アイスランド旅行記6日目
2005年8月18日(木曜日)
この日はミーヴァトン湖周辺の見どころを回り、泊まったホテルに戻ってきてランチ、湖の南端を回り、ゴザフォスの滝を経由してアクレリまでという行程だ。9時にホテルを出発する。
バスの中にもミーヴァトン湖名物(?)の蚊がたくさん入り込んでいる。何故かみな窓ガラスにひっついて車内を飛び回るようなことはない。ガイドさんから「この虫は油分をたくさん含んでいるので潰すと窓ガラスが汚れてしまい取れなくなる。窓ガラスを叩いて潰さないように。刺したりはせずに無害だから。」と注意された。
バスにはたくさん入り込んでいるのにホテルの中にはほとんどいなかったのが不思議だ。
まずは、クラフラの地熱発電所を見渡せる場所でフォト・ストップとなった。アイスランドでは水力発電が主だけれど、地熱発電も行われている。地下2000mから吹き上がる350度の蒸気をパイプラインで集め、その蒸気を利用して発電しているそうだ。
茶色い地面にパイプラインが張り巡らされ、あちこちから蒸気がもくもくと上がっている。前近代的なのか近未来的なのか、微妙な眺めである。
地熱発電所からすぐのところに、ヴィーティーの丘があった。火山の爆発によりできたクレーターに青緑色の綺麗な水がたまっている。
しかし、その綺麗な色にも関わらず、ヴィーティーというのは「地獄の丘」という意味だそうだ。
ミーヴァトン湖周辺は見どころが固まっている。その次に訪れたレイルニュークルまでバスに乗って10分もかからなかった。
駐車場をスタートし、苔が生え始めた溶岩台地を抜けて目の前に見えている丘を一周する散策コースだ。昨日の雨で土の道は結構ぬかるんでいる。
丘の手前に広がる溶岩台地に小さく亀裂が走っている。私がまたげる程度のその亀裂も「ギャウ」の一部だ。
丘の山肌は茶色くて、そこから白い蒸気が上がっているのが見える。火山活動が続いているらしい。
30分くらい歩いたところで、地獄谷のような池に到着した。青みがかった白に濁ったその池からは、もうもうと湯気が立ち上っている。硫黄の匂いも強烈だ。
池から先は真っ黒な溶岩台地が広がる中を遊歩道に沿って歩いた。
苔が生えている岩を選んで触ってみるとかなり温かい。
硫黄分なのか、黒い溶岩台地に白っぽい黄色っぽい何かが付着しているのが目につく。
丘のてっぺんに到着すると、茶色っぽい土の色と溶岩台地の黒と、そこから立ち上る白い湯気と、苔の緑と荒涼とした景色を見渡すことができた。
ミーヴァトン湖周辺は、アイスランドでも火山活動や地熱活動が活発なところで、「火の国」を実感させるスポットが集中している。
次に向かったナウマスカルドは、アイスランド版の地獄谷のようなところだった。
グレーの底なし沼では、沸き上がる硫黄によってお湯がブクブクと丸く盛り上がっては消えている。こんなところに落ちたくない。
何カ所かケルンのように岩が積まれ、そこから白い噴煙が上がり風にたなびいていた。ただでさえ周辺は硫黄臭いのに、そのケルンに近づくとさらに強烈な硫黄の匂いに包まれる。
ミーヴァトン湖を見渡せる場所でフォト・ストップをした後、グリヨッタギャオに向かった。
平原に一筋盛り上がっている「ギャオ」が走っている。これまた私がまたげる程度の幅の亀裂である。下は5mくらいの深さに見える。落ちることができる程度の隙間があいているのがちょっと怖い。
添乗員さんにギャウをまたいだ写真を撮ってもらっている間、目の横がひくひくしてしまった。
ここが珍しいのはその亀裂の中というか下に洞窟があり、天然の地下温泉が沸いていることだ。
潜りこんでみると、ブルーグリーンの透明なお湯から湯気が上がっている。
20年くらい前まではお湯に浸かれたけれど、その頃に火山活動が活発化し、一時は湯の温度が80度近くまで上がっという。
今は50度くらいまで下がったものの入浴は禁止されている。とはいうものの、そのような看板などは一切立っていない。
お湯に手で触ってみたら、足湯としてなら大丈夫なんじゃないかという感じだった。もう少し時間があったら試してみたかったなぁと思う。
ここまで巡ったところで、ホテル・レイニフリズに戻り、昼食になった。メニューは以下のとおりである。
メイン ハドック(鱈の一種)とカワマスのソテー
デザート パンケーキ コーヒー
このホテルでは、食事の際にミーヴァトンの地熱で蒸した蒸しパンが出る。茶色っぽい黒っぽい色をしていて、独特の何とも言えない風味がある。ホテルの売店でも売っていて、日本に買って帰るかかなり迷ったけれど、日持ちがよく判らなかったので見送った。
午後の観光は、ミーヴァトン湖の風景としてはもっとも有名だろうプセウド・クレーター群を見ながらの散策から始まった。
