蔵王旅行記1日目
2012年2月19日(日曜日)
2年越しか3年越しか、母とずっと「蔵王に樹氷を見に行きたい。」と言っていた。
今年になってやっと実現である。某K社のツアーに参加したところ、福島までの往復は新幹線、そこから先はバスの旅となった。
東京駅から新幹線に乗る場合は事前に集合する必要がある。上野駅で合流する場合は、新幹線の座席番号を事前に電話で知らせてもらい、「座席でお待ちしています。」というやり方だ。乗車券も指定券も手元にないので、入場券で新幹線改札口を通ることになるけれど、時間ぎりぎりに行ける分、こちらの方が有り難い。
8時30分過ぎに上野駅に到着した。上野駅の新幹線ホームが地下深いところにあって行くのが大変なのと、昼食はバスの中になるので事前に注文するか、持参するかしてくださいという案内があり上野駅で購入しようと考えたため、新幹線の発車時刻よりも1時間近く早く到着である
バス車内での食べやすさに重視して、海苔巻きとお稲荷さんを購入した。
そして、何だかあまりにも寒かったので、構内のユニクロで安売りしていたフリースを購入した。
新幹線の乗車口で添乗員さんから乗車券と指定席券を渡され、席に着いた。
私はすっかり忘れていたけれど、そういえば事前に滑り止めの購入をお願いしていて、添乗員さんが早速座席まで持ってきてくれた。靴の上に履くというか被せるゴム製の滑り止めである。
今回のツアーは人気で、バスを2台にして催行し、総勢84人と聞いて驚く。週末ではなく日曜出発だというのに驚きだ。この大人数なので福島駅でトイレタイムはお取りできません、新幹線車内で済ませておいてくださいと言われた。
何だか小腹が空いてきて、でもお昼ごはんにはいかにも早すぎるので、母が持っていたドーナツをもらって食べる。こうしたおやつは持って行くと食べないし、持っていないと食べたくなるのが謎だ。
新幹線は2時間ほどで福島駅に到着し、バスに乗り換えた。私たちの席は2号車の最後尾で、周りの方々とお話すると「キャンセル待ちで。」とおっしゃる方が多い。概ね申込み順で席を割り振ってあるようだ。
11時40分、バスは山形に向けて出発した。
早速、お昼ごはんを広げる。
福島駅前に雪は全くなかったけれど、バスが栗子峠に向かって進むにつれて雪が深くなり、ついでに曇天の暗さも増してくる。そして、山形県に入るといかにも「豪雪」という感じに景色が変わった。流石、山形県である。
今回のツアーでは、本当に樹氷だけが目的だったので、樹氷を見て、長井鉄道に乗る以外、どんなコースになっているのか、どこに立ち寄るのか、全くチェックしていなかった。
というよりも、他にはどこにも立ち寄らないと思っていたので、バスガイドさんの説明を聞いて驚いた。バスガイドさんも「時間調整です。」ときっぱり言い切りつつまず立ち寄ったのは上杉神社である。
大河ドラマで直江兼続が取り上げられたこともあって、上杉神社はすっかり観光名所の趣である。立ち寄る時間はなかったけれど、すぐ近くには米沢市上杉博物館もあったし、上杉景勝と直江兼続の像も建っていたし、先週まで(だったと思う)上杉雪灯籠まつりが開催されていたそうだ。壊れかけの雪灯籠が並んでいる。
上杉神社は大正年間の火事で焼けてしまい、今のお社は再建されたものだ。
見学時間が30分だったので、まずはお参りし、社務所で御朱印をいただこうと思ったら、全くの無人で声をかけても反応がなく、いただけなかったのが残念だった。
私が社務所で奮闘している間、母は駐車場前のお土産物屋さんでしっかりおやつを買い込んでいた。流石である。
次に向かったのは、高畠ワイナリーだ。ここでは試飲ができるということで、入口からショップまでの間はミニ見学コースのようになっているけれど、誰もが急ぎ足である。25分と時間が限られていたから余計だ。
甘口のワインをメインに扱っているらしい。辛口の試飲は端っこのカウンターにまとめられてしまっている。
いくつか試飲させていただき、珍しく母と意見が一致して、「樹氷のしずく」と名付けられた氷結ワイン(アイスワイン)と、「まほろばの貴婦人」という優雅な名前の白ワインを購入して、自宅に送った。
お手洗いを済ませると、25分はあっという間である。
観光バスは、余裕をもって長井駅に到着した。15時14分発の山形鉄道フラワー長井線に乗車する。
このツアーだけで84名の乗客がいるから、この15時14分発の電車は特別に2両編成になっていて、後ろ1両は私たちツアー客専用客車である。
昔懐かしい硬券切符にこれまた昔懐かしい鋏を入れてもらったり、電車がしばらく来ないのをいいことに線路上で記念撮影をしたり、お土産物のコーナーを覗いたり、そんなことをしているうちに電車がやってきた。
少し前にテレビで見たところによると、この長井鉄道は映画「スウィング・ガールズ」の舞台となったことで乗客数を伸ばし、この映画効果が薄れたらどうなるのかとかなり真剣に対策を立てたらしい。
人を集めるべく知恵を絞り「そうだ、方言だ!」と閃いたという。
こうして観光客が多く乗車すると判明している場合は車掌さんが乗り込み、ハンドマイクというか拡声器で沿線案内をしてくれる。それが人気になって、車内販売などの売り上げもいいようだ。
車窓の雪景色の何が凄いといって、電線が全くないことだ。
車掌さんの案内で目をこらして探してみる。確かに電線も電柱もない。
