「サボテンの微笑み」を見る
ケムリ研究室 no.5「サボテンの微笑み」
作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演 緒川たまき/瀬戸康史/瀬戸さおり/清水伸
赤堀雅秋/萩原聖人/鈴木慶一
観劇日 2026年4月4日(土曜日)午後1時開演
劇場 シアタートラム
上演時間 3時間10分(20分間の休憩あり)
料金 12000円
ロビーでパンフレット等が販売されていた。
ネタバレありの感想は以下に。
時は大正から昭和にかけて、「お屋敷」と呼びたくなるようなお宅に、少し薹の立った兄妹が暮らしている。
リビングの奥には温室が見えている。
温室の植物は、赤堀雅秋演じる兄の学が育てているようだ。生活のためというよりは、趣味が仕事にもなっている、という雰囲気である。
緒川たまき演じる妹の空子は、家事をして暮らしているらしい。
お金があるからこそできる、閉塞的な暮らしである。
そこに、兄が入院していたときに知り合った、瀬戸康史演じる日之出と瀬戸さおり演じるその妻のマユミがやってくる。二人の仲を取り持ったのは学で、その学に離縁の報告に来たものらしい。
学も気分の浮き沈みの激しい、ときに突然大きな声を上げたりする不安定な人物だけれど、日之出もやはり不安定な人物であるように見える。ただ、学よりも日之出の方が取り繕うのが上手いようだ。
マユミは学と日之出がいた病院の看護師で、学もマユミが好きだったけれど、日之出の押しの強さに負けて二人の仲を取り持った、というところらしい。
離縁の報告にも何だか嬉しげだ。
マユミと空子は女同士で何やら意気投合している。マユミは学に温室を案内して貰う約束をして嬉しそうだ。
学の留守に清水伸演じる花屋の野見がやってきて「球根が欲しい」「この鉢植えも欲しい」と言うけれど、空子には何のことやらさっぱり分からないらしい。
だから断っているのに、野見はただひたすら自分の都合だけを言って押し切ろうとしてくる。
パッと見たときは、ひたすら気弱な空子がだめだと言いたくなりそうなものの、見ているうちに野見の自信満々な図々しさが気持ち悪くなってくる。
この自信満々な図々しさが、日之出の言動と重なって気持ち悪い。
この辺まで見たところで、あー、これは私の不得意な奴だ、と思った。
理不尽な感じが受け付けない。
空子には同情しつつもイライラするし、学の突然叫び出す感じも怖い。何が怖いって理屈ではなく感情で、しかも感情だから予測できないところが余計に怖い。ビクついてしまう。もうやめてくれ、と叫びたくなる。
ときどき、この兄妹の父親が(幽霊となって)登場する。
学が捨てた「思い出の品々」を一々拾って来て、二人に説教をする。
学の学友で今は売れっ子小説家となっている、萩原聖人演じる鳥羽のことを空子が好きで、それを知ってか知らずか(多分知っている)学が鳥羽を招くあたりから空気の不穏さは増す。
結局、それらしいことを散々言って空子をその気にさせておいて、結局、マユミと恋仲になるという、鳥羽はかなり酷いと思う。
空子に対して「兄である学から解き放して貰えない空ちゃんが可愛そうだと思っていた」とか何とか言いつつ、マユミと恋仲になる鳥羽はどうにも信用できない輩である。
幽霊のお父さんが「やめておけ」「恥をかく」と忠告していたのも、言い方はともかく正しかったわね、と思う。
珍しく萩原聖人が快活な好青年(結構な年の設定の筈だけれど)を演じているなぁと思ったら、ここでこんな裏切りが! と思ってしまった。最善かどうかは置いておくとして、鳥羽は別に誰のことも裏切ったりしていないところが切ない。
よく分からないけれど、結局、日之出とマユミ夫婦はよりを戻し、鳥羽は散々悪口を言っていた担当編集者と結婚する。
その知らせは、今年も、年が明ける前に届いた年賀状で届くことになる。
そのお正月、兄妹は再び静かな二人暮らしを取り戻している。
で、幕である。
年賀状の使い方が上手い。
この、いつ怒鳴り始めるのか、というストレスはやっぱり苦手だ。
ホラーだった訳ではない、と思う。
不条理なのか? でもこれを不条理劇というなら、世の中は全部不条理だ。
苦手意識は払拭できないまま、でも色々と考えてしまったお芝居だった。
| 固定リンク
「*芝居」カテゴリの記事
- 「リチャード三世」を見る(2026.05.17)
- 「トランス」を見る(2026.05.10)
- 「岸辺のアルバム」を見る(2026.04.26)
- 「メアリー・ステュアート」を見る(2026.04.19)
- 「成瀬は天下を取りにいく」の抽選予約に申し込む(2026.04.14)
「*感想」カテゴリの記事
- 「リチャード三世」を見る(2026.05.17)
- 「トランス」を見る(2026.05.10)
- 「岸辺のアルバム」を見る(2026.04.26)
- 「メアリー・ステュアート」を見る(2026.04.19)
- 「ポルノ」を見る(2026.04.12)

コメント
みずえ様、コメントありがとうございます。
「サボテンの微笑み」は、なかなかチケットが取れずにいたのですが、ぴあでリセールに出ていたチケットを運良く手にすることができました。
「サボテンの微笑み」は、久々にKERAさんらしい、いや〜な感じのする(笑)お芝居だったと思います。
ちなみに、ここに書くのも何ですが、「サボテン」というのは赤堀雅秋演じた兄の子供の頃の愛称です。延々とサボテンのとげを数えていたことからついたあだ名だそうです。
またどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
投稿: 姫林檎 | 2026.04.11 09:43
姫林檎様
「サボテンの微笑み」ご覧になったのですね!
私これ外れたんです……。
ここで読ませていただけて良かった。
瀬戸康史と瀬戸さおりって兄妹でしたよね?
兄妹で夫婦役をやったんですねえ。
瀬戸くんは結構舞台やってますよね。
いい役者になりましたね。
投稿: みずえ | 2026.04.10 15:33