奥日光旅行記1日目
2010年8月1日(日曜日)
前回、奥日光に行ったときは、東武線の普通電車で日光に向かい、ほとんど立ちっぱなしで疲れてしまったので、今回は、東武特急スペーシアに乗って出かけた。
母と二人なので、公共交通機関を使い倒す計画で、東武鉄道のまるごと東武日光フリーパスを購入した。
東武日光駅でコインロッカーに荷物を預け、9時31分発のバスに乗って、霧降高原に向かった。
霧降高原のリフトが老朽化のために廃止されることになり、2010年8月一杯は無料で開放されている。ニッコウキスゲの季節は終わってしまっているとはいえ、これは最後に乗りに行かねばなるまい。
30分ほどで霧降高原に到着し、バス停から石畳のような坂道を上がって行く。たったそれだけの道のりが結構キツイ。
リフト乗り場に行くと、上下レインコートで完全防備体制のおじさんたちがリフトに乗せてくれた。
鉄塔はさびているし、ガタピシ音がするし、確かにリフトの老朽化は激しいようだ。
それでも、非常に低い位置をゆっくりと上って行くリフトは楽しく、また、足もとではシモツケ草らしいピンク色のお花がところどころ咲いている。気持ちがいい。
しかし、天気予報は正しくて、栃木辺りで晴れていた空は、ほとんど明るいグレーの雲に覆われてしまった。
しかも「霧降高原」の名前はダテではなく、第3リフト、第4リフトと乗り継ぐ間に、すっかり辺りは霧に覆われてしまう。
幻想的といえば幻想的な景色だけれど、雨の中をリフトで降りるのも、山道を下るのも避けたい。
全く展望の利かない小丸山山頂で少しだけ休憩し、まだ雨が落ちてくるには間がありそうだったので、小丸山山頂から第3リフトと第4リフトの間にある休憩所まで、「ハイキングコース」を歩いて降りてみることにした。
歩き始めて数分後、この「ハイキングコース」がガイドブックなどであまり紹介されていない理由がよく判った。
カメラを出す気にもなれないような、「ここは雨が降れば水が凄い勢いで流れますね」「この道は水に削られましたか?」「この木の幹は、みんなが掴んで支えにしたものでつるつる光っていますね」という感じの道が続く。
あまりにも「ハイキング」という言葉とかけ離れているし、前からも後ろからも人が来ないし、リフトのガタピシという音が聞こえるから遭難はしないよね、などと半分本気で思ってしまう。
途中ですれ違ったガイドとおぼしきおじさんに「お花は咲いていないんですか?」と尋ねたら、「もう花の季節は終わったよ。」と言われ、「でも、リフトの下はかなり咲いていましたよ。」と言ってみたら、「あれは種をまいて育てているんだよ。」と裏(?)情報を教えてくれた。
休憩所の辺りでお花を見たり、いつの間にか行列ができていたリフト乗り場を見上げたりしているうちに、うっかり、11時29分発の日光駅行きのバスを逃してしまった。
霧降高原方面のバスは本数が少なくて、1日11往復しかない。次のバスは13時9分である。
どうしようかとフリーパスを買ったときについてきた小冊子を眺めていたら、11時50分に大笹牧場行きのバスがあった。大笹牧場がどんなところかは知らないけれど、このままここにいるよりは何かしらやることがあるだろう。フリーパスを持っているからバス代もかからないし、何もなかったとしてもドライブだと思えばいいことだ。
そういうわけで、慌てて第1リフトに乗ってバス停に向かった。
大笹牧場行きのバスのバス停が第1リフト乗り場のすぐ近くにあったことも幸いし、余裕を持って乗り込むことができた。余裕があり過ぎて、落ち始めた雨に少しだけ濡れてしまったくらいだ。
30分弱ほどバスに乗り、途中、もの凄く深い渓谷の上に渡された橋を渡ったりしてスリルも味わい、大笹牧場に到着した。
バスに乗っている間は雨がかなり強めに降っていた一方で、大笹牧場周辺ではそもそも雨が降らなかったらしい。路面が濡れていない。
持っていたガイドブックには大笹牧場についてお土産物の紹介しか載っていなかった。到着してみれば、かなり流行っている観光農場のようだ。
アスレチックや大きな滑り台が遠くに見えているし、乳搾り体験等もできるらしい。
何より、大きなレストランがあったのが有り難い。日光駅行きのバスが来るまで1時間弱、ここでお昼ごはんを食べることにした。もう12時を回っていて、朝が早かったこともあり、お腹はぺこぺこである。
レストランとジンギスカン・ハウスとがあり、ジンギスカンを選んだ。
ジンギスカン・ハウスはセルフサービス形式で、食券を購入し、お盆にごはんとわかめスープ、ジンギスカンのセットに牛乳を乗せてテーブルに自分で運ぶ。
母と二人で選んだのは、ジンギスカン上ロースセット(1820円)である。羊肉に全く臭みはなく、柔らかく、美味しかった。
日光駅行きのバスまであと15分弱あったので、売店に立ち寄り、「今日のおやつ」と称してチーズまんじゅうとレアチーズケーキを購入した。今日、帰宅するのだったら美味しそうなチーズやソーセージなど購入したところである。残念だ。
13時10分発のバスに乗って、日光駅方面に向かった。
天気は微妙なところで、今のところ傘も開かずに来られている。雨が降り出しそうな空模様にかなり迷いつつ、霧降の滝入口で下車して、霧降の滝を見に行った。
