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2005.05.08

オーロラ(フィンランド)旅行記3日目

2005年3月11日(金曜日)

 8時30分に起床し、昨日と同様、まずは朝食を食べに行った。
 10時くらいにリエコンリンナ・ホテルを出発し、シウラに入っているラップランド・サファリ社を目指す。今日は11時からトナカイそりである。
 シウラに10時30分くらいに到着し、明日の帰国に備えてお土産物屋さんを物色する。

 11時になって、NORDIC JAPANのお姉さんにオプショナルツアー代金を支払う。申し込んだ中で最後のオプショナルツアーに参加する際に全額を現金で支払うという不思議なルールだ。
 昨日と同様に防寒着を身につける。トナカイそりはスピードは遅いけれどずっとそりに座っているだけなので寒くなるそうだ。
 準備万端で外でしばし待っていると、迎えの車が来た。
 雪道で上り坂でしかもカーブしている道をドライバーのお姉さんが結構なスピードで飛ばすのが少し怖い。

 トナカイそりを操るのはパウリさんというおじさんだ。
 このおじさんは何だか有名人のようで、出発前にもらった「FINLANDIA フィンランドの旅 2004 Winter vol.10」に写真入りで載っていたし、帰国した13日にたまたま放映していた、フィンランドにオーロラを見に行くという紀行番組にも登場していた。
 そのパウリさんは、(恐らく)サーメ人の伝統的な衣装を身につけている。

20050311パウリさん パウリさんが操る白トナカイがひくそりを先頭に、2台のそりが続く。今回の参加者は私たち二人だけだ。
 犬ぞりに比べるととてもゆっくりである。私たちのそりをひくトナカイはおとなしくパウリさんが操るそりについて行くので、特にすることもない。青空の下の雪景色を堪能する。

 途中で一度、休憩があった。犬ぞりのときと違って休憩場所に何かがあるわけではないので、そりから降りて腰を伸ばし、記念撮影をする。
 パウリさんに「トナカイに触っていい?」と身振り手振りで聞くと、真ん中のそりをひいていたトナカイのところに連れて行かれた。白いトナカイは気性が荒いのか、触らせて貰えなかったのが残念だ。
 トナカイの角は乾いていて硬く、毛は思ったよりも柔らかい感じがした。

 20050311足跡そりの位置を交代して、再び出発である。
 木々の間に動物の足跡をたくさん見かけ、写真を撮るのに夢中になった。いざ写真を撮ろうとすると、トナカイぞりもなかなか足が速い。あっという間に通り過ぎてしまう。
 あれはどんな動物の足跡だったんだろう?

 スタート地点に戻り、テント式のコタに案内されて一休みする。温かいベリージュースとビスケットをいただく。このジュースが意外と美味しかった。
 その後、何故か投げ縄でトナカイを捕まえる訓練を行い、トナカイの大好物だという藻を食べさせる。手のひらに載せてあげようとすると、大きく張り出した角が怖くていささか腰が引け気味になってしまう。

20050311角なしトナカイ トナカイは、雄はもちろんのこと雌にも角がある。
 また、今は角が生え替わる時期だそうで、牧場に何頭もいるトナカイの中には両方の角が抜けてしまっているトナカイもいた。角のないトナカイはかなり間抜けである。見た目はほとんど牛みたいだ。
 こういった情報は、パウリさんはあまり英語を話さないので、スタート地点までついてきてくれたNORDIC JAPANのお姉さんが教えてくれた。

 13時過ぎにシウラに戻った。
 お土産はヴァンター空港で買ってもいいかと思っていたけれど、友人は、飛行機が遅れて乗り継ぎ時間がほとんどなくなりお土産を買うどころじゃなかったという経験があると言う。確かにそれは困る。シウラとクーッケリをハシゴしてお土産を物色した。
 それにしても、何故フィンランドで「ゲイシャ」という名前のチョコレートが売っているのか、謎だ。

 リエコンリンナ・ホテルに到着したときに何軒かのレストランで使えるサービス券をもらっていたので、ドリンクの無料券がついていた「シベリア」というお店でお昼ごはんを食べた。もう14時半近くになっていて、お腹はペコペコである。
 トナカイ肉とパイナップルとブルーチーズのピザを頼んだ。美味しい。大きなピザでとても食べきれない。12ユーロだった。

 ホテルに戻る前に、夜間にライトアップされていたコタ近くの教会に行ってみた。
 木造のシンプルな教会で、人影はない。人影はないけれど、暖房が効いている。祭壇の後ろは全面ガラス張りになっていて、雪景色が見える。
 残念ながら二人ともキリスト教の素養がなく、ざっと見て退散にした。

20050311 16時ごろにホテルに戻った。買ってきたお土産を整理し、お茶を飲む。夕ご飯はホテルのレストランでとることに決め、私は、目覚まし時計をセットしてお昼寝をした。
 その間、友人はホテル内を探検し、絵はがきを書き、お土産物屋を覗き、サウナにも行ってきたそうだ。
 今日の方が昨日より冷え込んでいて、温度計はマイナス12度くらいを指していた。

 19時半過ぎにホテルのレストランに行った。メニューには日本語も書かれている。
 私は、シーフードサラダと「伝統的なラップランド料理」のプレートを頼み、この後オーロラ観測に行くことを考えてアルコールはパスする。デカンタに入ったお水を出して貰えるのが嬉しい。

