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2026.06.14

「真ッ逆様」を見る

柿喰う客 新作本公演2026「真ッ逆様」
作・演出 中屋敷法仁
出演 玉置玲央/永島敬三/田中穂先/中屋敷法仁
    長尾友里花/福井夏/北村まりこ/齋藤明里/永田紗茅
観劇日 2026年6月13日(土曜日)午後2時開演
劇場 本多劇場
上演時間 1時間35分
料金 5500円

 ロビーではパンフレットやリピーターチケット、各種グッズが販売されて賑わっていた。
 柿喰う客の物販は強い。流石だ。

 ネタバレありの感想は以下に。

 柿喰う客の公式Webサイト内、「真ッ逆様」のページはこちら。

 柿喰う客の公演を観るのは久しぶりで、始まった瞬間「早っ」と思った。
 いきなり中屋敷法仁がライティングが派手すぎる舞台で歌い出したことにも驚いたけど、それ以上に、台詞術が早い。台詞術とはなんぞやと言われると困るけれど、とにかくそう思ったのだから仕方がない。
 何というか独特のシャウト調と言えばいいのか、一本調子と言えばいいのか、小学校の卒業式でやった「呼びかけ」をエンタメ性を極限まで高めてやっている感じと言えばいいのか、困る。

 うっわ、早いよ、聞き取れないよ、でも多分見続けていたら最後の方には聞き取れるようになるよ、と思った印象は間違いなくて、舞台が進むに連れてこのテンポに間に合うようになって行った、と思う。
 何だか懐かしい感じがした。

 ストーリーを説明するのは難しくて、台詞が聞き取れるようになった後も、舞台上で何が起こっているのかは理解できなかった気がする。
 「三尺殺し」という名前の男4人のバンドと、「でずでもーな」という名前の女性5人(と言っていいのかは色々な意味で謎)のガールズバンドが山梨県韮崎市の市民文化ホールで対バンをする話、だと思う。
 そもそも「対バン」という言葉は一般的なのか。私は音楽をほとんど聴かないし、「対バン」という言葉は森雅裕の小説の中でしか知らない。逆に言うとその小説を読んでいなければ、この舞台で何が起こっているのか全く分からなかったと思う。読んでいて良かった。

 多分、両方のバンドがバンに同乗して山梨県の山道を走っていたところ、カーブでハンドルを切り損ねて崖下に転落し、九死に一生を得たものの救助が来る見込みもなく・・・、というシーンが何度も繰り返される。時間が巻き戻されて、再び「別のバンド人生」が始まる。その繰り返しだ。
 まあ、なかなか個性的な面々で、なかなか聞かなくなったような言葉を叫んでいたけれど、それが舞台となると許せてしまうのが謎だ。むしろ「うん、よく頑張った!」と台詞としてしゃべった役者さんを激励したくなる。

 バンドメンバーの一人がプロデューサーとして活動するようになったり、ガールズバンドのボーカルが彼氏の浮気相手をアイスピックで刺してしまったり、無職でバンドを続けていたり、市役所に勤めていたけどストレスで休職してバンドを続けていたり、よく分からないけど先輩を口説き落としてキーボードとして参加して貰ったり、ガールズバンドのメンバーの一人は「サポートメンバー」でメジャーデビューが決まったらバンドから離れることがほぼほぼ決まっていたり、その辺りの軸はありつつも、やり直すたびに少しずつ変わって行く。
 そのテンポが速い。

 バンドの話なので、バンドの話だから、それでも「全く歌わない」という持って行き方もできたと思うけれど、この芝居の場合は、どちらのバンドも歌いまくっていた。
 さすが、腹筋を鍛え、喉を鍛えている人達の声は違う。このまま歌っちゃう? という感じ。
 ただ、終演後のアフタートークでは「ライブと舞台との境目が難しい」という話をしていて、例えば演劇のワンシーンとしてライブのシーンで客席をあおるときも本気で拳を突き上げてくれとは言えない、それをやってしまうと後ろの席のお客さんが舞台を見られなくなってしまうから、と言っていて、なるほど、と思った。

 ちなみに、歌ってはいたけれど、楽器演奏は完全にエアだ。それでも何の楽器を演奏しているか分かるところが凄いと言うべきなのか、少し迷う。
 でも、雰囲気が出ていたからこれでオッケーなんだと思う。
 ピンクとか青のライトや激しい明滅、ライトに合わせた動きなどなどは多分「柿喰う客」っぽくて、バンドの物語と滅茶滅茶相性のいい劇団という感じがある。

 出演者の変更(沖育美→永田紗茅)があって、ガールズバンドの雰囲気は結構変わったんじゃないかという気もして、実はそこも気になっている。
 柿喰う客はときどき、上演期間中に役をシャッフルして上演する日を設けたりもしているので、出演者変更等への対応は柔軟かつ円滑なのかなと思う。実際、上演を見ていて違和感を感じるようなことはなかった。

 久々に分からなくて若い芝居を見たぞー、という感じがする。
 結成20周年の劇団を「若い」と感じるなんて、自分の年齢をもの凄く感じるわと思いつつ、今度はもっと若い劇団のお芝居を観に行こうと思った。

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