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2005.11.14

アイスランド旅行記3日目

2005年8月15日(月曜日)

 出発は8時の予定だ。7時過ぎに食堂に行って、シリアルとヨーグルトで朝食にする。アイスランドは乳製品がとても美味しい。
 部屋の窓から氷河が見える。昨日よりくっきりしているようだ。青空がバックなせいだろうか。
 今日は天気が良くてとても嬉しい。

 まず最初に、昨日寄ったガソリンスタンドでバスの外側をお掃除するという。昨日の雨で窓がだいぶ汚れていたので、洗ってもらえるのはとてもありがたい。ホース付きのブラシでドライバーさんとガイドさんが手早く綺麗にしてくれ、窓からの眺めもすっきりと、すぐに出発である。

 ところが、快調に飛ばしていたバスが、8時30分頃に突然停車した。
 そこは道の左右にミールダス砂漠が広がり、ルピナスがところどころに咲いているのが見えている場所だ。
 この黒い砂漠は、カットラ火山の噴火によってミールダス氷河が溶けて洪水が引き起こされ、洪水で流れ出た土石流によって作り出されたそうだ。その砂漠の奥に、左手には氷河、右手にはかすかに海が見える。何故か黒っぽく見える川が流れている。なかなか眺めが良い。
 だから、最初はフォト・ストップを取ってくれたのかと思った。

 ガイドさんから「エンジンの調子がおかしいので、少し停まります。」とアナウンスがある。バスに乗っていてそんな感じは全く受けなかったので驚いた。
 セルとエンジンをつなぐコンピュータが壊れてしまったらしい。「再起動しています。」と言っていたけれど、それでも直らない。

国道1号線 この辺りで長期戦になると見極めたのか、「本来であれば1号線上でお客さんを降ろすことは絶対にしません。」という注釈つきで、「絶対に車道に出るな!」という注意とともに、車外に出る許可が出た。
 この辺りまで来てしまうと(といっても、ここがどの辺りなのかは全く判っていない)、1号線上でもほとんど車は通らない。その代わり、たまに走ってくる車はどれももの凄いスピードを出している。

 9時頃に「この周辺で代車を探したけれど、観光シーズンでバスが出払ってしまっている。代車がレイキャビクを出ているので、修理を試みつつ代わりのバスを待つ。」というアナウンスがあった。本格的に長期戦だ。
 しばらく外に出て、写真を撮ったり少し歩いたり深呼吸したりする。眺めもいいし、冷たい澄んだ空気が気持ちよい。
 風がかなり強い。調子に乗ってふらふらしていたらすっかり冷えてしまい、バスのカーテンを閉めて川岸まで降りて青空トイレという話になったときは、正直に言ってほっとした。

 バスの中で、「これまで行った中でどこが一番良かったか」、「次はどこに行きたいか」という話が始まる。みなさん「世界各国を回っています」という方達ばかりなので、全く知らない地名がたくさん出て来て楽しい。
 ガイドさんは、鳥や鯨、植物の図鑑類を出してくる。
 正面方向にアイスランド最高峰の山が雲の間から顔を出したのを探す。三角形の山(富士山みたいな山)が雲の上に出ていると思って探してもなかなか見つからない。ガイドさんに「だって、最高峰って言っても2111mよ。」と笑われてしまった。

蜃気楼 流石に2時間もたつと退屈してくる。
 思いついて、昨日シンクヴェトリルで買った絵はがきと、添乗員さんから配られた絵はがきを取り出し、友人に手紙を書いた。もちろん話題は、昨日の悪天候と今日のこの立ち往生である。
 ふと気がつくと車内がざわついていた。聞けば、氷河の手前に蜃気楼が見えているらしい。
 ツアーの方に双眼鏡をお借りしてゆっくり探す。
 双眼鏡の助けを借りたとはいえ、蜃気楼を自分の目で見るのは初めてだ。(この写真で判るだろうか・・・。デジタルズームも使ったので、かなり画像が荒くなっている。)
 言われて海側を見てみたら、そちらの方にもよりくっきりとした蜃気楼が出ていた。

