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2008.05.05

伊勢志摩旅行記1日目

2008年2月24日(日曜日)


 前日は雨風の激しい大荒れの天気だった。
 母の「伊勢湾フェリーから富士山が見たい」というリクエストに応えて、行きはフェリー、帰りは近鉄と考えていた。東京ー名古屋と東京ー豊橋の新幹線の切符も買ってある。往復のどちらかは何としてもフェリーに乗らねばならない。
 朝現在、東海地方には波浪注意報が出されている。
 東京駅に到着するまで迷い、頭上に広がる青空を信じ、新幹線を豊橋で降りてフェリーで行くことにした。


富士山 東京発7時56分のこだまで出発した。
 考えてみればこだまに乗ったことなんて今までなかったかも知れない。
 新幹線に「新富士」という駅があることも、その駅の前後で裾野の長い富士山がこんなに大きく見えることも、今回初めて気がついた。


 10時12分に豊橋駅に到着し、10時33分発の豊鉄バスに乗るまでの間に、駅ビルでお昼ごはん用のお弁当でも買おうかと思っていた。
 しかし、このバスと伊勢湾フェリーの通し券が2000円とお得だったのでその発売場所を探しているうちに時間が過ぎ、結局買い物をしている余裕もなくバスに乗り込んだ。
 このバスが狭い。混雑していてどうしようかと思っていたら、半数以上の人がホテル日航の前で降りた。
 バスに残った乗客は、伊良湖岬で開催されている菜の花祭りを見に行く方々のようである。


 途中で海が見えてきた。どう見ても白波が立っている。
 かなり戦々恐々としているうちに、2時間近くかかってバスは伊良湖岬に到着した。そこは道の駅兼伊勢湾フェリーの乗り場になっている。
 道の駅なので、レストランや軽食を食べるスペースはあるけれど、お弁当のようなものは販売されていない。大きな袋にいっぱいの夏みかんが200円とか、この辺りはメロンの産地のようでメロンを使ったお菓子や、ここまでの道中でたくさん看板を見かけた「あさりせんべい」などのお土産がメインのようである。
 12時50分発のフェリーに乗りたかったのでその場で食べる余裕もなく、メロンパンなどを購入してフェリー乗り場に急いだ。


伊勢湾フェリー ほとんど掘っ立て小屋に近いような待合室に先客が10人くらい、そのうち半分くらいの方はいかにもライダーな格好をしている。
 車の人もあまりいなかったらしく、最終的には30〜40人が乗り込んだようだ。余裕で窓際のソファ席をキープできた。
 船内で自動販売機を探して甲板で見つけたときに、床がずぶ濡れになっていたのを見て気づくべきだった。船は相当に揺れるらしい。
 船内アナウンスでも「港を出ると非常に揺れますので、お手洗い等は今のうちに行っておいてください。」と言っている。慌ててメロンパンと缶コーヒーをお腹に入れた。空きっ腹で船に揺られたらかなわない。


 船内アナウンスは伊達ではなかった。
 揺れる。
 母がどうも船に強いらしい一方で、私は元々苦手意識が強い。
 左右に揺られ、窓にざっぶーんと派手に水しぶきがかかり、窓を洗っているのを見ているだけでくらくらしてくる。写真を撮りたくとも、ファインダーを覗いた途端に船酔いが激しくなりそうで、とてもそんなことをする余裕と勇気はない。
 はっきり言って、富士山どころではなかった。
 私はいよいよ揺れが激しくなって来た頃に眠ってしまったようで、気がついたときには、船は鳥羽側の波穏やかな内海を進んでいた。


漁師鍋 13時45分、フェリーは鳥羽水族館の裏手に到着した。
 我々は、鳥羽水族館には目もくれず、何はともあれお昼ごはんである。
 ガイドブックに載っていた「にしぐち本店」に行き、漁師鍋と伊勢うどんを頼み、母と半分ずつ食べた。メロンパンを食べたし、時間も遅いし、この辺りの量が妥当なところだ。


 水族館前の中之郷駅から乗れば電車料金が安いけれど、電車がとことん来なかったときに時間つぶしができるようにと鳥羽駅まで歩き、しかし待つほどもなく15時1分発の普通電車に乗ることができた。
 今回の旅のテーマは「伊勢神宮」である。
 であれば、鳥羽水族館に入らなくとも、ミキモト真珠島に行かなくとも、志摩スペイン村などかすりもしなくとも、伊雑宮に行かないわけにはいかない。


 15時30分、上之郷駅に到着した。無人駅である。
 伊雑宮はここから歩いて5分くらいのところにあり、次の電車までの1時間が見学時間である。
 見た感じは観光客っぽいのに何故かスーパーのビニル袋だけ持って歩いているご夫婦の後ろにくっついて行ったところ、伊雑宮に到着することができた。
 その辺りは住宅街で、しかし伊雑宮は、意外なくらいに奥が深く、広い。
 海が近いこともあり、ここは海女や漁師の信仰を集めているという。


