白馬旅行記(2013)2日目その2
2013年7月16日(火曜日)
ごはんは持参していないけれどおやつがある。母が追いついて来たので、昨日買った黒糖饅頭を出し、お茶も飲んで一息入れた。
お饅頭の糖分がしみ渡る感じがする。美味しい。
母が「口直し」などと言って種無し梅をくれるので、それも食べる。これで結構エネルギーがチャージされた気になるのが不思議である。
八方池と山をバックに写真も撮り合い、しばらくぼーっと眺めて休憩した。
山に雲がかかったり、晴れたり、また曇ったり、本当に山の天気は変わりやすいのだなと思う。
リュックを下ろして、背中が汗でびしょびしょになっていることに気が付いた。
アウトドア仕様ではないレスポのリュックを背負っていたので、通気性など全く考慮されていない分、軽いけれどこういう弊害があったらしい。
背負っている間は良かったけれど、一度下ろしてしまうと背中の汗が気になって、帰りはリュックをちゃんと背負わずに右肩だけに通すことにした。バランスは悪いけれど、水筒のお茶もだいぶ飲んだし、お饅頭も食べたし、荷物が軽くなっているから大丈夫だろう。
母のストックの長さを長めに調整し直し、11時40分くらいに出発した。
八方池滞在30分は長かったのか短かったのかよく判らない。一つだけ判っているのは、ここで地図を確認すべきだったということである。
歩き出しつつも、雪に後ろ髪を引かれ、山に後ろ髪を引かれ、お花に後ろ髪を引かれ、なかなか先に進めない。
第2ケルンまで戻ってお手洗いに寄り、雪渓を見に行くかどうか迷った末、「疲れたし、さっき雪渓を歩いたし、いいか。」ということにして再び、元来た道を戻り始めた。
そして、これが大失敗だった。
歩いているときに、右下方にベンチに座っている人が見えて「あれ?」とは思っていた。そこで地図を確認すれば良かったのに、足元の悪さと、その悪い足場に咲いているお花に注意を奪われて、そのまま歩き続けてしまった。
石神井ケルンまで来て、やっと、今度こそ「おかしい」と気が付いた。
ケルンから木道が分かれている筈なのに、分かれ道がない。
慌ててポケットから地図を取り出してみたところ、「雪渓に行くための階段」と思っていた木道こそが、下りに使おうと思っていた「木道」であることが判明した。
大ショックである。
母は「このまま降りよう。」と言う。しかし、どう考えても母の膝で来たときの急な石の道を下らせる訳には行かない。コケて大けがをするか、明日になって「痛い」と訴えられるか、その両方の未来しかないような気がする。
一応、目印のたびに時計をチェックしていて、第2ケルンから石神井ケルンまで15分ほどしかかかっていないし、それほどの傾斜ではなかったので、戻るにしても同じくらいの時間で戻れる筈である。
そう母を説得して、第2ケルンまで戻ることにした。母を引っ張ろうと、ここだけ私が先に立って歩く。
そして、気を取り直すために、第2ケルンに戻ったところで小休止を取った。
ここで、私の水筒が空っぽになってしまった。氷は溶けずに残っているけれど、液体がない。350mlのお茶を入れて、一杯になるまで氷を足しただけでは足りなかったようだ。
あとは、木道をゆっくり下るだけだし、大丈夫だろう。大丈夫じゃなくても、そもそもリフト乗り場まで戻らなくてはお店もない。これまた、大失敗である。
改めて、木道を下り始める。
八方バスターミナルに、「木道が開通しましたが、一部、雪渓の上を歩く箇所があります」というポスターが貼ってあった。しかし、まさかその「一部、雪渓の上を」の雪渓が、こんなに大きいとは思いもしなかった。
その「一部、雪渓の上」は結構長い。そして、滑る。
母はしっかりした靴を履いているけれど、私の靴は普通のスニーカーだ。ツルっときて「わぁ。」と騒いでいたら、母がストックを1本貸してくれた。
木道に戻ったときには流石にほっとした。
木道は、階段状ではなく、スロープ状である。平らな板ではなく、何というか、線路のように横木が渡してある感じだ。前を歩いているおばさま方が「親切だろうけど、却って歩きにくいわよねー。」と言い合っていた。単なるまっすぐな板を繋いだだけでは雨の日など滑ってしょうがないのではないだろうか。
しかし、「歩きにくい」という気持ちは判る。
母は、ストックも使っているし、しゃがむのが面倒くさいらしく、可愛いお花を見つけると私を呼んで「可愛いお花が咲いているわよ。」と言う。翻訳機にかけるとそれは「お花の写真を撮っておいて。」ということだ。
そう言われるたびにしゃがみこんで写真を撮る私はいい娘である。
ワタスゲがまだ咲いていて驚く。
木道からは白馬三山などの山並みは見えないけれど、麓側は見ることができる。川が流れているのが見えたり、完全に雲に覆われてしまったり、飽きずに眺めた。
