三春旅行記2日目
2014年4月21日(月曜日)
2日目の朝は早い。昨日、「明日の出発は7時40分です」と言われて驚いた。何故にそんなに早いのか。
「朝食は7時からなので、チェックアウトを済ませて荷物をフロントに預け、それから朝食がいいと思います。」と添乗員さんが言う。
それならと、5時半に目覚ましをかけ、夜中に男女入れ替えが行われた「鹿のぞきの寝湯」に出かけた。
名前の通り、崖が迫っていてそこから鹿が降りて来そうな感じの露天風呂である。まだ雨が落ちてくる気配はなく、のんびりとお湯に浸かった。
サロンの飲み物は持ち出さないでくださいと張り紙があったのに従い、お部屋にあったインスタントコーヒーをいただいて携帯マグに詰める。出発前に歯磨きをすべく手荷物に歯磨きセットを移したり、折りたたみ傘を用意したり、出かける準備をしているうちに時間となりチェックアウトに向かった。
みなが同じことをするなら7時前のフロントはもの凄く混雑するのではないかと思ったら、それほど並ばずに済んだ。有り難い。
一方、7時前に朝食会場に向かったら大行列していた。少し早めに開くことを期待したけれど、同じツアーの方がホテルの方にお聞きしたら「7時ちょうどにオープンです。」というお答えだったらしい。
他にも団体ツアーの方が泊まっていて、そちらの出発は我々よりも2時間くらい遅いらしい。しかし、そちらのツアーでは「8時から8時半くらいまでは非常に混みます。」という案内があったそうで、早めに朝食会場に来た方が多く、結果として大混雑になったようだ。
昨日の夕食でも「つや姫」というお米が売りの一つになっていたし、朝食も和食のメニューの方が豊富だ。
それなのに、ホテルや旅館に泊まった朝は洋食が食べたくなるのは母と私の定番で、二人とも洋食メニューである。
オープン直後はもちろんビュッフェは大混雑で、食べ始めることができたのは7時を10分も過ぎた頃だった。
あと30分で出発と思うと、なかなか「ゆっくりいただく」という感じでもない。こんなにたくさん取ってきたのに、どれも一口ずつくらいしか食べられなかったのが申し訳ない。
蒸し野菜のバーニャカウダソースが美味しかった。
朝食をいただいてロビーのお手洗いで歯磨きをしていたら、その間に母が7時オープンのホテルの売店をチェックし、「やっぱり買いたい。」と、つや姫の2合キューブパックを購入していた。昨日の夕食でいただいたお酒も「父に」とそこに加わる。
やはり、母の世代の女性には、旅行にお土産はつきものらしい。毎回、その情熱には恐れ入る。
流石にこのスケジュールだと7時40分出発は無理があって、遅れる人がちらほらいらっしゃりつつ50分にはホテルを出発した。
すでにポツポツと雨が降り出している。今日はなかなかお天気が厳しそうである。
ツアーの元々の予定では、この後、置賜桜回廊の一本桜を巡ることになっていた。しかし、この日現在、一本桜は開花したばかりといった状況である。こういったことも予め想定されていて、最初から「置賜の桜が咲いていない場合は」と、別の旅程が用意されていた。
今回はその「置賜の佐倉が咲いていない場合バージョン」である。
最初に松島に向かった。作並温泉はあとちょっとで山形県という場所だから、宮城県を横断するような格好だ。
松島湾は、東日本大震災の際、水深が浅いことと島々が緩衝材となったことで比較的被害が少なかったとニュースで報じていた。しかし、中には真っ二つに割れてしまった島もあるという。
2011年のうちにクルーズなども再開されている。しかし、我々が向かうのは松島湾そのものではない。何と言っても今回のツアーは「桜巡り」である。
バスは1時間強走り、松島海岸を一望する桜の公園、西行戻しの松公園に到着した。
この公園には260本の桜の木が植えられていて、その桜の向こうに松島の島々が見えている。お天気が良ければなぁと思う。桜が満開だから尚更だ。
この公園は、西行法師が松の大木の下で出会った子供と禅問答をして敗れ、子供に敵わないなら大人に敵う訳がないと松島行きをあきらめたという由来を持つ。
ガイドさんにその話を聞いて、西行法師は随分と諦めの早い人だったんだなと思う。
20分ほど桜と松島の眺めを堪能し、9時半前にバスに戻った途端に雨が降り出した。ツイている。
次に向かったのは盬竃神社である。西行戻しの松公園から20分ほどで到着し、到着したら雨が止んで日も射してきたので驚いた。
やっぱり、我々はツイている。
神社に至る石段がもの凄く急で長いので今日はそちらではなく緩やかな階段を使いましょう、と案内された。
盬竃神社は創建がいつか明確には判っておらず、神代の昔にここに留まった神が人々に塩づくりを教えたことに始まるとされている。塩づくりのための釜も展示されている。
