2015年1月1日(木曜日)
数日にわたってチェックしたところ、堂ヶ島の遊覧船は欠航していることの方が断然多い。
そういうことならば、早く到着しようと焦る必要もない。
また、1月1日よりも2日の方がお天気が良さそうだったので、行きは修善寺まで特急踊り子号で行ってそこからバス、帰りは土肥港までバスで行ってそこからカーフェリーで清水港へ行き、静岡から新幹線で帰ってくる旅程を組んだ。
出発前日の夜にえきねっとで調べたら、10時30分東京発の特急踊り子号はまだ指定席に余裕があったので、始発から乗れば座れるだろうと自由席で行くことにする。
元日の朝からピザを食べ、東京駅でお弁当を買おうと少し早めに家を出た。
母が腕と肩が痛いと言うので、荷物を担がなくて済むようミラコロに二人分の荷物を詰め込んで、私が転がした。私は力任せに方向転換したり持ち上げたりしてしまうので、手首が痛くなるのが困りものである。
自宅最寄駅の券売機で切符と自由席特急券を買おうとしたところ、何故かプープーと音がして切符もクレジットカードも出てこない。「次の上り電車に乗りたいんですけど!」と思ったけれど、駅員さんの奮闘空しく、1本遅い電車で行くことになった。
東京駅はかなり混雑していた。みんな一体どこへ行くんだ(あるいはどこから帰ってきたんだ)と、自分たちのことは棚に上げて驚く。
当然のことながら、駅構内の駅弁屋 祭も混雑していたのでミラコロを引きずって入ることは断念し、実演厨房で作られていた黒毛和牛三昧というお弁当(1260円)を購入した。ほのかに温かい。
お魚は今日の夜にたくさんいただけるだろうというヨミで、お昼は肉食である。
踊り子号は、途中の熱海で下田行きと修善寺行きに分かれるらしい。修善寺行きの自由席車両を探すのに若干手間取った。乗ってみたらがらがらで、車両に10人も乗客はいなかったと思う。東海道線を利用する人は、ほとんど所要時間も変わらないので、1本後の快速アクティを待っているようだ。
富士山が見えるとしたら進行方向右側だよねとそちらの席を選ぶ。しかし、三島から伊豆箱根登山鉄道線に入ったので今回は車窓から富士山を見ることはできなかった。
「雲が広がってきた!」「晴れた!」と一喜一憂しながら電車に揺られる。
熱海駅で切り離しが行われた12時前頃からお弁当を食べ始めた。
母と旅行に出ると、不思議とこういう「お肉満載」という感じのお弁当を選ぶことが多い。「ごはんが多いよ」と言いつつ完食した。母もごはんを三口分くらい残しただけだ。
ペットボトルのお茶を買うとどんどん冷めてしまうので、水筒に熱いほうじ茶を作ってきたのも成功ポイントである。
12時半過ぎに修善寺駅に到着した。駅を出たところにある東海バスの案内所に行くと、堂ヶ島を通る松崎行きの特急バスが13時1分にある。その15分くらい前に各停のバスもあるけれど、到着時刻は変わらない。
時間に余裕があるので、修善寺温泉街に寄り道し、修禅寺で初詣をしてから行こうかと母に提案してみたら、一言「面倒くさい。」と言われて断念し、堂ヶ島までのバス切符(2030円)を購入した。
バスが土肥に差しかかった辺りで、車窓から海が見えるようになった。
見事な白波である。よっぽど風が強く、波が高いらしい。恋人岬の辺りからは富士山が見えていい筈だけれど、推定富士山の方向は厚い雲に覆われている。
特急バスは、14時16分に堂ヶ島に到着した。到着する直前、本日の宿である堂ヶ島アクーユ三四郎の目の前を通り過ぎるのを確認できたから、道に迷う心配もない。
本日の宿の場所を確認できて安心したのと、チェックイン時刻である15時まで少し時間があったのと、いったん宿に入ってしまったらとても再び外に出る元気は出なさそうだったので、宿に向かう前に天窓洞だけ見学した。
海はかなりの荒れ方で、海際の遊歩道には波が打ち寄せ、水たまりができているくらいだ。念のため見てみたら、案の定、遊覧船は欠航である。
