能登旅行記1日目
2015年8月28日(金曜日)
羽田空港からのと里山空港に飛ぶ飛行機は1日2便である。のと里山空港に発着する飛行機はその2便しかない。
8時55分発のそのフライトに乗るため、余裕を見て8時過ぎに空港に到着しようとすると、6時半過ぎには最寄り駅から電車に乗る必要がある。平日でバスのある時間帯で良かった。
その時間でも、バスも電車も普通に混雑している。ミラコロを自分の横にしっかり置いておけるくらいの混雑ぶりなのが有り難い。
予定通り8時過ぎに羽田空港に到着した。朝ごはんも食べて来たし、特にお買い物もないので、さっさとセキュリティチェックを抜ける。案の定、搭乗口は一番端で、そこまで歩いて行くのに結構かかった。
機内は、満席に近い。
羽田空港からのと里山空港まではちょうど1時間くらいで、余りにも飛行時間が短いため「ドリンクサービスが全員分終わらないかも知れません」といった注意書きがあるのが面白い。
確かに、シートベルト着用サインが消えて15分くらいで「間もなく着陸態勢に入ります。」というアナウンスが入って、母と二人で顔を見合わせた。
定刻の9時55分にのと里山空港に到着し、観光案内所でパンフレットなどを頂いてすぐ、ふるさとタクシー乗り場に向かった。
ふるさとタクシーは予約制、のと里山空港発着限定の乗り合いタクシーだ。
事前に電話で予約しておくと(席が空いていた場合は当日の乗車も可能)、幹線道路からそれほど外れていなければ行きたい場所まで連れて行ってもらえる。
方面別に分かれていて、珠洲方面行きは我々二人の他、若い女性一人、若い男女の二人連れ(ただし、どう見ても仕事で来ている感じ)の5人の乗客で出発した。
母と私は、能登 和 DINING SHO-TATSUというレストランでお昼をいただこうと珠洲市役所まで予約していた。
どうやら、もう一組も行き先は珠洲市役所のようだ。
漏れ聞こえてくる話し声についダンボになってしまったところ、どうやら二人はテレビ局のディレクターとリポーターという組み合わせで、キリコ祭を取材するために来たらしい。
なるほど、そういうことだったのかと、微妙な敬語使いや、二人の服装のギャップに納得した。
珠洲市に向かう道中、道路の両脇にサルビアが植えられていたり、桜並木があったり、稲刈り後の田んぼがあったり、黒光りする屋根瓦の家が並んでいたり、 見附島が遠くにちらりと見えたり、車窓を楽しんでいたら、あっという間に40分ほどで珠洲市役所に到着した。
早い。
昼食の予約は早めの11時半でお願いしたものの、あと50分もある。
ここ1週間ばかり、3日間とも雨かもと心配していたので、晴れた空が嬉しい。
時間もたっぷりあるし、まずは海まで歩いて、青い空と青い海を堪能する。
堪能しつつも、日射しがあまりにも強烈で「日傘を持って来れば良かったかも」「雨傘を日傘代わりにさそうか」などと思う。
珠洲市役所の道路を挟んだ反対側に飯田わくわく広場があり、そこに珠洲市唯一という足湯がある。
とにかく日陰に入ろうと、母と二人、足湯を楽しむ。
先客がお一人、のんびりと足湯を楽しんでいらっしゃった。どうやら地元の方のようだ。
母と二人、靴を脱いであがり、靴下を脱いでズボンの裾をまくり上げて足湯に浸かる。底が丸石を並べたようになっているらしく、なかなか気持ちがいい。
日陰に入ると風も通って涼しく、しばらく足湯を楽しんだ。
お湯が茶色っぽいから鉄分を含んでいるのかと思ったら、ナトリウム-塩化物泉という表示だった。
最初、あまりにも普通にそこにあったのと、看板が大きくなかったので通り過ぎてしまった、足湯の建物の道路を挟んだ反対側の建物が、目指すレストラン「ショータツ」だった。
予約した時間を少し過ぎて入ると、お客は我々二人だけのようだ。
天井が高く、落ち着いた内装のいい雰囲気のお店である。
予め「今日のおまかせランチ」をお願いしてある。
サーブをしてくださる奥様はこちらの生まれ育ちだそうで、母が「瓦が黒いんですね。」と話しかけると、「珍しいらしいですね。私は生まれたときからこちらなので、これが普通だと思っちゃうんですけど。」と笑っていた。
前菜3種は、もずく酢(もずくは珠洲の特産らしい)、無花果、卵焼きである。
卵焼きの甘みはお砂糖ではなく、これまた特産らしい米飴で付けられている。
そう言われて食べると、柔らかい甘さのような気がする。
次に出されたのが、南瓜と大納言豆のグラタンだった。グラタンと言いつつ、確か、マカロニの類は入っていなかったように思う。
グラタンに入っているこのお豆もまた能登のお豆である。南瓜もお豆もほくほくしていた。
メインディッシュは、鯛(マトウダイと言われたような気もするけれど、既に記憶が曖昧だ)のハーブソルト焼きだった。
一口食べて母が「美味しい。」と言ったくらいで、新鮮なお魚をさっと焼いた感じがあっさりとしていて美味しい。やっぱり能登に来たらお魚よね、と思う。
最後に、能登こしひかりを使った枝豆ごはんと、なめことオクラのお汁、お新香が出された。このご飯茶碗は珠洲焼で、持ち重りのする素朴な手触りの焼き物である。
最後に、焙じ茶をいただく。
1時間弱かけてランチをいただいた後、二三味珈琲のカフェに向かった。
珠洲市でランチを食べた理由のもう一つが、こちらのカフェである。映画「さいはてにて」のモデルになった珈琲豆のお店が開いたカフェがあると知り、そこで珈琲を飲んで珈琲豆を買って帰りましょうと計画した。
ところが!
