カムチャツカ旅行記2日目その2
2015年8月9日(日曜日)
13時少し前くらいにアバチャ山麓のベースキャンプを出発した。
結構な雨降りになっている窓の外を見つつ、ガイドのオリガが「進行方向は明るいので、これから向かうハラクトルスキー海岸では雨が上がるんじゃないかと期待します。」と言う。
確かに、1時間弱走ってトイレ休憩を取ったときには、雨は上がっていた。
トイレ休憩後、六輪駆動車は舗装道路に出た。
よーしこれから気持ち良く走るぞ! という感じで舗装道路を走り始めて10分もしないうちに、バスが路肩に寄せて停まってしまった。どうやら、エンジンが不調らしい。
運転席を跳ね上げてドライバーさんが修理している。こんなに普通の場所に普通にお花畑があるので、我々は道端に咲いているお花に夢中になった。
ヤナギランにホソバウンラン、アザミやノコギリソウも群生している。
六輪駆動車の故障は15分くらいで直り、そこから走ること1時間強で、本日2回目のフラワーハイキングを行うハラクトルスキー海岸に到着した。
いつもは静かな海岸で今日はお祭りが開催されていて、ミニサッカーの大会が行われたり、20年くらい前に流行ったっぽい音楽がガンガンかけられていたり、かなり騒がしい。
テントを張ってキャンプをしている人も結構いるようだ。
オリガの「(お祭りのために用意された仮設トイレよりも)森の中の方がいいです。」という案内があって、お祭り会場のトイレを借りることはせず、フラワーハイキングに出発した。
まず、海岸に降りる。
砂浜の砂が黒いことから、ハラクトルスキー海岸は、別名「黒砂海岸」とも呼ばれているらしい。
この黒い色は、火山噴出物のうち軽い成分が風化等によって洗い流され、集積したものである。
かなり雲が厚くなっていて、風も冷たい。ウィンドブレーカを引っ張り出して着込む。
この海は太平洋だ。
ハマエンドウの花は紫色で、その茎は地表を這うようにして伸びている。
花が終わると「エンドウ」の名前のとおり、さやえんどうのような形の茶色っぽい豆果をつけるという。
また時期ではないのか、実の方は見ることはできなかった。
添乗員さんと並んで歩いているときに、私の職業は何かという話になった。
来るときの飛行機の中でお隣になった女性二人が荷物をあげるのに苦労されていたのでお手伝いしたところ、その様子を目撃したもう一つのグループの添乗員さんが「きっと同業者に違いない。」とおっしゃっていたらしい。
「違います。」と答えつつ、添乗を職業としている方が添乗員付きのツアーで旅行をすることがあるのかしら、と不思議に思った。
「エゾオオグルマ」と教わったと思うけれど(実際、私のメモ帳にはそのように書いてある)、旅行社でもらった花図鑑には「エゾオグルマ」というお花しか載っていない。
しかも、花の色こそ黄色で同じだけれど、どうも花の形というか様子が違う。
この白っぽい綿っぽいものは特徴的だろうと思うのに、それについての言及がない。こういうときに「詳しくない」というのは残念なことである。
残念といえば、ノコギリソウの一種だというお花についても同様で、日本には咲いていないお花だと聞いても感慨のようなものが浮かばない。
正しく、豚に真珠である。
見た目のとおり、葉っぱがギザギザしていてのこぎりのようだから「ノコギリソウ」の名前が付いているお花だ。
この辺りで海岸から上がり、森の中を目指した。
海岸から森に至る途中の「草をかき分けて進みます」といった場所には、ガンコウランの実がたくさんあった。
先住民の人々は、喉が渇くと、水分を多く含むガンコウランの実を食べたという。
もちろん、私もいくつも取って食べてみる。凄く甘いという訳ではなく(だからこそ水分補給に向いているのだろう)、クセのない、食べやすい味だ。
一方、ハマナスも夏の終わり頃になると赤い実をつけるそうで、こちらは、ジャムにしたり、乾燥させて紅茶に入れたりするという。
ガンコウランが群生していた草むらを抜けると、今度はシロツメクサやムラサキツメクサが咲いていた。
この辺りまでくると、周りの草花は「海岸地帯のお花」から「ツンドラ地帯のお花」に移行しているらしい。100mも歩いていないのに不思議なことである。
シロツメクサなんて日本でもいくらでも見られると思うところだけれど、カムチャツカに咲いているシロツメクサは花が大きい。直径2.5cmくらいはありそうだ。そして、花びらが詰んでいる気がする。
濃い紫色のお花はムラサキツメクサで、シロツメクサは紫色から急に白くなった、いわゆる「アルビノ」でとても珍しいそうだ。
紫色の方はヨツバシオガマだ。通常は葉は緑色らしい。ここに咲いていたヨツバシオガマは葉っぱまで紫色になっていた。
白いお花はエゾキヌタソウで、蜂蜜を作る助けになるお花だという。
これらのお花は「海岸の花」ではない。随分と短い距離で植生が変化している。
最後にお花畑を皆で一列になって抜け、黒砂海岸フラワーハイキングは80分でお開きになった。
オリガとしては、このハイキングの途中で青空トイレタイムを取りたかったらしい。しかし、お祭りで集まっている人も多い中、「人目を避ける」ことは難しい。