遊歩道の始まりらしきところを少し歩き、階段ではミラコロを持ち上げて、天窓洞を上から覗き込む。
覗き込む前から波の音がザブンザバンと凄かったし、覗き込んで洞窟めぐりの遊覧船が欠航になっている理由がもの凄くよく判った。
狭いところだし、かなり高い波が打ち寄せ、そして帰っている。とてもじゃないけれど、船に乗ってあそこにいたくはない。
説明板によると、この辺りは白い凝灰岩からできており、海水によって浸食されてできたトンネルが網の目のように繋がっているそうだ。
地盤は大丈夫か、という感じもする。
そして、天窓洞は天然記念物に指定されているということだった。
しばらく天窓洞を楽しみ、そこから先はずっと階段が続きそうだったので、母に荷物番を頼んで上ってみる。展望所があって三四郎岩を眺めることができた。
なかなかの眺望である。
しかし、考えてみればホテルのお部屋からも三四郎岩やトンボロ現象は見える筈だ。だとしたら、こんな寒い場所にずっといる必要はない。
一応、交代で母にも見に行ってもらい、そろそろ時間もいい頃かと宿に向かった。
緩い坂道を上ること数分でホテルに到着した。
寒い中だったせいか、敷地に足を踏み入れた瞬間、ホテルの方が玄関から飛び出して来られ、荷物を受け取って運んでくださってびっくりした。
チェックインし、クーポンを渡してお部屋に案内してもらう。3階だ。
お部屋係の方に夕食時間と飲み物を尋ねられ、「17時半は昨日から連泊の方で埋まってしまいました。」と言われてちょっと驚いた。早い時間を希望する人が多いらしい。
そんなに早くなくていいですと19時からでお願いした。
窓から外を眺めると、三四郎岩と海岸の間に白く波が立っているラインがある。今頃が干潮で、これから「道ができる」のかと期待して聞いてみると、トンボロ現象は春以降にならないと見られず、今の時期は干潮になっても三四郎岩とこちらが陸続きになることはないそうだ。
また、「西伊豆ってもっと暖かいと思っていました。」と言うと、「冬は寒いですね。雪はほとんど降りませんが風が強いので。」というお答えだ。
現地に来ないと判らないものである。
寒い風が吹き付ける中を歩いたので、とりあえずは一服だ。
用意されていた「三四郎餅」という宿オリジナルのみかん味の餡が入ったお餅っぽいお饅頭が美味しい。ついでに、持参していた栗最中もいただく、
オーシャンビューで目の前に三四郎岩がある。いい眺めだ。風は強いけれど空の雲はだいぶ消えていて、水平線ぎりぎりは雲があるものの、途中までは夕日が拝めそうである。
お部屋係の方が「お風呂は早めに行ってくださいね。混みますから。」と強調していたし、実際、ホテル入口に「満室」の表示もあったので、早めにお風呂に行くことにした。
16時前にお風呂に入るなんて、いつも旅行では歩き回る我々母子にしては珍しいパターンである。
早い時間にもかかわらず、確かに意外と人がいる。
露天風呂に何故か人がおらず、行ってもすぐに戻ってくる人ばかりだったので、試しに外に出てみて理由はすぐに判った。寒い。
海に向けて開けた露天風呂は眺望抜群で、そして西風も絶好調に吹いている。そのためか湯温がかなり下がっている。横殴りの湯気なんて初めて見た。
流石の私も寒さに耐えられず、早々に内風呂に戻り、そうすると意外と簡単にのぼせてしまい、30分くらいであがった。無念である。
16時44分とか45分くらいが日没予定時刻だ。お部屋に配られるテレビ番組表の紙に日没と干潮の時刻が書いてあって親切である。聞かれることも多いのだろう。
もちろん、ベランダに出て夕日と三四郎岩の写真を撮りまくる。オーシャンビューのお部屋のベランダだから、西風がビュービュー吹きつけている。寒くて凍えそうだ。
せっかく温泉で温まったのに、あっという間に冷えてしまった。指先も冷たい。
水平線近くは雲が厚くて、太陽は割と早いうちに雲の中に隠れた。
