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2009.12.23

ベネズエラ旅行記5日目その2

2009年8月19日(水曜日)

展望台から エンジェルフォールの上半分を雲が覆っていたときには、エンジェルフォールの反対側を眺めて「あっちはあんなに雲が切れているのに〜。でも、これはこれで幻想的な光景かも。」などと眺めている余裕もあった。
 滝壺に近いところにある天然のプール(しかし、そこはエンジェルフォールの滝壺ではないし、そこからはエンジェルフォールを見ることはできないらしい)に行ってみましょうと添乗員さんも言っていた。
 でも、エンジェルフォールがその全貌を現したら、とてもではないけれどそれどころではなかった。

 何しろ、エンジェルフォールは、光の具合や雲の具合、風の具合によって、次々とその姿を変えて行く。見飽きるということがない。
 いつまでもいつまでも見ていたくなる。

 ふと気が向いて、エンジェルフォールの落ち口を目一杯望遠を利かせて撮ってみる。
 左側の太い水がエンジェルフォールの本体である。
 右側の4本の細い水流は、ある程度以上の降雨がテプイ上にないと現れない。テプイは土がないので保水力がなく、降った雨はそのまま流れて滝となる。

 添乗員さん曰く「あの右側の4本の子どもの滝は、雲に隠れて滝全体が見られないのじゃないかとハラハラするくらいの天候でないと見られない」そうだ。
 その「子どもの滝」が見られてラッキーである。
 ツアーのどなたかが言っていた。この水量ではエンジェルフォールの落ち口もいつか水の力でその形を変え、滝の姿そのものもきっと長い時間をかけて変わって行くのだろう。

集合写真 そろそろ降りましょうと集合写真を撮ったのが12時くらいだった。
 全員のカメラでかわるがわる撮ったので、この集合写真を撮るだけでかなりの時間がかかる。
 名残惜しくてついつい振り返ってしまい、下山を始めたのはさらに15分後になった。

 下りは楽である。上りにあんなに苦労したのは何だったのかという感じがする。
 すでに3回くらいコケて慎重になっていた私が先頭だったのがいけないのか、何故だか下山の道が遠く感じたし、実際に時間もかかった。
 一足早く出発したガイドさん達に追いついたときに、ウラジミールさんに「今、何時?」と聞かれ、12時50分だと答えたら「大変だ!」とスピードアップしようとする。足の悪い方がいらっしゃるし慌てて止める。どうやら相当に時間が押していたらしい。

 ウラジミールさんが焦っているのを知りつつも、青空をバックにしたエンジェルフォールが見えてしまったら、そこは写真を撮りたくなるのが人情というものだし、時間の遅れなど気にしなくなるのも人情というものである。
 やはりここでも大写真撮影大会になった。

バーベキュー・チキンの昼食 バーベキュー・チキンの昼食を食べ始めたのは13時30分近くになってからだった。
 コールスローサラダと、ライス、パンがあり、チキン用にと添乗員さんが焼き肉のたれを用意してくれている。
 さらに、添乗員さんが日本から持参した「浅漬けの素」で作ったキャベツのお漬け物もある。
 添乗員さんが「本当はキュウリにしたかったんですが、ロッジになくて。浅漬けにしても良さそうな野菜がキャベツしか見当たらなかったので。」と言う。昨夜、ロッジの厨房から添乗員さんが「ten cucumbers」と言っている声が聞こえてきた謎が、このときになってやっと解けた。

 たらふくお昼ごはんを食べた後、汗でびしょ濡れになった服からサポの滝用に水着に着替える。
 もちろんそれだけでは寒すぎるので、水着の上に服を着て、レインウエアも重ね、荷物は再びビニル袋に入れてしっかり縛る。
 準備をしている間に、あっという間に空に雲が広がり、結構な勢いでスコールが降り始めた。

 この時期、ベネズエラが雨季であることは知っている。
 しかし、この後1時間以上に渡って本格的なスコールに打たれ続けることになると誰が予想していただろう。
 でも、そうなった。

 私のコンパクトカメラは防水だし、防水だからいつでも写真を撮れるようにとレインウエアのポケットに突っ込んであった。それなのに、この私がカメラを取り出して写真を撮ろうと思いもしないくらいの雨だった。
 私の来ていたレインウエアは5年くらい前に購入したもので、ゴアテックスではあるけれど、やはり最新のものよりは性能的に落ちるらしい。あるいは劣化していたのかも知れない。まず腕の部分から雨が内側に染み込み始めた。

 冷たい。
 寒い。
 遅れた分を取り戻そうとボートは相当に飛ばし、風を切る分だけ濡れた身体に厳しい。
 村上春樹の「雨天炎天」という旅行記に、人は雨に打たれただけでどうしてこんなに心弱くなるのだろう、あと何日か雨に打たれ続けたら宗教に走ってしまうかも知れない、という趣旨の文章があったなぁ、あの文章の言わんとすることを今の私ほど理解している人って他にいないんじゃなかろうか、などと勝手なことを考える。
 そんなことを考えていたせいか、後になって、「振り向いたら、うつむいてじっとしていて、誰だか判らないくらいだったわ。殉教の人みたいだった。」とツアーの方に言われた。
 それくらい、悄然としていたらしい。

アウヤン・テプイ 雨が激しかったせいか、早く到着することを優先したせいか、オーキッド島でトイレ休憩を取ることもしなかった。
 2時間くらいボートを飛ばした辺りで、やっと雨が小降りになる。
 「これで、(エンジェルフォールの落ちている)アウヤン・テプイも見納めです。」と言われたら写真を撮ろうという気持ちになるくらいの雨である。
 テプイの上空はすっかり雲に覆われていた。

