アイスランド旅行記2日目
2005年8月14日(日曜日)
時差ボケなのか、5時半くらいに目が覚めた。
何となく肌寒いと思ったら、部屋の窓(縦15cmくらいで斜めに手前に倒れる窓)が開いている。昨日は真っ暗だったし疲れていたし眠かったし、全く気がつかなかった。
7時過ぎに朝食に行く。
ビュッフェ式のお盆が青いプラスチックで、高級ホテルに似つかわしくない感じだ。でも、卵料理にハム、ソーセージ、甘くないワッフルに果物にヨーグルトとたっぷり用意されている。
お隣に座った方が、ニシンのマリネのようなものを食べていらした。見た目は魚の切り身をヨーグルトのようなソースに漬け込んで発酵させた感じで、少しだけいただいて食べてみたら美味しかった。
この後、私の朝食の定番となった。
9時の集合より少し前にロビーに行く。
フロントで何気なく料金表を見たら、ダブルルームで280ユーロと表示されていた。1ユーロ140円で換算すると、39,200円である。ツアー代金が高額な理由が判ったような気がした。
小雨がぱらつく中を出発した。どこかの建物に表示されていた外気温は11度だった。寒いはずである。
ホテルはレイキャビクの町の外れにあったらしく、少し走るとすぐに田園風景が広がった。1時間も走らないうちにシンクヴェトリル国立公園に到着である。
友人に「ギャウ」への強い愛を語ってもらっていたこともあって、アイスランドで唯一の世界遺産であるシンクヴェトリル国立公園は、地球の割れ目が珍しく地上で見られる自然遺産として登録されていると思っていた。
しかし、実際は、930年に世界初の民主議会(ガイドさん曰く、全島民集会)が行われた場所が文化遺産として登録されているそうだ。
ギャウはアイスランドを南北に貫いており、自然遺産として登録すると広すぎる土地が世界遺産となり、保護などなどが大変になるという事情もあるようだ。
雨風はかなり強くなっていたけれど、もちろん全員で雨合羽を着込んで観光に出発する。
大きく亀裂が走っていて、(今ひとつ記憶が定かではないけれど)その亀裂の中に作られた遊歩道の左側が北アメリカプレートで右側がユーラシアプレート、だった気がする。
そうして崖の狭間の遊歩道を歩いているからか、正面からの風がとても強い。ポンチョの裾が風でまくれ上がり、全く雨風を防いでくれない。無理矢理に写真を撮ろうとすると、あっという間にレンズに水滴がついてしまう。
崖の向こうに目をやると、洪水が起きた後の草原のような感じだ。
この雨風のせいなのかあまり人もいない遊歩道の先に旗がはためいている場所があった。この旗のある場所で世界初の民主議会が開かれたのだ。
崖に挟まれたこの場所はマイクがなくても声が反響し、全員が全員の言っていることを聞き取れたそうだ。試してみたけれど、雨のせいか実感できなかった。
ここで遊歩道をそれて少し行くと、別の亀裂に湧水がたまり、そこに橋がかかっていた。
ここでコインを投げ、底に落ちるまで目で追うことができたら願いごとが叶うという。もちろんやってみる。
湧き水は澄み切っていて、それほど深くない底までコインを追うことは容易い。
この頃には雨も小降りになっていて、続いて近くのカフェでトイレ休憩を取ったときにはあがっていた。
シンクヴェトリルの湧き水でできたシンクベトラバートン湖は、自然のものとしてはアイスランドでもっとも大きい湖で、水力発電が行われている。
シンクベトラバートン湖から流れ出た川に沿ってバスが走る。川のこちら側はシンクヴェトリルからの湧き水、向こう側は氷河から流れ出た水で、明らかに色が違う。この2種類の水は混ざり合わないまま海までこの状態で流れて行く。
セルフォスの町で1号線に入る。1号線はアイスランドの外縁部を一周している道路だ。元々は昔から使われていた道を直して1号線としたけれど、最近はトンネルや橋やその他の土木工事で「通りやすいところ」ではなく「最短距離」に道を直しており、1号線は年々短くなっているという。
セルフォス近郊はアイスランドでは比較的暖かくかつ平らな土地があるため、農耕地帯となっている。主に牧畜が行われていて、乳製品はほとんどこの辺りで作られているそうだ。
しばらく走ると、前方に、崖が連なり、そこからいくつもの滝が流れ落ちているのが見えてきた。
まずたどり着いたのがセリャンスフォスの滝だ。この滝は落差40m、幅はそれほどないものの、何と言っても滝壺の奥がえぐれてそこに小道が通してあり、滝の裏側を見ることができる点がポイントである。
「足下に注意して、自己責任でお願いします。」とガイドさんに促され、みんな滝の裏側を目指す。ところどころ濡れていて滑りやすいとはいえ、全く問題ない。濡れているのは雨のせいではなく、滝壺で跳ねた水のせいらしい。
晴れていれば滝越しに海岸線まで見通せるという話だけれど、小雨まじりのお天気では眺望は開けていない。残念だ。
この後、「神秘の国!極北の楽園アイスランドへ!80歳橋田壽賀子の旅」というテレビ番組で7月に紹介されていた、COUNTRY HOTEL ANNAで昼食となった。
このホテルはご夫婦でやっていて、ホテル名にも入っているANNAさんは、奥さんの大伯母さんに当たる人だそうだ。レストランにガラスの入った棚が置いてあり、「パリに行ったANNAさん」という絵本と、その絵本の生原稿が飾られている。
