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2012.05.20

姥湯温泉旅行記2日目その2

 2012年5月5日(土曜日)


兎の耳? お土産を買い込んだ後は、桜巡りの後半戦だ。
 まず最初に向かったのは十二の桜である。
 「十二の桜」の「十二」は「十二薬師堂」の意味の地名である。桜が十二本ある訳ではない。それでも何本かの桜が植えられ、中に樹齢400年ほどのエドヒガンの老木の古株が含まれている。現在、一番の大木になっている桜はその3代目だ。
 大きな枝が2本、上に向かって伸びている様子がちょうど兎の耳のようにも見えて、ここが白兎の桜かと思ったら、違っていた。そもそも「白兎」は地名である。


十二の桜と水仙花びらの絨毯 十二の桜は、田園風景のど真ん中にある。
 そして、その畑の際には水仙がたくさん植えられ、桜の周りにも植えられ、ピンクと黄色の組み合わせがきれいだ。
 何とかそのピンクと黄色の組み合わせのきれいな写真を撮ろうと奮闘する。
 桜の木のすぐ近くに電線があって、順光で撮ろうとするとその電線が写真に入ってしまうし、妙な姿勢でがんばっていたらお姉様方に笑われてしまった。
 十二の桜だけは、桜の根本にまで近づいて見上げることができた。他は木道がめぐらしてあったり、ロープがあったりで、近寄ることはできなかったと思う


 今回めぐった置賜さくら回廊の一本桜には、ほぼ必ず売店とお手洗いが併設されていた。
 ここでは、「夜中のかいもち」というのぼりが出ていた。「かいもち」は、蕎麦がきのことらしい。「どうして夜中なんですか?」と尋ねたところ、山形県内からこの観光バスに乗ったという方が「昼間は農作業で忙しく、かいもちを作るのは夜中にしかできなかったからだそうですよ。」と教えてくださった。
 もうちょっとお腹が空いていたら食べてみたかったなぁと思う。
 食べるといえば、バスガイドさんが、山形県内では最近、水仙の葉っぱをニラと間違えて食べて食中毒になる人が出ていると言っていて驚いた。


薬師の桜 薬師の桜は、エドヒガンザクラで、推定樹齢が1200年だという。といっても、いわゆる大木ではない(という印象だ)し、樹もだいぶお疲れの様子だ。「老いたりといえど」という感じで花を咲かせている。
 薬師の桜は、満開の花を見るよりも、コブだらけで捻りも加わった幹を鑑賞すべきなのかも知れない。
 木道が木の周りに巡らせてあり、横にはさらにひっそりと薬師堂が佇んでいる。
 何というか、全体として「翁(おきな)」という印象だ。


 バスガイドさんに先導されて、薬師の桜からアスファルトの道と土の遊歩道を歩くこと5分少々で釜の越桜にたどり着いた。
 裏手から入って行く。
 見ごたえのある、大きな3本の桜が並んでいる。
 その中心は、樹齢800年といわれるエドヒガンザクラの巨木で、捻りの入った幹を支えられ、こちらもまた翁の風格がある。


釜の越桜 一番手前にある樹齢800年のエドヒガンザクラを正面から見ると、その右奥に勝弥桜が大きく枝を張っている。
 こちらは樹齢90年と若く元気な桜の木である。この村の勝弥さん(名字は何というのだろう)が翁の桜から接木で育てた子どもの桜である。勝弥桜が釜の越桜の子どもであることは、村人の間でも言い伝えられてきており、ほぼ間違いなく確定情報だという。
 その左奥にある更に若い桜は、やはり釜の越桜の子どもで樹齢20年(30年だったかも知れない)だそうだ。
 後で調べたところ、桜の木の下にある3個の巨石は、八幡太郎義家が西片の三麺峰に居陣したときこの石でかまどを築き兵糧を炊いたとの伝説があるそうで、そうとは知らずに、「じゃまっけな石だなぁ」という不埒なことを思いつつ見て申し訳なかった。


釜越の桜と朝日連峰 花坂爺さんの扮装をしたガイドさんのお話では「釜の越桜は、借景に朝日連峰をみることができ、置賜さくら回廊のパンフレットのトップによく使われている。」そうだ。
 確かに、遠くに山並みがくっきりと見えていて、なかなか格好いい。見応えのある風景である。
 ちょうど朝日連峰を望む位置に用意されたベンチにのんびり座り、その「表紙になるくらい絵になる」桜を眺めたり、かなり大きく保護のためのロープが張られているのでその周りの土の道を歩いて一周したり、置賜桜回廊の白眉ともいうべき桜を堪能した。


 最上川がひとつの県だけを流れる川としては日本最長という話はバスガイドさんがり返し強調したところである。
 さらに、確かこの釜の越桜にいたガイドさんから、いわゆるエドヒガンサクラは最上川左岸にしかないという説明を聞いたような記憶がある。本当だろうか。我ながら、どうも自信がない。


釜の越桜


白兎のしだれ桜 次に向かった白兎のしだれ桜は、再び白鷹町から長井市に戻ったところの葉山神社の境内(というよりは、境内からはみ出しかかっている場所)にある。
 流石の私にも、これまで見てきたエドヒガンザクラとこのシダレザクラとの違いは判る。シダレザクラも風情があっていいものだ。
 葉山神社にお参りし、シダレザクラを色々な角度から見て楽しむ。このシダレザクラも特に囲い等はされていなかった。樹齢が若く元気だからか、神社の境内だからか、位置的に観光客に蹂躙されるようなこともあるまいということかも知れない。


