「クロード・モネ ― 風景への問いかけ」に行く
2026年2月13日、アーティゾン美術館で2025年2月7日から5月24日まで開催されている「クロード・モネ ― 風景への問いかけ」に行って来た。
この展覧会のチケットは期日指定で予約が必要である。ただ、私が購入した平日限定期限付き早割チケットは、入場が4月7日までの平日のみであるものの、平日であれば期日指定は必要ないという優れものである。
それならば忘れないうちに早めに行って来ましょうと思い、開会して1週間目に出かけて行った。
美術館入口に到着したのが18時前で、すでに「18時」のチケットを持つ人の待ち行列ができていた。
平日ではありつつ夜だし、やはり「モネ」であるし、なかなかの混雑振りである。凄い。
荷物をコインロッカーに預け、電子チケットを提示して入場した。
この展覧会は、オルセー美術館から来日した41点を中心に、モネと同世代の画家や関連のあった画家、浮世絵やガレのガラス作品まで全体で140点前後の作品が展示されているらしい。
そして、名前のとおり、モネの作品が中心であり、最大数(だったと思う)ところが嬉しい。何だか得した気分である。モネ祭だ。
モネ自身の写真や、ジヴェルニーの庭の写真なども展示されていて、動画もあったりして、モネは最近まで生きていた人なのだなと思う。
この展覧会のポスターには「モネ 没後100年」の文字もあり、モネは大正時代の最後まで生きていたんだな、と思ったりした。結構、最近だなと思う。
そして、真っ白の三つ揃いに身を包んで歩くモネの動画を見て、そういえばモネは割と珍しいことに生前に名声を得てそこそこの暮らしをしていた人だったなと思う。
ゴッホとかフェルメールとか「生きている間はとんでもなく不遇」というイメージが画家という職業にあって、何だか腑に落ちない気もしている。
アーティゾン美術館って初めて聞く名だな、新しくできたのかな? と思っていて、到着して「石橋財団」の文字を見てやっと「ブリジストオン美術館か!」と気がついた。気付くのが遅すぎる。
建物の建て替えに合わせ、名称も変えたそうだ。昨年にリニューアルオープンしたらしい。
そういえば建て替え前のブリジストン美術館には一度か二度しか行ったことがないなぁと思った。
チケットがスマホになったからか、最近、写真撮影OKの美術展が増えたような気がする。
今回のモネ展も原則的に写真撮影okで、いくつかの作品のみ写真撮影禁止マークがついていた。もっともそのマークが小さくて地味なので、気付かずに撮影している方も多かったと思う。そのたびに美術館スタッフの方が上品に止めに入っていた。流石の接客である。
それはともかく、私も旅行のときなど写真を異様な枚数を撮りまくり、同行者に「レンズ越しじゃなくてちゃんと自分の目で見て!」と言われるタイプであるけれど、それにしても、美術展来場者の方々の写真への執着が凄い。
眺めていると、全作品を3枚ずつ撮っている方もいらしてびっくりだ。
結果、絵の前にはぽっかりと空間があり、適度な距離を置いて写真を撮ろうとする人が団子状態になる、というのがデフォルトになっていた。
私は基本的に絵は離れたところから全体を見たいと思っているのでいいけれど、たまに絵に近付いて筆遣いを見たいなと思ったときなどは、最大限の気遣いが必要である。
写真撮影の邪魔にならないよう、短時間で見て、素早くフレームアウトしなければならない。
何だかなと思う。
だから写真撮影禁止の絵が非常に待ち遠しい。「写真撮影の邪魔にならない」よう気をつける必要がないからだ。
そんな感じで、写真撮影に熱心な人を見ていて「どうなの、それ」とずっと思っていた。彼ら彼女らは撮った写真をどうするんでしょう? 謎だ。
そして、いいアングルで写真を撮ろうとするから、人の列の進みが遅い。滞留時間が長い。写真撮影を禁止したら、もっとさくさくと見て回れるような気がする。
好きに見ればいいという気持ちと、周りに気を配ろうよという気持ちと、お腹空いたんだけどなという気持ちと、絵を見に来たんでしょ! 写真を撮りに来た訳じゃないでしょ!」という気持ちがごちゃごちゃして、なかなか整理できなかった。困る。
というか、絵を写真に撮って嬉しいのか? 疑問だ。欲しいなら画集を買えばいいのでは? と思ってしまう。
