2014年8月20日(水曜日)
お部屋にあったミネラルウォーターと電気ポットでお湯を沸かしてコーヒーを入れ、初日の夕食で出たチョコレートと一緒に「おめざ」にした。
6時半では、もう既に日は昇っている。
バルコニーの椅子に座ってのんびり空と海を眺めるなんて贅沢な時間だ。
風に当たってお腹も空いたことだし朝食を食べに行こうと廊下に出たら、部屋のドアにクルーズ中の支払い明細が届いていた。
初日の案内では「3日目の夜に届きます」と言われ、昨夜届いていなかったのでわざわざレセプションまでもらいに行ったけれど、3日目の夜というよりも4日目の朝になってしまうようだ。
それはそれとして、昨日の夜からずっと何だか船の揺れが大きくなっているような気がする。お天気が悪くなるのだろうか。
クルーズは今日の17時までだ。
そして、私のダイニングクレジットにはかなり余裕がある。それなら中華っぽい温かいものを食べようと、朝食はブルーラグーンに行き、フィッシュヘッドヌードルスープとジャスミンティをいただいた。
香港発着のクルーズ船なのに、ブッフェにもお部屋のお茶セットにも烏龍茶やジャスミンティがない。「あるに違いない」と持って来なかったため、ここのところ「中国茶が飲みたい」と思い続けていたので、メニューにあったジャスミンティを喜々として頼む。ティーバッグだけれど、ポットで出てくるのが嬉しい。
朝食をいただいた後、お部屋に戻って、荷造りをした。
キャリーケースの中味を全部出してしまっているので、逆に荷造りが意外と簡単だ。もう一回、最初から詰め直せばいい。
忘れ物がないか確認しつつ、一つずつ引き出しの中味をベッドの上に開け、荷造りをする。
部屋のあまりの凄さに「Don't disturb」の札を出す。もっとも、最終日は下船までお部屋のお掃除はなかったようだ。
荷造りの目処がついたので、11時からデッキ12のギャラクシー・オブ・ザ・スターで行われるビンゴゲームに参加した。
初ギャンブルである。
ザ・リドで行われていたビンゴは参加する人も少なくてちょっと寂しい感じだったけれど、会場が狭いこともあって、そこそこ人が集まって盛り上がっている。
入口で3ゲーム分のカードを80香港ドルで購入し(3ゲーム分が最低単位になっている)、英語と中国語で数字が読み上げられるのを聞きながら○を付けて行く。
私はこの手のもので当たったことがほとんどなくて、今回も全く期待していなかった。
それでどうやらぼんやりしていたらしく、「ビンゴ!」と叫んだ女性が大喜びでステージに向かって行くのを見つつ自分のカードを見ていたら、何と、ビンゴになっていたので驚いた。
近くにいたスタッフの女の子に思わず「これ、ビンゴよね?」と聞いてしまう。
私を含めて3人が同時にビンゴだったらしい。
「3人で賞金840ドルをシェアする? それともジャンケンで1位を決める?」と司会の女の子達に聞かれ、香港人らしい二人が「シェアしましょ!」とにっこり笑い、そういうことになった。
3人同時にビンゴになるとは想定していなかったらしく、その後の手続きに少し時間がかかったけれど、1等賞の証明らしきメモをもらい、名前とクルーズカードをチェックしてもらった。
1〜2時間後くらいにレセプションに行けば賞金が貰えるから、と言われ、ビンゴは終了である。
1等賞になって賞金も貰えたから言うと、ビンゴはなかなか楽しいゲームである。
ビンゴで調子に乗った私は、折角だからクルーズ船を満喫しようと、最後にもう一度プールに行った。
12時のランチタイムで空いていることを期待したら、かなり混んでいる。しかも、風が冷たくて寒い。
それでも果敢に吹きさらしの階段に並んでウォータースライダーを楽しんでいる方々も多い。
軟弱者の私は、ジャグジーに浸かった。温かい。
30分も浸かっていたらついに雨が降り出し、それを潮に退散した。
急激に天候は悪化して、お部屋に戻ってシャワーを浴び、水着を軽く洗って干した頃には、外は真っ暗、雷まで鳴り始めていた。
しかも、かなり強い降りの雨である。
