退屈忍者」を見る
MONO「退屈忍者」
作・演出 土田英生
出演 金替康博/水沼 健/奥村泰彦/渡辺啓太
石丸奈菜美/高橋明日香/立川 茜/土田英生
観劇日 2026年2月28日(土曜日)午後2時開演
劇場 吉祥寺シアター
上演時間 2時間
料金 4800円
尾方宣久氏が出演しておらず、今回はお休みなのかな、珍しいなと思っていた。
帰宅後にMONOのサイトを見て、昨年に俳優を引退し、MONOも退されていたことを知った。
今さらながらなのかも知れないけれど、結構、ショックである。
終演後、舞台写真撮影がokだったので撮らせてもらった。なかなか渋い1枚になったと思う。
ロビーでは、パンフレット、上演台本、オリジナルの公演手ぬぐい等が販売されていた。
ネタバレありの感想は以下に。
時間軸は飛ぶものの、今回は、ワンシチュエーションで空間は移動しない。でも「退屈忍者」とタイトルは短い。
「御菓子司 亀屋権太楼」のときだったか「舞台転換あり、タイトルは短く」というMONOではあまりやっていなかった新境地にチャレンジ、みたいなことを何かで読んだ記憶がある。今回は、そのミックスバージョンという感じだ。
その具体的な舞台は「お寺」である。
しかし、ただのお寺ではない。江戸時代に入り、戦国の世も遠くなり、もはや役割を終えつつある忍者たちの拠点だ。
忍者集団の規模は今ひとつ分からないけれど、この「埴原衆」が極少数派であることは分かる。お頭を入れて5人の集団だ。
今のお頭がお頭になるときに、古参のというか生粋の配下たちは離反してしまい、今いるのは、先代お頭の娘と、どこかから流れてきた忍者二人と、その二人についてきてしまった孤児だった娘という、寄せ集めの配下だ。
そして、平和な世に、忍者たちが活躍する場はない。もっとも世が世であっても活躍はしなさそうな面々ではある。そこがいい。
お頭が土地の代官から「里の名主を見張れ」と言われて辛うじて主従関係を結んでいるものの、何というか、彼らの誰も「忍者であること」にそれほどの執着はなさそうに見える。
一番執着しているのが、元々が忍者でなかった娘、というところがミソだ。
他の面々は、先代お頭の娘である尼僧が「まあ仕方ない。務めだ。」と思っている感じがあるだけで、かなり今の状態に馴染んでいる感じだ。
さらに、お頭が名主の妹と恋をしちゃっている(という感じには見えないのだけれど)。何と言うか、ガタガタのボロボロである。
で、さらにこの二人が駆け落ちし、心中しかけて生き残り、娘に発見されて戻り、お頭は解散を宣言し、娘は反発し、何となくお頭と名主の妹の仲が冷えていく。この冷え方があまりにも早すぎて怖い。
そうこうしているうちに、里では反名主の火が燃えさかり、土地の代官は部下に裏切られて藩からの追っ手がかかる。
絶体絶命である。
そして、結局全員が「忍者としての誇り」のため、特に代官に思い入れはなさそうだけれど彼と名主を助けるべく、最後の戦いに身を投じることを決める。
いや、そこは自分の命を大事にしようよ! と思うけれど、その選択をしたとしても命永らえる道はなかったかなという気もする。
お約束の内輪もめはあるものの、何というか、全体的に軽めなのだ。悲壮感がない。何故だ。
その軽さには、このセットのあちこちに忍者屋敷のような仕込みがあることも寄与している気がする。
そして、尾方宣久氏が退団してしまった穴は大きく、でも尾方宣久氏が出演していなくてもMONOの長く培ってきた関係性に支えられた安定感は健在である。
そして、お約束はお約束だ。初めて見た公演でも懐かしい。
奥村泰彦の声は低く響き、金替康博と水沼健の言い争いと喧嘩はお約束通りで憎々しくも軽みがある、土田英生のバカ殿っぽいけれどできている人っぽくもある造形も、高橋明日香のしっかり者の風情も立川茜のちょっと尖った感じも石丸奈々美の女っぽさも渡辺啓太のいい人過ぎる感じも、見事に当て書きでハマリまくっている。
尾方宣久氏がいたらどんな登場人物が増え、どんな広がりがあったのだろうと思ってしまうのは許してもらいたい。
毎公演、劇団員のみで上演する。そして劇団員全員が出演する。
座付き作家がいて、演出家がいる。
思えば、こういう形で何十年も続いている劇団はかなり少なくなっているのではないか。
次の公演も、その次の公演もぜひ観たい。
楽しかった。
| 固定リンク
「*芝居」カテゴリの記事
- 「リチャード三世」を見る(2026.05.17)
- 「トランス」を見る(2026.05.10)
- 「岸辺のアルバム」を見る(2026.04.26)
- 「メアリー・ステュアート」を見る(2026.04.19)
- 「成瀬は天下を取りにいく」の抽選予約に申し込む(2026.04.14)
「*感想」カテゴリの記事
- 「リチャード三世」を見る(2026.05.17)
- 「トランス」を見る(2026.05.10)
- 「岸辺のアルバム」を見る(2026.04.26)
- 「メアリー・ステュアート」を見る(2026.04.19)
- 「ポルノ」を見る(2026.04.12)

コメント