1時間くらいでホテルに帰るのでそれまで待てますか、仮設トイレを借りることもできますが、という話になった。
ほとんどの人は「1時間くらいなら」という感じで、割とすぐ出発した。
添乗員さんによると、前回彼女が添乗したツアーでは本当に虫が多くて、六輪駆動車の中で蚊取り線香をたきっぱなしだったらしい。そんなことをしたら喉が痛くなりそうだと思う。
「今回は、本当にびっくりするくらい虫がいませんね。」と言っていて、それは有り難い。
ハラクトルスキー海岸から六輪駆動車で走ること1時間ちょっとで、ホテル近くにある大きなスーパーマーケットに到着した。
比較的早く戻って来られたので、(もしかしたらトイレタイムも兼ねて)お買い物タイムを取ってくれたようだ。
実はホテルから徒歩10分のくらいのスーパーマーケットは、かなり大きい。
2階は、家電とおもちゃの売場になっていた。
このスーパーではクレジットカードが使えるという話で、かつ、キャッシングの機械も並んでいた。もっとも挑戦していた人はいなかったと思う。
代わりにオリガが「オリガ銀行があります。30ドルが1500ルーブルです。」と案内していた。成田空港よりもレートが良い。
40分1本勝負のお買い物タイムになった。
添乗員さんお勧めのチョコレートが売っていた。小さい女の子の絵が描いてある。
ガイドのオリガは「飛行機で持って帰っても大丈夫!」と言うけれど、問題は、日本までの道のりではなく、空港から自宅までと、自宅から職場までの道のりである。
職場土産必須の3人ほどで、オリガに「個包装になっていて、溶けなくて、ロシアっぽくて、美味しいお菓子がない?」と無茶なリクエストをしたら、オリガは真剣に悩んでしまった。
売り場を行ったり来たりして、板チョコはすぐ溶けちゃいそうな気がして回避し、ヌガー入りのチョコレートで手を打った。蜂蜜やジャムは、最終日にオプショナルツアーで行く市場で買うことにしようと思う。
ツアーのみなさんも、ビールなどのお酒や、缶コーヒーやアイスクリームなど、思い思いのお買い物をされていたようだ。六輪駆動車に戻って来たとき、両手にビニル袋を抱えている方が何人もいらっしゃった。
18時15分にホテルに戻った。
夕食までの間、シャワーを浴びるには時間がない。ふと思いついてロシアルーブルのお札の写真を撮った。
表に描かれている人物が誰なのか、裏に描かれている建物は何なのか、教えてもらえば良かったなと思う。
夕食は、ホテル内のレストランで19時からだ。
添乗員さんとガイドさんが飲み物の注文を取ってくれる。カムチャツカNo.1というビールを頼む。130ルーブルだ。少し濃いめのビールだった、と思う。
また、ミネラルウォータが一人1本ずつ配られた。これは有り難い。
お料理は、前菜としてイカのサラダとチキンスープが供された。イカのサラダはゆで卵とマヨネーズを和えたものがドレッシング代わりにかけられている。スープは、フェンネルがたっぷり浮かんでいて、さっぱり味だ。
美味しい。
本日のメインディッシュはペリメニ、いわゆる水餃子である。
ロシアでは特に何もつけずに食べるという。
モチモチとした皮で、割とサッパリした肉団子が包まれている感じだ。これまた、美味しい。
添乗員さんがお醤油を持参していてくださっていて、その醤油をかけるとさらに美味しい。
ロシア料理は、日本人の口にも合い、胃にも優しいようだ。
デザートはクレープの杏添えで、コーヒーと紅茶はインスタントのものが用意されていてセルフサービスだ。
ゆっくりおしゃべりを楽しみたいところだけれど、もう一つのグループの夕食が20時から始まるようで、我々はその前にレストランを出なくてはならない。
そそくさとレストランを後にした。
この日にテーブルを囲んだ方々はちょうど私の母と同年配かもう少し上の方々で、食事の間、私はずっと「結婚はいいものだ。」「今からだって遅くない。」「一度は結婚した方がいい。」「狩りに行かなくちゃだめだ。」等々、有り難い忠告をいただき続ける状況だったので、ちょっとほっとしたというのも本音だ。
食休みも兼ねて、今日買って来た絵はがきを書く。
郵便局はかなり遠いところにあり、ポストも街中にほとんどないそうで、絵はがきを出したい人は、ガイドのオリガに切手代1通30ルーブルと一緒に渡して頼みましょう、と添乗員さんから案内があった。
そう言われてみれば、街中をほとんど歩いていないこともあって、ポストを見かけていないなぁと思う。
涼しいからか、高山植物をマクロモードで撮っているためか、カメラの電池の減りが早い。まだ二日目なのにと思いつつ充電する。
バスタブにお湯を張って、ゆっくり浸かる。ついでにマッサージもする。
この日の歩数は21979歩だ。どう考えてもそんなに歩いたとは思えず、六輪駆動車の振動を歩数計が拾ったのではないかと思う。だとしても「運動量」はあったということだろう。
そんなにずっと晴れていた訳でもないのに何だか顔がヒリヒリしているような気がして、シートパックを使う。
23時くらいに就寝した。
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