 シーフードサラダは、Sサイズを頼んだのに凄いボリュームで、蟹、エビ、ムール貝、その他の魚介類と野菜がこれでもかというくらいに盛られている。私は、そんなに小食な方ではないけれど、この一皿だけで夕食としては十分以上だ。とても食べきれない。
 「伝統的なラップランド料理」は、雷鳥とトナカイと鱒のくんせいが盛りつけられていた。雷鳥は一見してレバーのような見た目で、赤身で少しぱさついた感じのお肉だ。トナカイはフィレ肉で、こちらも少しクセのある味である。どちらも「よく運動している動物の肉」という感じだ。この二つに比べると鱒の薫製は穏やかな味で、美味しく食べられた。

 買ったばかりのフェイスマスクも含め、防寒対策を整える。つま先とお腹と背中にカイロを貼る。カメラの電池が暖められるようカイロを入れる。予備のカイロも持つ。
 22時前にリエコンリンナ・ホテルを出てコタに向かった。
 一昨日は時間が遅かったので気が付かなかったけれど、コタの周辺はクロスカントリーのコースになっていて、その照明が煌々と輝いている。教会のライトアップ以上にまぶしい。

 しばらくクロスカントリーのコースに沿って多少でも暗いところを探す。オーロラが出る気配がないのでコタに行ってみると先客が二人いてストーブが赤々と燃えていた。
 三々五々人が集まってくる。交代で火の番をし、やかんに雪を入れてお湯を沸かす。時々外に出て空を見上げる。快晴だ。
 こんなにたくさん星が見える空をこんなに長時間、しかも熱心に眺めていたことなんてそうはない。
 これまでの人生で見た何倍もの数の流れ星を見ることができた。

 22時を過ぎると(23時だったかもしれない)、クロスカントリーコースの照明が消えた。
 薪ストーブの火が燃えるコタにいて、時々外に出るだけでもどんどん冷えてくるのが判る。特につま先が冷たい。カイロは全く役に立っていないようだ。マイナス40度まで対応する靴を履いていても、やはりウールの靴下が必携だ。
 あまりにもつま先が冷たいので靴を脱ぎ、ストーブに足をかざして暖める。余りの寒さのせいなのか、耐寒の靴が空気を遮断しているせいか、靴用カイロは全く発熱していない。

 しばらく外に出ていた友人が戻ってきた。でも「手袋をどこかに落としちゃった。探してくる。」と言って、そのまま出て行ってしまう。
 と思ったら、またすぐ戻ってきて「オーロラが出ているみたい。人が騒いでる。」と教えてくれた。
 慌てて外に出て、視界が開けている方に向かうと、白く大きなオーロラが空に弧を描いていた。凄い!

20050311オーロラ1 慌ててカメラを取りに戻り、適当なところに三脚を据えた。
 液晶画面でオーロラが確認できないので、とにかく適当な方向にカメラを向けてシャッターを切る。
 一眼レフでない通常のデジカメなので、レリーズは使えない。
 外はもちろんコタの中も暗いので、ホテルを出る前にデジカメはシャッタースピードは最遅の16秒、ISOを400にし、ノイズリダクションをオンにし、タイマー撮影するように設定しておいた。レンズの結露防止になるかもしれないと思い、レンズカバー用のフィルタもセットしてある。

20050312オーロラ2 タイマー撮影なので、実際にシャッターが切れるまで12秒ある。シャッター速度が遅い上にノイズリダクションをオンにしてあるので、シャッターが切れてから次にシャッターボタンを押せるまでが長い。
 何とももどかしい思いをしながら、でも、おかげで自分の目でもオーロラを食い入るように見ることができた。
 大きな弧を描いていたオーロラは縦に長くなったり、一瞬カーテン状に揺らめいたりした。
 木々の上をかするように白く伸びたオーロラは、やがて少しずつ薄くなって消えてしまった。
 体感時間としては5分くらいのものだったけれど、デジカメの撮影時間をチェックしてみたら25分くらいの天体ショーだった。

20050312オーロラ3 実際に撮れた写真は、正直に言うと失敗だった。一応、オーロラらしきものは写っているけれど、ブレていたり、地平線が斜めになっていたり、隅っこをかするくらいしかオーロラが写っていなかったりしている。
 肉眼では白く霞んで見えたオーロラが、写真では鮮やかな黄緑色なのが意外だ。

 そのときは時計を見ることも忘れていたけれど、オーロラが見えたのは0時前後だった。
 その後もコタを出たり入ったりしながらオーロラを待ったけれど、薄く何となくもやもやしたものが木の上辺りに出ることはあっても、動き出す気配もないまま消えてしまう。
 それでも「また見られるかもしれない」と思うとなかなかホテルに戻る気になれない。
 さっきのオーロラも友人が落とした手袋を探しに行かなければ、コタの中にいた私は気が付かなかった可能性が高い。本当に運次第だし、運が良かった。

 それからしばらくねばったけれど、結局、卒業旅行で来ているという男の子二人組を残し、私たちと最初の日にも会った女性二人組の四人は3時頃に引き上げた。
 ホテルまでの道を歩きながらも時々振り返って空にオーロラを探したけれど、残念ながらそれ以上見ることはできなかった。

 0時過ぎにオーロラを撮影した頃からコタの温度も上がっていたので、レンズの結露を心配して、カメラはずっと外に置いておいた。それでも電池(一応、寒冷地対応とうたった充電式リチウム電池を使っていた)が消耗しきることもなく、よくがんばって働いてくれた。レンズも無事のようだ。
 あまり無事でなかったのは人間の方で、シャワーを浴び、昨日買ったラズベリーワインをポットで湧かしたお湯で割って飲んで体を暖める。なかなか体が暖まったような気がしない。持って帰るのも面倒だという気持ちもあって、二人でボトルに半分以上残っていたワインを空けてしまった。

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2005年5月15日写真追加

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