何だか深刻そうな放送が入ったけれど聞き取れず、「13時からバーゲンセールをやるから、買い物を楽しんでね!」という楽しげな放送は聞き取れた。セールの放送が入るくらいだから、最初の放送も大した内容ではなかったのだろうと決め、お昼ごはんを食べに行く。周りに人がいた方が、緊急のときでも安心だ。
デッキ13にあるタベルナという有料レストランはまだ行ったことがなかったので、クルーズ船での最後のお食事はここに決めた。
プールサイド上にあるので吹きさらしではあるけれど、屋根があるので雨の心配はない。
クラブハウスサンドとスイカジュースを頼んだら、山盛りのポテトが付いてきて驚いた。
そして、もっと驚いたのが、雨の降りが更に強くなって、タベルナのテーブルが置いてある辺りにどんどん水が流れてきたことだ。水深2cmくらいにはなったと思う。
スタッフのお兄さんも半ば呆れて、苦笑しつつ水を掻いている。
私が陣どったテーブルは幸運なことに水が流れてこなかったので、ゆっくりお昼をいただいた。
とても食べきれずにポテトを残してしまった。その私に「アイスクリームはどう?」と聞いてくるお兄さんの根性はなかなかである。
キャリーケースは15時までに廊下に出しておく必要がある。
14時過ぎに部屋に戻って歯磨きをし、最後の荷造りをする。流石に水着は乾かなかったので、もう一度できるだけタオルで水分を取ってジップロックに入れて持ち帰る。
ビンゴの賞金を受け取ろうとレセプションに行ってメモを見せたところ、何故か担当のお兄さんが片言の日本語で「チョットマッテ。」と言う。何だろう? と思っていたら、日本語が分かるスタッフを連れて来てくれた。
彼の説明によると、私はエクスプレスチェックアウトを登録してあるので、クレジットカードから引き落とされる金額と、先ほどのビンゴの賞金を相殺してくれるらしい。
15時からギャレーツアーに参加した。集合場所はレセプション前だ。
お部屋を空けなくてはいけないので、持ち歩く荷物がちょっと多くなっているのが鬱陶しい。
ギャレーツアー参加者は5人だ。まさかこんなに少ないとは思わなかった。
5人が揃ったところでスタッフのお姉さんに連れられ、ベラ・ビスタに向かった。ところが、どうもツアーが始まる様子がない。ギャレーツアーのスタッフなんていなさそうだし、厨房のスタッフはみんな忙しそうに片付けていて、ギャレーツアーなんてやってる場合じゃない、という風情である。
ここまで我々を案内してきてくれたスタッフのお姉さんも焦っている。
少しして、副料理長だというシェフがやってきた。
香港のご家族から「子供がいるので広東語で案内して。」というリクエストが出て、うーむ、そうしたら私には何も判らないぞと思っていたら、スタッフのお姉さんも「ジャパニーズがいるから。」と困惑している。
結局、ギャレーのスタッフが二人、英語と広東語でそれぞれ案内してくれることになった。
イギリス在住の香港人だという女性と私の二人を案内してくれたのは、マレーシア人だという副料理長さんだ。料理長さん(ドイツ人だと聞いたような記憶があるけど、定かでない。とにかくヨーロッパの国の人だった)は、今は休暇で家に帰っているそうだ。
クルーズのスタッフは、5ヶ月ぶっ続けで働いて1ヶ月休みというサイクルだという。
今日の17時に香港に入港する予定のこの船は、その後、23時に再び出航の予定で、その間、スタッフはちょっとは香港に上陸できるけど「でも、香港は物価も高いし、あんまり外には行かない。」と言う。
こうした質問はほとんど香港人の女性が発してくれたものだ。私には思いついた質問をする英語力はない。
でも、香港人の女性も副料理長さんも私の英語力を察してゆっくり話してくれたし(メモを必死で取っていたら「取材記者のようだ」と笑われた)、話されている内容の辛うじて半分くらいは聞き取れたと思う。
ギャレーツアーと銘打っているけれど、ベラ・ビスタ併設のこの厨房で料理をすることはほとんどないらしい。
レストラン隣のこの場所は、あくまでも「盛りつけ」「最後の仕上げ」をする場所だ。
実際の「cooking」は、デッキ3の厨房で行われ、そちらに30人のシェフと47人の助手がいる。このギャレーでは、7人がデコレーションを担当しているという。