 16時くらいにマユパ島に到着した。
 行きにボートに乗った地点よりも先に進んだような気がして、とにかく早く到着したくて、急流を行くときは乗客を降ろさなくてはならないというルールをすっ飛ばして「行っちゃえ!」と思う。
 残念ながら、そんな私の心の声は届かなかったらしい。マユパ島に再上陸した。
 雨が小降りになっていたのが幸いだ。それでも、誰も「黒い防虫ネットを被って記念撮影をしましょう。」とは言い出さなかった。

 マユパ島縦断を終えてボートに再び乗ったときには16時30分近かった。
 添乗員さんに「ここからサポの滝までは20分くらいです。」と言われ、「行くんだ・・・。」と呟いてしまった人を、私は自分の他に少なくとももう一人知っている。
 そのお姉さんに、「私たちは、これだけ雨に打たれた後で、さらに滝に打たれなくてはならないほど悪いことをしたんでしょうか?」と言ってみたら、大笑いされた。
 ここまで笑っていただけたなら本望である。

サポの滝の上 旅程は無情にも順調に消化され、ボートはサポの滝の上に到着した。
 当然のことながら、雨が降ればエンジェルフォールの水量が増え、サポの滝の水量も増える。
 しかし、このときの私にそんなことを考える余裕はかけらもない。滝の少し手前にボートが着き、そこから滝までの道が、水深15cmくらいになっているのも可笑しいし、水草がうねうねとしているのも可笑しい。
 こうなったら、笑うしかない。

 サポの滝のポイントは「滝の裏をくぐれること」である。
 通常はレインウエアを着ていても濡れてしまうので水着になって行く。実際に我々一行も水着を着込んでいる。
 しかし、ここで「水着になる」と言い出した人は一人もおらず、みな「どうせもう濡れちゃってるしね。」という前向きかつ投げやりな捨て鉢精神に支配されていた。

サポの滝の裏 サポの滝の裏くぐりは、かなり楽しかった。
 水が茶色く見えるのは、ここでもタンニンのせいである。
 滝も凄い勢いだし、滝の裏の通路(?)の壁からも水が噴き出して流れ落ちている。
 そして、この滝の水が全然冷たくない。どちらかというと温かいくらいだったのが不思議だし、有り難い。
 水しぶきももの凄い。しかし、投げやりな捨て鉢精神に、笑っちゃうしかないという開き直りとが加われば、この冒険に怖いものなどない。
 後で聞くと、添乗員さんはこの滝の勢いに恐れをなしていたらしい。そんな心配などつゆ知らず、全員、滝の一番奥までたどり着き、無事に戻ってくることができた。

 そこからさらにボートに乗って17時40分に船着き場に戻った。
 もう真っ暗である。
 待っていてくれたトラックに感謝しつつ乗り込み、ロッジに戻る。添乗員さんが「そうめんを茹でるのにこんな格好のままというわけにはいかないので。」と言い、その準備等々の時間を見込んで夕食は20時からになった。
 部屋に戻ってレインウエアを脱いだら、その下に着ていたタオル地のパーカの袖がびしょ濡れだった。寒いわけである。
 もちろん、シャワーに直行する。温かいお湯をこんなに有り難いと思ったことはない。
 洗濯もして、乾くように祈りつつ部屋にロープを張って干し、扇風機を持ってきて風を送る。

 お腹が空きすぎて、持参してきた最後のウィダー・イン・ゼリーを食べてしまう。そして20時から夕食になった。
 まずは、そうめんである。食べるのに夢中になって写真を撮り忘れてしまった。
 めんつゆはもちろんのこと、葱や海苔といった薬味まで用意されていて、その用意の良さに驚く。流石である。
 厨房ではみなに奇異な目で見られ、「ジャパニーズパスタだ。」と説明したそうだ。

夕食 そうめんをたらふく食べた後、ロッジの夕食もいただく。
 ポタージュ、牛ステーキ(ジャガイモと温野菜の付け合わせ)に、デザートはプリンだ。
 もちろん、ビール(美女缶の美女が昨日とは違っていた)も飲む。
 エンジェルフォールを見られたお祝いに、みなで乾杯だ。

 エンジェルフォールが見られて本当によかった。
 ツアーのメンバー全員喜んでいたし、興奮していた。しかし、恐らくは一番ほっとしたのは添乗員さんだったと思う。
 「自分は今までエンジェルフォールに6回来たことがあるけれど、全景が見られなかったことは一度もない。」と断言していたし、相当にひやひやしていたことだろう。
 実際、今回はダメかと思ったとも告白していた。

 今回のツアーの最大の目的だったエンジェルフォールが見られて、全員がさらに一段リラックスしていたのだと思う。
 ツアーメンバーはお酒の強い方も多い。
 何だかみんな弾けていて、特に一番年配のお二人が隣同士の席になったのはこれが初めてだったのか、掛け合い漫才もかくやというようなボケとツッコミの世界が展開され、食卓は爆笑の渦に巻き込まれた。

 早起きして、ボートに揺られて、ジャングルウォークをして、スコールに打たれて、流石に疲れが溜まっていたらしい。
 熱っぽいし、やたらと喉が渇く。
 夕食を終えたのが21時30分で、22時にはベッドに入って寝てしまった。

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