それはともかく、かなりの数のモネ作品gが集まっているので、自分がイメージする「モネっぽい」とは別のテイストの絵も多くてなかなか興味深い。
色使いも沈んだ淡い色合いでまとめた絵も多くあれば、モネっぽい緑や水色を封印した祝祭の絵など、特に印象に残った。
モネはスケッチ旅行にたびたび出ていて、それは「今までみたことのない景色を探す」という神聖性のあるというか、何らかの儀式のようなものかと思っていたら、そうではないと書いてあって驚いた。
要するにモネは、観光旅行のついでに絵を描いていたのだ。絵を描くついでに観光をしたのかも知れないけれど、これまでの眉唾話を信じることに内容だ、と訴えたらしい。
そういう手もあるのね、と感心した。
南仏っぽい海辺の避暑地の風景が描かれているっぽい「トルーヴィル、ロシュ・ノワールのホテル」や、パリのお祭りの様子が描写される「パリ、モントルグイユ街」など、珍しい感じの作品が目白押しである。
風車とチューリップ畑というお上りさんそのものの観光名所も描いているし、ロンドンのテムズ川にかかる橋やルアン大聖堂の連作、ヴェネツィアの夕景まで、絵はがきにありそうな絵まで描いていて、ちょっと可笑しい。可笑しくて楽しい。
たくさんの絵の中から1枚選んでいいよと言われたら、「パリ、モントルグイユ街」が欲しい。フランスの三色旗が道の両側のアパルトマンから突き出されて風に揺れ、その下を大勢の人が歩いている。何とも華やかな絵である。
次点として、「かささぎ」も欲しい。こちらは全く逆で、何と言うか「田舎の雪の日」みたいな絵である。タイトルのとおり「かささぎ」も1羽描かれているけれど、柵の上で羽を休めているだけで、特に丁寧に描かれている訳でもない、ように見える。雪に落ちる影を薄いブルーやピンク、紫で表現しているところがポイントらしいけれど、離れて眺める分にはそこまで色は感じない。その地味な感じが良かった。
地味で良いと言えば、庭での昼食の様子(まだ誰も食べていなくてこれから三々五々参加者が集まって来る)を描いた絵も目立っていた。この絵はとにかく大きい。今回出品された中で一番大きなサイズの絵だったのではないかと思う。
そして、お昼ごはんがやけに質素なのだ。これから供されるのかも知れないけれど、フルーツとパンと飲み物しかない。せっかくなら豪勢な昼食を描けばいいのにと余計なことを考えたりした。
あと、選ばないけど気に入っていたのは、モネの自画像である。それほど大きくないキャンバスに余白を大きく残し、真ん中にグリーンを基調とした色で自身の胸から上の肖像画描かれている。
その描かれている顔の表情が何だか可愛らしくて、恐らくは性狷介であったろうに、自分を随分好々爺風に描いたのだなと微笑ましかった。
今回の美術展で私が唯一写真を撮った絵である。
最後に、インスタレーションの作品展示があった。
真っ暗な部屋の壁四面に、ジヴェルニーの庭で撮影したという花や池の写真、モネが映っている動画を組み合わせた作品である。
ここで赤い花を持ってくるところがいいですね、と思う。睡蓮でないところが良い。今回の美術展では睡蓮が描かれた作品は3〜4点だったし、違う花をクローズアップするのはなかなか楽しい。それが赤だったので、若干、どぎつい感じもあったけれど、そこは水の写真や、白黒というセピア寄りの古い動画を組み合わせていることでバランスが取れていたと思う。
そういえば、この美術展は建物の6階と5階で開催されていて、6階は無音、5階は音楽が流れていたと思う。
そういう工夫もきっと何か意味があるのだろう。音声ガイドを借りていたら解説されていたんだろうか。
工夫といえば、今回の美術展では、各章の最初にある説明が非常に丁寧だった。丁寧かつ大量過ぎて、半分くらいしか読まずにスルーしてしまった。申し訳ない。この説明だけでも写真に撮って家で読み返そうかと思ったりもしたけど、ま、いっか、と思った。
写真を撮影している人は結構多かったと思う。
19時過ぎに美術展を出て、ミュージアムショップ2カ所でお買い物をして建物を出たら20時前だった。
買い物に時間を掛けすぎである。それだけ混雑していたとも言える。
行って良かった。気がつけば職場でのもやもやも消えていた。










2025年2月、










/p>


最近のコメント