« 「狩場の悲劇」を見る | トップページ | 「爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK」を見る »

2025.11.22

「松竹創業百三十周年吉例顔見世大歌舞伎」を見る

「松竹創業百三十周年吉例顔見世大歌舞伎」夜の部
一、當年祝春駒
 出演 中村歌六/中村萬太郎/中村橋之助
     中村玉太郎/中村虎之介/中村米吉
二、三谷かぶき 歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン) 
 作・演出 三谷幸喜
 出演 松本幸四郎/片岡愛之助/中村獅童/坂東新悟
     中村橋之助/中村莟玉/中村歌之助/市川染五郎
     中村鶴松/片岡千太郎/大谷廣太郎/澤村宗之助
     阿南健治/浅野和之/市川男女蔵/市川高麗蔵
     坂東彌十郎/中村鴈治郎/松本白鸚
観劇日 2025年11月21日(金曜日)午後5時開演
劇場 歌舞伎座
上演時間 3時間(35分間の休憩あり)
料金 18000円 

 もの凄く久しぶりに歌舞伎座に行った。開場時間から少し経ってから到着した筈が、入場の列が長く伸びていて驚いた。
 ネタバレありの感想は以下に。

 歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」内、「松竹創業百三十周年吉例顔見世大歌舞伎」のページはこちら。

 正直に言って、最初の當年祝春駒についてはほぼほぼ何も分からなかった。
 何だかめでたい感じの舞台だなと思ったくらいだ。一体何が起こっていたのか。
 ずらっと三味線や鼓、笛や唄の方が並び、その前に5人が並んでいる。善人か悪人か今一つ分かりにくい立ち役が一人、「正義の味方」っぽい立ち役が二人、女形が二人。
 で、何が起こっているかは全く分からなかった。
 筋書きを購入するか、イヤホンガイドを借りるかするべきだったと思う。
 とにかく、めでたくて華やかな演し物であることはよく分かった。

 と書いていて思いだした。
 続く三谷かぶき「歌舞伎絶対続魂」に出演予定だった中村福之助は全日程を降板し、兄の橋之助が代演を務めるというニュースがあった。
 舞台上で中村獅童が「何かめでたいことがあったのか」と声をかけるシーンがあって、会場と一緒に笑いつつ「婚約したのは橋之助じゃなかったっけ?」と思ったけれど、声をかけた相手はやっぱり橋之助だった。
 すっきりである。

 そして、「當年祝春駒」みたいに全く分からなかったらどうしようという不安は、始まってすぐに解消された。
 「歌舞伎絶対続魂」で役者さんたちがしゃべっているのはほぼほぼ現代日本語だ。分かる、何を言っているのか分かるよ、と感動する。
 「頭取」とか「座元」とか、今分からない役職名がちらほら出てくるし、松本幸四郎が演じている「冬五郎」は舞台監督みたいな役回りの人かなと思っていて、終演後に配役を見たら実は狂言作者だった、というようなオチはありつつ、概ね、舞台上で何が起きているかは分かった気がする。嬉しい。

 この芝居の元は、東京サンシャインボーイズの「ショーマストゴーオン」である。私は見たことがない。
 そして、この「歌舞伎絶対続魂」で絶対に最後まで演じ切ろうとあの手この手を巡らされる舞台は「義経千本桜」である。こちらも私は見たことがない。
 この舞台を見ながら、この両方を知っていたら2倍も3倍も楽しめたんじゃないかと思った。己の教養のなさが悔しい。

 また、歌舞伎を見慣れていない故に楽しめないことというのは他にもあって、白塗りで装束を着られてしまうと、私には役者の判別がつかない。つまりは役の判別もつかないということになる。
 衣装を着替えられてしまうと、誰が誰だか分からないという悲しいことになる。
 さらに、阿呆なことに役名も覚えられない。
 結果、今出てきた人がどんな役回りなのかが分からないし、頭の中で相関図も描けないということになる。結構、致命的だ。

 にも関わらず、「歌舞伎絶対続魂」は面白かったし、何度も何度も笑わせてもらった。
 かつ、例えば、座本が見た人形浄瑠璃をそのまま(作者の了承を得ずに)歌舞伎に置き換えて舞台を作った、その人形浄瑠璃の作者が来た、人形浄瑠璃の世界を歌舞伎に置き換えるために様々な工夫が凝らされているという仕掛けをすることで、「では、人形浄瑠璃では義経千本桜はどのように演じられているのか」と興味を持たせようとしているように見える。

 そもそも、私のような歌舞伎の義経千本桜しか見たことがない人には、「義経千本桜」の舞台裏をずっと見せ、最後にちょこっとだけ崩れた義経千本桜を見せることで、「表の舞台上ではどのような芝居が上演されていたのか」を気にするように誘導されている。
 実際、私は見てみたいと思った。
 多分、他にもたくさんの仕掛けが施されていただろうと思う。
 そこは気付かずに申し訳ない限りだけれど、その分、たくさん笑って楽しませてもらった。
 終わり方の余韻もいい。

 楽しかった。

|

« 「狩場の悲劇」を見る | トップページ | 「爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK」を見る »

*芝居」カテゴリの記事

*感想」カテゴリの記事

*伝統芸能」カテゴリの記事

コメント

みずえ様

 お久しぶりです&コメントありがとうございます。

 私も歌舞伎はほとんど見たことがない、の範疇だと思います。破産の心配をしたことはないですし(笑)。
 ただ、歌舞伎とバレエはハマると怖そう、というのは全く同感です。個人的にはここにオペラも入れたいです。少し前まではミュージカルのチケットもお高いと思っていましたが、昨今はストレートプレイのチケット代も高騰し、ミュージカルとほとんど変わらない、という印象になってきました。

 それはともかく。
 みずえさんは「ショーマストゴーオン」をご覧になっているのですね。もう本当に羨ましいです。再演、ありますかね。して欲しいな。プロデュース公演になって、出演者に当て書きされて初演とは限りなく違うお芝居になることでしょうが、でもぜひ拝見したいです。

 「いのこりぐみ」は私もチケットを確保できませんでした(泣)。
 きっと間違いなく、もの凄い競争率だったんでしょうね・・・。

 またどうぞ遊びにいらしてくださいませ。

投稿: 姫林檎 | 2025.11.27 21:29

姫林檎様

私は歌舞伎はほとんど観たことがないです。
高校時代に授業で観たくらいで。
歌舞伎とバレエは高額なので、ハマると怖いな、という戒めもあり、手が出せずにいます。
「国宝」は素晴らしかったですし、興味はあるのですが……。

逆に、三谷の「ショーマストゴーオン」は観ましたよ。
すごく面白かったです。
もし再演がありましたら是非!

そして三谷の「いのこりぐみ」は取れませんでした。
姫林檎様、ご覧になるのでしたら、ここにアップしてくださいね。

投稿: みずえ | 2025.11.27 13:42

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「狩場の悲劇」を見る | トップページ | 「爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK」を見る »