奥日光旅行記(2014)1日目その1
2014年7月27日(日曜日)
1週間前には晴れの天気予報が出ていたのに、前日に旅行1日目である27日の午後は雨の予報に変わっていた。
そして、2〜3日前に見たテレビ番組の影響で、母が突然「日光では滝巡りをしたい。」と言い出した。
とりあえず、私が考えていた旅程はこれで全て考え直しである。
どうしようかと思いつつ、東武鉄道のスペーシアに乗り、下今市駅から普通電車に乗り換えて、9時50分、東武日光駅に到着した。
改札を出たところに、本日の宿である中禅寺金谷ホテルの送迎バスのお迎えの方が立っていた。
東武日光駅を10時に出発し、日光金谷ホテルに停まり中禅寺金谷ホテルまで送ってもらえる。ダメ元で「荷物だけ運んでもらえますか?」と聞いてみたところ、大丈夫というお返事であった。有り難い。
事前に調べたところでは、日光地区の一部のホテル・旅館では、駅で荷物を預け500円で宿泊先に届けてくれるサービスがあるけれど、残念ながら中禅寺湖畔や湯元の宿は含まれていない。
送迎のマイクロバスには欧米の方と思われるご夫婦がすでに乗っていた。我々母子とこの便の利用者は二組だけのようである。
日光金谷ホテルの看板は日光に来るたびに見ているものの、敷地内に入ったのは初めてだ。確かにこの建物の写真はよく見るなぁと思い、バスの中から写真を撮った。
ご夫婦は日光金谷ホテルで下車されたので、運転手さんのお勧めによりありがたく前方の席に移らせてもらう。
貸し切り状態のマイクロバスで、運転手さんのガイドつきドライブは快適である。
板垣退助の像(戊辰戦争の際に、日光山に立てこもった幕府軍を説得して山から下りさせ、日光山が戦場になることを防いだという功績がある)に始まり、日光山の表参道、金谷ホテル発祥の地(日光金谷ホテルの現在地ではない)、田母沢御用邸(今は御用邸としては使われておらず、お庭と建物が公開されている)、いろは坂(上りの方がカーブが多く、ゆるやかに上っている)等々の案内をしていただく。
いろは坂は、上り専用と下り専用の両方のいろは坂のカーブの数がいろは48文字と同じ数あるから「いろは坂」というという説明だった。だったら、第2いろは坂ができるまでは、「いろは坂」という名前ではなかったのだろうか。
10時半過ぎに明智平に到着した。
明智平からは極々まれに雲海を見ることができる、中禅寺湖と華厳の滝を見るには今の時期はあまり向いていない(かすみがかってしまう)、見るならやっぱり冬がいいでしょう、こちら側はかなり雲が広がってきているけれど、中禅寺湖側がどうなっているかは行ってみてのお楽しみだねと言われた。
明智平というこの場所の命名は天海僧正によるものと言われており、運転手さんも「天海僧正は実は明智光秀であり、だから自分の名前をこの場所に付けたのだ。」と話していた。「天海僧正=明智光秀」説は市民権を得ているらしい。驚いた。
まるごと日光 東武フリーパスを持っているとこのロープウエーの料金が1割引になる。
このフリーパスは、発駅からフリー区間(下今市と日光の間)までの往復の乗車賃、日光地区の東武バスが乗り放題、4日間有効で、私たちの場合は北千住発着にしたので一人4520円というお得なフリーパスである。
もっとも、駅から明智平まで送っていただけたので、果たして元が取れるほどバスに乗るかどうかはかなり怪しい。
明智平の標高は1274mで、流石に涼しい。
ここからさらに3分ほど、若干、揺れやきしむ音が気になるロープウエーに乗り、標高1373mまで上がると、もっと涼しくなった。明智平の気温は28度、展望台は24度だ。
母と「箱根より日光の方が涼しいよね。」と自分たちの選択の正しさを確認しあう。
緑が濃いのは嬉しいけれど、やはり遠くの山々は霞んでしまっている。筑波山も見えるらしいけれど、今日はとても無理だろう。
残念ながら、山を越えた向こう側の中禅寺湖畔にも雲が立ちこめていた。
天気予報はどうやら正しかったらしい。
ホテルの送迎バスの運転手さんも「上から眺めるのだったら、夏じゃない。」とやんわりと言っていたし、いい眺めを見たい場合には秋口や冬が正解のようだ。
しかし、それはそれとしていい眺めである。
上半分が雲に隠れてしまっていても、この大きさで男体山が迫ってくるとかなりの迫力である。
華厳の滝の方を見ると、展望台の屋上に人が並んでいるのが判る。
母が「11時45分発のバスでいい。」と言い、バスの時間ギリギリまで粘っていたら、中禅寺湖畔の街、華厳の滝、白雲の滝に順番に陽の光が射すところを見ることができた。
流石にこの光の量では虹を見られるところまでは行かない。
明智平を満喫し、路線バスで光徳牧場を目指した。午後は雨になりそうなので、光徳牧場でお昼を食べてからゆっくりホテルに入り、「ホテルライフ」を満喫しようという計画である。
前回か前々回に日光に来たとき、大笹牧場でお昼に食べたジンギスカンがとても美味しかった。「あの美味しさよ、再び!」と目論み、光徳牧場の「コートク コラール」というレストランでランチの予定である。
