白馬旅行記(2013)2日目その1
2013年7月16日(火曜日)
朝、目が覚めたら5時半過ぎだった。
カーテンを開けるともうかなり高いところまで日が昇っている。ロビーにあった天気予報の看板を見たところ、日の出は4時40分だった。山から朝日が昇ってきて朝焼けが広がるところが見えただろうに惜しいことをした。
さくっと起きて朝風呂に行くと、数人の先客がいらっしゃった。朝食時間との兼ね合いもあるし、この時間帯が一番重なるのだろう。それでもカランなどは待つこともなく、余裕である。
露天風呂の入口に湯温が表示してあって、41度だった。いくら露天風呂で涼しい風が吹いているとはいえ、長湯ができない筈である。
帰りに自動販売機でお茶を買い、部屋に戻って廊下のアイスマシンで氷をもらってきて水筒に詰める。母は、アイスマシンの氷に水を足して氷を溶かし、冷たくなったお水と小さくなった氷をペットボトルに詰めていた。
7時少し前にレストランに行くと、半分以上のテーブルが埋まっていた。昨日の夕食時や大浴場の閑散とした雰囲気が嘘のようだ。みなさんどこにいたのだろう。
朝食はバイキングで、和食と洋食が揃っていた。いつもどおりのお約束で母と私は洋食派だ。何だか美味しそうに見えて私としては珍しいことにグリーンサラダも選んだ。いちじくのコンポートも美味しそうだったのでヨーグルトをかけていただく。
普通のソーセージに見えたけれど、このソーセージがいかにも「本式」という感じで美味しい。
この後でフルーツをもらいに行こうと思っていたけれど、お腹が一杯で断念した。
私が持っていたボストンバックに温泉入浴に必要なものや着替えをまとめ、その他のものはミラコロに詰め、その両方をフロントに預ける。
8時半のバス出発に間に合うように15分前にロビーに下りてチェックアウトした。ロビーに人の姿が全くない。みなさん、一体いつどこへ出かけたのだろう。
荷物を預け、八方アルペンラインの割引券(1割引で2340円)を二人分購入する。迷った末、私は折りたたみ傘とナイロンパーカをリュックに入れたけれど、母は「雨は降らないわ!」と出してしまったようだ。その代わり、シナイ山以来しまいこまれていた私のストックは母の手にある。「絶対にこの方が楽だから。」とダブルストックを勧めた。
8時半の送迎バスには私たちの他に数人の方が乗っていた。
フロントで「八方ゴンドラの乗り場からホテルまでの、絶対に迷わないような地図はありませんか?」と聞いたところ、「地図よりも、バスに乗って向かうときに道を覚えていただいた方が確実です。」というお返事だった。道筋を覚えようと外を凝視する。
到着してしまえば、確かに非常に判りやすい道筋だった。難点は、帰りのしょっぱなに緩やかな上り坂が続くことだろうか。「まぁ、近いね。」「歩けそうだね。」と母と言い合う。
ゴンドラ乗り場でお手洗いを借り(その近くに大きなコインロッカーもあった、冬はスキー客が来るから大きなコインロッカーは必須らしい)、早速ゴンドラに乗り込んだ。
いいお天気である。
ゴンドラに乗っているとき、妹から母に電話がかかってきた。
別に急用がある訳ではない。自分が洗濯物を干したくて、その間、甥っ子の相手をしてもらいたいという電話である。
母も調子に乗って「お山に来ているんだよ。」「ゴンドラに乗っているんだよ。」などとしゃべっている。多分、甥っ子はゴンドラを知らないと思う。
駅に到着する寸前、何故かゴンドラの道筋の急斜面に牛が集まっているのが見えた。どうしてわざわざ急斜面に集まるのか、謎である。
アルペンクワッドリフトに乗り換えて再び登る。
白、紫、ピンクのお花が足元に咲いていて、涼やかである。
母は、何故かこの旅行中、このシモツケソウに心奪われていたようで、見かけるたびに「綺麗ね。」と言っていた。
うろ覚えの記憶によると、このリフトを降りたところでおにぎり弁当が売っていて、買うかどうかかなり迷った。最初のゴンドラを降りたところにレストランがあることも確認していたし、座って食べるところがあるかどうかも判らなかったので見送る。。
後になって考えると、ゴンドラに8時半に乗るくらいのタイミングで母と私の組み合わせでの道行きだったら、八方池でのんびり山を眺めながらおにぎり弁当を食べるという行程が時間的にも丁度良かったかもしれない。
黒菱平雲海デッキのベンチには、イーゼルを前にした人々が集まっている。絵画教室のようで、先生らしき方が「これだけ雄大な景色なのだから、大きく描かなくては。」等とアドバイスしている声が聞こえる。
ちょっとお邪魔して写真を撮らせていただいた。スケッチの邪魔をしてしまって申し訳ない。
ここまで白馬三山がくっきりと見えるのは多分珍しいことだと思う。一昨年の8月末に白馬に来たとき、ホテルの方が「この夏はホテルから一度も白馬山が見えたことがない。」と言っていたのを覚えている。
