月山・鳥海山旅行記3日目
2012年7月28日(土曜日)
6時に目が覚めた。いいお天気である。
泊まった部屋の目の前はスキー場のゲレンデで、その向こうに山も見える。
そそくさと身支度をして温泉に行く。相変わらず滅茶苦茶体が温まる温泉で、お湯が熱めという訳ではないのに、10分くらいであがった。ひたすら長湯の私にはかなり珍しいことである。
東北の温泉は強烈だ。
丁度この日は、ロンドンオリンピックの開会式だった。テレビをつけると、入場行進の様子が映し出されている。
母と私のボストンバッグのうち片方にもう使わない荷物を詰めて送ってしまおうと相談がまとまり、その入れ替え整理もしつつテレビを眺め、ホテルのフロントに宅急便をお願いし(翌日到着で1160円だった)、日本の入場行進を見てから朝食に向かった。
ホテルの雰囲気からも洋食でしょうと、今朝はパン食である。
8時30分にホテルを出発する。
今日のバスの座席は左前方だ。前から後ろに下がって行くよりは、後ろから前に上がって行く方が何となく嬉しい。
ホテルからバスで15分ほどで、鳴子峡の地獄谷に到着した。
最初のうちは、緑豊かな、せせらぎ聞こえる小川の傍に作られた遊歩道を進む。
そのうち硫黄の匂いがし始め、すぐに「紫地獄」と名付けられた、黒いピラミッド状の山から湯気が吹き上げている(ように見える)場所が近づいてきた。
この「紫地獄」では、温泉玉子を作ることもできるらしい。朝食をお腹いっぱい食べているからちょっと無理だけれど、やってみたかったなと思いながら、その側を通り抜けた。
この遊歩道で1箇所だけ、歩道に被るくらいに温泉が噴き出しているところがある。10〜30分くらいに1回吹き出すということで、危ないからと添乗員さんが先頭を歩いている。
ちょうど、私たちツアー一行がその場所に到着する少し前に吹き出していたようで、歩道がかなり濡れている。
もうちょっと待てばまた吹き上げるかと、同じように「吹き上がるところが見たいよね。」とおっしゃる方と一緒に待つけれど、なかなか吹き上がる様子がない。
吹き上げ口の下の噴出口がぶくぶく言い出せば吹き上げる前兆であるという看板があって、集合時間に戻れるギリギリまで粘ったけれど、残念ながら吹き上がる様子を見ることはできなかった。
バスはここから道の駅おがちという秋田県にある道の駅に向かった。
小野小町生誕の場所と言われており、「小町の鄕」というサブタイトルがついていて、建物も市女笠をモチーフにしている。
このツアーでは、ホテルを除くとほとんどお土産を買う機会がなかったから、「どうぞお土産を買ってくださいね。」という意味もあったのだろう。そこで全くお買い物をせずにお手洗いを借りただけの我が家は申し訳ない限りである。
カフェで売っているジェラートが美味しそうだったけれど、この後、早めのお昼ごはんをバスで食べるというスケジュールだったので断念した。
この後、バスで30分弱のところにある秋田ふるさと村という施設に立ち寄って、オプションで頼んだお弁当が積み込まれた。
どちらかで良かったんじゃないかとか、こんなに色々売っていて軽食コーナーやレストランもある場所に2箇所寄るなら1箇所にしてそこで食べることも可能だったんじゃないかとか、勝手なことをぐるぐる考える。
このふるさと村も相当にお土産物の品揃えが豊富で、楽しかった。私たちは立ち寄る時間はなかったけれど、美術館なども併設されていて、1日遊べそうな感じの施設だ。
秋田ふるさと村を出たのは11時半前だ。少し早いよと思いつつ、「お弁当を食べる機会はここです! 」とバスガイドさんに促され、みなさん、配られたお弁当を広げ始めた。
母と私も、秋田比内地鶏のいいとこどり弁当を広げる。確か、パックのお茶も付いてきたと思う。JR東日本開業20周年記念弁当と銘打たれた、比内地鶏の刻み肉とそぼろをたっぷりごはんに乗せたお弁当である。大して動いてもいないのに、ぱくぱくと調子よく食べた。
私たちがぱくぱく食べている間もバスは進み、12時過ぎに小安峡大噴湯に到着した。
小安峡は、結構長く遊歩道が整備されていて、川が長年にわたって浸食した深い谷間を歩けるようになっている。ツアーでは、メインイベントである大噴湯を見られる30分ほどのお散歩が用意されていた。
峡谷なので、最初にがっと階段を下り、戻りは当然に上ることになる。それが辛いと思う方は橋の上からも大噴湯を見ることができますという案内があった。
涼しげではあるけれど、大噴湯があるくらいだから、やはりその熱は伝わって来る、ような気がする。
そして、ここまで谷が深いと風も通らない、ような気がする。
緑の木陰があることが有り難い。
遊歩道をのんびり進んで行くと、割とあっけなく大噴湯に到着した。
上から見ても判りますと言われた意味がやっと判った。
大噴湯は下から上へ吹き上げているのではなく、岩壁から横に吹き出しているのだ。
