甲府旅行記2日目
2012年8月19日(日曜日)
朝、目が覚めら6時半過ぎだった。
母が「私はもう1時間以上前から起きていた。」と言う。昨夜は母のいびきが気になって眠れなかったのだからお相子である。
窓を開けるといいお天気で、目の前の山(といってもそれほど高くはない)から上がった太陽が見えた。がんばって早起きすれば日の出を見られたかも知れない。惜しかった。
7時過ぎに大浴場に向かった。私は2度目、母は初めてである。
「こっちのお風呂の方が広いね。」と母はご満悦だ。再びほぼ貸切状態で嬉しい。朝の風は涼しく、日差しもそれほど強くなく、のんびりと「朝の温泉」を楽しむ。
確か、こちらのお風呂が「石の湯」で、昨日、宿に着いた後で入ったお風呂が「花の湯」である。
ホームページでは大小四つの露天風呂と書いてあったけれど、「花の湯」には露天風呂は一つだったと思う。見逃したんだろうか。
朝食は朝食会場に赴く。「用意ができました。」という電話に呼ばれて向かうと、結構たくさんの人がお食事をされていて驚いた。
赤ちゃんもいる。
昨日からこちら、館内もお部屋もとても静かで、こんなにたくさんの人が泊まっているとは思わなかった。きっと防音がいいのだろう。
ごはんやおかずはすでにテーブルにセットされている。
柳屋の朝食のポイントは「お漬物のバイキング」だ。日本各地のお漬物が10種類以上並んでいて、好きなだけいただくことができる。
納豆やサラダも用意されている。
お味噌汁も、月替わりの蜆のお味噌汁とほうとうがあり、その他、蕎麦粥なども大きな鉄鍋で並んでいる。少し離れたテーブルに生卵が置かれていて、かなり惹かれたけれどごはんを2膳食べたくなってしまうので自粛する。
牛乳とぶどうジュースもある。
和食と洋食と両方が用意されているときは洋食を選んでしまう私だけれど、こういう和食バイキングも楽しい。
たくさんいただいた。
母は意外とせっかちである。
朝食後、のんびりぼんやり、デッキのテーブルでタオルや手ぬぐいを乾かしていた都合もあって(お庭の景観を著しく損ねていたら申し訳ない)だらだらしていたら、母はあっという間にお出かけモードになっている。
9時半くらいにチェックアウトした。
併せて、フロントのお姉さんにお勧めのぶどう狩りをお聞きしたら、宿と提携しているというぶどう園を教えてくださった。しかし、何となく説明がおかしい。話をしているうちに、お姉さんは車移動が前提で紹介してくれたことが判った。
改めて「バスと電車とタクシーで移動するとして、お勧めのぶどう園はありますか?」とお聞きすると、「早川園」というぶどう園を紹介してくださった。20分後くらいに来るバスがぶどう園に近いかいテラスに直行するという。
女将さんを始めとする方々がわざわざ外に出て見送ってくださる中、宿を後にし、バス停に向かった。
お天気がよければ、大体30分くらいで登れるという湯村山に登って富士山を眺めたいところだけれど、富士山があるだろう辺りはもくもくとした入道雲が湧いていて、とても見えそうにない。
バス停に行くと、お姉さんが教えてくれたバスがない。よくよく時刻表を見てみると「24年8月13日改正」と書いてある。きっと、従業員の方々も車通勤でバスはあまり利用しないのだろう。
甲府駅に行くバスがすぐ来たので予定を変更し、駅に向かった。
駅の観光案内所で「ぶどう狩りがしたい。」「ここから行きやすい、いいぶどう園を教えて欲しい。」と質問をしたところ、係のお姉さんが愛宕園を紹介してくださった。
このぶどう園は、甲府駅から徒歩15分ほどだし(道順も教えてくれた)、15分歩くのが大変なら身延線で金手駅まで行けば徒歩3分くらいだという。
お腹を空かせるためにも暑いけど歩いて行くかと思っていると、電話すればもし手すきだったらお迎えにも来てもらえますという。それは有難い。
愛宕園のちらしをもらい、コインロッカーに大きな荷物を預け(昨日の反省に基づいて、ショルダーバッグをエコバッグに入れて、タオルなども入れて持ち歩くことにした)、準備万端である。
それにしても暑かったので、ダメ元で電話を入れてみると、お迎えに来てくださるという。北口に出て指定された場所で「どうやったらお迎えが来たって判るんだろう。」と言い合いつつ待っていると、「愛宕園」の看板を掲げたおじさんがいらした。
判りやすい。
バンに乗せてもらって、ぶどう狩りに向かった。
「今年のぶどうは甘いですよ。」「今は巨峰が旬ですよ。」と説明を受ける。昨日のタクシーの運転手さんの言葉を思い出して「デラウエアは?」と聞いたところ「そろそろ終わりだね。」という回答だ。