道を間違えて時間をロスしたし、お昼ごはんを早く食べたいし、少しばかり疲れてもいたようで、下りは、お花の写真は少し撮ったもののスタスタ歩いた。
何か気になるものやことがあったときには、上りを歩いているときに寄り道した方がよさそうだ。
母もよっぽど疲れていたのか、八方池山荘が見えた辺りで、木道と石の道との分岐で、「もう見えているんだし大丈夫よ。」と石の道にそのまま突入した。木道がよほど遠回りに見えたらしい。
八方池山荘の売店で少しだけお土産を見て、白馬三山を最後に拝み、そのままリフトに乗った。
ニッコウキスゲ越しの白馬三山を眺め、リフト乗り場に直結した建物にある、イエティというお店で昼ごはんを食べた。
昨日の朝からずっとごはん(米)を食べていなかったのでごはんを食べたい、もう14時で何よりお腹が空いた、麓まで降りて迷うよりはちょっと眺めのいい涼しいところでごはんを食べようと母と意見が一致した。
だだっ広いフロアに母と二人だけで、何だか落ち着かない。
2人ともポークカレーを選んで、「久しぶりだ。」と言い合いつつ真っ赤な福神漬けをもらい、「このしょっぱさが必要なんだ。」とスープを飲み、がつがつカレーを食べた。
山の上の清水だというお水が美味しい。ごくごく飲む。
お腹がいっぱいになり、「ゆっくりするならホテルに戻ってゆっくりしよう。」と20分くらいで席を立った。慌しいことである。
「ホテルまで歩けば歩けるかも。」「でもタクシーがいたら乗っちゃおう。」などと言いつつゴンドラから目を凝らしても、どうもタクシーの姿が見当たらない。
歩く覚悟を決めてゴンドラ駅から出たところ、タクシーが3台並んでいるのが見えた。あっさりと日和って「乗るよね。」と言い合い、真っ直ぐタクシーに向かう。
「近くてごめんなさい。」と白馬東急ホテルをお願いすると、「いや、お客さんがいてよかった。」というのが運転手さんのお答えだった。夏休み前だし平日だし、きっとお客が少なかったんだろう。
ホテルのマイクロバスが来た道を戻る途中、運転手さんは、橋を渡ったところで車は左に行くしかないけれど、右に曲がって細い階段を登るとホテルのすぐそばに行ける、近いけれど結構急なところを上がらなくてはならないと教えてくれた。車の通るだらだらした坂を登るのとおっつかっつだ。
タクシーに乗ってしまえばホテルは本当にすぐそこで、14時30分くらいに到着した。
預けた荷物のうち、温泉で使うものをまとめたボストンバッグだけ一旦返してもらい、フロントで立ち寄り湯をお願いし(宿泊者は1人500円でバスタオルも貸してもらえた。浴用タオルは脱衣場に用意してある。)、八方バスターミナルから長野駅に行く特急バスの発車時刻が16時10分であることを確認してそれに間に合うようバスターミナルまでの送りをお願いする。15時50分くらいに出ますというお答えをもらって、大浴場に向かった。
連泊している方もこの時間は出かけているかお部屋でゆっくりしているのだろう。
案の定、貸切状態だった。贅沢である。
髪も洗ってさっぱりし、露天風呂で手足を伸ばし、特にふくらはぎをマッサージする。涼しい風が吹いているし、お天気もいいし、極楽である。
でも、残念ながら長く入っていることはできない。すぐ暑くなってしまう。
身支度を調え、ミラコロも出してもらって荷物を整理する。ボストンバッグに軽いものを詰め、重いものはミラコロに詰め込む。
ホテルのお土産物屋さんで売っていたジュース(母はりんごで私は桃)を買ってきて、ロビーで一気飲みする。
ロビーのソファで寛いでいたら、「お車のご用意ができました。」と15時30分ころに声がかかった。やけに早いなと思ったら、どうやらバスターミナルにお迎えを待っているお客さんがいたようだ。
16時10分発の特急バスに乗って長野駅に向かった。
駅に着いてまず、指定の新幹線回数券を購入してあったので一番早い新幹線の指定席を押さえた。帰りの足を押さえてからお土産物屋さんを覗く。ちょうど駅ビルが工事中で、お店があまり開いていない。駅弁を売っているお店も見当たらない。新幹線の中で駅弁を食べて夕ごはんにしようという計画なのに、それでは困る。
お土産を少しだけ買い、新幹線の構内に入ってさらに駅弁を探すと売っていた。ただし、結構売れ行きがいいようで、あまりたくさんは残っていない。
信濃寺町弁当と和牛めし弁当を購入した。
信濃寺町弁当は、コマコマと色々なものが詰め込まれているように見えたので母好みだろうと思って選んだ。実際は、開けてみるとごはんものが多く、かなり食べ応えがあったらしい。
新幹線を降りてから家までの電車が意外と空いていたこともあって、21時前に帰宅できた。
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