バス到着! そして、苦節4時間!
 といっても、苦労していたのはドライバーさんで、心労が重なったのはガイドさんと添乗員さん、私たちツアー客はのんびりしていただけである。
 11時半近くになって、レイキャビクからの代車が到着した。みんなして、勇んでお引っ越しをする。
 ついでに、感動と感謝を込めて、バスが2台並び、二人のドライバーさんが状況を伝え合っている様子をカメラに納める。

 はるばるレイキャビクから代車を運転して来てくれたドライバーさんはメカニックでもあって、ここに入れ替わりに置き去りにされてしまうという。動かなくなったバスを修理しなければどこにも行けないという過酷な状況である。
 ちなみに、夕食のときに教えてもらったところでは、彼もこのバスの修理には手こずり、でも午後になって突然何の前触れもなくエンジンがかかるようになり、その後は順調に走って、17時にはレイキャビクに戻れたそうである。良かった。
 改めてバスが出発し、添乗員さんから「4時間遅れですが、このまま今日のスケジュールを進めます。お昼が遅くなるので、持ってきたお菓子を大放出します。」というアナウンスがあった。

渓谷 30〜40分走るとミールダス砂漠が終わり、苔に覆われた溶岩台地が広がり始めた。
 12時20分頃、ファズラルグリューブルに到着する。植物はともかくとして、深く切り込まれた渓谷が続く、ちょっと日本っぽい風景である。
 日本と違ったのは、崖っぷちまで近づくと、ブルーベリーがたくさん実っていることだ。摘んで食べてみたら、思っていたより甘くて美味しかった。

 その後、「10日前には枯れていた」という二股の滝を横に眺めながら、キルキュバイヤルクロイストルに向かう。
 そこはアイスランド人によって最初の修道院が建てられた場所だという。
 とはいっても、トイレ休憩したその場所のすぐ隣を大きな川が流れていたこと、川の向こうに氷河が見えたこと、ここでポツポツと雨が降り出し始めたことしか覚えていない。

 この後、どんどん風景は荒涼さを増して行き、ヴァトナヨークトル氷河を望む場所に13時45分頃に到着した。
 フォト・ストップである。青空に真っ白の氷河、手前に広がる黒い砂漠のコントラストが見事だ。
 1996年に氷河の下にあった火山が噴火することで洪水が起き、この砂漠が生まれたそうだ。洪水でなぎ倒された鉄製の橋桁も記念として残されている。

 そして、14時、ホテル・フラムネスで待望のランチとなった。
 このホテルは少し前まで、ホテル・スカフタフェットルという名前だったらしい。ホテルの看板がないのも、フロントで「ホテル・カードがある?」と聞いて「ない」と言われたのも、ホテル名改称のためだったのだろう。
 バイキングの昼食をむさぼるようにいただいた。

道ばたの花 スカフタフェットル国立公園は、そのホテルから車ですぐのところだ。
 スヴァルティフォスの滝までは、軽い山道を40〜45分くらい歩く。登山口の看板には「スヴァルティフォスまで2.5km」とある。14時55分に出発だ。
 道ばたに咲いているお花やイチゴ、時々現れる小さな滝の写真を撮りながらのんびり歩いていたら、このツアー一行の中で最年少の筈の私がいつの間にか最後尾になっていた。みなさんお元気すぎて、とてもじゃないけど追いつこうという気にはなれない。絶対明日は筋肉痛だと思いながらのんびりと歩く。
 この頃には青空が広がって、ゆっくり歩いても背中ににじむくらいの大汗をかいてしまった。

 ゆっくり歩くこと40分でスヴァルティフォスの滝の上に到着できた。やっぱり、私が遅いのではなくて、ツアーの方々が元気すぎるのだと思う。
 少し急な小道を降りると滝壺まで行くことができる。スヴァルティフォスの滝自体は水量も少なく細い滝なので、水しぶきを浴びることもない。もちろん下まで降りてみる。
 パイプオルガンのように広がる黒い玄武岩と、そこから流れ落ちる滝は何とも不思議な眺めだ。
 帰り道はガイドさんと競争のようにして、駐車場まで20分で戻った。
 午前中にバスの中で書いた絵はがきは、ここでポストに入れることができた。