11時前くらいに到着した愛宕園は、「金手園」というぶどう園のお隣だった。
おじさんの運転するバンがいきなり「金手園」と書かれたところに入って行こうとするので驚く。すぐそのお隣にある「愛宕園」に車を入れるために切り返しをするためだと分かった。
愛宕園は、金手駅を見下ろす丘というか坂の中腹にあって、ぶどう畑が見上げる限り広がっていた。
この「見上げるような急坂」がポイントで、日当たりと水はけのよいことがぶどう栽培には必要らしい。
駅の観光案内所でもらったちらしに入場料と試食が無料になるチケットが付いていて、そちらを利用して、用意されていたテーブルにつき、ぶどう5種類を試食させていただいた。
すでに忘れているところが情けないけれど、ピオーネ、スマイル、ロザキの3つは確かで、あと、スマイルと似た見た目のぶどうと、グリーンでマスカットよりは小粒で緑が濃くて味がデラウエアに似ているぶどうと5種類あった。
数粒ずつ食べて、これで結構、満足感がある。
ここで食べ放題で食べるよりは、ぶどう狩りして送ってもらおうと母と相談が一致し、おじさんにぶどう畑に連れて行ってもらった。
そして、ここでもぶどう園のおばさまに「母子なの?」と驚かれ、「姉妹かと思った。」と言われて母はご満悦、私はショックである。
しつこいようだが、一体私はいくつに見られていたのだろう・・・。
藤稔という品種が愛宕園の一番の「売り」のようだ。
巨峰よりも粒が大きく、房が大きく、色も味も濃い。栽培しているところも少なく、希少品である。
この「藤稔」も食べたいと母が言い、私がマスカット系のぶどうを好きなことを知っている母がそれもと言い、巨峰、スマイル、シャインマスカット、藤稔の4種類をお願いした。
最初に行った畑は「巨峰」の畑である。まず一気に上の方まで行ってしまおうということだろう。
巨峰は試食になかったので、おじさんが一粒ずつ取って味見させてくれた。意外とさっぱりしている。もっと濃厚なイメージがあったのでちょっと意外である。
粒が揃っていて、傷んでいたり内側に育ちきっていない粒があったりしない房が良い房だそうだ。
何だか楽しそうにしているので、ぶどうの収穫は母にお任せした。下の方を掴むのではなく手のひらで受け止めるように支えて切るのがポイントである。
巨峰とスマイルは2房ずつ、シャインマスカットと藤稔を1房ずつの6房を選んだ。
母はもっと選びたそうだったけれど、妹母子がいるとはいえ、妹は食べるのが面倒くさい果物にはなかなか手を伸ばさないし、甥っ子はぶどうはまだ食べられないだろう。ぶどうは1週間くらいなら大丈夫というけれど、母と私の二人で6房1週間以内というのはなかなかハードルが高い。
「うち、そんな大家族じゃないんだから!」と思い留まっていただいた。
でも、次から次へと「これも!」とやりたくなる気持ちはよく判る。
これだけたくさんのぶどうを持ち帰るのは大変なので、送ってもらうことにした。ぶどうが全部で7kg強(だったと思う)で4500円、箱代と送料を足して5600円だった。
どうしてこんなことを細かく書いているかというと、この後、甲府駅前のスーパー店頭で売られていた藤稔が一房5000円で売られていて驚いたからだ。私達が選んだ藤稔よりも房は立派だったけれど、それにしても! とびっくりした。
高台にある愛宕園からの見晴らしは美しい。
甲府は山に囲まれた盆地に位置するので、どっちを見ても山が見える。
富士山が見られたら嬉しいけれど、残念ながら、完全に雲に隠れてしまっている。
山に囲まれた甲府の、南北それぞれの側から入道雲がもくもくと育ちつつあり、ぶどう園のおじさんは「この雲が上でぶつかると雨が降るんだよ。今日も夕立だな。」とおっしゃる。
帰りもおじさんに甲府駅北口まで送っていただいた。
その車中で、「甲府の美味しいもの」として奥藤というお店の鳥モツをお勧めしていただいた。
宿の特別メニューにも載っていて気になっていたのでお聞きしたら、B-1グランプリで優勝してから一気に広まったメニューだそうだ。
調べてみると、2010年9月に開催された厚木大会で、「みなさまの縁をとりもつ隊」の名前で優勝していた。
おじさん曰く「優勝以来、あっちこっちで出すようになったが、やっぱり元祖じゃなくちゃ。」ということだ。
このお話を教えてもらっていたとき、実は私はこの「鳥モツ」というのは持ち帰りだと思っていた。真空パックになった鳥モツが売られているイメージである。
