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2009.11.15

ベネズエラ旅行記4日目その2

2009年8月18日(火曜日)


出発! 旅程表に「ジャングルウォーク」と書いてあったので、木のうっそうと茂った道を歩くのだと思い帽子は被らなかった。
 それなのに、この正午直後(12時30分過ぎくらい)の、真上からの日差しの強さと来たらどうだろう。
 しかも「ジャングル」なんて大嘘で、木の1本もない炎天下を歩く。その分、地面が乾いているのは有り難い。
 添乗員さんに「ジャングルウォークじゃないじゃん!」と文句を言うと、「もう少しでジャングルです!」と返された。確かに、前方に木立が見えている。


 ジャングルウォークをして、滝を見て、泳ぎましょうというプランなので、帰りは濡れた水着の上に服を着ることになる。
 朝着ていた服から、タオル地のグレーのパーカと速乾素材のオリーブグリーンのカプリパンツに着替える。
 みんなに「足を出すのは無謀だ!」と言われる。どうせ足下は裸足にサンダルだし長ズボンを履いてもあまり変わらないと思う。


 途中から「ジャングルウォーク」らしくなり、石で作られた階段を上り下りするなどちょっとしたアドベンチャー気分を味わい、ロッジを出発して15分くらいでタバナベレパの滝に到着した。
 「今までで一番日本的な滝かも」ということで衆議が一決する。水量があまり多くないせいか、岩肌に沿って白く滝が落ちているせいか、何だかとても繊細な滝に見えた。


川で記念写真 この滝壺で泳ぐのかと思ったら、そうではなかった。
 滝を見た後で少し引き返した「川」が本日の遊泳ポイントだ。
 小さいからほぼ識別は不可能だろうとツアーの方を撮った写真を載せたのは、何故だかここではいわゆる「風景写真」を撮っていなかったからだ。
 泳いで遊ぶのに夢中だったからだと思う。


 水が茶色っぽく見えるのはタンニンのせいで、実際は透き通った相当に綺麗な水だ。
 川の流れはほとんど判らないくらいに緩やかな割に、実際に泳いでみるとやはり川を遡るときの方がパワーがいるのが判る。最初に遡ったので、帰りがとんでもなく楽に思えた。逆でなくてよかった。


 5人が立っているのは(立ち泳ぎではなく立っている)そこだけ大きな岩が川底にあって背が立つ深さになっているからで、全体的には足の立つ深さではない。
 水の色を見て「この辺は浅いかな」と思って立とうと泳ぎを止めるとずぼっと顔まで水に浸かってエライ目に遭った。「この辺は立てますよ〜。」と騒いで、どんどん遡る。


川で泳ぐ 添乗員さんは、泳がない方がいることも多いのであまり泳ぐことはなく、だから水着も用意していなかったらしい。
 今回は8名のツアーメンバー全員が川に入ったこともあって、荷物番は付いてきてくれたロッジのスタッフ(若く見えて、このロッジの支配人だったらしい)に任せて自らも泳いでいた。


 「カメラ持ってくれば良かった!」と騒いだら、添乗員さんが取りに行き、川岸の岩を伝って歩いて持って来てくれた。
 「水に浸けちゃっても大丈夫なカメラですよ〜。」とみんな言ったけれど、「これだけの数のカメラを持ってると泳ぎにくいんですよ。」と返って来た。それは確かにその通りだろう。


 多分、1時間近くも川遊びを堪能したと思う。水から上がり、軽く身支度をしてロッジに帰り、着替えてお昼ごはんを食べ始めた頃には14時30分を回っていた。
 カバックのロッジに到着したときに軽食が食べられる筈がコーヒーを飲んだくらいで出発したのは、実は、荷物を搬入するセスナがここ数日飛ばなかったかららしい。
 私たちが川で泳いでいる間に荷物が届き、それで昼食にありつけたという訳だ。その荷物はこれからアウヤン・テプイに登ろうという登山パーティのためのものという話だった。我々が食べてしまって大丈夫だったんだろうか。


昼食 この頃から天候が悪くなり始め、食べている間に雨が降り出したので外に干していた水着を慌てて取り込みに走る。
 ツアーのお一人が、珍しく添乗員さんが焦っている様子を見て「あれは相当焦っているよ。急ごう!」と号令をかけ、超スピード(多分、10分くらい)で昼食を食べた。
 ジャガイモに鶏の唐揚げ、コールスローサラダに、(推定)とうもろこしの粉を丸めて作ったパン、フルーツのデザートまでしっかり頂いた。


 昼食を食べているときに、突然「パスポートを川に置いてきたかも!」と思い、川に持って行ったエコバッグを漁ったときはかなり焦った。
 パスポートをセーフティバッグで持ち歩く習慣がなかったので、「あれ、どうしたんだっけ?」と思ってしまったのだ。
 エコバッグの底に入っているのを確認したときには心底ほっとした。


