ハイダ・グアイ旅行記4日目その2
2013年6月16日(日曜日)
ホットスプリング島に向かう途中、ほとんど水平線から垂直に上がっているような飛行機雲が見えて、しばし見とれた。
添乗員さんに「太陽の周りに虹が見えていますよ。」と言われてじっと目をこらしてみたけれど、眩しすぎる。偏光グラスのサングラスを借りて見上げ、やっと確認することができた。
試しにカメラを向けて撮っておいたところ、かろうじて太陽の周りに丸く虹が写った。
14時半くらいにホットスプリング島に上陸し、まずお昼ごはんを食べた。
上陸してすぐのところにある岩場と枯れ木(流木)が椅子とテーブルである。
ローズハーバーゲストハウスで作って持たせてくれたお昼ごはんは、グリーンサラダにツナのサラダ、ヌードルのサラダにパンケーキがいくつかあって、ヘルシーである。お腹も空いていたし、もの凄い勢いで平らげた。
上陸地点から少し海岸線を回り込んだところに湯船があった。
空っぽである。
「温泉は湧いているけれど湯船が壊れた」とか「温泉が出なくなってしまった」とか事前情報が錯綜していたけれど、2012年10月のクィーンシャーロット島沖を震源地とするM7.7の地震以降、それまで湧いていた温泉が全く出なくなってしまったらしい。
みんなして空っぽの湯船に入り、温泉に入った「つもり」で記念写真を撮った。
ホットスプリング島には、あと2ヶ所、温泉がある。そちらの様子を見るのと、ウォッチマンハウスに立ち寄るため、さらに奥に進んだ。
ホットスプリング島は温泉に入りに来る人が多いためか、スカン・グアイ並みに遊歩道が整備され、綺麗なシャワールームも作られている。
本当に惜しかったなぁ、でもこの暑さでは温泉に入っても長湯はできなかったなぁ、などと考えていると、新しく温泉が湧き出しているところの様子を見に行くというウォッチマンと出会った。もちろん、後をくっついて行く。
かなり波打ち際に近いところで温泉が湧いていた。この写真は、その温泉の湧き口である。
砂(砂利)を掘り、周りに石を並べて湯船が作ってある。湯船は深さ15cmくらいで、温泉がなみなみと張られている。
広さは、2〜3畳分くらいだろうか。
お湯に触ってみると、かなり熱い。温度計を持っているウォッチマンの彼が何故か測ろうとしないので正確なところは判らないけれど、湯温は50度弱くらいじゃないかというのがツアーメンバーの見立てだ。
水深15cmだろうと温泉が溜まっているなら、入るしかない。
日射しも強くて暑い日だったので、レインウエアの上着やフリースは脱いでしまい、レインウエアとその下に履いているアウトドア用パンツをたくし上げ、靴と靴下を脱げば準備万端である。ハンカチ代わりに手ぬぐいを持ち歩いていたので、湯上がりも大丈夫だ。
2日ぶりの「湯浴み」は気持ちいい。
しかし、熱い。お湯に浸っている部分があっという間に真っ赤になった。湯船の底の砂利が当たると痛い。とにかく熱い。
「写真撮影のモデルだ」などと言われてじっと入っていたら、その後、絶対にこれは低温やけどだと思い込みたくなるようなヒリヒリした傷みをしばらく足の裏に感じることになった。我ながら本当にマヌケだ。
16時半過ぎにホットスプリング島を出発し、ウィンディ湾に向かった。
その名のとおり風の強い場所で、風が吹いていると近づけないので日程表にも載せていないという話だ。この日は快晴の天気で波も穏やか、17時過ぎにスムーズに上陸できた。
上陸した波打ち際近くの岩に名前の判らない黒い鳥がいた。何だかやたらとフォトジェニックだと思う。
ゾディアックを少し沖合いの決められた場所に留め直したエリンが、カヌーを漕いでやってきた。
それにしても、本当に何でもできるお嬢さんである。「彼女にしたい。」と思わず言ったら「何をオジサンみたいなことを言っているんだ。」とツアーメンバーの誰かにツッコまれた。
エリン先導で、ハイキングに出発である。
川沿いのトレイルに沿って歩いて行く。木洩れ日が射してきて、とても気持ちのいいトレイルだ。
苔の森が奥深くまで広がっている。
トレイルを歩くこと20分くらいで、大きな米スギに到着した。
この米スギは、エリンが知る中でも最も大きな米スギで、樹齢1000年近いという。
みんなでのんびり見上げ、代わる代わるこの木と記念写真を撮る。
