録画した素敵な宇宙船地球号「世界遺産の光と影 Vol.7 ~熊野古道のジレンマ~」を見る
2007年5月27日にテレビ朝日系列で放映された「素敵な地球線宇宙号」という番組の「世界遺産の光と影 Vol.7」を録画しておいて、今日になって見た。
「林業用としても使われている熊野古道が世界遺産に登録されたことにより、利用制限がかかり、間伐、伐採、植林といった人の手入れのサイクルが止まってしまいかねず、「文化的景観」が保たれなくなるかも知れない」という番組だと思っていたので、番組の始めの頃の総論というか概括のような部分が少し長く感じた。
でも、去年、熊野古道を歩いたときに行かなかった、伊勢神宮から熊野に向かう伊勢路の風景や、那智大社に向かう大門坂をゆっくり映像で見られたのが嬉しい。
平安時代の熊野詣での人々は今の姿の熊野を見ていたわけではないこと、今の「美林」の姿は江戸時代以降林業が盛んになり人の手によって創られてきたこと、古道も「林業の道」として守られてきたこと、世界遺産登録に当たって古道周辺の山を所有する林業家の方々の同意は得ていないこと、同意を得ていないのに古道の左右50mは緩衝地帯として木を切るにも許可が必要になったこと、人手がなくさらに世界遺産登録で手をかけられなくなって山崩れが何度も起きていること、山を育てるには間伐がどうしても必要なこと、「間伐」を行うツアーを開催し始めていることなど、とても興味深い内容だった。
林業家の方は「観光客のための世界遺産登録ならいらない」とおっしゃり、世界遺産登録で活性化を図ろうとした観光業の方は「お金を落としていってくれない」と嘆く。「歩くのにお土産を買うと荷物になる」という気持ちは、観光客として歩いた私にもよく判る。
正解は多分なくて、でも、きっと解答は少しずつたくさんあるに違いない、という気がした。
ところで、間伐ツアーに参加しているのは、少なくとも画面に映った方はみな女性だったのがさもありなんという感じだった。
ちなみに、番組中で誰も答えられなかった「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録理由だけれど、「世界遺産検定2007 公式出題解説&問題集」によると、以下のとおりである。
主な遺産価値
・神仏習合をあらわす文化的景観
・日本の宗教文化の見本
・日本の他の神社建築へ影響を与えた建造物群
適用された世界遺産登録基準
2 時代を超え、建築・技術・都市計画及び景観の発展に大きな影響を与えたもの。
3 現存する、あるいは消滅した文化的伝統・文明に関する独特な証拠を示すもの。
4 重要な様式の建築物、人類の歴史上、重要な発展段階を示す景観の見本。
6 普遍的な重要性を持つ出来事、現存の伝統・思想・信仰や芸術的、文化的所産に関係するもの。
2007年5月27日(日曜日)23時30分から
テレビ朝日系列 素敵な地球線宇宙号
「素敵な地球線宇宙号」の公式Webサイトはこちら。
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コメント
kindo3さま、コメントありがとうございます。
熊野古道を歩かれたのですね。
私が実際に歩いたのは中辺路だけですので、実際に「反対運動」を目にしてはいないのです。予備知識なく、歩いていて「反対運動」を目にしたら、きっと驚いたり、もしかしたら「異様」という風に感じたのかも知れないと思います。
熊野の現在の美林は人の手が入ってこそ築かれたものだと思いますし、開発するというのは別にして、「人の手」を入れることを一律に禁止するのはどうなのだろう、とは思いますよね。
拙い書き方しかできませんが、お役に立てて嬉しいです。
よろしければまた遊びに来てくださいませ。
投稿: 姫林檎 | 2007.06.18 22:38
先日、熊野古道を歩いてきました。
確かに、木や石に反対運動が掲示されており、なぜか?と思って帰ってきました。このページを読んで理由がわかりました。
ありがとうございました。
林業では一山ごとに出荷するのでスギを出荷しようとしたら、はげ山になってしまう。もし、古道を挟む両側50Mの伐採禁止などの制限をかけるならば、行政はスギ1本いくらと、生活保障しないといけない。
しかも、間伐が行われてなくて、暗くて山が死んでいる所もあったのである程度の伐採を認めないといけないよ。
投稿: kindo3 | 2007.06.18 17:04