モンゴル旅行記4日目
2006年8月15日(火曜日)
旅も後半に入るこの頃になると、旅の何日目なのか、今日が何曜日なのか判らなくなって来る。
ツァガンスム滞在が本格的に始まり、乗馬も始まった。
この日から3日間は、概ね、10時過ぎから13時くらいまで乗馬、お昼ごはんを食べて、暑い時間帯は休憩し、16時くらいから再び乗馬、というスケジュールだった。
前日に、8時30分くらいに朝食と案内されていた。
ずーっと温泉に入り、星を眺めていたせいで寝るのがだいぶ遅かったけれど、6時前には目が覚めた。寒い。
同じゲルになった方がモンゴルに何度も来たことがある薪に火を付ける達人で、ツーリストキャンプの人が来る前にストーブをつけてくださったおかげで人心地がついた。
ゲルが暖まった7時頃に起き出して外に出てみたら、霜が降りていた。驚く。温度計を持って来た方がいて、4度だと教えてくださった。
ヤクの大集団がツーリストキャンプの柵の中にまで入ってきていて、もっと驚いた。
帰国後に知ったところによると、ヤクはとても珍しく、そんなに獰猛な動物ではないらしい。このときはそんなことは知らなかったので、遠巻きに「こっちに突進してきたらどうしよう」などという心配が先に立っていた。
朝食は、パンとライス、ポタージュっぽい感じのスープだった。
その他にテーブルに出ていたお茶漬けの素やキムチは添乗員さんが持ってきてくれたものらしい。彼のスーツケースの半分はこうした食材で占められていたそうだ。
朝食のとき、添乗員さんとガイドさんから「乗馬経験者で、自分で自由に走らせたい人は自己責任で乗る旨のサインをしてもらいたいという要請がキャンプ長さんから来ている。」という話があった。2年連続でこのツーリストキャンプに来たという方が「去年はそんなことは言われなかったと思う。」とおっしゃっていたので、色々と難しいことがあるんだろうなと思った。
集合時間前にガイドさんが各ゲルを回って、チャップス(すね当て、とでもいうのか・・・)をつけてくれた。私のいたゲルで初心者は私だけ、ガイドさんのお世話になったのも私だけだ。
靴の上からつけて、ふくらはぎの辺りはかなりきつく締められた。
10時には準備万端整ってツーリストキャンプの真ん中辺りにある四阿のようなスペースに全員が集まった。しかし、馬が集まっていないようで始まる様子がない。そういえば、添乗員さんの案内も「10時から10時30分くらいの間に乗馬をスタートします。」とアバウトだった。
ヘルメットとチャップスはほぼお揃い(ご自分の乗馬靴をお持ちの方もいた)、帽子を被ったりサングラスをしたり首にスカーフを巻いたり日焼け対策も万全だ。その完璧な日焼け対策が見た目に怪しかったので、ちょうどそこにいたキャンプ長さんに頼んでツアー全員の集合写真を撮ってもらう。
やけに気軽に構えてやけに気軽にシャッターを押すので「大丈夫なのか???」と不安になったけれど、綺麗に撮れていて一安心だ。添乗員さんとガイドさんがいなかったのが残念だ。
10時30分くらいに乗馬が始まった。「乗馬は初めて」という人が半分くらいいる。
これは勢いしかないと、真っ先に手を挙げて馬に乗せてもらう。カナダで1時間くらいの乗馬体験をしたときは、まず馬に乗るのが大変で、股関節が痙りそうになったけれど、モンゴルの馬は背が低いのかずっと楽に乗ることができた。
乗ったはいいものの、さて、そこでどうしたらいいのやらさっぱり判らない。鐙に足を入れ、とりあえず姿勢良くと言い聞かせて座っていたら、ベテランの方に「静止画としては完璧だね。」と笑われた。直径10mくらいの円を描くようにゆっくり引っ張ってもらう。
静止画だけでも「コイツは危ない」ということが判るようで、みんなが代わる代わる同じように乗って歩いている間、ベテランの男性お二人がレクチャーをしてくださった。
曰く、姿勢は良く、背筋は伸ばす。かかとが下がるように鐙に足を入れる。手綱は輪になった2本をまとめて左手で持ち、輪の中に手を通してはいけない。鐙は土踏まずではなくもっと前の方で踏む。体とかかとが地面と垂直の線上にあるようにする。視線は下ではなく前方を見る。
初心者全員の試乗が終わり、荷物は遊牧民の少年コーチ陣に持ってもらい、もう一人「乗馬は初めて」という女の子と2人で手招きされて馬に乗せられ、引き綱を引かれ、あっという間に出発になった。
まだ何も教わっていないような気がするけれど、いいのか。
いいも悪いもなく、とにかく出発である。
のんびり歩いている分には何の問題もない。ゆったりとした気分になれる。蠅のような小さな虫が顔の周りをブンブン飛んで邪魔なのが唯一の問題点だ。
でも、少し速足になると(もちろん、馬は引き綱を引いているコーチの指示に従っていて、私は乗っているだけである)、体は弾み、弾むとお尻を鞍に打ち付けるような感じになり、とにかく痛い。
