「氷艶 hyoen2017 ―破沙羅―」を見る
「氷艶 hyoen2017 ―破沙羅―」
出演 市川染五郎/髙橋大輔/荒川静香/市川笑也
澤村宗之助/大谷廣太郎/中村亀鶴/鈴木明子
織田信成/浅田舞/村上佳菜子/大島淳
鈴木誠一/蝦名秀太/佐々木彰生/中村蝶紫
澤村國矢/片岡松十郎/中村かなめ
公演日 2017年5月21日(日曜日)午後0時開演
劇場 代々木体育館 南1階Gブロック
上演時間 3時間(30分の休憩あり)
料金 18000円
「氷艶 hyoen2017 ―破沙羅―」の公式WEBサイトはこちら。
染五郎さんファンのお姉様に誘っていただき、「氷艶 hyoen2017 ―破沙羅―」に行って来た。
開場が開演1時間前で、それより少し前に到着すると入場待ちの列が出来ていた。これって東京オリンピックのときはどうするんだろうね、と何故か二人で真剣に心配してしまった。
気温30度で日陰もないところで立ったまま待つのは、僅かの時間でも辛い。
グッズ売場は控えめで、パンフレット、ポストカード、クリアファイルというラインアップだった。
会場の内と外にグッズ売場が設置されていた。それほど混雑はしていなかったと思う。
写真撮影は禁止だけれど、客席での飲食は特に禁止とは明示されていなかった。やはり、歌舞伎では客席での飲食が一般的なことだからだろうか。
1階スタンド席は、上が長袖Tシャツの上にアクリル素材のストール、下はストッキングに登山用パンツ、さらにシャカシャカした素材のパンツを重ねた。最初は平気でも見ているうちに腿の辺りが冷えてきた感じがして、これでちょうど良い。
椅子はプラスチックで固いので、アウトドア用のクッションを持参して敷いていた。これは必携だと思う。
「氷艶」の物語は、荒川静香演じる女神が少年に見せる夢物語という枠組みになっている。
神話の時代、織田信成演じる瓊瓊杵尊は浅田舞演じる木花開耶姫と恋に落ち、駆け落ちしてしまう。木花開耶姫とともに瓊瓊杵尊に嫁いだのに置き去りにされた市川笑也演じる岩長姫は二人に復讐しようと、市川染五郎演じる歌舞伎の世界の大敵役の仁木弾正を呼び出す。瓊瓊杵尊の家来の猿田彦は、悪を倒して二人を助ける為に、歌舞伎の世界の英雄である高橋大輔演じる源義経を呼び出し、この善悪のキャラが対決する、というお話だ。
ストーリーはと聞かれれば、大枠、こういう感じになると思う。
でも、実際のところ、ストーリーはあまり関係ないのかなという感じがする。歌舞伎とアイスショーとどちらに近いかと聞かれれば、それはアイスショーに近い印象だ。
フィギュアスケートの見せ方として、ストーリーのあるショーに仕立てました、ストーリーには歌舞伎のエッセンスを取り入れました、という感じだ。
歌舞伎では、善悪の主役級のキャラが同じ舞台に立つことはないそうだけれど、歌舞伎に全く詳しくない私からすると「だから?」という感じにどうしてもなってしまう。掟破りをしているという売り文句は、掟を熟知している観客に対してのみ「売り」として機能すると思う。
出演しているフィギュアスケーターは、やはり皆芝居っ気のあるスケーターで、立ち姿やポーズが決まっているし、成りきっている感じがある。もちろん、身体を使った感情表現が豊かだ。見栄を切ったり、刀を持って立ち回りをしたり、楽しんで演じている様子が伝わって来るのが良い。
高橋大輔は、スケート靴なしで、氷上に作られた舞台の上で踊っていて、それも格好良かった。これまた日舞の素養のない私にはよく判らなかったけれど、一緒に行ったお姉様によると「すり足なんかも上手かった」という話だ。
ストーリーを運んでいるのは歌舞伎役者の方々で、そもそも台詞はほぼ歌舞伎役者さんたちが語っていたし、お話の進行はナレーションで流されていることがほとんどだった。
笑也さんはずっとスケート靴で通していたと思うけれど、他の役者さん達は、スケート靴を履いたり履かなかったりだったと思う。スケート靴ではないとき、危なげなく靴で氷上を歩いたり走ったり立ち止まったり戦ったりしていて、オペラグラスでじーっと見てみたら、靴底に鋲がたくさん打ってあるスパイクのような靴を履いていた。なるほど、氷上で滑らないためにはそれくらいしないとだめなんだなと思う。
見終わってから思い出したところ、そういえば染五郎さんは何年も前にドラマでアイスホッケー選手の役を演じていたと思う。
そこから「氷上で歌舞伎を上演する」「フィギュアスケーターとコラボレーション」という発想が生まれたのかしらと思ったりした。
スペクタクルとしてかなり贅沢な舞台で、氷上と奥に設置したスクリーン(というかカーテン)を使ってプロジェクションマッピングのようにしていたし、宙乗りはそれこそ何回も何回も披露された。
衣裳も派手だったし、音楽はBGMの他、和太鼓のDRUM TAOが生出演していた。
豪華というなら、これだけのフィギュアスケーターが揃い踏みしていること自体が、豪華以外の何ものでもない。この豪華さと準備期間で、公演が僅か3日間なのだから、その贅沢さといったらない。
後半は殺陣も惜しみなく披露されて、スケートで滑る人と靴で走る人とが入り交じった状態での殺陣は時々ひやっとしたけれど、やはりスピード感が違う。迫力である。
歌舞伎でもアイスショーでもないエンターテインメントだったと思う。
思わず拍手するシーンもたくさんあって、結構楽しんだ。
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