ベネズエラ旅行記3日目その2
2009年8月17日(月曜日)
12時過ぎにユリアニの滝を出発し、ジープは次の目的地であるパチェコの滝へ向かった。
早朝のヘリ1便で行った私たちは曲がりなりにもテプイに着陸できた一方で、2便で行った方々は雲に覆われてしまっていたということもあってか、2台のジープの割り振りは朝のままだ。
もう1台のジープに乗ったツアーメンバーは語学に堪能だという理由もあるんだろうなと思いつつ、添乗員さんがこちらのジープに乗った気持ちも判る。
駐車場からパチェコの滝へ向かう途中、ガイドのベネットさんに手を出してと言われた。
言われるまま手を出すと、草で編んだ指輪をはめてくれる。
ツアーの方々の話を総合すると、2段重ねになっている(写真を撮らせてもらっておけばよかった!)ものと、私がもらった1段のものとがあって、2段重ねになっているものは結婚している人用(もう一つの指輪は旦那様用)だそうだ。
そして、ツアーメンバーの方は口々に「結婚してる? って聞かれたわよ。」と言う。
「私、聞かれてなーい! 悔しい−!」と大げさに騒いだら、後ろの方で、ベネットさんが添乗員さんに「彼女は独身じゃないの?」と聞いている声が聞こえてきた。だから、その確信の理由をぜひ述べていただきたいと思う。
添乗員さんが「彼女は独身だけど、僕が想像するに・・・。」と言いかけたところで「勝手に推測するんじゃなーい!」と止める。今にして思えば、一体何を推測したのか聞いてから断固抗議すべきだった気がする。
そんな阿呆な会話をしつつ2〜3分も歩けば、パチェコの滝に到着である。
ただ、滝壺近くに行くためには、川岸のごろごろとした岩が重なったところを乗り越える必要がある。
その手の場所だけは得意だったし、先頭を歩いていたので、とっととよじ登って特等席から滝を眺める。
しばらく後続が現れず、来ちゃいけなかったのかしらと思っていたら、しばらくしてみなさんが続々と現れ、「添乗員さんが助けてくれたのよ。」と言う。
後続の方を助けようという発想もなくとっとと来てしまった己れを反省した。
パチェコの滝は意外と高さがある。
写真の左下に写っている私と比べると、その大きさが判ると思う。
この赤い岩はハスペの谷の岩と同じ感じで、意外とつるつる滑って、ツアーメンバーのお一人は転んでしまっていた。
ここで水遊びを楽しんでいる人もいる。もし私たちが「パチェコの滝でも水遊びがしたい。」と言っていたら、ここではなくて、駐車場を挟んで反対側にあった小さいパチェコの滝の滝壺に行くことになっていたそうだ。
ジープのドライバーのレイノルドさんに、「あっちがパチェコの滝だよね?」と大きい方を指さして聞いたら、そうだという答えだった。
次に、「じゃあ、あっちは?」と滝壺で水遊びをしている人が見える小さめの滝を指さして聞くと、やっぱり「パチェコの滝だ。」という答えだ。
「両方、パチェコの滝なの〜?」と聞くと、笑いつつ「そうだ。」と答えていたから、両方ともパチェコの滝らしい。
もしかして、ユリアニ・テプイから流れてくる川の滝が「ユリアニの滝」だったから、パチェコ方面から流れる川にある滝は全て「パチェコの滝」なのかも知れないと思う。
13時過ぎにパチェコの滝を出発し、見渡す限り蟻塚の続く草原の中をイボリボ村へ向かった。
途中、ガソリンスタンドに立ち寄って給油する。
こういうときに大人しく座って待っていられない私は、ドアを開けてもらったのを幸い車を出て、給油風景の写真を撮ったり、滅多に車の通らない道まで出て写真を撮ったりした。
添乗員さんも車を降りていた。私のように無目的にぷらぷら歩いていたわけではなく、お昼ごはんを食べるレストランまでまだ遠いので、何かお腹に入れられるものを探しに行ってくれていたらしい。
房になったミニバナナを買ってきてくれる。
日本のバナナとは違う香りがして美味しかった。
バナナを食べてお腹も落ち着き、車も給油して心なしかスピードが上がったようである。
給油して15分後くらいに舗装道路を外れ、車は土の道に乗り込んだ。
この辺りの土は非常に浅くて、2mも掘ればすぐに岩盤に突き当たってしまう。レストランに到着する前だったか、その後だったか忘れたけれど、車窓から焼き畑を行っている様子が見られて、焼き畑でもしなければ土に栄養分は足りないわねと思う。
