「正月パスの旅」の教訓を噛みしめる
「正月パスの旅」の始末記である。
ちなみに、旅の行程はこんな感じである。
8:58上野発 はやて7号
12:04八戸着
12:16八戸発 スーパー白鳥7号
13:15青森着
13:50青森発 リゾートしらかみ2号
19:00秋田着
19:29秋田発 こまち226号(東京行きの最終新幹線)
23:30上野着
2005年1月1日(土曜日)
<<上野駅>>
お昼ご飯を駅で買って行こうと構内をうろうろし、1月1日の午前8時半過ぎだというのに意外と開いているお店が多くて驚いた。
何となく新年ぽい気がして、小鯛のお寿司を買う。
上野駅の新幹線ホームが地下4階にあるとは知らなかった。そういえば、たまに上野駅で乗り換えるときに新幹線の姿を見たことはない。あんな地下深くに隔離されているとは!
<<はやて7号(8:58上野発ー12:04八戸着)>>
ツアー客がいたりして(添乗員らしいお姉さんがいたので判った)、グリーン車は満席である。車内放送でも「はやて」も「こまち」も満席なので座席の交換はできません、と言っていた。
新幹線に乗ったのも5年ぶりくらいだし、新幹線のグリーン車に乗ったのは初めてである。おしぼりがもらえたり、ドリンクサービスがあったりするとは知らなかった。
大宮の手前、荒川を渡る前くらいから、富士山が見えた。快晴の空に真っ白の雪をかぶった姿が映えている。埼京線から富士山が見えることは知っていたのに、東北新幹線から富士山が見えるとは思っていなかったので嬉しい。
大宮を過ぎ、乗車して1時間がたった頃からトンネルが増え始めた。線路近くの木にも雪が積もっている。
東京では快晴だった空もだんだん曇りがちになってくる。遠くに見えていた山並みが雲の間に姿を隠してしまう。雨か雪かが窓を叩く音がし始める。天候はだんだん悪化しているようだ。
少し早めのお昼ごはんを食べている頃に北上川を渡り、11:25に盛岡に到着した。「はやて」と「こまち」の切り離し作業で数分停車する。車内の何人かが切り離し作業を撮影するべくカメラを持ってホームに出て行った。
盛岡では小雪が舞っていたけれど、次第に青空が広がってきて、快晴の空の下で八戸に到着した。
八戸駅で12分間の乗り継ぎは余裕だった。
<<スーパー白鳥7号 12:16八戸発−13:15青森着>>
車内放送を聞いて初めて知ったところでは、スーパー白鳥は函館行きの電車なのだ。青森で降りはぐれないようにしなくては、と思う。
スーパー白鳥が何両編成か確認しそびれたけれど、グリーン車は半両しかなかった。横に座席は3列しか並んでいなかったし、定員は十数名ではないだろうか。こちらも満席だった。
隣の席のおじさんは鉄道ファンらしい。この路線も何度も来たことがあるらしく、色々と面白い話をしてくれた。
曰く。
・野辺地を過ぎると進行方向右側に陸奥湾とその向こうに下北半島が見える。
・私が帰りの指定券を取ったこまち226号は臨時列車でかつ東京まで行く最終電車だ。
・もうちょっと早く東京を出れば、日帰りで函館まで往復することも可能(ただし函館の滞在時間は30分くらい)。
・もうちょっと早く東京を出て八戸から「きらきらみちのく」に乗って大湊経由で青森に行き、そのままリゾートしらかみに乗り継ぐというコースもある。
・沿線の途中に古牧温泉があり、そこの日帰りの温泉に入って帰るという旅を友達がしていた(どうも今は古牧温泉は倒産して営業していないらしい)。
ついでに「女の人が乗り放題の鉄道の旅をしているのを初めて見た」とも言われた。多分、正しくは「女一人で」ということだと思うけれども、そんなものだろうか。
<<青森駅>>
リゾートしらかみが発車するまで35分の余裕がある。
