2009年7月27日(月曜日)
この日は7時に起き出した。
まずは昨日のリベンジを果たすべく、温泉に向かう。露天風呂に入らねばならない。
雨も上がり、雲は多めながら日も射している。木々の間から見える檜原湖を堪能し、ゆっくりと温泉を満喫した。
この大浴場の、内風呂の大きなお風呂は温泉ではなかったのかも知れないと思う。温泉の成分表示も小さい方の湯船にしかなかった。
8時に朝食をいただいた。ビュッフェ形式で和食と洋食が用意されている。
母も私も、こういう場合は、大抵、洋食を選ぶことにしている。
この日は、磐梯観光船の定期船で白樺山の家というところまで行き、檜原湖畔の遊歩道を歩いてホテルまで戻ってこようと思っていた。
10時の定期船に乗るべく、かなり余裕を持って9時30分頃、ホテルを出発する。
ホテルの玄関を出ると、駐車場の向こうにくっきりと磐梯山が姿を現していた。お天気は大丈夫そうである。
大丈夫ではなかったのは、定期船の方だ。
乗り場に行ってみても表示がない。「白樺山の家に行く船は?」とそこにいたおじさんに聞いてみると、「この間の雨で船着き場が崩れちゃったから、運休してるんだよ。」という返事だった。
ショックである。
母と「どうしようか?」と相談し、せっかく晴れてきたし、ここは五色沼散策路をリベンジしようと話がまとまった。
9時50分、昨日とは逆に、こちら側(檜原湖側)から歩き始める。
日が射しているだけで、散策路の風景も全く違って見える。そもそも、木々の緑の色が違う。
昨日はかなり蒸し暑かったけれど、今日は爽やかで、母の足取りも軽快である。
10分ほどで、青沼に到着した。
やはり、昨日とは色も景色も周りの緑とのコントラストも違っているような気がする。
そもそも、昨日は、日曜の夕方遅めの時間ということもあって、他の観光客の姿を見ることもなかった。
青沼の次に位置するるり沼は、散策路から少し外れ、脇道を入ったところからでないと眺めることができない。
昨日は雨が降っていたこともあって、その脇道に気づくことなく素通りしてしまっていたらしい。
やはり、お天気は重要である。
るり沼の水は酸性度が高いため、他の沼とは違って透明度が高いそうだ。
水底の苔も見えるらしい。あまり注意して見ていなかったので気がつかなかった。
何故あまり湖面に注意していなかったのかといえば、湖の奥に磐梯山が見えたからだ。ここからの眺めはなかなか良い。
昨日とは段違いの量の写真を撮った。
歩き始めて25分、弁天沼のほとりに立つ展望デッキに到着した。
繰り返すようだけれど、やはりお天気がいいと、景色は全く違ってくる。
湖の色だって、光を浴び、青空を映して全く違っている。
昨日もこの展望デッキに立ったけれど、湖面を叩く雨に気を取られ、周りの景色など見ていなかったような気がする。
今日は湖の奥の山(名前は判らなかった)も、雲がかかっているとはいえ、くっきりと見ることができる。
歩き始めたときは「展望デッキの辺りまで歩いたら引き返して来ようか。」と言っていたけれど、ここまで違う景色を見ることができるとなると、何だか惜しい。
「全部歩こう」と母と意見が一致した。
弁天沼から、散策路のほぼ中間点に当たる深泥沼まではすぐである。
軽快に歩いて来た筈が、寄り道しながら歩いていることもあって、ここまで50分ほどかかっている。
深泥沼は、それほど大きくはない。三つの異なる水系の水が流れ込んだり湧いたりしていて、青緑と赤と黄緑と三色に分かれている。この写真から判るだろうか。
かなり不思議な感じがする。
混ざらないのは、それぞれの水で比重が違うからだと思う。
歩いているときには、実は深泥沼と一体なんじゃないかと勘違いしていた赤沼を過ぎると、10分くらい「水」から離れ、緑の森の中を歩いて行くことになる。
この日は、林間学校なのか、小学生らしい集団とすれ違うことが多かった。
今どきの学校行事は夏休み中に行われるらしい。例えば「町内会の遠足」といった行事には見えない。引率しているのは、「お母さんたち」ではなく明らかに「学校の先生」である。
こういう行事のとき、携帯電話があって先生達は随分と便利になったのだろうなと思う。「**が通過した。」「今**にいる。」としきりとやりとりしている姿が目に入った。