それで、調理法を尋ねたつもりで「どうやって食べるんですか?」「え? 箸で食べるんだろ。」というマヌケかつ微笑ましい会話をしてしまった。
お店は甲府駅南口の駅前、すぐ判るところにあるという。今日のランチは決まりである。
まだ11時半過ぎである。お昼ごはんを食べる前に、先ほどお迎えを待っているときに気になっていた、駅前広場にあるちょっといい感じの建物に近づいてみた。
すると、そこは甲府市藤村記念館で、入館無料だという。藤村という字面を見て島崎藤村か? と安直に思ったらそうではなく、初代山梨県知事の藤村紫朗氏にちなんでそう呼ばれているらしい。
元々は小学校として建てられた、藤村知事が積極的に推奨して「藤村式」と呼ばれるようになった擬洋風建築である。現在は、国の重要文化財の指定を受けている。
中に入ると、元々この建物が置かれていたという武田神社の模型があったり、ガイドブックなどが置かれた団欒スペースのような場所があったりする。
写真展が開催されているという2階(下足禁止である)に上がると、日本全国の擬洋風建築(恐らく重要文化財等に指定されているもの)の写真が並べられていた。私は開智学校くらいしか知らなかったけれど、結構、あちこちに散らばっている。
また、当時の教室の様子が再現されていて、小さな木の机に木の椅子が並んでいた。座ってみる。椅子が壊れなくて幸いである。
特に「これ」といったものがある訳ではないのに、なかなか気持ちのよい空間だった。
入口のところではいい香りがしていて、帰り際に立ち止まったら奥にいた人が出てきてくださった。売られていたのはバラのポプリで入浴用として販売しているという。
お花の形を保ったものは1回分で200円、花びらにしたものは3回分でやはり200円、この藤村記念館の周りで咲いているバラの花から作ったそうだ。
あまりにもいい香りをさせていたので、花びらのものを一つ買い求めた。
人気店だというから早めの方ががいいだろう。
甲府駅南口に出て、奥藤を探した。ぶどう園のおじさんの口ぶりだと「南口に出たらすぐ目の前にある」感じだったけれど、店が甲府駅の方を向いている訳ではなく、駅前ロータリーから駅を背にまっすぐ伸びる道に面していたので少し探した。
「満席まであと一歩」という状況で滑り込めた。ラッキーである。
メニューを検討し、蕎麦が2枚付いてくる清流生わさびそばを頼んでつゆを一つ追加してもらい、それと鳥モツ煮を一皿頼んだ。
鳥モツ煮は、「モツ煮」というよりは、照り焼きという感じだ。
甘辛く、ビールが欲しくなる味である。なかなか美味しい。私も母も臓物系はどちらかというと苦手だけれど、こちらはぺろりと美味しくいただいた。
お蕎麦も美味しい。生わさびをするのに忙しく(多分、おろし金にはちゃんとサメ皮が張ってあったと思う)、写真を撮り忘れたのが痛恨事だ。
お会計のとき、母に命じられてレジで売られていた「ばかうけ」も一緒に購入した。妹へのお土産である。
13時29分甲府始発の特急かいじがあり、駅員さんに「自由席で十分座れます。」と太鼓判を押してもらってそちらで帰ることにした。電車の時間まではお土産探しである。
お土産購入は、母の独壇場である。母の年代の女性が旅先でお土産にかける情熱というのはかなり凄いと思う。お土産を買うために来たんじゃないかと思うくらいだ。
これだけは外せないだろう桔梗屋の信玄餅に「プレミアム」「吟造り」と銘打ったバージョンがあることを発見し、賞味期限短さをものともせず8個入りを購入していた。
駅の北口と南口をうろうろしているときから母が気にしていたのが印傳のお財布である。
印傳屋上原勇七というお店のもので、中でも紫色で大き目のお花が描かれたちょっと変わったデザインのお財布に心惹かれているらしい。
確か母と旅行に行ったとき、指宿だったかで母がお財布を買うところを目撃している私は「またお財布?」と思ったけれど、持ってみると軽いし、なかなか使いやすそうである。
母の誕生日プレゼントには少し早すぎだろうと心の中で思い定めた頃、母はさっさと自分で購入していた。
冷凍で売られていた八ヶ岳高原生シュークリームを帰りの車内のおやつに購入し、雲に隠れて見えない富士山を探しつつ、甲府を後にした。
17時くらいに家に帰りつくと知らせてあったせいか、母と二人、少し早めに家に帰ったときには妹母子は出かけていて家は空っぽだった。
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