雨 外に出てみると、これから向かう方向には青空も見えてテプイが威容を誇っていた。
 しかし、少し方向を変えればこんな黒い雲と雨の見える中を飛び立ったのだから、飛び立てただけよしとしなければならない。
 雨雲に突っ込むような形になったセスナからは前方がまるで見えず、大粒の雨が窓を叩く音も大きく、ちょっとしたスリルを味わうことになった。


 40分くらいのフライトで到着したカナイマの空港は、晴れていた。
 何より、アスファルトの滑走路が眩しい。
 カナイマの空港から、この後2連泊するパラカウパ・キャンプまでは、荷台を改造して座席を作ったトラックで移動である。これが長い道中だったらお尻が痛くなったと思うけれど、幸いなことにすぐ近くだった。


パラカウパ・キャンプ入口 少し前まで、このツアーではカナイマ・ラグーンの目の前に位置するロッジに宿泊していたそうだ。
 現在、そのロッジが政府に接収され、リニューアルオープンする予定だと言いつつ改装工事が行われている様子もなく、いつになったら営業が再開されるのか判らないという。
 添乗員さんもこのパラカウパ・キャンプは初めてだったらしく、部屋割りに時間がかかっていた。その間うろうろしていたら、入口の看板の上に何やら珍しそうな鳥が止まっているのを発見した。
 そうっと近づいて写真を撮る。
 「こっち向け!」と念じながら何枚か撮っていたら、ロッジのスタッフらしいおじさんが「この鳥はパウィというんだ。」と教えてくれた。


 予想通り、今回もレセプションやレストランから一番遠いお部屋が割り当てられた。一緒に一番奥のお部屋を割り当てられたお姉さんと「やっぱりね。」「だと思った。」と言い合う。
 実はこれが正解というかラッキーなことで、新しく建てられたらしいその2階建ての建物にあるお部屋は、やたらと豪華で広かった。
 また、2階のお部屋の前からはカナイマラグーンに落ちる滝の水しぶきとその後ろにそびえるテプイが一望である。


カナイマのロッジのお部屋 お部屋は、この手前のベッドはダブルサイズで、左奥に見えているベッドはシングルサイズである。「この組み合わせが理解できない。」と言っていたら、ツアーの方から「マッサージベッドじゃない?」と言われてなるほどと思う。
 右の壁の向こうは洗面スペースで、シャワーブースも広くお手洗いとはガラスの戸で区切ることができる。
 ついお姉さんと一緒にはしゃぎ回っているうちにハタと気がついたときにはすでに遅し。全く同じお部屋が人数分あるわけではないのに、はしゃいで回るのはツアーでは厳禁だ。要反省事項である。


 お部屋で一休みした後、ユリの滝に向けて出発した。
 明日は3時30分起きでエンジェルフォール目指してボートと徒歩で1日ツアーということもあり、ツアー最年長の女性が流石に今日はロッジでお休みすると言う。
 考えてみれば、川泳ぎも含め、ここまで全く同じ行程をこなしてきているのだから頭が下がる。


ユルリの滝 16時15分出発で、トラックに再び乗り込み15分ほど揺られた。5分ほど川岸に向かってぬかるんだ道を下り、チナクの滝に行ったときと同じような木のボートに乗り込む。
 川を下ることどれくらいだったか、再び10分程度「こっちをジャングルウォークと言うべきだよ」という感じの道を歩き、写真は撮ってあるのにピンぼけで、しかも私の記憶から全く抜け落ちているこのユルリの滝を通り過ぎ、ユリの滝に到着した。


 最初は曇っていた空から太陽の光が射すと、ユリの滝があっという間に表情を変え、茶色に輝いた。
 この茶色は、水に含まれているタンニンの色である。
 美容にもいいという話で、このタンニンが川の流れと滝の勢いで攪拌されてできた泡を顔に塗りたくる。
 旅行社のパンフレットには「すぐ近くの砂場で水浴びが可能です」と書いてあった。ツアーのどなたかが出発前に「水着はいらないの?」と質問したところ、添乗員さんの回答は「滝で水浴びなんかしたら死んじゃいます。」だった。
 やはり、添乗員さんは自社ツアーのパンフレットのうち「旅程保証」の範囲から外れる部分は見ていないと思う。


