「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」に行く
2025年12月8日、国立新美術館で2025年9月17日から12月15日まで開催されている「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」に行って来た。
期日指定チケットだったし、絵画とジュエリーだったらどう考えてもジュエリーの方が近くで見たいし、遠くから大勢で見るものでもない。
さらに、この展覧会は写真撮影が許されているから、一つ一つの作品の前で立ち止まる時間も長くなるだろう。
しかも、会期末まであと1週間である。
という訳で、戦々恐々としながら平日16時のチケットを確保して行ってみたら、思いのほか空いていて驚いた。多少の待ち時間はあるものの、一つ一つの作品を色々な角度からじっくり見ることができたし、写真もかなりの枚数を撮ってきた。
大満喫してきたと言っていいと思う。
とはいえ、こちらはブルガリなどとは縁がない。
何なら、名前は知っているものの、何屋さんなのか知らなったくらいである。この美術展に行って初めて、ジュエリーが主戦場かつ唯一のテリトリーだと知った。
手広く商売を拡大していないことは、個人的に非常に好感度が高い。
ポスターを見ていたので、エメラルドを多用しているブランドなのかと思っていた。
実際は、ジュエリーの多色使いを始め、色相環の考え方を最初に取り入れたブランドであるらしい。
創始者のブルガリはギリシャ人で、ローマに移住してジュエリーショップを始めたらしい。最初は銀細工、そのうち貴石を使うよう手を広げていったようだ。
会場はもう、キラキラしている。
銀やプラチナよりも金が多く、最初の展示では、「金とダイヤモンド」「金とサファイヤ」といった1種類だけの石を使ったジュエリーが多い。
それも、ネックレスとブレスレットと指輪、という感じで同じデザインのセットものが多く飾られている。
大きなレンズを付けたカメラを持参して撮影されている方もいて、あのカメラで撮ったら石の中まで撮影できそうだよと思ったりした。
ただ、私の好みの問題かも知れないけれど、ルビーはピンクがかった石が多く、サファイヤは青というよりは薄紫に近いような色の石が多くて、いやいやもっと濃い色の石を使いましょうよ! と勝手に思ったりしていた。
ネックレスなど、ペンダントではなく、幅10cmくらいに渡って石が並んでいて、この大きさの石を揃えるのは相当大変ですよね、時価総額おいくらですか、と思うけれど、やっぱり、石の色は重要だと思う。
ダイヤモンドはそもそも色の善し悪しとかさらに分かりにくいし、エメラルドが「あらこれ綺麗」と思う石が多かったように思う。
直径2cmくらいもありそうなルビーなどを見ると、やはりじーっと眺めてしまう。
たくさん見ているうちに、うちにある直径2mmくらいの石もそう悪い石ではないのでは? と思えたのは収穫だった。
と思っていて、今、何となくブルガリの公式オンラインショップを見たら、もの凄く巨大ではない普通と言えなくもない無理してがんばれば普通と言えるかもしれないデザインのジュエリーが軽く7桁を超えていて、美術展に出ていたジュエリーたちはとんでもないお値段なんだろうなと目が遠くなってしまった。
印象に残ったのは、エナメルの蛇たちである。
エナメルだから色彩は自由自在、目に貴石をはめ込み、「ウォッチ」と書いてあるのに文字盤が見当たらずに??? と思っていたら、映像で蛇の頭の部分が蓋になっていて開き、そこに文字盤が埋め込まれているのだと分かった。
うーん。何と言うかシンボルとしては分かるけど、この腕時計を嵌める人がいるのか? いたとしても「社交界」というどこか分からない場所にしかいないんじゃなかろうか、などと思う。
貴石から半貴石もデザインに取り込まれるようになると、さらにジュエリーたちがカラフルになる。
いくつもの種類の半貴石(シトリンやトルコ石、ラピスラズリ、アメジストなどは覚えている)をびっしりと並べたブレスレットなどを見ると、ほーっと、ため息をつきたくなる。重そう。
もっと重いため息をつきたくなったのは、カラーサファイアのみを並べたネックレスだ。とんでもない代物である。
ジュエリーに加えて、動画やインスタレーションも展示に盛り込まれていて、それも楽しい。
当たり前ではあるけれど、私が撮った写真などより全く以て美しく光り輝き正しく色が再現されていて美しい。
「ララ・ファヴァレット《レベル5》」は、部屋の中に、車の清掃に使うブラシのようなものが、様々な色と形と配置で並べられており、回転によって大きく膨らんだり隣と触れそうになったり、おとなしく細くなったりをランダムに繰り返している。
これが近寄ってじっと立っているとついうっかり吸い込まれそうになる。
不思議な感じだ。
あるいは、多分名称は「クロマティックサークル」だと思うのだけれど、床に設えられた円の中央に立つと6種類の動画からランダムに目の前に展開されるというインスタレーションもあった。
その動画は、ブルガリのジュエリーを万華鏡のように映し出す内容で、結構な至近距離で展開して大迫力である。切り替わる場面では、思わず身を引いたりしてしまった。
誰かが円の中に立たないと動画が始まらないので、他の方が立ってくださるところを後ろからこっそり見るくらいでちょうど良かった。
また、Echoと名付けられたインスタレーションは、水の底に何か(よく分からなかった)が沈んでいて、その水を動かしたり泡立たせたりし、それを上からカメラで撮って壁面一面に映し出していた。
水って不思議だし、色も不思議である。
何か凄い。
この美術展は、カタログと絵はがき等以外のスーベニアがなく、それも潔いと思う。
最終盤に行ったからか、1枚500円という強気の値段設定の絵はがきも6種類のうちほとんどが売り切れていて、購入できずに残念だったようなほっとしたような、そんな感じがした。
そういえば、場内の設えが扇形の連なりという常にない形だったからか平面図のようなものは用意されている一方で、出展品一覧もなかったと思う。
とにかく目の保養になった。
そして、目の保養、と思うくらいが私にはちょうどいいと思った。
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