諦めよくお部屋に入ると、余計に寒さが沁みてくる。ガタガタ震えるくらいだったので、一人で再び温泉に向かった。
バスタオルと浴衣が2枚ずつ用意されていて、何回もお風呂に入るときに有り難い。こういうところにかなり気の利いているホテルで、例えば、大浴場にも洗顔フォームなどが何種類も用意されていたし、脱衣場の籠が入れてある棚にはルームキーを入れるカギ付きのケースも付けられている。
17時過ぎに行った温泉は確かに先ほどよりずっと混雑していて、内風呂でささっと温まった。
夕食は18時半からでもよかったねー、暇だねー、と母と言い合いつつテレビで「笑点」を見ているうちに時間になった。ほどよくお腹も空いている。
母は生ビール、私は日本酒の冷酒をもらう。
お部屋でいただいた夕食はとにかく豪華で本当にびっくりしてしまう。
舟盛りのお刺身あり、鮑の踊り焼きあり、お品書きはこんな感じである。
食前酒
にごりワイン
先付
鮟肝・河豚白子・松露・柚子卸し・貝割れ菜・旨出し餡
前菜
常節大成煮、有頭海老黄身寿し、河豚昆布〆押し寿し、梅花サーモン・烏賊雲丹かんざし・菊蕪阿茶羅漬・ロコ貝塩辛
造里
伊勢海老姿造り・本鮪・カンパチ・さざえ・菊烏賊・甘海老・本山葵
多喜合わせ
蕪鋳込み・梅花にんじん・牛蒡将軍・真蛸旨煮・筍・金針菜・振りゆず・旨出汁
強肴
鮑踊り焼
蒸し物
茶碗蒸し(むき海老・舞茸・銀杏・栗麩・三つ葉)
温物
鉄板焼き(牛・ブロッコリー・エリンギ・玉葱・細人参・卸しポン酢・葉葱)
洋皿
シーフードサラダ(海老華造り・紋甲烏賊・蛸焼霜・鮑酒蒸し・ホワイトセロリ・紫玉葱・ラディッシュ・チャービル)
寿の物
ズワイ蟹錦糸巻・鱈子砧巻・カリフラワー・末広大根・花穂・土佐酢
御飯
桜海老釜飯
香の物
季節の香り
椀物
伊勢海老
水菓子
メロン・スイカ・シャーベット
2時間近くかけて夕食をいただいた。
お味噌汁をお願いする電話をフロントに入れたとタイミングがどうやらとても忙しい時間に当たってしまったようで、お部屋の係の方に連絡が行かなかったらしい。そこで時間がちょっと空いたため、満腹度が上がって完食できなかったのが勿体ないし悔しい。桜海老の釜飯は、それくらい美味しかった。
夕食を片付けていただくのと同時にお布団も敷いてもらって、母などはもう半分お布団に入って寝る態勢である。
夕食後ものんびりごろごろとテレビを見る。
TOKIOと嵐の番組を見ながら紅白歌合戦を思い出しつつ、母と「嵐のMC力って高いよねー。」「仕切りが上手いよねー。」と言い合う。
紅白歌合戦では、紅組司会の吉高由里子が気の毒なくらいだったし、有働アナウンサーの出番もほとんどなかったような印象だったから、余計だ。
22時過ぎ、お腹も落ち着いてきたし、そろそろ空いたのではなかろうかと本日3回目の温泉に行った。
夕食にお酒を飲んでしまうと夕食後の温泉はなしということが多い母も行くと言う。
行ってみたら、夕方と同じくらいの混み方で、満室というのはこういうことかと思い、みなさんは何時ごろに就寝される予定なんだろうと余計なことを考える。
今回は、最初から露天風呂に出るつもりはなく、内湯で温まった。
母が夕方にうっかり持ち帰ってしまった、大浴場で脱いだスリッパ等につけておくと番号札も無事に返すことができ、一安心だ。
お風呂に入って体も暖まり、落ち着いたところで就寝した。23時は過ぎていたと思う。
この時間に寝れば自然に目が覚めるでしょう、早起きしなくちゃいけないということでもないしと、目覚ましもかけずに眠る。
2時ごろにふと目が覚めて外を見てみたら、海に向いているお部屋なのでその方向には明かりがほとんどなく、満天の星空を眺めることができた。
流星群の頃に来るのも楽しそうだなぁと半分寝ぼけて思いながら、再びお布団にくるまった。
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