霧降の滝に行くには、バス停から少し戻って坂道を上がることになる。
駐車場やお土産物屋さんが並ぶ辺りに山のレストランがあり、その横の遊歩道を進む。歩きやすい道を10分くらい辿り、到着だ。
昨年、奥日光に来たときにはこちらまでは来なかったので、多分生まれて初めて見る霧降の滝である。
母によると昔は滝壺まで行けたらしい。注意して見ていると下り口のようなところが塞いであったから、道が崩れるかしたのだろう。今はこれくらい遠くから眺めることができるだけなのが勿体ない。
霧降の滝まで行って戻って来たら14時30分だった。日光駅に行くバスの時間まで1時間近くある。
時間つぶしにお土産物屋さんを覗くと、そこのおじさんが退屈していたのか、何だかんだと色々と話してくれた。
高速道路が1000円になってお客が減ったこと(もっと遠くに行って得をしよう、という発想になるらしい)。
今日は今市と中禅寺湖で花火があること。
日光市街では雨が一滴も降らなくても、霧降の滝周辺では大雨になったりすること
「隠れ三滝入口」のバス停で降りて、丁子ヶ滝、玉簾の滝、マックラ滝の3つの滝を巡って霧降の滝まで来るハイキングコースがなかなかいいこと。
霧降の滝は紅葉の時期が素晴らしいこと。
紅葉の時期にいろは坂を上がるのなら、前の日は日光市街に泊まって朝一番のバスで上り、みんなが上り始める頃に降りてくると渋滞に巻き込まれずに済むこと。
この辺りでも鹿や熊が出ること。
鹿の目は暗闇では赤く光ってちょっと不気味なこと。
そんなこんなでおしゃべりしていたら(おじさん、ありがとうございました!)バスの時間が近づいてきたのでバス停に向かったところ、バス停に到着した頃合いから、突然の土砂降りになった。
慌てて傘を差したものの、その傘から雨漏りがするほどの大雨である。
地面で勢いよく跳ねる雨で、私の履いていたズボンは膝から下がびしょ濡れになってしまった。
私と母が並んでいた前後は20歳前後のカップルだった。双方とも傘を含めて何の雨具も持っていなかったようで、本当に見事にびしょ濡れになっていた。
東武日光駅でコインロッカーから荷物を出し、ちょうどよくやってきた15時41発のバスで日光湯元温泉に向かった。
私のズボンは幸い、膝から下がファスナーで取れる仕様なので外してしまう。
虫取り網を持って麦わら帽を被っていそうな格好になったけれど、風邪をひくよりはマシである。
バスは、全く路面が濡れていないいろは坂を上った。
中禅寺温泉で時間調整のため10分ほど停まったので、おやつに大笹牧場で買ったチーズまんじゅうをいただく。甘い物がお腹に入ると、たとえ濡れ鼠でも落ち着くものである。
乗ったバスは光徳牧場に立ち寄るバスで、笹が生い茂る道を走って行く途中に鹿を見ることができた。
戦場ヶ原はピンクのお花が一面に咲いていて、この時期に来ても綺麗そうである。
日光湯元温泉のバス停から徒歩5分くらいのところに、本日の宿である板屋がある。
掛け流しのにごり湯温泉が売りの、昔ながらの旅館である。
お部屋に扇風機があることからも判るように、冷房の設備はない。もっとも、湯元まで上がって来てしまえば、冷房などほとんど必要ない。宿の人も北海道と同じ気候で、だから梅雨もないんです、と話していた。
17時くらいにチェックインし、早速温泉に行く。
内風呂も露天風呂も源泉掛け流しでかなり熱い。ブルーグレーに濁ったお湯が、濡れて冷えた体に気持ちいい。そして、何よりもいいのは、ほぼ貸し切り状態だったことだ。
お風呂上がりに用意されていた、わき水と、わき水で作った麦茶がとても美味しかった。
夕食は、19時からでお願いした。
「お呼びします。」と言われてはいたものの、いきなりノックもなしで部屋のドアが開けられそうになったのには驚いた。チェーンをかけてなくて、例えば着替え中だったらどうするのだろう???
この宿で唯一「考えた方がいいのでは」と思った瞬間だ。
温泉には誰もいなかったのに、食事処はかなり賑わっていた。
男性のお客さんが多いのかとも思ったけれど、男風呂のスリッパの様子からはそれほど人が多いようには思えなかった。不思議である。
夕食のメニューはこんな感じだった。
食前酒 やまぶどう酒
先付 かんぴょう煮こごり
小鉢 じゅんさい・ブルーベリーポン酢にて
前菜 木の芽寿し、のし梅、とうもろこし、山桃、エシャレット
鍋替わり ローストビーフ サラダ仕立て
お吸物 葛鱧・梅肉・貝割れ
お造り 生湯葉
焼き物 鮎の塩焼き
煮物 加茂茄子
揚げ物 鱚東寺揚げ・ヤングコーン・青唐
止め椀 なめこと三つ葉の赤だし
香の物 参点盛り
ごはん 山椒とちりめんごはんのせいろ蒸し
デザート イチゴムース
母も私もビールをいただき、美味しく飲んで食べた。
何といっても、これだけ太っている鮎の塩焼きが絶品だった。
母は、夕食にお酒を飲むとあっという間に眠くなるらしい。
しばらく休憩して「お風呂に行こうよ。」と誘ったら、眠いからいいとおっしゃる。
仕方なく私一人で出かけて行き、私の他に一人か二人という感じで露天風呂を満喫した。
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