草岡の大明神 桜巡りのトリを取ったのは、草岡の大明神と呼ばれる、国の天然記念物に指定されている桜である。
 この桜は何と個人のお宅の庭にあり、お庭の外から拝見させていただく。
 立て看板の説明によると、胴回りで比べると日本で2番目の巨木だそうだ。上背のある桜という印象で、何故かガリバー旅行記の巨人が思い浮かんだ。
 1番胴回りが太い桜の木は鹿児島県にあり、しかし特に通称はないという。なかなか好もしい話である。


 バスガイドさんの山形県民謡や「りんごの歌 山形弁バージョン」などを楽しんでいるうちに、観光バスは予定よりも20分くらい早く、赤湯駅に16時20分くらいに到着した。渋滞もなかったし、かなり順調に走ったようだ。
 私たちは赤湯駅19時13分発の新幹線の指定席を押さえてあったので、駅では降りずにそのまま赤湯温泉街まで行った。
 赤湯温泉の立ち寄り湯で温泉を楽しみ、夕ごはんを食べようという計画である。


 バスが「いきかえりの宿瀧波」の前で停まったので、まずはこちらの宿で立ち寄り湯が可能かどうか聞いてみたところ、「チェックインのお時間までとなっております。」と言われてしまった。残念である。
 近くにいわゆる銭湯もあるけれど、その荷物では宿の立ち寄り湯を利用した方がいいでしょう、ただ立ち寄り湯ができるかどうかは各宿に聞いてみてくださいと、地図兼宿のリストをくださった。


 バスの中から足湯も見えたゆーなびからころ館に行ってみる。観光案内所兼お土産物屋兼休憩所兼足湯、みたいな場所である。
 からころ館の隣にも公衆浴場である「赤湯元湯」があり、受付のお姉さんにも紹介されたけれど、もう少し風情を感じたい気もする。
 観光情報のパンフレットを集めた棚に立ち寄り湯が可能な宿一覧の紙があり、1軒だけ17時近いこの時間でも立ち寄り湯を受け付けている宿があるのを見つけた。しかも、ここから近い。
 きっと宿の方がアメニティも充実しているだろうと、大和屋に向かった。


 大和屋では、立ち寄り湯は500円、タオルが別売りされていた。「立ち寄り湯をお願いします。」と声をかけると、女将さんがフロントから出てきてくれ、その場で料金支払い、あちらですと目の前にある大浴場を示された。あっさりしたものである。
 大浴場が2つあり、岩風呂と大理石風呂が時間で男湯と女湯に入れ替わるらしい。私達が行った時間帯は、大理石風呂が女湯になっていた。
 お風呂は内湯のみでそれほど大きくはない。源泉掛け流しのお湯は熱く、無色でさらっとしている。窓が開けられていて「窓を閉めるとお湯が熱くなりすぎて入れなくなります」という張り紙があるのが何となく可笑しい。
 熱い熱いと言いながら、髪も洗ったし、ここでもかなり長湯した。


シャガールのリトグラフ さて夕食をどうしようと先ほどの女将にお勧めをお聞きしたところ、「隣でうちがお店をやっています。」という非常に判りやすいお返事をいただいた。
 うん、そんな気がしていたんだと言い合いつつ、お勧めに従って、お隣にある味考で夕食をいただくことにした。
 テーブルの席をお願いしたら、20人くらいでパーティができそうなお部屋に案内された。シャガールのリトグラフが部屋をぐるりと取り巻いている。凄い。


 和洋折衷のお任せコースを選び、「19時までに赤湯駅に行きたいので、タクシーを呼んでおいていただけますか?」とお願いする。
 さらに、ここでお食事をいただくと大和屋の無料入浴券をいただけることに気が付いて「今、温泉に入ってきたところなんですが。」と言ってみたところ(正確にいうと、私はこれを言うのはちょっと勇気が必要だったので、お姉さんにお願いした)、入浴券についても「期限はありませんから。」といただき、「サービスでデザートをおつけしますね。」と言っていただいた。お得な気分である。


グラタンにぎり寿司


 和洋折衷のコースは、前菜にはじまり、山菜のお浸しやグラタン、米沢牛の陶板焼き(これは、最初、火元の小さなものを持って来られてしまい、弱火で焼いたので、時間がかかり、水が出てしまって勿体なかった!)、えびしんじょ、サーモン等々のお刺身、にぎり寿司とお汁という内容である。
 サービスにいただいたデザートは桜のアイスクリームで、こちらも嬉しい。
 新幹線に乗り遅れたら洒落にならないので急いで食べつつ、でも、(失礼ながら)意外と美味しかったので残すのは勿体なさ過ぎる。3人ともほぼ完食し、大満足で赤湯温泉を後にした。


 赤湯駅には19時くらいに到着した。
 駅のお土産物屋さんは特にワインが充実していて、朝の到着時に当たりをつけていたとおっしゃりつつお姉様はワイン選びに余念がない。
 私も何となくつられ、2月に来たときに買いそびれたラフランスのジャムをお土産に購入する。
 駅のお土産物屋さんは19時までだったらしく、私達が店を出るのと同時くらいに閉店になっていた。


 19時13分に乗り込んだ山形新幹線は満席のアナウンスがあった。
 3人でおしゃべりしたり、眠り込んだりしつつ、それぞれまたばらばらに新幹線を下車して帰宅した。


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