特にやることもないので、改札を出る。改札を出たところのお土産物屋さんも、すぐそこの駅ビルも営業していた。お客さんも結構入っているようだ。
せっかく青森まで来たし、シードルでもあれば買って飲もうかと思ったけれど、売っているのは日本酒ばかりだ。迷った末、350mlで450円とかなり高額の(笑)奥入瀬ビールを購入した。
発車10分前くらいに戻ったホームの屋根からは氷柱が下がり、車体に氷をへばりつかせたリゾートしらかみが到着していた。
<<リゾートしらかみ2号 13:50青森発−19:00秋田着>>
青森を出たときは3号車が先頭、弘前駅でいったん進行方向が変わって1号車が先頭、7分後に到着した川部駅からはまた3号車が先頭と、発車直後はめまぐるしく進行方向が変わった。
「満席」の放送があったけれど、弘前から先ずっとお隣は空席だった。5時間も乗り続けるためか、座席の前後はかなり余裕がある。下手をすると、はやてのグリーン車よりも余裕があるくらいだ。足を伸ばせて、後ろの席の人に気兼ねせずにリクライニング出来るのが嬉しい。
川部駅を過ぎると「晩酌セット」の予約の受付が始まった。「秋田名物ハタハタをはじめ、イカ、長芋のタタキとトンブリ、いぶりガッコなど郷土色豊かな山海の肴がいっぱいで。地酒と一緒に味わえば秋田の香りが広がる(「クルージングトレイン リゾートしらかみ五能線の旅」より)」というものだ。結構たくさんの人が注文していたし、かなり心惹かれたけれど、やめておいた。今考えれば、地酒は取っておいて、買ってきたビールのおつまみにすれば良かった。
五能線は海際を走ることで有名だけれど、青森を出てしばらくは雪深い山の中を走り続ける。外は曇天で雪が舞い、窓ガラスは車内の暖かさに曇っていて、真っ白い中にときどき木々が黒く見え、さらにときどき川が黒い筋のように見える、という感じだ。正直言って本当に「雪深い山の中」なのかどうか、外の様子はよく判らない。ただ真っ白に見えていることが多かった。
五所川原駅を過ぎ、3号車で津軽三味線の演奏が始まった。車内放送でも流れていたけれど、探検も兼ねて3号車に出向く。通り抜けた2号車はボックス席でかつ座席をフラットにすることができるので、寝ている人が多かったが「満席」という感じではない。4人席を2〜3人ずつで使えているようだ。
津軽三味線は展望ラウンジで演奏していた。その前は黒山の人だかりになっている。とても演奏している人が見える状態ではなかった(でも、おじさんと孫娘といった組み合わせの二人が三味線を弾いているのは見えた)ので、そのまま席に戻って放送で聞いた。
三味線で2曲、民謡と三味線で1曲の、計3曲が演奏された。
鰺ヶ沢駅を出ると、車窓に海が見えてきた。雪が舞っているくらいの天気だから、全体的に暗い。時々は青空ものぞいていたけれど、海の色は黒いし、波は高く、波頭は白く崩れていて、まさに「冬の日本海」だ。
私の席は山側だったけれど、並びで海側に座っていたおじさんが準備よく窓ガラスを拭くためのタオルを持参してしょっちゅう拭いていたので、私もその恩恵にあずかってのんびり海を見ることができた。
写真を撮りたいときは、多少でも外気との温度差が少ない方がいいだろうと、デッキに出てドアの窓から試みた。それでもすぐに窓ガラスは曇ってしまったし、外が暗いのと景色の大部分が「雪で白い」か「海で黒い」状態だったせいか、ピンぼけ写真が多かった。残念だ。
15:32に深浦駅に到着すると、8分間の停車があった。たくさんの鉄道ファンらしい人がホームの反対側に停まっている電車を熱心に撮影している。私にはごく普通のローカル線に見えたけれど、何か特別な電車だったのだろうか?