車内では「2個ずつ配ると赤字になっちゃうから。」と飴が1個ずつ配られ、黒豆茶(色々と穀物類が混ざった健康茶のようなものだった気もする)や、イラストマップ、「黒字回復」を目指した赤と黒の2色鉛筆などが販売された。
結構、みなさん、買うものだ。
母がいつの間にかイラストマップを購入していて、「えー、同じ値段ならお茶でしょう!」とツッコミを入れたら、近くに座っていらしたおばさまから「そうよねぇ。」という応援が入った。母曰く「手書きのイラストが可愛かったから。」だそうだ。
到着した荒砥駅では、駅舎内におひな様がたくさん飾られていた。町内の方々から古いおひな様も持ち寄っていただいて飾っているという。
お膳に載った様子が何とも風情があると眺めていたら、車掌さん曰く、最初の年におひな様だけを持ち寄ってもらったら、返すときにどのおひな様がどのお宅のものか、この道具はどこのおうちのものか、判らなくなって大混乱になったという。それで、お膳に載せて持ち寄ってもらうことにしたらこれが好評だという。
古いおひな様があるお宅ならこういうお膳も普通にあるのだろう。
先回りしていたバスに乗って出発するとき、乗務してくださった車掌さんお二人がずっと手を振ってくださった。
ここからバスは一路山形蔵王に向かう。
ロープウエーで山頂を目指し、樹氷ライトアップを見るのが本日、最大にして最後のミッションである。
バスの中で小腹が空いたので、母が先ほど購入していた「ふわまる」というお菓子をおやつにいただいた。ラフランスのクリームが入っていてなかなか美味しい。
人心地ついたところで、山形蔵王ロープウエーの乗り場に到着した。
まだ17時前だから、照明は入っているものの普通にスキーをしている人がいる。
上は相当に寒いという話だったので、Gパンの上に綿入れのパンツを履き、ヒートテックの上にシャツとカーディガンと買ったばかりのフリースとダウンジャケットを重ねる。もこもこだ。
もちろん、靴には買ったばかりの滑り止めを装着する。カチャカチャうるさいが仕方がない。
ゴンドラに乗って8分、そこからロープウエーに乗り換えて8分、待ち時間等もあって、地蔵山山頂に到着したのは17時30分くらいだった。
ゴンドラからロープウエーに乗り換えた蔵王高原駅で-10.4度、ロープウエー終点の地蔵山山頂駅で-13.4度である。フィンランドでオーロラを見たときと同じくらいの寒さだ。
ロープウエーの窓ガラスが完全に曇ってしまう訳だと納得する。
駅から直結のカフェは暖かいけれど、もちろん私たちの目的は樹氷である。外に出るしかない。
もっとも、危険回避のためか、樹氷見物の私たちが歩ける範囲は非常に狭い。ロープが渡してあって、ほとんど山頂駅の周りからは外れられないようになっている。
しかし、それも無理はないという感じがする。山頂はもの凄い風が吹きすさんでいて視界も悪く、とんでもない寒さである。寒いというよりも痛い。
手袋は持っていたけれど油断して帽子を持っていなかった私の耳はもう痛さのあまり感覚がない。
でも、豪雪の山形らしい太ったモンスターたちを(寒さに耐えられる範囲で)思う存分、見ることができた。
とにかく寒い。
母はとっととカフェに入り、コーヒーなど飲み始めている。
しかし、カメラ小僧の私はまだ写真を撮り足りていない。
カフェの建物の屋上が見晴らし台になっていて、行ってみるとこの寒風の中、三脚を構えた方々が何人かいらっしゃる。
ちょうど風が吹いて、一番手前しか見えなかった樹氷が、ほんの少しだけその奥を見せてくれた。
添乗員さんに18時くらいには山頂駅を出てくださいと言われていた。
私はその時間ギリギリまで粘ったけれど、他にそんな方はほとんどいらっしゃらなかったらしい。蔵王高原駅からのゴンドラを3台待つ羽目になり、本当に最後の最後にツアーバスに乗り込むことになった。
混雑しているときは30分では降りてこられないのだと胆に銘じる必要がある。反省した。
本当に本当に寒かったけれど、樹氷が見られて満足である。
今夜の宿は宮城蔵王側にある。到着までの2時間はもちろん爆睡した。
20時20分にこの日の宿である宮城蔵王ロイヤルホテルに到着した。
20時35分から夕食と言われ、部屋に荷物を置いて時間どおりに行くとすでに食べ始めている方が大勢いた。
結婚式場か大会議場のような広間で、丸テーブルに椅子席、食べるのは和会席という微妙にミスマッチな雰囲気である。母はビール、私は白ワインを頼んで、空腹だったこともあり、もの凄い勢いで食べたような気がする。
お鍋の中味は、宮城山形定番の芋煮だ。
食休みを兼ねて部屋(洋室だった)で、テレビドラマ「運命の人」を見た。
私は最初の1〜2回でドロップアウトしてしまったけれど、母はお友達から原作本を借りたまま全く読んでいおらず、「テレビドラマを観て読んだことにして本は返さなくちゃ」という不純な動機で見続けているらしい。
22時過ぎに大浴場に行くと、ちょっとびっくりするくらい大混雑していた。
広さは十分だけれど、カランの数が圧倒的に足りない。早く終わりそうな人の後ろに並んで待つ、みたいなことになっている。この手の争奪戦が大の苦手な私はかなりの時間ウロウロすることになった。
露天風呂は源泉掛け流しで、そう言われてみると露天の方が少しぬるっとした肌触りのお湯のように感じられた。
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