私たちのランチも、橋田氏が番組で食べていたのと同じメニューだという。
前菜 マスとトースト
メイン アイスランド産子羊のステーキ
コーヒーまたは紅茶
アイスランドの子羊は夏の間放牧されてそこら中に生えているハーブを好きなだけ食べているため、ラム特有の臭みが少なく食べやすい。「それでもやっぱりラムだ」と思ったけれど、確かに美味しかった。
「火山と氷河の国」だけあって、観光ポイントには滝が多い。次に向かったのはスコウガフォスの滝だ。
この滝は落差が60mもあり、先ほどのセリャンスフォスの滝より幅もあり、水量も多い。その水量故に滝壺に近づくことができず、「滝壺にはお宝が隠されている」という伝説があるそうだ。
「これが地球の絶景!!世界の瀑布スペシャル」という番組で紹介されていたセリャンスフォスの滝は、すぐ横の崖に階段があり、上からのぞくことができる。晴れていれば垂直にかかる虹を見ることもできるという。
「制限時間20分」で崖の階段を登った人によると、一番上まで行かなくても中間点に岩陰から滝壺をのぞけるポイントがあり、ほとんど濡れずに上から滝を眺めることができたそうだ。がんばって登ってみても良かったかも知れない。
私は滝壺に近づこうと試みたものの、その水量は圧倒的で、とても近づくことはできなかった。あと10mくらいのところまでは行っただろうか。それだけで、レインコートを着ていてもずぶ濡れになった。
次に行ったソルヘイマ氷河は、ミールダス氷河の一部であり、その先端(舌端?)まで近づくことができる。バスの駐車場から10分くらいごつごつした岩場のようなところを歩く。かすかに硫黄の匂いがしている。
歩いている途中で降り出した霧雨は、もはや気にならなくなっているのが我ながらおかしい。
氷河が黒いのはもちろん排気ガスのせいではなく、氷河が削ってきた火山岩が細かく砕かれて付着したためだ。
その黒い氷河から流れ出した水はやっぱり灰色で、綺麗ではないけれど生きて動いている氷河だという感じがした。
氷河の先端に足だけかけてきた。
盛りだくさんの観光1日目はまだまだ続く。
次の目的地であるディラホラエイは、アイスランド最南端の断崖絶壁だ。
バスは雨の中、かなりの急勾配の道を登る。ガイドさん曰く「このバスで上がるのは無理だとドライバーが判断したら別の場所に行きます。」という話だったけれど、ドライバーのグンメさんは見事登り切った。大拍手だ。
ディラホラエイは私有地で、海鳥の繁殖の時期(5〜6月)は立入禁止になるそうだ。
繁殖を終えた海鳥たちは8月半ばにヨーロッパに行ってしまう。
この日は、ぎりぎりで断崖絶壁にいるパフィンを見ることができた。ラッキーである。
かなり遠目だけれど、黒と白の体とオレンジ色のくちばしは見分けることができる。ツアーの方から双眼鏡をお借りして見たら、よりはっきりとパフィンの姿を確認することができた。
事前に旅行社さんに「パフィンが見られますか。」と問い合わせを出したときには、「パフィンを見るためには、そのための場所まで行かなくてはならず遠いので難しいです。」という返事だったので、予想外に見られてとても嬉しかった。
ディラホラエイからは、イギリスのトロール漁船の船員によって「ブローホール」と名付けられた、巨大な穴を持つ断崖を望むことができる。
私も、一瞬は見ることができた、ような気がする。
ブローホールの方角から吹く強烈な風と、その風に乗って叩きつける強烈な雨に負けて、とてもじゃないけれどブローホールを望む断崖絶壁に立ち、顔を上げてそちらを見ることはできなかった。下手をすると風の勢いに負けてそのまま崖から落ちそうで、とても立っていられない。
改めてアイスランドの自然の脅威を感じた時間であり、場所だった。
この後、ホテルに向かう前にヴィークの町のガソリンスタンドで休憩になった。お土産物屋さんがあり、裏手の海岸線に出ることもできる。もちろん、海岸まで行ってみる。
黒い砂浜はちょっと異様な感じである。遠くに見えるレイニストランガル(ロウソク岩と聞いた気がする)がその異様さに拍車をかける。
この黒い砂が続くため、南の海岸線には港を造ることができないそうだ。
18時半くらいに、今日の宿であるホテル・ディラホラエイに到着した。
このホテルは、今回のツアーで唯一「街中にない」ホテルである。先ほど行ったディラホラエイを望む高台に建っていて、ホテルの裏からは氷河を見ることができる。絶景のど真ん中だ。
ホテルのレストランで夕食となった。メニューは以下のとおりである。これにビール(小 400クローナ)を頼んだ。
前菜 シーフードのパテのサラダ
メイン ポークステーキ
デザート チョコレートケーキ・コーヒーまたは紅茶
食事中、遠くに見えるディラホラエイに日が射すのが見えた。そこだけ光り輝いているように見える。
思わず添乗員さんに「今からもう1回行ってきましょう!」と我が儘を言ったけれど、もちろん、却下された。
夕食を終える21時頃になってやっと辺りが暗くなってきて、部屋の窓からは、かすかに夕焼けに染まった空と氷河を見ることができた。
やはり雨の中を歩き回ってかなり疲れていたらしい。
22時30分頃に就寝した。
2006年1月2日写真追加
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