周りの人を見てみると、体はみな弾んでいるけれど、痛そうにしている人は見当たらない。一体、何が違うのか。
馬に乗っている間は手ぶらだから写真も撮っていない。何回目の乗馬でどの辺りに行ったのか、そのとき周りはどんな風景だったのか、かなり記憶が曖昧だ。
この日は快晴で、午前中の乗馬ではのんびりてくてくと歩き、緑の広がる平らなところで休憩して引き返したと思う。
帰りはずっと速歩で引っ張られ、「お尻が痛いからゆっくりにしてー」と心の中で叫びながら馬の背で揺られ、弾み、一番乗りでツーリストキャンプに戻って来た。
なかなか後続が帰って来ず、一緒に引っ張られていた初乗馬の女の子と二人で感想など言い合ってのんびりしていると、ガイドさんが素晴らしいスピードで馬を飛ばして帰ってきた。
声をかけると、「怪我をした人がいる。」とだけ言い、ここまで乗ってきたバスで再び走り去ってしまった。怪我をした方をバスで迎えに行ったようだ。
お一人が口の中を切る怪我をされていた。
ツアーメンバーに看護師さんがお二人いらっしゃるのが心強い。添乗員さんが救急セットを持ってきて、まずは消毒をしているようだ。イソジンという薬が、うがい薬にもなるし、口の中も含めて消毒も可能な万能薬であることを初めて知った。
なかなか血が止まらず、傷口に馬の毛が触ってしまったためか熱を持っているという。午後は、鎮痛剤と化膿止めを飲んで、ずっと眠っていらした。
旅行社から送られてきた旅程表に各ツーリストキャンプの電話番号が書いてないことには気付いていたものの、このときに初めて、ツァガンスムのツーリストキャンプには電話が通じていないことを意識した。
近くにいるお医者さんに来てもらったものの、医療器具やお薬などが揃っておらず、ウランバートルに戻って治療することを勧められたようだ。
ウランバートルに電話をかけるため、添乗員さんが、カラコルムの街までバスで出かけて行った。
16時頃から、午後の乗馬が始まった。
四阿で出発を待っていると、ドライバーさんがやってきた。一生懸命話しかけてくれるけれど、モンゴル語が判らない私には何を言われているのか判らない。指さし会話帳を開こうとすると「ない。」とそこだけは日本語で言われてしまう。
ガイドさんに、「気をつけて。」と言っているのだと教えてもらう。昨日覚えたばかりのモンゴル語で「ツゲール・ツゲール」と答える。でも、ちょっと不安にもなっていたので、「ゆっくり」は「オダーン」と言えばいいと教えてもらった。
午前中に乗せてもらった馬では私の体重を支えきれなかったらしく(泣)、別の馬に乗せてもらうことになった。もっとも、鞍の色が違うなというくらいで、色が同じ馬だと見分けはつかない。馬が変わったためか、コーチも交代だ。午前中にお世話になったコーチはこの後見かけなかったような気がする。
ガイドさんと乗馬コーチ陣(特にリーダー格の大学生の男の子)が慎重になったようで、丘の方にゆっくりと向かい、少し上った林のようなところで休憩になった。
「指さし会話帳」を使って新コーチに名前や年齢を尋ねてみても、聞き慣れない音なのでなかなか返事を聞き取ることができない。年齢も「私より若いんだ!」と驚いたのは覚えているけれど、あんなに何回も繰り返してもらったのに覚えていなくて申し訳ない。
「足を突っ張りすぎている」とベテランの方に指摘を受け、足の位置はあそこじゃないと鐙に届かないと首を傾げていたら、一緒に引っ張ってもらっていた方が「鐙の位置が低すぎるんじゃない?」と教えてくださった。なるほど、そういえば乗る前に鐙の位置を調整をした覚えがない。
ガイドさんに頼んでコーチに調整して貰った。確かに乗りやすくなったようだ。
18時30分くらいにツーリストキャンプに戻り、故障していた温泉が修理されるのを1時間くらい待ち、温泉で汗を流した。といっても、空気が乾燥しているせいかほとんど汗はかかない。
20時30分くらいから始まった夕食のメインディッシュはボーズだ。肉まんのような小龍包のようなモンゴル料理である。美味しい。「地球の歩き方」で見て、ぜひ食べてみたかったので嬉しかった。スイカも甘い。
男性陣は昨日も飲んでいたらしい。この日は10人くらいで宴会になった。
怪我をされた方は、明朝5時にツァガンスムを出発してその日のうちにウランバートルの病院で応急処置を受け、できるだけ早い飛行機で帰国することになったそうだ。ウランバートルに付きそう添乗員さんの壮行会も兼ねて、という名目である。
チンギス・ハンという名前のウォッカをコーラで割ってご馳走になった。ウォッカもコーラも、ここのレストランゲルで買ったものらしい。
女性陣は12時くらいに引き上げたけれど、宴会はさらに続いたようだった。
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