バスが戦場ヶ原の三本松にさしかかったあたりで雨が降り出した。
降り出すとあっと言う間で、結構、叩きつけるような雨になっている。傘を持たずに出てきたのか、道を歩いている人の中には見る間にびしょ濡れになってしまった人もいる。
光徳温泉のバス停は、日光アストリアホテルの玄関先にある。
バス停からホテルの中に濡れずに行けるくらいだ。
母は雨の中を出歩くのが面倒になったのか「ここのレストランでもいいわ。」と言うけれど、私の頭と胃袋はバーベキューを期待してしまっている。
雨の降りも少し弱くなったので傘を差し、光徳牧場に向かった。歩いて5分くらいだ。
コートク コラールは開いていたけれど、今日に限って「バーベキューは営業していません」という張り紙が出ている。
ショックだ。
しかし、レストランは営業していたので、気を取り直し、牧場ランチ(1900円)をいただいた。サラダ、ビーフステーキ、ライスのセットである。
見た目も何だかポークみたいだし、ナイフで切るときも大変だったし、正直に言って期待していなかったけれど、これが美味しくてびっくりした。あんなにナイフで切りにくかったのに、どうしてこんなに柔らかいんでしょうという感じだ。
レストランとは別棟にやけにシンプルかつ素っ気ない売店があり、アイスクリームと牛乳が売られている。
昼食を食べている間に雨もあがり、まったく暑い訳ではないけれど寒くもないという感じだったので、「お腹いっぱいだね。」「でも食べたいね。」と母と意見が一致し、アイスクリームを食べた。
バニラより牛乳の風味が強く、あっという間に溶け出してしまったから凝固剤のようなものも使っていないのだろう。
牧場ならではという感じのシンプルなミルクアイスで美味しい。
空も晴れて日も差してきたし、雨が降り続くようならアストリアホテルで立ち寄り湯もいいかなと思ったけれど、降っていないなら歩きたい。
光徳入口のバス停を目指して歩き始めた。
途中、ホルスタインと思われる牛が飼われているところを見物する。先ほどの雨に緑が光っていて、いかにも牧歌的な風景である。
草の丈が短くて、食べにくそうにしているところがちょっと気の毒だ。
この牧場から光徳沼に抜けるハイキングコースに気付かず、車道の脇に用意された歩道を歩き始めた。
やはり下調べは必要である。
10分も歩かないうちに光徳沼のバス停に到着した。
「光徳沼」というバス停があるからには光徳沼があるに違いない。そう思って探すと、笹の間に細い道というよりも、単なる笹の割れ目のような道筋がついていた。
先ほどの雨に濡れた笹に靴とズボンの裾を濡らしつつ強引に歩いて行くと、ちょっと広場のようになったところに出た。
「光徳沼」の看板もあるのに、沼がない。
水が綺麗な川が流れているだけだ。
ここは川で、光徳沼の入口で、もっと奥に沼本体があるに違いないと木で造られた橋を渡って歩き始めたところ、反対側から歩いてくるご夫婦がいらした。
物怖じという言葉と無縁の私は、「すみません、光徳沼はどこですか?」と聞いてみた。すると「あなた、どこへ行きたいの?」というお返事だ。「戦場ヶ原まで歩きます。」と答えると、「じゃあ、どこから来たの?」という再度のお尋ねである。
噛み合わない会話に首を傾げたら、何のことはない、私がさっき「川だ」と思ったところが「光徳沼」であるらしい。
いつもはもっと水量があって、「沼」の姿をしているらしい。
納得したところでご夫婦にお礼を言い、再び、遊歩道を歩き始めた。
母に「どうして雨も降っていないし、日射しも木で遮られているのに傘を差してるの?」と聞いたら、「乾かしているの。」という返事だった。
すれ違う人も追いかけてくる人もいないから迷惑にはならなさそうだし、確かに濡れたままの傘をリュックにしまいたくない。私もマネをして傘を差して歩く。
傍から見たら、かなり変な母娘だったろう。
テレビでやっていた「10個の滝を巡る」という話を一応まだ覚えていたので、川に段差が作られていると「これも滝かなぁ。」などと言いながら歩く。
ほぼ平坦の歩きやすい道である。
緑の中を歩いているからか、川沿いを歩いているからか、雨上がりだからか、ちょっと涼しい。半袖Tシャツではちょっと肌寒く、ウィンドブレーカを羽織った。
遊歩道の最後近くになって、山形に行ったときに見たあがりこ大王のような木を見つけ、母と「こんなところにもあったよ!」と笑い合う。
光徳入口のバス停まで、大体30分の道のりだった。
ここからバスに乗ってホテルに向かっても良かったけれど、いいお天気である。
そして、目の前には戦場ヶ原に入る遊歩道入口がある。
「せっかくだから歩こうか。」と、そのまま戦場ヶ原を歩き始めた。
優雅なホテルライフへの道は、なかなか遠い。
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