そうした塩づくりの伝統や松島湾がいい漁場だということもあって、武運長久、塩業や漁業の守護などの神様がいらっしゃる。また、安産守護の神として信仰されている。
今年が午年だからか、「うまくいくお守り」というお守りがあったので、午年生まれの甥っ子に買い求めた。本当にうまくいくものなら、私も欲しいくらいである。
盬竃神社に来ることは判っていたのに、うっかり、ご朱印帳を持って来るのを忘れてしまったのが悔しい。
盬竃神社とお隣の志波彦神社の境内は花盛りである。
盬竃神社の境内には、一人一人の名前がついた結構立派な桜の木が植えられていて、寄進したということなのかなと思う。
芝生の広場の様なところもあって、ご近所にお住まいらしい方々が、ビニールシートを持ち出してお花見を楽しんでいらっしゃった。
ガイドさんが「ぜひ見てください」と強調していたのが、天然記念物の盬竃桜である。
堀河天皇が「あけくれにさぞな愛で見む盬竃の桜の本に海人のかくれや」と詠んだことなどで知られる有名な桜で、こちらは5月初旬に満開となるらしい。
残念ながらこの日は一輪二輪咲いているだけだった。
白い八重桜は、満開になると数輪が寄り添って咲くので毬の様にも見えるという。
少し高いところで咲いていた一輪を写真に撮ったのでかなりボケボケながら、これがその天然記念物の桜である。
盬竃神社を10時半頃に出発し、高速道路をひた走って福島県に向かった。
次の目的地は花見山公園である。
途中、菅生パーキングエリアで昨日注文したお弁当の積み込みを兼ねてお手洗い休憩を取る。11時半くらいに出発するときには再び雨が降り出していた。
1時間から1時間半くらいで花見山公園に到着しますと案内があり、高速道路を走っているときの方が揺れが少ないので、少し早めのお昼ごはんにする。
みやぎ黄金海道というこのお弁当は、魚介がたっぷりで、炊いた蛸や貝も柔らかくて美味しかった。
花見山公園は、福島市内にある。てっきり、その名のとおりの「公園」なのだと思っていたら、どうやらそれは少し違ったらしい。
公園と言っているし、近年は行政による整備も行われているけれど、そもそもは花木生産農家の阿部一郎氏と伊勢次郎氏の父子が丹精した花木畑を無償で一般公開したのが始まりで、今では周辺の花木農家の方々も加わり、里山の景色とともに、写真家の秋山庄太郎氏が「福島に桃源郷あり」と称えて紹介したことから、全国的に有名になったという。
観光バスの駐車場代が1台1万円と聞いて驚いたけれど、案内板や駐車場、トイレの整備、警備員の方も結構立っていたし、それは必要経費というものだろう。
添乗員さんから指定された自由時間は1時間とちょっと、駐車場から花見山公園入口まで少し歩いたし、山頂展望場まで行くのは難しそうだ。雨も結構な降りになっている。30分、45分、60分の3コースが用意されていたうち、30分コースを選んで歩き始めた。
ガイドさんも添乗員さんも「色々なお花が次々と咲いて、本当に綺麗なところなんです。」と強調していた理由がよく判る。
雨が降っていて、ついつい足もとばかりを見てしまうのが本当に惜しいくらい、綺麗な場所だった。
お天気のいい日に、ゆっくりと時間無制限でお散歩したい。なるほど、桃源郷である。
最後の観光場所は、白河市にある妙覚寺の乙姫桜である。
ガイドさんが「三春の滝桜よりも若いので、お花の色が濃いです。」と言う。
すぐ近くの白河市役所の駐車場をお借りし、そこから歩いてすぐである。
雨がまだ降り止まず、傘を差して見上げる桜の木はかなり高い。「伊達政宗公お手植え」という通り、樹齢400年ほどだという。
ここが最後の観光場所ということもあり、皆してゆっくり堪能した。
乙姫桜から新幹線に乗車する新白河駅までは20分ほどで到着した。
16時51分発のやまびこに乗る。元々の予定ではもう少し遅い新幹線に乗る予定で、しかし指定席が確保できずに少し早まったという経過がある。
当初予定通りだったらもう少し花見山公園でゆっくり歩けたかな、でも雨も降っていたし「また来たい」と思うくらいでちょうどいいのかなと思う。
母と私は上野駅で途中下車した。
これまでのツアーでは、途中下車した場合、乗車券は都内どこまででも行けたような気がするけれど、今回は乗車区間が短かったため山手線内まで有効の乗車券になった。そういう仕組みになっているとは知らなかったなぁと思う。
上野駅の売店で夕食用に駅弁を購入し、帰宅した。
2日間で駅弁を三つ食べるってどうなんだろう、絶対に野菜不足だと思う。
お天気にはやや恵まれなかった点を補って余りある、満開の桜を満喫しゆっくり温泉を堪能した、いい旅行だった。
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