結構な勢いで、しかもずっと吹き出し続けている。休憩があるとか、何十分に1回とかいうことではない。
遊歩道までその大噴出は届いていて、霧状になっているから大丈夫だろうと突入したら結構熱く、そして膝から下が濡れてしまった。
さっき、地獄谷で見そびれた分、ここで思う存分眺めることができて満足である。
上からも見てみたいと急いで階段を上がり、集合時間までまだあることを確認して、橋の方に向かった。
ツアーの方が何人か橋の上にいらして、ちょっと安心して眺める。
大噴湯が、確認できる。遊歩道を濡らして吹き出している様子もバッチリ判る。
橋の反対側から見下ろせば、逆に緑豊かな峡谷の様子がよく判る。
紅葉の時期にはきっと青緑色の川面と赤と黄色の葉のコントラストが映えて綺麗だろうなと思う。
でも、緑のグラデーションの木々の葉と青緑色の川面の組み合わせも、これはこれでうっとりする。
50分の滞在を満喫した。
このツアー最後のイベントは、13時20分に到着した須川高原温泉栗駒山荘での立ち寄り入浴である。
2箇所のお散歩で結構大汗をかいていたので、この入浴は有り難い。60分1本勝負で余裕がないような気がするけれど、考えてみれば今朝だってお部屋を出て温泉に入って戻って来るまで15分強しかかかっていない。
二日前に福島駅前を同時に出発したもう1台のバスも同じ行程だ。私たちの乗ったバスがちょっとだけ早く到着し、コインロッカーに貴重品だけ預け、少しだけ空いた脱衣場を使って、温泉に入ることができた。
栗駒山荘の温泉の売りは、とにかく露天風呂である。
露天風呂のその先は、広々とした山の景色だ。露天風呂には屋根もなく、直射日光が厳しいくらいだけれど、その分、開放感がある。
周辺には明かりらしい明かりもなさそうで、夜になれば満天の星空を満喫できそうだ。
時間制限があるためか、15分ほどで上がって行く方々の多い中、粘れるだけ粘ってやろうとのんびり(一応、時々、時計を気にしつつ)浸かっていると、あっという間に人がいなくなる。
芋の子を洗うようだった露天風呂も最後には私を含めて5〜6人といった感じになり、悠々と楽しむことができた。満足である。
ペットボトルのお茶を買って一気飲みする。暑くて熱くて喉が渇いて仕方がない。
落ち着いたところで外に出ると、風が涼しい。
駐車場に出るとバスガイドさんがいて、あれがくりこま山だと教えてくれた。
のんびりとした外観のお山である。
帰路についてすぐ、バスガイドさんが「これは見てください。」と案内してくれたのが、祭畤大橋だった。
2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震で崩壊し、現在、災害遺構として保存されているという。
地震直後は右側だけでなく、左側からも道路が落ちていたようだ。
呆然として声もでなかった。
14時30分過ぎに栗駒山荘を出発し、一の関インターから東北道に乗って、16時前に長者原SAで休憩を取った。
さらにもう1回、18時過ぎに(多分)安積PAで休憩である。このPAに入る前辺りで、二日前には拝めなかった安達太良山の写真を撮るべくがんばった。
私たちのツアーは19時半過ぎに郡山駅を出るMAXやまびこ156号に乗る予定なので余裕だけれど、バスガイドさんによると、同じサービスエリアに新白河から私たちよりも早い時間の新幹線に乗る予定のツアーバスがあったという。そちらはほぼ間に合わない計算になり、バス内の空気が重くなっていたらしい。
バスは順調に走り、十分過ぎるくらいの余裕をもって郡山駅に到着した。
夕食のお弁当が配られる。添乗員さんが指定しようとした再集合の時間が新幹線の発車時刻スレスレで、ほぼ全員からツッコミが入る。
駅の1階のお土産物屋さんを覗いて時間を潰した。
2階建て新幹線の1階席に座ったのは初めてかも知れない。微妙に圧迫感がある。やはり駅に停車した際にホームの位置が高いというのは気になる。
新幹線の座席は、行きは母と二人席だったけれど、帰りは3人掛けの席に二人で、お隣は栃木からいらしたというご婦人だった。添乗員さんが「何組か、お二人連れでも並び席にできない方が出てきてしまいます。」と言って、乗車距離の短い方と、あとはくじ引きでバス車内で座席配分をしていたことを思い出す。
宇都宮で降りるというその方は帰宅してから夕食にするとおっしゃっていて何だか申し訳なかったけれど、「どうぞ。」と言っていただいて、有り難くお弁当を広げた。
昼も夜もお肉びっしりのお弁当ってどうなんだろうと思いつつ、母も私も選んだのは幕の内風のお弁当との二択のうち、福島牛 牛めしと銘打たれたお弁当である。
郡山から上野までは意外と近く、そうのんびり食べている訳には行かない。
上野駅で新幹線を降り、土曜日なので空いている電車に乗って、「荷物が少ないのは楽だね。」などと話しつつ、無事に帰宅した。
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