カフェの前まで行ったところ、8月24日から9月8日までお休みしますという貼り紙があった。
脱力である。ショックである。
しかし、お休みなものは仕方がない。
すぐ側にある飯田栄町のバス停を13時11分に出るバスに乗り、本日の宿であるホテルのときんぷらに向かった。チェックインが15時以降なので荷物だけ預かってもらい、九十九湾の遊覧船に乗ってこようという計画だ。
路線バスは、細い道や海沿いの道を走ってなかなか気持ちがいい。
14時過ぎに「勤労者プラザ前」バス停に到着した。ここからホテルのときんぷらまでは歩いてすぐである。
チェックインし、遊覧船のことを聞いてみると、問い合わせしてご連絡しますと言ってくださる。有り難い。
夕食を19時からでお願いし、明日の朝食の時間について聞かれたので、バス停(特急バスが止まるバス停はちょっと歩ける距離ではない)までの送迎をお願いしていることを伝え、バス停までの所要時間等をお尋ねしたところ、バス停よりもずっと先の、のと里山鉄道穴水駅まで送ってくださるとおっしゃる。本当に有り難い。
ホテルのときんぷらでは、チェックインの段階ですでにお部屋にお布団が敷いてある。
夕食は別の場所でいただくので、チェックインした後は宿の方はお部屋には来ないということだ。これは気楽である。
早めに入らせてもらえたお部屋で待っていると、16時に遊覧船が出るので間に合うようにお送りしますと電話があった。
1時間近くあるので、九十九湾にお散歩に行く。
のときんぷらは九十九湾にあるお宿だけれど、残念ながら建物から海は見えない。
遊歩道を下って行くと、突然母が「あっ!」と叫んだ。何かと思ったら、赤い動くものが見え、「セアカゴケグモかも! そしたら毒があるわよ!」と言う。
しかし、近づいてよくよく見てみれば、それは、アカテガニだった。後でホテルの方に聞いたところでは、基本的に山に生息している蟹で、8月の満月の夜には卵を産むために海に一斉に向かうそうだ。
母の叫び声の方にびっくりしてしまった。
遊歩道を10分か15分くらい下ると、海際に出た。
九十九湾である。
景色も綺麗だし、何より、海の水の透明度が高い。底の底まで見ることができる。
遊覧船の時間があるので、そう遠くまでは行けないけれど、海際の遊歩道はぜひ歩いてみたい。
少し行くと釣り筏があって、そこに名前はよく判らない鳥が何だか悠然と歩いていた。鷺だろうか。
何だか気になってじーっと待っていたところ、行ったり来たり歩いた後、ふわっと飛んで行った。
立っているところもなかなか優雅だし、羽を広げるとちょっといい感じの鳥である。
帰りは登り坂になるので少し余裕をみて戻った。
しかし、暑い。
時間もあるので、ロビーで売られていたマルガージェラートをいただいた。
「ミルク」と「のとプレミアムミルク」があったらそれは「のとプレミアムミルク」を選ぶのが人情というものだ。ジェラートなので、「プレミアム」と歌いつつさっぱりとしていて美味しかった。
その後、海中公園 九十九湾観光船上野まで送っていただいた。越坂のバス停が最寄りになるようだ。
遊覧船乗り場の海もやはり透明度が高い。
乗り場の近くにはお魚の姿が全く見えないところが不思議である。チケット売場の方も一緒に来てくださって「あら、本当にいないねぇ。おかしいね。」とおっしゃっていた。
送迎してくださった宿の方もご一緒し、最初は3人の貸切で出航した。
その後、百楽荘というお隣の宿から3人乗船した方がいらして、6人で進む。曇ってきてしまったのが残念だけれど、いい眺め、そして、いい風である。
遊覧船は船長のおじさんが持っているという生け簀に到着した。
アトラクションである。
おじさんが用意していた南瓜はこのためだったらしい。その南瓜や、トマトなどを生け簀に投げると、もの凄い勢いで魚たちが寄ってきて争うように食べる。本気で争っている。