車内の暑さに参っていたので、ダウンを着込んでホームに降り、ちょっとだけ見えていた海の写真を撮った。
深浦駅を出ると、夕焼けを見せないまま日が沈んだらしく、あっという間に暗くなった。
外も暗くなり、あきた白神駅で「晩酌セット」が配られて何となくおつまみ系の匂いが車内に漂い始めたので、私も本を読みつつビールを飲む。窓際に置いておいたビールは、しっかりと冷えたままだ。
<<秋田駅>>
リゾートしらかみ2号は19:07発のこまち20号に接続している。可能なら指定券をそちらに変更しようかと思ったけれど、全車指定席だし、お土産にお酒でも買おうと思いつき、改札を出た。
しかし、駅ビルは、1月1日だけは19時閉店で、もう入口は閉められていた。残念だ。
その1階に大きめのコンビニがあり、そこで「県内限定販売」と書かれた「新政 厚徳」という純米吟醸酒を購入した。こういう「限定」という文字に弱い私である。
コンビニの隣にロッテリアとミスドがあって、夕ごはんを仕入れようかとも思ったけれど、お腹は全く空いていなかったし、車内でお弁当の販売があることも判っていたので、新年早々ファーストフードでもあるまいと見送った。
<<こまち226号 19:29秋田発−23:30上野着>>
こまち226号では「満席」の放送はなかったように思う。でも、グリーン車は満席だ。はやてでは配っていなかったスリッパを有り難くいただいて、早速履き替えて寛ぐ。
途中、大曲で接続する電車を待って2分遅れ、角館ではすれ違う下り電車を待って5分遅れた。秋田新幹線は新幹線なのに単線複式なんだろうか???
盛岡に5分遅れで到着し、ゆっくりとホームに滑り込んだこまちは、すでに待っていたはやてにそのまま接続した(この場合は文字通りくっついた)らしい。窓からホームにいる人がフラッシュをたいて写真を撮っている姿が見えた。
本を読んだり、少し眠ったり、音楽を聴いたりしているうちに、仙台に到着した。
仙台到着の前後にお弁当を売りに来たけれど、ビールのせいかお腹が空いておらず、つい買いそびれた。結局、この日は夕ごはんは食べずに持参していたお菓子でごまかしてしまった。
仙台到着時に5分の遅れを取り戻していたけれど、こまちのドアが故障したため(走り出してから、凍り付いてしまったために開閉できなくなっていたという放送があった)、結局6分遅れで仙台を発車する。
盛岡−仙台間で5分の遅れが取り戻せたのだから、仙台−大宮間で6分の遅れくらい取り戻せるだろうと思っていたら、宇都宮を過ぎたところで「前を走っている山形新幹線が雪のため遅れた影響で、宇都宮通過時に8分遅れている。このまま大宮、上野、東京は約10分遅れで到着の予定」という放送が入った。
山形新幹線??? 意外なところに伏兵がいるものだ、新幹線も遅れるのだな、と思う。
しかし、のんびり構えている場合ではない。上野駅の乗り換えは果てしなく遠い。23:48発の電車に乗りたかった私は、大宮を10分遅れで出発した辺りから落ち着かなくなった。
結局、上野駅で地下4階から走る羽目になった。
何とか間に合って席に座ったときには、情けないことに心臓はバクバクと音をたて膝も笑っていた。電車が遅れることを全く計算に入れずに計画を立てた己の無知と無計画をしみじみと呪った。
こうして、私の正月パスの旅は終了した。
この旅の教訓は4つである。
1 電車は遅れることもある。余裕を持った計画を立てよう。
2 ごはんは計画的に食べよう。かつ、お腹が空いていなくても食べ物は確保しよう。
3 電車の中は意外と暑い。調節の利く服装をしよう。
(電車に乗りっぱなしの旅にダウンジャケットは必要なかった・・・。)
4 電車の窓から景色を眺めたり写真を撮ったりするなら、窓ガラスを拭くタオルを持参しよう。
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