インド料理だけは、ベジタリアン対応のため、インド人のシェフだけで作っているという。
クルーズ船内は、火気厳禁だ。
エンジンの熱でお湯を沸かし、その熱(スチーム)を調理に使っている。
実際、鍋の形にくぼんだ火口があって、そこに触っても全く熱くない。でも、そこに水を入れた鍋を置くと、みるみるうちにお湯が沸く。スチームというよりは、振動のような気もする。
いずれにしても、火がなくても十分な火力があることは間違いない。
このときも、夕食に備えて、200リットルからのスープの仕込みが行われている最中だった。
クルーズ船で食中毒が出ることはほとんどないそうだ。レストラン関連のスタッフは1ヶ月ごとにチェックを受けているという。
(それにしても、私は食中毒という単語を知らないのにどうしてこんな内容を聞き取っているのか、全く謎だ。)
来年、スタークルーズでは、スーパースター・ヴァーゴ(この船)の2倍のサイズの新造船が就航する予定で、そちらの船は乗客定員もほぼ2倍、そしてレストランが20軒用意されるという。
説明してくれた副料理長さんは、この仕事を16年続けていて、もしかしたらそちらの船に移ることになるかも知れないと言っていた。だったら出世ってことになるんだろうなぁと思う。
その新しい船の処女航海は、2016年半ばに予定されているということだった。
そんなお話を聞きつつ、ギャレーを一周し、16時前にツアーは終了した。結構、楽しかった。
デッキ12のギャラクシーオブザスターズで15時45分からクルーズスタッフとのフェアエルパーティーが行われている。行ってみると、すでにダンスで盛り上がっていた。
結構な数の乗客も参加して、なかなか楽しそうである。一緒に踊る勇気はなかったので、楽しそうな様子を写真に撮って参加した気分になった。
ダンスタイムが終わって外を見ると大雨で、すでに香港島のセントラルが見える辺りまで来ていた。
17時にクルーズ船が香港に到着して、キャリーケースを持ったままどうしようかと考え込んでしまう。
雨を眺めながらこれからの予定を考えていたら、声をかけてきたおじさんがいた。
この船に知り合いはいないぞと思って見たら、日の出を見にデッキ13に行ったときに、毎回「そのサンダルじゃ転ぶぞ。」と身振り手振りで話しかけてくれたおじさんである。
お仲間と一緒にビールを飲んでいたらしい。
おじさんのお友達の方が日本語をしゃべる方で、何となくおしゃべりタイムになった。おつまみのナッツまでいただいてしまう。
彼らはご夫婦二組で、台湾から来たそうだ。
飛行機で香港まで来てこのクルーズ船に乗り、今日は一度船を下りて再び乗り込み、香港発着台湾へのクルーズに参加して高雄まで船で帰ると言う。なるほど、そういう楽しみ方もあるのだ。目から鱗である。
マカオはいい、日月潭もいいぞとお勧めしてもらう。いずれもベストシーズンは秋だそうだ。台湾に来たら連絡してねと連絡先もいただいた。
事情通らしいおじさんたちの話によると、スーパースター・ヴァーゴが3泊4日のこうしたクルーズを行うのは今年9月までで、その後は、スーパースター・パイセスと同じように、1泊2日のカジノツアーに従事することになるそうだ。
なるほど、来年の超大型船就航の話と繋がる。
3泊4日で観光クルーズ船を走らせるよりも、1泊2日で外洋に出て徹夜でカジノを楽しむツアーを開催した方が人気もあるし儲かると聞いて、ちょっとショックな気もした。
香港在住の人は16時半にザ・リドに集合、香港以外の人はギャラクシーオブザスターズに17時集合で、私は16時前からギャラクシーオブザスターズにいたけれど、おじさんたちとおしゃべりしていて、パスポート返却の列に並びそびれてしまった。
そのことに気がついて、おじさん達と慌ただしくお別れし、パスポート返却のためのナンバーカードをもらいに行く。20分くらい待って、無事にパスポートを返してもらうことができた。
あとは、下船するだけである。
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