毎週日曜の午後11時からTBSで放映されている「情熱大陸」の「古沢良太 〜脚本家」を見た。
ちょうど、2013年3月30日にパルコ劇場で「趣味の部屋」を見たばかりで、翌31日に放映とタイミングも良かったのだ。この「趣味の部屋」を書いているところを取り上げるということだったので、もし順番が逆だったら多分番組は見なかったと思う。
古沢良太は「ふるさわりょうた」だと思っていたら「こさわりょうた」だったのが、まず最初の発見だった。
申し訳ない。
そして、「キサラギ」の印象が強かったせいか、ずっと劇団の座付き作家をしていた方だと思い込んでいたのだけれど、スタートはシナリオだそうだ。
そういう、非常に基本的な思い違いを正すところから見始めた。
ご本人はとても端正な顔立ちの方なのだけれど、何故か全体の印象が「ハンサム」ではないのが不思議だ。
仕事場を行ったり来たり、ブツブツ言いながら、様々に動きながら、書いていくようだ。
そういえば脚本はみなそうだけれど、打っているときから縦書きだったのが意外だった。
そして、先へ進んだり後戻りしてきたり、伏線を張るー回収するということの繰り返しで脚本が書かれていくのを見て、伏線が全て綺麗に回収されて大団円のスカっとする作品がこうして生まれているんだなとしみじみ思った。
「趣味の部屋」は「世界中で演じられるような面白いオリジナル戯曲を書いて欲しい」と主演の中井貴一に言われて引き受けたものらしい。
いきなりハードルの高い依頼である。そりゃあ、呻吟もするだろう。ご本人が「今までどうやって書いていたんだろう」「今までどこからアイデアを出していたんだろう」と呻いているのを見て、そして、登場人物は全て本人の中から出てくると聞いて、言い古された言い方だけれど、物を生み出すことは孤独な作業だ、と思った。
それは、「雰囲気のいい稽古場」に行った脚本家が、帰ってきて「あの楽しい場所に自分の居場所はないんだ、みたいな」と述懐しているのを見て、さらに増幅された。
生み出した後、その作品は作家の手を離れる。
みんなの共同作業で演劇として立ち上がろうというとき、脚本家に居場所はない。少なくとも、それが古沢良太という脚本家の認識のようだ。
辛い場所だな、でも生み出されたお芝居で私は昨日大笑いしてきたよ、と思ったのだった。
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