朝から天気が良くなかった上に、午後には風が出て体感温度がかなり下がった。長袖Tシャツの上に半袖Tシャツを着込み、その上からシャツを羽織ってコートを着てもまだ寒い。手袋が必要だ。
このプセウド・クレーター群周辺は珍しく「散策路以外立ち入り禁止」で、見晴台まで作られていた。このクレーターが水蒸気爆発により土地が持ち上げられて作られたということと関係あるのだろうか。
これでミーヴァトン湖周辺観光は終了し、バスはゴザフォスの滝に向かった。20分も走らないうちに到着する。
滝に近い方の駐車場でバスを降り、滝の落ち口に向かう。ガイドさんに「帰りは滝から続く川沿いの散策路を戻り、少し遠めの駐車場まで歩いてください、そちらにはお手洗い等もあります。」と案内される。
ゴザフォスの滝は、高さ14mで、横に翼を広げたような形をしている。
ガイドさんは「この高さが14mしかない大したことのない滝が有名になったのは、アイスランドがキリスト教を国教と定めたときにヴァイキングの神像を投げ入れた、という伝説があったからです。」と言う。けれど、私には、姿が良いせいか、昨日見たデティフォスの滝に遜色のない迫力があるように感じられる。
滝から続く散策路は、ピンクと紫の小さな花が一面に咲いていたり、滝から続く川が崖下を流れているのを眺めることができたり、駐車場の手前には「果たして何回流されたのだろう」というような橋がかかっていたりして、なかなか楽しかった。
ゴザフォスの滝から1時間くらいフィヨルドに沿ってバスは走り、17時前にアクレリの街に到着した。
このツアーはいわゆるお土産物屋さんに寄ることがないので、ガイドさんには、アイスランド第2の都市であるアクレリには早めに着いて、お買い物や街歩きを楽しんでもらいたいという気持ちがあったようだ。
ホテル到着前に、アクレリの街を簡単にバスで案内してくれる。フィヨルドに沿って埋め立てた空港があり、大きな教会があり、博物館があり、植物園が広がり、その先には天然温泉プールもある。
旧市街には可愛いデザインの家が並んでいる。アイスランドでは100年以上遡ると芝土の家になってしまうので、今残っている家はどんなに古くても100年前くらいのものだという。
アクレリの宿はホテル・ケアである。
このツアー中、シングルルームになったのはこのホテルだけだった。流石に「手狭」という感じがする。スーツケースを広げると足の踏み場もない。
狭いところに逼塞しているのも何なので、早速散歩に出た。
ホテルの前にはサブウエイ(久々に見かけるファーストフード!)があった。
そちら方面ではなく、ホテル横の階段を上がると教会に出る。植物園に向かってさらに坂を登る。振り返るとアクレリの街が一望だ。
もうちょっと全景が見えないかと細い小道を入ったら、その道はそのままジグザグに下り、旧市街まで続いていた。途中でランニングをしているお兄さん達とすれ違ったから、どこかのクラブチームのトレーニングコースになっているのかも知れない。
旧市街にある観光案内所に入った。何しろ寒い。フリーで配られている地図やパンフレットを集める。
バックパッカーの人たちが集まって、宿の予約をしたり、明日の移動手段を相談したりしていた。
あまりにも寒いので本屋さんとお土産物屋さんにも立ち寄った。
本屋さんで、アイスランドの自然を集めたようなCD-ROMがあれば買おうか、写真集があれば買おうか、ヴァイキングの絵本があれば買おうかと探す。しかし、本は全般的にかなりお高い。いくらだったのかは覚えていないなりに、ちょっと躊躇する値段だったことは覚えている。それに、絵本は何故か絵が可愛くなくて怖い。
どうもお買い物をしようとしてやっぱり諦めた、なんてことを繰り返している気がする。
19時からの夕食メニューは以下のとおりだった。
前菜 マッシュルームスープ
メイン ラムステーキ
デザート アップルパイ コーヒー
アイスランドで一番メジャーだと思われるVIKINGというビールはアクレリで製造されている。そうと聞いて、飲み物にはもちろんビール(590クローナ)を頼んだ。生ビールではなかったのが残念だ。
夕食後にシャワーを浴びて部屋でぼーっとしていたら、22時過ぎにいきなり「パンッ」みたいな音がした。窓を開けてみると、何だかやけに低いところに慎ましくあがる花火が見えた。アイスランドでは各家庭で打ち上げ花火を上げてしまうそうだから、この花火も「私家版」だったのかも知れない。
ホテルのすぐ裏の教会では、15分おきに鐘を鳴らしている。これじゃあ眠れないよと思ったけれど、23時ちょうどの鐘までしか覚えていない。きっとすぐに眠りに落ちてしまったのだろう。
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