 さらに30分くらい走って、今日最後の行程であるヨークルスアウロン氷河湖に到着した。ここで水陸両用車に乗って氷河湖クルーズに行く。
 このクルーズは予約ができず、現地に到着した順で船に乗せてもらえる仕組みだ。
 ガイドさんが船の確保に走る中、私たちは防寒対策を整える。青空は広がっているものの、もう夕方である。氷河湖の上を渡る風は冷たい。吹きさらしに40分立っていることを考え、ダウンジャケットを着込んだ。

 氷河湖の前で全員集合の記念写真を撮った後、水陸両用車に乗り込んだ。我々のツアーで貸し切りである。
 まずは救命胴衣をつける。ダウンジャケットの上にさらに救命胴衣をつけた私はモコモコで、みなさんに笑われてしまった。
 ヨークルスアウロン湖は、ヨーロッパ最大のヴァトナ氷河の一部が後退してできた湖で、淡水と海水が混ざっているためにマイナス5度の水温でも凍結することがない。

 青く光る氷塊が見事で目を見張る。
 酸素に触れるとどんどん白くなるので、青く見えているのは水面に出たばかりということになる。
 水上に出ると日光で溶けてきてどんどん上が軽くなる。一定以上軽くなると、その氷塊は上下がひっくり返る。水面辺りが細くなっている氷塊はひっくり返ったばかりの氷塊だ。
 青と白と黒のコントラストが本当に綺麗である。

氷河の氷 ゾディアックに乗ったお兄さんが、氷河の氷を届けてくれた。
 ガイドさんがその氷を抱えたまま説明してくれる。普通の氷よりも10倍近く圧縮されているそうだ。色はもちろん透明である。
 代わる代わる抱えて記念写真を撮った後、ガイドさんが氷を小さく砕き(そのための道具が船に乗せられていた)、「食べてみて。」と配ってくれる。
 食べてみたところは普通の氷だった。1000〜1500年前の味がした、とか言えれば格好いいけれど、なかなかそう上手くは行かない。

 当初はここから近いホプンの街に宿泊する予定だったけれど、ダブルブッキングで宿泊地が変わっている。
 今日の宿があるデューピヴォークルまでヨークルスアウロン湖から2時間半かかると聞いたときには流石にぐったりした。
 明日はフィヨルド地帯に入るから溶岩台地もしばらく見納めだと聞かされたけれど、窓の外を眺め続ける根性もなく、すっかり眠りこけた。

 21時前に、今日の宿であるホテル・フランティッドに到着した。そのままレストランに直行して夕食である。
 バスの故障のお詫びなのか、添乗員さんにワンドリンクサービスと言ってもらえ、白ワインを頼んだ。夕食のメニューは以下のとおりである。
  前菜 アスパラガスのスープ
  メイン 赤魚のソテー野菜添え
  デザート スキール コーヒーor紅茶

 ガイドさん達が氷河湖の氷を砕いて持って来てくれていた。
 最初はお水に入れて飲んでいたけれど、「この氷で飲むならウィスキーですよねー。」と勝手なことを言っていたら、前の席に座っていらっしゃった方が焼酎をごちそうしてくださった。
 有り難くいただいて、砕いた氷を入れたグラスに注ぐ。
 クルーズの船上で食べたときは特別美味しいと思わなかった氷だけれど、こうしていただいたらとても美味しく感じた。我ながら現金である。

スキール スキールは、クリームチーズとヨーグルトを足して2で割ったような乳製品である。ここでは少し甘みをつけてベリーを散らしてあって、とても美味しかった。

 流石に今日のこの行程は長かった。夕食を食べ終えたら23時近い。ログキャビン風の可愛いお部屋を堪能する間もなく、シャワーだけ浴びてすぐに寝てしまった。
 明日は10時出発だそうだ。朝早く起きられたらデューピヴォークルの街を散歩してみようと思う。

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2006年1月2日写真追加

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