この木を上まで全部写真に収めようとするとなかなか大変で、ついにはカメラマンを買って出てくれた添乗員さんは地面に寝転ぶようにして撮り始めた。それでもなかなか撮るのは大変だったらしい。
そうして寛いでいたところ、ふと気がつくとツアーメンバーのお一方がいらっしゃらない。ご高齢だけれど山岳ガイドもされていた(いる)という方だし、そもそも危ない場所でもないので、皆で代わる代わる名前を呼んだりしつつ、最初にうちはのんびりモードで探す。
しかし、お返事もなく、その辺りからひょっこり顔を出すということもなくて、段々、添乗員さんたちの雰囲気が慌ただしくなり始める。
「多分、先に戻られたんだと思います。」と言っていた添乗員さんの姿も見えなくなり、うーん、えー! と思っていると、今度はエリンから「**はどこ?」と添乗員さんの所在を聞かれた。「多分、探しに戻って行ったよ。」と答えると、エリンまでぴゅっといなくなってしまった。
ツアーメンバーの方々が何故か私に「どうすればいいの?」と聞くので、添乗員さんもエリンも特に残されたメンバーについて指示出しして行った訳じゃないんだけどなぁと思いつつ、「二人が探しに行ってますから、私たちはここでのんびり待っていましょう。大丈夫ですよ。」とお答えした。
他に言い様もない。
実際、添乗員さんが戻って来た頃、森の奥からエリンの声が聞こえてきた。発見したらしい。
そこから数分で全員が揃い、のんびり出発地点に向けて歩き始めた。私は全く気がつかなかったけれどこのトレイルはこの先もずっと島を半周できるくらい続いており、きっと休憩後は先に進むのだろうと先取りして歩き始めていたそうだ。
何ごともなく、何よりだった。
帰りは川沿いを戻った。
川の向こうにウォッチマンハウスがあり、重機があって、煙も出ている。この8月に新しくトーテムポールを建てることになっていて、その準備中だという。できれば新しくトーテムポールを立てる過程を見てみたかった。残念だ。
そのまま海岸に出て、砂浜を歩いてボートを留めたところまで戻った。
19時前にウィンディ湾を出発し、2日目に宿泊したフローティングキャビンに19時半くらいに戻った。
この日は暑かったし、お天気も良かったので、ニット帽は止めて、つばの広い日焼け防止用の帽子を被っていた。サングラスは元々好きじゃないので今回も持って来ていない。目玉がまぶしさに負けた感じはしないけれど、潮風に負けた感じはするので、持ってきた方が良かったかなと思う。
いつもは手袋をしていたけれど、この日は寒くなかったし、カメラを操作するのに邪魔なので、そのうち手袋を嵌めるのを止めてしまった。その分、日焼けしたような気がする。
私たちをキャビンに降ろすと、エリンはそのまますぐ、一昨日仕掛けた罠を見に行った。
戻って来るのを待ちかねて篭の中を見ると、エビが入っている!
ピチピチ動くエビをタッパーに取り出すと、ちょうど10匹のエビがかかっていた。もちろん、コイツたちは今日の夕食にいただくのだ。
エリスが外に置いてあるバーベキューセットでお肉を焼き始めた。このバーベキューセットは、流石に炭を使っている訳ではなくてガスだ。
2日前と同じ部屋割りとなり、皆、手慣れたものでそれぞれお部屋に入り、ベッドの用意をし、夕食を待つ。お部屋でこっそり酒盛りを始めた方もいる。
私はエビの頭を取ってお皿に並べたり(エビの頭は添乗員さんが翌朝の朝食のお味噌汁にしてくれた)、バーベキューのお肉を引っ繰り返したり、エビのお供にとツアーの方が提供してくださった佃煮をお部屋でこっそり酒盛りを始めた方々に差し入れしてビールをご馳走になったりしていた。
21時近く、夕食が始まった。
まだ外は明るいし「遅い夕ごはんだ〜」という感じはない。お腹はぺこぺこでばくばく食べられる。
デザートに辿り着いた22時過ぎには外も暗くなっていて、盛り上がったまま酒盛りに突入した。それぞれ持参のお酒を持ち寄り、お茶に切り替え、23時過ぎまで一体何を話していたのか、謎である。
ベリーズのATM洞窟を添乗員さんが強力にプッシュしていたことは覚えているし、このメンバーで長野に行こうと話が盛り上がったことも覚えている。
そういえば、こうして飲んでいるときに、私の職業をピタリと当てた方がいらして驚いた。そんなに判りやすかっただろうか・・・。
23時過ぎにお開きとなった。
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