそのまま自分のものにしてやろうと、あちこちで嘘をばらまきだまくらかして家の中でも外でも成り上がって行くエドモンドが主役であるように見える。
 そう思って見ると、この物語はかなりエドモンドのものだ。

 リア王におけるコーディリアは、レ・ミゼラブルのコゼットっぽいなと思う。
 実際の関係は逆だろうけれども、たくさんいる登場人物の中で純真可憐、可愛いけどどことなくマスコット的で出演シーンは実は多くない。
 コーディリアは、最初に口が上手くなくて父であるリア王に追放されるし、そのリアを救おうと嫁ぎ先のフランスの軍を率いてブリテンに乗り込んでくるものの、エドモンド率いるブリテン軍に負け、捉えられて殺されてしまう。
 何というか、装置っぽい。

 コーディリアが軍の指揮を執っているのを見ていたときに思ったけれど、フランス王は何をしているんだろう? コーディリアが優秀な将軍であるとは考えにくいし、軍隊を貸すだけでなく、自分が出るか、優秀な将軍を貸すか、もうちょっと勝てそうな算段をしても良さそうなものだと思う。
 そもそもシェイクスピアの時代に、女性が軍の指揮を執ることがあったんだろうか。
 悪巧みならゴネリルもリーガンも散々していたけれども。

 分かりやすくて面白くて、ストーリーを知っているのに先が気になってしまう。
 いい舞台を見た! と劇場を後にした。

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