目に入るといえば、昨日は見過ごしてしまった小さな花にも気がつくことができた。
本当に繰り返すけれど、お天気というのは重要だし、お日様の力って偉大だと思う。
毘沙門沼の端まで来れば、あともう一息である。
小学校に上がる前くらいの男の子がおじいさんらしき人と歩いていて、「バスクリンみたいだね!」と言っているのを聞いて、思わず「もうちょっと情緒のあることを言おうよ。」と心の中で呟いた。
毘沙門沼に沿って伸びる遊歩道を歩いていたら、三脚を構えた人が集まっているポイントがあった。
カメラが狙っている方向を見ると、ちょうど、沼が連なったその奥に磐梯山が見える。残念ながら、ちょうど山頂付近に雲がかかってしまっている。
私もちょっとだけ待ってたけれど、雲が切れる気配がない。諦めた。
このおじさん達は、きっと、1日中でもシャッターチャンスを待ち続けるのだろうなと思う。
毘沙門沼から五色沼ビジターセンターまで少し迷い、それも含めて、今日は五色沼散策路を1時間40分で歩いた。
昨日お昼を食べたIL REGALOでまたお昼を食べようと思っていたら、ちょうど良いバスの時間がない。
東京までのシャトルバスを利用する私たちは、チェックアウトタイムが13時になり、それまでは温泉を利用することができる。汗もかいたことだし、ぜひ、温泉に入りたい。
11時50分くらいのバスでホテルに戻り、最後にもう一度、温泉を堪能することにした。
12時過ぎのこの時間帯は日帰り入浴の人も少なく、大抵の宿泊客はチェックアウトしていて、ほぼ貸切状態だった。
13時前にチェックアウトし、お昼ごはんを食べようと荷物をフロントに預けて出かけた。
ホテルを出たところで、「そういえば、檜原湖遊覧船(1000円)は毎正時に出発している筈だ」と思い出した。帰りのバスは14時30分発だし、遊覧船の乗車時間は35分程度なので、お昼ごはんを少し遅めに食べることにすれば十分間に合う。
「遊覧船に乗ろう!」と宣言し、乗り場に急いだ。
出航直前、遊覧船乗り場のおじさんに「猫魔岳ってどれですか?」と尋ねたら、「ここからは見えないけど、船が出たら左手にハの字の跡がついてる山があるから。」と教えてくれた。
確かに、ハの字に(推定)スキー場の様子が浮かんでいて(写真左)、すぐに判った。
遊覧船が貸切状態だったらどうしようと思っていたら、10人くらいはお客が乗っていてほっとした。
振り返ると、かなり低く雲がかかっているものの、磐梯山の火口壁もまだ見ることができる。デッキに陣取って、ちょっと暗めの檜原湖を堪能した。
14時近くなってお腹も空いたことだしお昼ごはんである。
昨日から気になっていた、裏磐梯物産館のイートインコーナーの山塩チャーシュー麺(900円)を食べた。
ちょっと塩気が強かったし、チャーシューの脂もなかなかに強烈だ。THE ラーメンという感じで美味しかった。
イートインコーナーの横で桃の試食販売が行われていたので、二人してちゃっかりデザート代わりにその桃をいただいた。こちらもみずみずしい桃で美味しかった。
東京行きのシャトルバスに乗り、14時30分にバスが動き出した瞬間(本当に、ホテル玄関前の屋根のあるスペースから抜け出した途端)、大雨になった。
いきなりの大粒で大量の雨である。びっくりだ。
山道を下っているというのに、前方10mくらいしか見えないんじゃないかというくらいの大雨である。
「運がよかったね。」と母と言い合う。
運がよくなかったのは、私のお腹である。
どうも、山塩チャーシュー麺の塩と油が私の胃腸と相性が悪かったらしい。
お腹が痛くなって、那須高原サービスエリアに着くまで、脂汗を流した。
浦和インターを降りると、平日の夕方の通勤ラッシュに巻き込まれてしまった。
でも、そのおかげで、バスの窓からこんなにくっきりとした虹を堪能することができた。
写真には撮れなかったけれど、この虹は、ちゃんと地平線から地平線にかかる半円形の虹だった。
19時前、バスは南越谷駅に到着した。
1泊2日の裏磐梯旅行は何だかんだ言いつつも天気に恵まれて楽しく過ごすことができた。
裏磐梯旅行記1日目はこちら。