 ユリの滝は、何だか広々として清々しく、しばらくここでぼーっとしていたいなと思わせる場所だった。
 しかし、戻らねばならない。


家族のボート 滝からボートまで戻る途中、2艘のボートが川岸につながれていた。
 ここに来る途中に追い抜いてきた、家族が乗っていたボートだ。
 ユリの滝をこのボートで越えることはできないため、カナイマの町からここまではボートで来て、ここから先は歩いて家まで帰るのだろうという。
 上手く言えないけれど、ちょっともの悲しい気持ちになった。


 帰りのボートに乗り込むと、すでに陽は西に傾き、カラオ川に沈む夕日を見ることができた。
 この夕日の写真がなかなか上手く撮ることができず、添乗員さんと撮った写真を見せ合っていたら、カナイマでのガイドであるウラジミールさんに笑われてしまった。
 ベネズエラ人でペモン族の人であるウラジミールさんが、どうしてウラジミールというロシア風のお名前なのかというと、彼のお父さんの親友がロシア系アメリカ人で、その人のお名前をいただいたという話だった。


 ボートの後方には沈む夕日を、前方にはその沈み欠けた夕日に照らされてピンクに染まった雲と、鏡のような水面に映る空を見ることができる。
 こちらもまた嘘のように綺麗な光景だった。


 18時に船着き場に到着し、真っ暗な中再びトラックでロッジに戻った。この道中でも蛍が飛んでいる光景を見られたて嬉しい。19時30分から夕食ということになった。
 ロッジでお休みされていた方には「夕食は19時」と伝えてあったそうで、予定の30分遅れである。


夕食 この日のメニューは、野菜スープ、牛の薄切り肉のソテー(グラタン、パン、野菜の炒め物添え)、ケーキとコーヒーだった。
 この夕食で特筆すべきは、この写真の奥にも写っている「美女缶」とツアーメンバーの方から命名されたビールである。昨日飲んだビールはアルコール分3%、このビールは4.5%で昨日よりは濃い筈だけれど、色がやたらと薄いためか、かなり軽く感じるビールである。
 やはり、缶に描かれた美女のインパクトで勝負! のビールなんだろうか。このパッケージに話題沸騰だった。


 夕食のときに「サンタ・エレナよりもカバナヤンの方が標高が低いんでしょう?」と言う方がいて驚いた。
 どうしてそんなことが判るのかと質問してみたら、「何となくそういう気がしたのよ。」とこともなげに言う。
 高度計付きの時計を持っている添乗員さんによると、実際、サンタ・エレナは標高約1200m、カバナヤンは標高約900mだそうだ。


 明日の予定が改めて発表され、注意事項が告げられた。それを聞く私たちもかなり真剣である。
・予定を1時間早めて、3時30分にモーニングコール、軽食をいただいて4時30分にロッジを出発する。
・トラックで15分ほど走った船着き場からボートに乗る。
・貴重品はロッジに預けて持って行かないこと。
・展望台に歩いて行くときには、使わない荷物を昼食を食べるところに預けることができる。
・ボートにはクッションがあるので持って行かなくてよい。
・サポの滝で水着を着るので持参する。
・ジャングルウォークで汗をかき、ボートで風を切ることになるので、着替えを持参する。
・寒さよけと水しぶきよけを兼ねてレインウエアを着ておく。


 旅行社から出発前に支給された虫除けネットはいつ使うのかという質問が出て、「必要ないと思うんですけどね・・・。」と苦笑しつつ添乗員さんから示された回答は、マユパ島は虫が多いのでそこで使うことにしましょう、だった。


 早寝して明日に備えましょう! と21時15分過ぎに夕食を終えて部屋に戻った。
 しかし、どうも隣室の気配がおかしい。廊下をパタパタと走る足音もしている。
 外に出てみると、お隣のお部屋のお姉さんが「ねえ、添乗員さん知らない?」とかなり焦っている。「しばらく厨房にいるって言ってませんでしたっけ?」と答えると、一目散に走って行ってしまった。
 気になって戻るのを待ってお話を聞いたら、「部屋にコウモリがいるの!」と言う。びっくりして、とっさに何のコメントもできなかった。


 お姉さんが言うには、部屋に戻り、何の気なしに洗面スペースのドアを開けたら、バタバタっと音がしてコウモリが飛んでいたそうだ。
 それは驚くし怖いし焦るに決まっている。
 慌ててバタンとドアを閉めてコウモリを閉じ込め、とりあえず他人が入ってきても大丈夫な程度に荷造りし直して外に飛び出したらしい。
 窓も開けていないし、そもそもコウモリが飛び込めるような隙間のある窓ではないし、一体どこから入ったのか判らないと言う。


 気になって一緒に待っていたら、添乗員さんとロッジのスタッフがやってきて、その辺に生えている木を折って棒を作るとそのまま突入して行った。
 そして、待つこと10分。
 木の棒にぶら下がっている形で体長25cmくらいのコウモリが無事に捕獲された。


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