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2026.06.28

「カッコーの巣の上で」を見る

「カッコーの巣の上で」
原作 ケン・キージー
脚色 デール・ワッサーマン
翻訳 髙田曜子
演出 松尾スズキ
出演 間宮祥太朗/坂東龍汰/近藤公園/山口航太
    菅原永二/黒田大輔/徳井優/金子清文
    篠原悠伸/片山萌美/東野良平/吉田ヤギ
    中野亜美/田尻祥子/皆川猿時/江口のりこ
観劇日 2026年6月20日(土曜日)午後1時開演
劇場 パルコ劇場
上演時間 3時間(20分間の休憩あり)
料金 12000円

 ロビーではパンフレット等が販売されていた。
 ネタバレありの感想は以下に。

 パルコ劇場のの公式Webサイト内、「カッコーの巣の上で」のページはこちら。

 何となくではあるものの、最初から「クワイエット・ルームにようこそ」と似ているなぁと思いながら見始めた来たする。
 ちょうど最近見たところだし、演出が同じ松尾スズキだし、思い出す要素に事欠かない。
 ただ、それだけでなく、江口のりこ演じるラチェット婦長みたいな人を見たことがあるような気がすると思い続け、結局最後まで分からなかったけれど、今日になって自分のブログを探して「カッコーの巣の上で」を見たことがあるのだと分かった。

 ちなみに、前に見たときのラチェット婦長を演じていたのは神野三鈴である。彼女のねっとりした「Boy's」という呼びかけはかなり耳に残っている。怖かった。
 江口のりこ演じるラチェット婦長もやっぱりねっとりしていて、でも神野三鈴のラチェット婦長よりも幾分かさっぱり成分が入り、かつ、若干の切れやすい感じが漂っていたように思う。

 間宮祥太朗を舞台で拝見するのは初めてだと思う。やけに声が通るなぁと思い、マイクを付けているのだろうなぁと思い、でも後方の席だったこともありマイクの存在は確認できなかった。
 破天荒かつ狡猾なマクマーフィという男に、かなり正面切って体当たりしていたように思う。
 このマクマーフィは、ラチェット婦長に対立するときや、他の患者を鼓舞するときにはかなりまともだし応援したくもなるけれど、そもそも、刑務所に入るのが嫌で精神病患者を装ってこの病院にやってきた人物である。
 少しばかり、そんなに偉そうに仕切ろうとしなくて良くない? と思ってしまう。

 患者を間に、患者達を支配しようとするラチェット婦長 対 そんなラチェット婦長に反発して自由を獲得しようとするマクマーフィという対立を色々な場面で見せて行く。
 テレビの視聴時間や、チーフと呼ばれる男の挙動や、賭け事や、トランプや、タバコやチューインガムなどなど、そういった、ラチェット婦長から見ると「規律を乱す」物たちを提供し、他の患者達にも「こんな支配から脱するべく戦え」とたき付け続ける。
 相当にエネルギッシュな人物であることは間違いない。

 ただ、退院の見込みがある急性期患者に比べ、というか、急性期患者の中でも、いわば「措置入院」してきたマクマーフィの退院には医療従事者たちの確認が必要だという。
 それを聞いて、「何で教えないんだ」「知らずに粋がってるとバカにしていたんだろう」等と怒るマクマーフィにはちょっと違うんじゃないの? と思う。
 自業自得だし、規則等々をちゃんと確認しない方が悪いし。
 なので、基本的にはマクマーフィの立ち位置に賛成するけど、全面支持という気持ちにはなれないなぁと思っていた。

 皆川猿時演じるラチェット婦長の言いなりになっている医師や、坂東龍汰演じる吃音がある若者、近藤公園演じる患者会の議長であるらしいハーディング、山口航太演じるチーフ、チーフが幻聴として聞いているっぽい緒方恵美の声等々、いわば「主要登場人物」と言える物語のある人物たちが個性を際立たせ、一方で、患者や守衛を演じる役者さんたちで、この舞台の個性というか方向性は作られているように思う。
 彼らの印象が変わるとこの舞台自体の印象はさらに変わるのではなかろうか。

 多分、耳が聞こえず口もきけないと皆に思われていたチーフが、実は、耳も聞こえているししゃべることもできるとマクマーフィに明かし、それが病院全体に広がった辺りから、終わりへの加速が始まっていたように思う。
 ラチェット婦長が煽り、マクマーフィがラチェット婦長の首を絞め、ロボトミー手術が行われ、全く動けなければしゃべることもできなくなったマクマーフィに枕を押しつけてチーフが窒息死させ、他の患者が「逃げろ」と言う中、チーフはマクマーフィに「おまえならできるだろう」と言われた配電盤の破壊を成し遂げて、病院から逃亡する。

 ここで幕だ。
 病院のこれからは分からないし、チーフがこの先どうなるかも明かされない。
 ただ、マクマーフィがこの後立つことも話すこともないだろうことだけは明らかだ。
 以前に見たことを全く覚えていなかったし、このラストは衝撃だった。こうやって終わらせるんだ、と唖然としてしまった。他に行き着く先はなかったんだろうか。

 「カッコーの巣の上で」は、初演時は「カッコーの巣を越えて」というタイトルだったという。
 何故このタイトルかというと、劇中でマクマーフィとチーフが歌う歌の歌詞の一部から取っているらしい。
 その歌を聴くと「カッコーの巣を越えて」と歌っていて、前後の歌詞からもこちらの方が正しいニュアンスなんじゃないかという気がする。
 でも、タイトルは「カッコーの巣の上で」である。もうこれは、このタイトルがある種のアイコンになっているということなんだと思う。

 がっつり集中して見た。

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