伊雑宮の森 伊雑宮は内宮の別宮であり、瀧原宮とともに「遙宮」といわれている。
 離れてはいるものの格式の高いお宮で、意外なことにぽつぽつとでも途切れることなく参拝の方がいらっしゃる。
 日が傾いてきたためか、意外なくらい深い森のおかげか、空気がしんとしているように感じられる。


 前から記念の品が欲しいと思っていたので、社務所に声をかけ、御朱印をいただいた。
 御朱印帳を持っておらず、ここでは売っていないということだったので、和紙に押していただく。
 後で御朱印帳に貼っておけばよいそうだ。


 割と若い方だったのでちょっと心安い気持ちになり、いただきたいと言っておいて何ですがと「御朱印というのはどういう意味があるんでしょうか。」と伺ってみた。
 御朱印船について高校日本史か中学社会で習ったとおり、御朱印というのはつまるところ割り符だそうだ。お寺で出していたところ、神社でも同じように「欲しい。」と言われることが多くなったのでお寺のマネをして出すようになったのですとおっしゃる。
 「お寺の場合は、亡くなったときにはお棺に一緒に入れて焼き、その集めた御朱印が功徳となって位が上がる仕組みがありますが、神社の場合は出しているだけです。」ともおっしゃる。
 率直すぎるお答えに驚いた。


 他の神社さんでは、例えば神社の名前を筆で書いたりするけれど、伊勢神宮では御朱印を押し、日付を入れるのみである。「つまらないと思わないでくださいね。」とおっしゃる。初めていただいた身としてはそんな感想は浮かばない。
 墨をすり、筆で書いてくださった日付の文字の美しさに惚れ惚れする。私には絶対にできない仕事である。
 失礼ついでに「おいくらを・・・?」と尋ねたら、「300円です。」ときっぱり答えていただけたのも、初心者としては有り難い。


伊雑宮の田 伊雑宮は、伊勢神宮で唯一、水田を持っているお宮である。
 毎年6月にはお田植式が行われる。
 この水田が見たくて、最初、伊雑宮の鳥居に向かって右に進んでみたところ、どうも水田がある気配がない。途中「天の岩戸 おうむ岩」などといういかにも手作りの看板を見かけ、これはこれで気になったけれど電車の時間も迫っている。
 鳥居に向かって左側に行ってみたら、すぐ隣に水田があった。儀式が行われるためかきれいに整備されている。
 そこに広がる水田を眺めてから、駅に戻った。


 今日の宿は、母のリクエストで志摩観光ホテルである。
 賢島駅に到着したのは17時前で、駅周辺を少しぶらつこうにも日も落ち始めて風も冷たくなっていたので、ちょうど送迎のバスが停まっていたこともあり、そのままホテルに向かった。
 チェックインし、お昼ごはんも遅かったので夕食は19時30分からでお願いする。


 母と二人なので、お部屋は和室にしてもらっていた。
 ちょうど海を望み、夕陽を眺められる西向きである。嬉しい。
 志摩観光ホテルには大浴場がない代わりに、近隣にある系列ホテルの大浴場に送迎付き有料で行くこともできる。しかし、この寒さの中でそんなことをしたら風邪をひきそうである。
 お茶とお菓子でまったりくつろぎ、母が「寒い。」と言うのをものともせず窓を開けて夕陽の写真を撮りまくった。


伊勢海老クリームスープ さて、19時30分から夕食である。
 今日、志摩観光ホテルに宿泊したのは、このホテルのレストラン「ラ・メール」で鮑のステーキを食べるためと言っても過言ではない。


 メニューは以下のとおりである。


 鮑のテリーヌ 車海老添え ハーブ風味のドレッシング
 伊勢海老クリームスープ
 鮑ステーキ 2種類の香草バターソース
 シャーベット
 牛フィレ肉ステーキ シャトウブリヤンソース
  または
 タイまたはスズキのポワレ フルーツソース
 デザート
 コーヒー


鮑ステーキ牛フィレ肉ステーキ


 二人ともグラスで白ワインを頼み、メインに私は牛フィレ肉ステーキを、母はスズキのポワレを頼んだ。
 流石! の美味しさである。
 伊勢海老クリームスープはこれでもかというくらい海の味が濃厚である。
 鮑ステーキなど、つい嬉しくなって写真を撮る前に食べ始めてしまったくらいだ。小ぶりで、ぷりぷりしていて美味しい。初島で食べた鮑よりも断然こちらの方が柔らかくて美味しい。
 メインは、お行儀悪く母と少しずつ交換して味わった結果、牛フィレ肉ステーキの方がいける、ということで意見が一致した。


 1時間以上かけて夕食をいただき、大満足である。


 その後、交替で部屋のお風呂に入り、意外と母娘ってしゃべることがないのねと思いつつ、ほとんど家にいるのと変わらない感じでテレビを見たりして、23時頃就寝した。


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