香港&クルーズ旅行記4日目その1
2014年8月19日(火曜日)
6時前に目が覚めた。
そして、外を見たら、日の出なんてとんでもない! という感じで、雷が光っている。
私の足の日焼け度は悪化する一方で、しかも足だけでなく肩や背中までひりひりしている。縫い目のあるお洋服は勘弁してください、という感じのひりひり度だ。
雨にも雷にも負けずひたすら窓の外を見ていたら、やがて雷は光らなくなり、朝焼けが雲の隙間から見え、その朝日に照らされてハロン湾の景色が浮かび上がってきた。
綺麗だ。
何とかこのまま天候が回復してくれないかなぁと祈りながら、シャッターを切り続ける。
やがて、ポツンポツンとしかなかった島が、続くようになってきた。
それまでは朝焼けの色だけで太陽は見えていなかったけれど、やがて太陽の白い光が見えてきた。
水平線からではなく雲の間からではあったけれど、ハロン湾の日の出である。
今日はエクスカーションを申し込んであるので8時半に集合場所に行かなければならない。
7時前、メディタレニアン・ビュッフェに行った。ビュッフェには、ウエスタンスタイルとチャイニーズスタイルと両方の朝食が用意されていて、チャイニーズスタイルの朝食を選ぶ。
意外と空いているなと思って席についたら、7時を過ぎた途端に大行列ができた。早めに行動して正解だったようである。
漁をしているのか、カラフルな船がクルーズ船の近くまでやってきていた。
その向こうには、もちろんハロン湾の景観が広がっている。
これでお天気が良かったら言うことなしだけれど、雨が降らず、風も吹かず、無事にエクスカーションが実施されるのだから贅沢を言っては罰が当たる。
バルコニーに出ると、ちょうど私のお部屋のある側に船(こういう、平らな船のことを何と呼ぶのだろう)が横付けされ、蛍光イエローのベストを着た人たちが作業していた。
見ていると、横付けした船に向かって観光船が次々とやってきては舳先を固定する。
その様子が結構面白くて、集合時間近くになるまでずっと眺めていた。
エクスカーションはコースがいくつもあって、そのコースごとに集合時刻が指定されている。私が第2希望で申し込んだ「Cave Tour」という名前の、ハロン湾クルーズと鍾乳洞見学、マーケットでの買い物を組み合わせたツアーの集合時刻は8時45分である。
集合時刻にザ・リドに行くと、飲み物を渡され、ツアーごとにまとまって客席に座らされた。
ツアーごとに色違いのワッペンが配られ、結構な長さの待ち時間の間に見回していたところ、日本語ツアーもありますと言われた「Cruise & Land Tour(ハロン湾のクルーズとお買い物をし、地元レストランでヴェトナム料理を食べるツアー)」、「Titop Island Tour(ハロン湾クルーズ後、ソビエト連邦のTitop宇宙飛行士が訪れた場所で427段の石段を登り切ると360度のパノラマが広がる、らしい。)」の三つが催行されたようだ。
6種類用意されたエクスカーションのうち3コース、催行率50%だ。
参加者が断然多いのはCruise & Land Tourで、出発時刻をずらして時間差で催行しているようだ。英語ツアーと中国語ツアーの両方が開催されるとはいえ、かなりの人気である。
待っている間に注意事項のアナウンスがあって、ドリアンとランブータンとマンゴスチンは持ち込めませんと言われる。それ以外のナマモノは持ち込み可ということなんだろうか。
結局、私の割り振られたツアーのボートが出発したのは9時40分だった。
ボートの中は自由席で、同じテーブルにお一人だけ日本人の方がいらっしゃった。奥様は韓国の方のようで、あとマレーシアからいらしたという年配のご夫婦と5人のテーブルだ。
最初に英語ガイドさんからツアーの概要について説明があった。
クルーズ船の中では香港時間が標準時で、当然、クルーズ船でもらった案内も香港時間で書かれている。しかし、どうやらガイドさんが最初に説明した時間はベトナム時間で、そこには時差があったらしい。
マレーシアからいらしたご主人がそこを丁寧に何度も確認してくださって、その後はガイドさんも香港時間での案内に切り替えてくれた。
英語ガイドなので、私が聞き取れかつメモできる内容などたかが知れている。
ハロン湾には日本の援助で橋が掛けられたこと(日本のODA特別円借款により建設されたクアルク海峡に架かる橋梁のことらしい)、ハロン湾には3000以上の島があること、ハロン湾は二度にわたって世界遺産に登録されたこと(1994年に、類を見ない美しい風景として初めて登録され、2000年に地質的にも価値があり、地球の歴史として重要であると拡張して登録された)、ハロン湾は深く海洋資源(特に魚)が豊富で釣り船も多く出ていることなどである。