おじさんが「どんどんあげていいよ」と言うので、調子に乗って南瓜などの野菜を投げては寄ってくる魚の写真を撮りまくる。
魚の種類も教えてもらったけれど、蛸以外は全く覚えていない。
鰺の生け簀に手を入れると、鰺が寄ってきて突いたり、指を噛んだりしてくるのも面白かった。何というか、尖ったプラスチックみたいな感触で全く痛くない。これで足を入れたらドクターフィッシュかしらと思う。
この生け簀にいるお魚たちは観賞用で、食べることはないそうだ。ちょっと安心である。
生け簀にいたお魚は、野菜の食べ過ぎか丸々としていて、一頃流行った人面魚みたいだった。
一方、遊覧船のコースには「人面岩」が待っていた。確かにツンと鼻を高くした人の顔のように見える。可笑しい。
海岸沿いに群生しているシダは、何かでとても珍しい(と船内放送が言っていた)そうだけれど、何がどう珍しいのか、何という名前のシダ植物なのか、どうしても思い出せない。我ながら、そんなことばかりである。
先ほどの「人面岩」も、「波岩」も、船内放送のテープではなく、船長のおじさんがボソっと指さして教えてくれた。
何だかそれも可笑しい。
そして、確かに先ほどの岩は人の顔だし、波岩は大波が襲いかかってきているように見える。
海上からは遠く立山連峰の山並みも辛うじて見ることができた。
後でお聞きしたところでは、海の向こうに立山連峰が見えるのは、お天気が下り坂のときだそうだ。
写真だと確認するのが難しいかも知れない。
コーラル号に乗船し、九十九湾遊覧を45分間たっぷりと堪能した。
ホテルに戻り、夕食の前にもちろんお風呂である。
のときんぷらの大浴場では、日本海の小木沖の水深320mから取水した「のと海洋深層水」を利用している。美肌・保湿・温浴効果が高いとなれば、ほとんど温泉のようなものだ。
当たり前だけれど無色無臭である。味は判らない。
日の高いうちにのんびりお風呂に入れるなんて最高である。しかも、ずっと貸切状態という贅沢さだった。
部屋にあったご案内に、のと里山空港を利用して能登町内に泊まった人には、一人2000円の助成金が出され、しかも泊まった宿での手続きが可能と書いてあった。
夕食前にフロントで確認したところ、通常は宿泊料金と相殺という形で処理しているようだ。私はカード決済で予約していたので、フロントの方々が困った顔をしている。
それならばと、夕食のときの飲み物やお土産物屋さんでの買い物に使えるか聞いたところ大丈夫というお答えで、4000円分(母との二人分)使おうと決心した。
19時からでお願いしてあった夕食は、古民家を移築した「もちの木亭」での炉端焼きである。
色々と用意されている能登の日本酒もメニューを横目で睨みつつ、炉端焼きならビールでしょうと母と二人で生ビールを頼む。
最初にお刺身が出てきて、後は野菜、魚介、お肉が並べられ「お好きに焼いて食べてください」というシステムだ。
のときんぷらでは会席料理を選ぶこともできるし、素泊まりも可能で、どうやらこの日に炉端焼きの夕食を選んだのは我々とあとご夫婦一組だけだったようだ。
炭火でじっくりと焼いて食べる。
また網の上に食べたいものを並べ、焼いては食べる。
その繰り返しで、とてもではないけれどご飯やお味噌汁が入る余地はなく、90分かけて炉端焼きを堪能した。
美味しい。
私はビールを飲み過ぎたらしい。
もう1回、大浴場に行こうと思っていたのにいつの間にか眠ってしまい、ふと目が覚めたらお布団の上で(つまりはお布団をかけることもしないで)、部屋は真っ暗になっていた。
時計を見たら23時半である。
辛うじて歯磨きだけして、そのままお布団に潜り込んだ。
-> 能登旅行記2日目その1
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