逆に焼き畑を繰り返したら土壌が肥えることはないような気もしたし、これだけ雨が降れば焼き畑をしても大火事になることはなかろうと思ったりした。
14時45分、道ばたに「このレストランは一体誰をターゲットにしてここに作ったのだろう」としばらくみんなして考え込んでしまったくらい、本当にぽつんと建っているレストランで昼食となった。
ビュッフェ形式で、お料理を指差すと、お店の人がそのお料理をよそってくれる。
「少し」って何て言うんだっけと思い、「ポコ?」「ピコ?」と適当に言っていたら、笑われてしまった。言葉ではなくジェスチャーで伝わったらしい。「ポコ ア ポコ」はゆっくりで、私が言いたかった「少し」は「プチ」だった。笑われる筈である。
この後はずっと揺れる道が続くと言われていたので、お酒は止めてマンゴージュース(2ドル)を頼み、かなり控えめに「これ1個。」とか「これちょっと。」とよそってもらう。それでも、気がついたらこんなにしっかりお皿にもらっていた。
そして、この鶏の唐揚げが抜群に美味しい。
「ケンタッキーフライドチキンより美味しい」という貧しい表現しかできないのが悲しいくらい美味しい。
ベネズエラで食べたものの中で一番美味しかったんじゃないかと思うくらい美味しかった。
車酔いの心配など振り捨ててビールにすれば良かった! と思ったくらいだ。
別棟にあったドアのないお手洗いを借りて戻ると、ツアーメンバーの方が何やら盛り上がっている。
覗き込むと、「蟻」だった。
全長2cmはある(写真の指は、私の人差し指である)。
今の時期だけ外に出てくる女王蟻を、このレストランの一家が総出で集めたという。女王蟻ということは、一つの蟻塚に1匹しかいない筈で、一体どれほどの数の蟻塚を探し歩いたのか、考えると気が遠くなる。
バケツに入っている方は、この蟻を唐揚げにした物で「カイワック」という。
私はとうとう最後まで食べてみる勇気はなかったけれど、「どうして食べないの?」と普通に食べていたツアーメンバーの方によると、カラカラに炒った桜エビのような感じで、最後に舌に当たるワタのようなところが若干苦い、というお話だった。
瓶に入っている方は、女王蟻を水に漬けてエキスを抽出したもので、「カイワック パル」という。
蟻のから煎りをお食べになった方が「飲む!」と宣言し、おちょこのような器に1cmくらい入れてくれたその液(と言いたくなる)を一気飲みしていた。こんなに思い切りよく飲む人はあまりいないようで、レストランの方も流石に苦笑いである。
こちらは「本当に水なの? お酒に漬けたんじゃないの? ブランデーみたいで美味しい。」というお味だそうだ。
このレストランを出発したのが15時30分頃で、1時間弱でチナクの滝へ行くボート乗り場に到着した。
ここの特記事項はお手洗いである。
扉はあって、紙はなくて、流すための水は係の人がバケツに汲んで扉の外に置いておいてくれる。
そして「トイレチップ1ドル」という指定は、このツアーでも初めてだ。
こらこら、いい商売してるじゃん、という気持ちになる。
雨が降るかも知れないと言われてレインウエアを着込み、救命胴衣を着けてボートに乗り込んだ。
チナクの滝は、エンジンが付いているだけの木製のボートで20分くらい川を下り、そこからさらに5〜10分くらい歩いたところにある。
ボートを降りて平らな道を少し歩く。
向こうの方に虹が出ているのが見える。(この写真は相当にコントラストを上げているので、実際はまだこんなに暗くはなっていない)。
添乗員さんとベネットさんが時間が押しているという話をしていたけれど、つい道ばたに咲くお花に目を奪われて写真を撮る。暗くなりかけていたせいかピンぼけの写真ばかりになってしまった中で、この3枚は「珍しくお花にピントが合っていた」写真である。
かなり強引にパノラマ写真にしたので妙な繋ぎ方になってしまったけれど、でも、チナクの滝の迫力がこれで感じられると思う。
結構な高さと迫力の滝だ。
崖のこちら側から眺めていて、当然のことながらそこには柵というようなものはない。ますます大迫力である。
チナクの滝の最大の見どころは、帰り道にあった。
「時間が押している」という言葉通り、ボートは飛ばしに飛ばした。
川の水面が鏡のように静かで、ピンクが広がりつつある夕空を綺麗に映し出している。
17時45分過ぎにボートは出発地点に戻り、ジープに乗り換えて出発した。
もう真っ暗闇で、周りがどうなっているのか全く判らない。