何故ハロン湾と呼ばれるようになったかとか、この地に残る伝説とか、そういう話もあったと思うけれど、私の聞き取り能力ではお手上げである。
みんな、風も通らずに暑い1階のテーブル席になど座っておらず、2階のデッキに上がって眺めを楽しむ。
観光船は、真っ直ぐティエンクン洞に向かっている。
どんな感じなのかと思っていたら、島の一つ、その入り江のようになっているところに船が入って行った。
そこには同じような観光船がたくさんいて、船着き場はいっぱいで、一部の船は二重に留めてしまい、前に留まっている船を通路代わりに上陸している人も見える。
とにかく凄い混雑ぶりだ。
観光船が接岸して上陸し、ガイドさんについて歩いて行く。
鍾乳洞の入口は階段を上った結構高い位置にあり、振り返るとこんな景色が見えるくらいの位置まで上がって行く。
蒸し暑いし、結構きつい。
足腰に自信のある人が行きましょう、といった注意書きがあるのも納得である。
鍾乳洞に入れば涼しいだろうと思っていた。だって、日本で鍾乳洞に行けば、そこは大体涼しいではないか。割と最近、静岡県にある竜ヶ岩洞に行ったときも、夏だというのに震えるくらい寒かったことを覚えている。
ところが、このティエンクン洞は暑かった。
外よりもよっぽど暑い。そして、湿度が高い。入った瞬間からダラダラと汗が流れ始めた。
事前に行った方の感想をネットで読んでいたら、カラフルなライトアップ(こんなのとか、こんなのとか)に賛否両論あった。自分が実際に眺めて、なるほどと思う。鍾乳洞の内部は、赤や青や緑に、派手派手にライトアップされている。
10時半から正味30分の見学中、とにかく蒸し暑くて、髪の毛がぺっとりとしてしまった。
実際はそんなに涼しい訳ではなかったと思うけれど、結構高い位置にあった出口をでたところで風に吹かれただけでほっとしたくらいだ。
実際、眺めも良い。
11時過ぎ、観光船は再びクルーズに出発した。
最初の席に戻ってテーブルを囲み、水を飲んだりして小休止だ。観光船の中で冷たい飲み物も売っていて、飛ぶように売れている。
マレーシアのご夫婦に、次は日本の北海道に行きたいんだと話しかけられた。行くなら何月がいい? とおっしゃる。難しい質問である。
富良野ってところがあって、ラベンダーの花畑が綺麗だからぜひ7月に行って、と答えたら、富良野ってのは街の名前なのかと聞かれてハタと困った。富良野市があったと思うけれど、私が言いたいのはそういうことではない。
結局、同じテーブルの日本人の方にこれこれこういうことを伝えたいんですと助けを求め、説明していただいた。
ふと窓の外を見ると、小さな船がもの凄いテクニックでこの観光船に寄せてきていた。
船には、果物を綺麗に積んでいる。
マレーシアのご夫婦の旦那様がモンキーバナナを買っている。ちょっと美味しそうだし楽しそうだと思ったけれど、私は勇気が出ずにパスした。船内には、結構、果物を買っている人がいたと思う。
大いに汗をかいた後だということを考えたら、このタイミングで寄ってくる彼らは商売上手である。
観光船は、ハロン湾クルーズを続けている。
こんな景色とか、こんな景色の間を縫うように進んで行く。
再び観光船の2階のデッキに上がって、眺めを堪能した。
浮島みたいなところに観光船が集まっているなぁと目を凝らしたら、そこはサンパンボート乗り場のようだった。
私が第1希望で申し込んだツアーでは、恐らく、ここで手こぎの小さなボートに乗り換えて、水面すれすれのところに開いた岩のトンネルに乗り入れて行くのだろう。
手こぎボートで乗り出して行く人がたくさんいて、羨ましいぞと思う。
どうしてみんなあのツアーに魅力を感じないのか、不思議だ。もっと人気があっても良さそうなものだ。
峡谷を抜け、船は広々としたところへ出た。
見通しが良くなって、同じような観光船が一点に向かっていることが判る。何やら観光ポイントがあるに違いない。
そこは鶏岩だった。
2羽の鶏が接吻しているようにも見えるし、「闘鶏岩」とも言われるように、飛び上がって闘っているようにも見える。
何というか、絶妙な造形だ。
鶏岩を見て、ハロン湾クルーズの見どころは一通り回りました、という感じのようだ。
1階のテーブル席に戻るように促され、12時少し前にヴェトナム料理の軽食が供された。
火は通っているし大丈夫だろうとがっつくように食べる。結構、美味しい。ペロリと平らげた。
食べている間におしゃべりしたところ、マレーシアのご夫婦は、桜の時期に京都、名古屋、伊豆、箱根、大阪と東京に行ったとおっしゃる。私の英語力では定かではなかったけれど、一度に回ったのではなさそうだった。仮に2回に分けて行ったとしても、結構な旅程になりそうだ。
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