白馬三山とは反対側を見下ろすと、クルマユリが咲く草原の向こうに白馬の町を見下ろし、そのさらに向こうに山並みを見ることができる。
山好きの人なら「あれは**山で」とすぐに判るのだろうと思う。
アルペンクワッドリフトを降りた黒菱平から八方尾根自然研究路は始まっている。しかし、黒菱平から歩く気力体力共に欠けている母と私は、迷いなく通し券を買っており、さらにグラートクワッドリフトに乗り継いだ。
グラートクワッドリフトを降りたところに八方池山荘やお手洗いがあり、第一ケルンがある。標高1830mだ。
この後は、第2ケルンまでお手洗いはない。そのためか、「お手洗いも心配でしょうが、水分摂取をしないで熱中症で倒れた方がたくさんいます。」という張り紙がしてあった。
なるほど、こんな山の上で熱中症になるとはなかなか思いつかない話だ。
気をつけて水分補給をしようと心に刻む。
ここから、石ころ(というイメージよりは大きい)のゴロゴロしている尾根沿いの道と、木道が作られている道と、道が二つに分かれる。
この写真で人々が登っている道は、木道に続く緩やかな傾斜の道である。それに比べて尾根沿いの道は傾斜はきついし歩きにくいけれど、ずっと白馬三山を眺めながら歩くことができる。一方の木道は、傾斜が緩やかでお花も見られるけれどお山を見ることはできない。
母の膝があまりよくないので下りに木道を通るべきだろう。そのためにダブルストックを用意して、母にハイカットのハイキングシューズを履くよう言ってある。行きには尾根道を行くことにした。
何より、その方が白馬三山の眺めをゆっくり楽しむことができる。
ホテルを出発して1時間後の9時30分にやっと歩き始めた。目指すは八方池である。
15年前くらいに母と二人で白馬に来たことがあり、そのときにもこの八方尾根自然研究路を歩いている。
かなり薄れた記憶によると、もうちょっと開けた坂道だったと思うのに、両脇に緑が迫ってやけに狭く感じる。
母が「今でも登れるか」とかなり心配していたくせにいきなりハイペースで歩き出そうとするので、「急ぐと疲れるからゆっくり!」と後ろから声をかけた。私が先に立って歩くと私のペースになってしまうので、後ろから付いていくことにして、写真も撮りつつ登って行く。
実は私自身もかなり不安だった。意外とちゃんと歩けるものだ。
「あら、私って結構、体力があるかも。」と呟いたら母に聞こえたらしい。「あれだけ遊んでいるんだから体力あるでしょ。」と返事があった。
それは確かに海外旅行等々にも行くけれど、別に旅先で体力を必要とすることをしている訳ではない。
しかし、母からすると、「海外旅行に行く」ことそのものが「体力を要する」というイメージらしい。判るような判らないような、と思う。
水分補給を兼ねた休憩を意識的に入れつつ、ゆっくりのんびり登って行く。
こちらの道はあまり歩いている人もおらず、降りてくる人もまだ少なく、自分たちのペースを守れるのが有難い。
10時20分くらいに石神井ケルン(標高1974m)に到着した。
白馬三山の眺めが素晴らしく、いくつか置かれているベンチの一つに座って有り難く休憩する。
第2ケルン(標高2003m)に到着したのは10時40分である。
少し先に木道が伸び、その先に雪が残っているのが見えた。
「行ってみようか。」と母に言ったら、「帰りに元気があったら行ってみることにしよう。」という返事だった。今から思えばこれが間違いのそもそもの原因だったけれど、このときにはそんなことは知る由もない。
お手洗いだけ借りて、八方池を目指した。
ここまで来ればあと一息である。
八方池まであと一息だ。10分ほどで到着した八方ケルンでまた軽く休憩を入れる。
15年前の記憶を探ると、もう少し開けた石がごろごろした場所だったような気がする。今は両脇に草原というか草地というか緑が広がっていて、ニッコウキスゲやコバイケイソウが咲いている。その向こうに白馬三山が並ぶなど、なかなかフォトジェニックである。
そうして写真を撮っていると母は先に行ってしまう。
八方池が見えたところで、雲が下から上がってきて山にかかるのが見えた。「先に行くよ!」と母に一声かけてダッシュする。途中、小さな雪渓を渡り、八方池をぐるっと回って池に山が映るポイントまで急いだ。
ゆっくり眺める間もなく、リュックを下ろし、まずは急いで写真を撮る、風情のない私である。
かなり急いだ私と母との間は随分開いていたようで、母を待ちつつ、のんびりお山と八方池を堪能する。木製のデッキではシートを広げてお弁当を食べている人もいるし、少し上がったところのベンチで休憩している人もいる。
この時点で11時10分過ぎくらいだったし、お弁当が美味しそうに見えて、やっぱりリフトを降りたところで買ってくれば良かったかしらと思った。
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