「五美~GOMI」を見る
玉造小劇店配給芝居vol.38「五美~GOMI」
脚本・演出・出演 わかぎゑふ
出演 コング桑田/野田晋市/うえだひろし/長橋遼也
福吉祥太/澤田紗菜/みやなおこ/鈴木健介
西ノ園達大/浅野彰一/木内義一/趙清香北
観劇日 2025年11月8日(土曜日)午後1時開演
劇場 新宿シアタートップス
上演時間 1時間50分
料金 5000円
ロビーではパンフレットやDVDが販売され、売り切れてしまったというエコバッグは注文販売が行われていた。
ネタバレありの感想は以下に。
終演後のカーテンコールで、EUでの衣料品廃棄規制制度化にインスパイアされて書いたとわかぎゑふが説明していた。
衣料品は、産業廃棄物として2番目に多いのだという。この「産業廃棄物」とか「衣料品」とか「2番目」の定義が今ひとつ不明だけれど、ともかく、廃棄される衣料品がとてつもなく多いことは確かだ。
聞いたときは「買った洋服は一生捨てられないのか」と思ったけれど、私が個人的に買った物が産業廃棄物である筈もない。
アパレル廃棄禁止規則では、売れ残った衣類や履物を廃棄せずに、再利用(Reuse)・再製造(Remanufacturing)・リサイクル(Recycling)・エネルギー回収(Energy Recovery)のいずれかの方法で処理するよう求めている、ということだ。
始まりはここである。
お話は、サイトにあるあらすじとはかなり違っている。
かなり違っているというか、もしかして全然違うのではないだろうか。
何というか、若いデザイナーのサクセスストーリーでは全くない。
むしろ神輿として担がれて搾取されてしまう若いデザイナーの話は背景に引き、彼女をいわば騙して担いだ、戦後のファッション業界を「消費」「使い捨て」の方向に牛耳った「マダム・ハナコ」という女性の物語になっている。
そこに併せて、ずっと船を家として戸籍もなくゴミ廃棄を生業として川の中州で暮らす男や、その男のことを「探偵」する近所の女の子や、その女の子の父親が経営する喫茶店で日がなポーカーで時間を潰す男達などが絡んでくる。
このポーカーで時間を潰す男達が上手くて、逆に彼らを集わせるための喫茶店だと思う。何しろ、若いデザイナーの彼氏、中州に住む男を見張る捜査2課の刑事、マダム・ハナコを取材するファッション業界紙の記者、中州の男のところに「産業廃棄物」として企業の表に出せない書類等々を運び込む男と揃っている。
上手すぎる。
思えば登場人物が結構多くて、さらに、マダム・ハナコの「裏側」を担当するヤクザっぽい男もいれば、マダム・ハナコに唆されて若者向けのブランドを立ち上げ若いデザイナーを雇う社長等々も含まれる。
シアタートップスの舞台にこれだけの人間を挙げて、謎が謎を呼ぶ展開で、詰め込みすぎだろ! と思うけど全く破綻を見せない。それぞれの役者さんに合った登場人物がいて、登場人物たちのクセ強の設定に負けない役者さんが集まっている。
何というか奇蹟である。
さらに、かなり多岐にわたるテーマもぶち込んである。
もしかして一番言いたかったのは、多分失墜した晩年のマダム・ハナコがEUの法規制について若い記者に「感想」を求められて語るシーンに重なるのかも知れない。
それでもファッションが人を救い、浮上させる力があるのだと、語りたかったのかも知れない。
ダメ押しで、マダム・ハナコが往年のようなドレスに身を包み、もう一度「ファッション」と「自分」について語る。
そこで幕である。
上手すぎだろーと思う。
面白かった。
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