後ろの席で女4人が姦しくしゃべっているのに、助手席の添乗員さんは爆睡している。
爆睡していた添乗員さんが、悪路に入るタイミングで見事に覚醒し、「ここから川底を走る相当の悪路ですから気をつけてください。」とコメントしたので驚いた。何か特別のセンサーでも仕込んであるのかも知れないと真剣に疑ったくらいのタイミングだ。
ジープは揺れた。
真っ暗で時計も見なかったけれど、多分、このもの凄い悪路は1時間強続いたと思う。
ジープの後ろの座席は前向きではなく横向きに付いているし、手すりやつり革等の「つかまって体を支える」ものが何一つとしてない。とにかく車の動きに翻弄され、ずるずるあっちへ滑りこっちへ滑りという感じだ。
さらに、4人全員が持ち込んでいたクッションなどでは吸収できないくらいの激しい上下動がある。
暗くて周りが見えず、ジープの次の動きが予測できないので、翻弄されまくる。でも、楽しい。
そんな中で蛍が飛んでいるのを発見して嬉しかった。よく見ようと窓に頭を寄せたところでジープが跳ね、ゴツンといい音を立てて勢いよくぶつけてしまう。間抜けだ。
もの凄い悪路を可能な限り丁寧に運転してくれたレイノルドさんの奮闘で、20時にカバナヤンのロッジに到着した。
まずお部屋に入る。今夜も隣同士になったお姉さんと「やっぱりね!」「だと思った。」と言い合う。
ギニア高地に入って2泊目、一番年配の方が一番レストランやフロントに近いお部屋、私たちは概ね一番奥のお部屋と、すでに添乗員さんの部屋割り方針は判りやすく明らかだ。
「ポーターはいません」という案内がありつつ結局自分たちで荷物を運んだことはなかったし、実際に部屋を使う私たちの運動量的にも、荷物を運んでくれたガイドさんや添乗員さんの仕事量的にも、非常に論理的な帰結だ。でも、少しだけ僻んでみたい気もする。
お部屋に入ると、窓を閉めることができないことへの対策という感じで、ベッドには蚊帳が吊ってあった。なかなか可愛い。
もう一つのベッドの足下にテーブルがあって、ベッドのヘッドボードのような一にある石の壁の裏側にシャワーブースとお手洗いがある。
22時には電気が消されるため、枕元のテーブルには直径2cmくらいのろうそくがゴロンと転がしてある。
レストランと各お部屋の明かりのみで、お部屋からレストランまでの道筋は暗いので、懐中電灯を取り出して夕食に向かった。
レストランには壁がなく、ツアーの方が蚊取り線香を持参してくださっていた。有り難い。
夕食のメニューはカボチャのスープ(何故か緑色だった。胡椒が効いていて、かなりスパイシーで美味しい)、牛焼き肉とミートソーススパゲティとバナナフライ、この他に紫キャベツを使ったコールスローのようなサラダが付き、デザートはパイナップルだった。
このパイナップルが美味しい。
ビール(2ドル)は、色のとおり味もかなり薄めで、そのさっぱり感がなかなか美味しかった。
夕食のときに、後で絵はがきと切手を配ります(旅行社のサービスである)、今日の消灯は22時の予定です、もうかなり冷え込んでいるしシャワーは水シャワーなので風邪予防にできればシャワーは止めておいた方がいいです、という案内があった。
また、明日の概ねの予定について、5時30分起床、6時朝食、1時間の悪路と1時間の未舗装道路を走って空港に行き、チャーター機でカバックに行き、そこからさらにカナイマに行った後でユリの滝に行くこと、明後日は4時30分には起床してエンジェルフォール展望台に行くので、その体力温存のためにも明日の夕食は19時には食べたいと思っていること、などなどが伝えられた。
添乗員さんに絵はがきと切手をもらった後、しばらくごそごそと荷物整理をしたりメモをしたりしていたら、22時45分になっても消灯しない。
真っ暗闇の中に浮かび上がるテプイを撮れないものかと、用心に懐中電灯をポケットに突っ込んで外に出てチャレンジする。流石に三脚がないと難しい。
そうこうしているうちに、一斉に各お部屋の明かりが消えた。23時だ。
真っ暗になると、ロッジのお部屋の近くでも蛍が飛んでいるのが見えた。
時々、光っている。
そして、見上げると天の川も綺麗に見えている。
でも、こっそり書くと、天の川の綺麗さではモンゴルに軍配が上がるわ、と思った。
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