2016年2月6日(土曜日)
当初は10時発の特急草津1号で行くつもりだったけれど、2月5日の仕事がヘビーなことが予測され、特急車内でお昼ごはんを食べるなら、11時12分発の臨時特急草津83号の方が都合が良いし、13時36分に長野原草津口駅に到着できる。宿のチェックイン時刻を考えてもちょうど良いと予約を取り直した。
上野駅のecuteで、お昼ごはんのお弁当を探す。
ちょうどオープンしたばかりの若廣というお店に、焼き鯖寿司としめ鯖寿司がセットになったお弁当があった。鯖寿司は母と私のお弁当では定番である。
お魚と来たらお肉でしょうと、今半のすき焼き重弁当も購入し、母と半分ずつ食べることにした。
なかなか贅沢なお昼ごはんである。
時間に余裕があったので帰りの特急指定券を発券してから、ホームに向かった。
すでに特急草津は入線している。自由席はガラガラ、指定席はかなりの盛況である。出発後のアナウンスで「ほぼ満席です。」と言っていた。
車内に(恐らく中国人と思われる)外国人観光客の方々が大勢乗っていることに驚いた。
いつから草津温泉は国際的な観光地になっていたのだろう。
周りには結構お弁当を食べている方も多くて、12時前に母と私もお昼ごはんを食べ始めた。
美味しい。
今回、もし雪道だったらミラコロは動きにくいだろうとボストンバックで来た。水筒は意外と荷物が重くなるので置いて来ている。出発前に買ったペットボトルのお茶は流石に冷めていたものの、車内が暖かいので全く問題ない。
肉厚の鯖は、焼いても酢締めにしても美味しい。お肉も美味しい。
母と「今日は野菜を食べていないね。」と言い合いつつ、ぱくぱく食べて完食した。
心配していたお天気も何とかなりそうである。
吾妻線に入った頃から、車窓は雪景色になった。しかし、それでも「雪が少ないね。」「積もってないね。」と言い合うくらいの積雪量だ。山も「真っ白」という感じではない。
今年の冬は、雪が少ないのだろうか。
長野原草津口到着が13時36分、草津温泉行きのバスの発車時刻が13時46分だ。
吾妻線はSUICAに対応していないけれど、草津温泉行きのJRバスはSUICAで乗ることができた。
駅前にはバスが5台待機していた。補助席も使い、最終的にバス4台が満員になって、13時50分過ぎに出発した。
我々が乗った電車の車両が7号車で一番改札から遠く、真っ直ぐバス乗り場に向かったから駅をチェックする時間はなかったけれど、お土産物屋などはなかったように思う。
駅から草津温泉バスターミナルまでは25分ほどだ。
バスの車内では、草津温泉の紹介や、草津節や湯もみ歌などがテープで流された。
観光地に来たなぁという感じがして可笑しく、楽しい。
お願いすればバスターミナルまで宿のお迎えが来てくれるけれど、ゆっくり歩いて15分くらいだし、道に雪が積もっている訳でもないし(ミラコロでも全く問題なかった)、のんびり歩いて行った。
バスターミナルから坂を下ってすぐ、湯畑が目に入った。
私が前に草津温泉に来たのは20年くらい前で、そのときの草津の様子は流石に覚えていない。それでも、この湯畑は(周囲の様子はともかくとして)変わっていないに違いない。
草津温泉に初めて来た母にとっては、もちろん、初めての湯畑である。
温泉を木樋に流して冷ますとともに、湯ノ花を沈めて採っているから「湯畑」って言うんだよと知ったかぶりで教えたところ、えらく感心していた。
この日の最高気温はマイナス2度の予報だった。
風向きなのか、もの凄い湯気が上がったり、その湯気がさーっと払われたりする。
硫黄の匂いが強く、いかにも温泉に来たという感じがする。
ぐるりと湯畑を一周し、色々な角度から湯畑を眺める。
熱乃湯の大正モダンな感じの建物が街並みに馴染んでいる。
大混雑している足湯「湯けむり亭」の横を通り、木で造られた階段を降りる。
足湯はかなり気になったけれど、私はタイツを履いてしまっているし、母は足湯も含めて外湯を「面倒臭い。」と避けたがるので、我々は覗いて見ただけだ。
木樋を通ってきた温泉は、最後にこの湯滝でどっと流れ落ちる。
滝の湯は白というか無色透明なのに、その湯が溜まっているところは、綺麗なブルーなのが不思議だ。
湯滝が流れ落ちている岩には緑色の藻が生えている。草津の湯といえば相当に酸が強い筈なのに、よくも藻がその湯を浴びながら生えていられるものだと思う。
「八代将軍御汲上げの碑」と彫られた燈籠を眺めたところで、ほぼ一周した。
湯畑には御汲上げの湯を実際に汲んだという四角い木枠が沈んでいるらしいのに、見逃してしまった。ちょっと残念である。
草津温泉は、グループ旅行らしい若者も多いし、外国人観光客の方も多い。ちょっと歩きにくさを感じるくらいの混雑振りである。
湯畑の周りには、観光客も利用できる共同浴場である白旗の湯や、大広間なども備えた日帰り入浴の御座の湯などもあって、そちらも人気があるようだった。
御座の湯の横の階段を上がると、そこが草津山光泉寺である。
流石に、その石段とお寺の境内には雪が残っている。
境内にはテントが張られ、そこでお守りなどを授与していた。
松尾芭蕉の句碑などもあるそうだけれど、全く気付かず(もしかしたら雪に埋もれていたかも知れない)、お参りだけした。
階段の途中に山門があり、そこから湯畑を見下ろしせば「草津温泉といえば」という感じでテレビ等に映されている絵が見られるかしらと思ったけれど、何だかちょっと違うような気がする。
そろそろ宿に入ろうと、西の河原に向かって歩き始めた。
道筋にはお饅頭屋さんが並んでいる。とにかく売込が凄かったのが長寿店というお饅頭屋さんだ。網の上に蒸かしたてのお饅頭を並べ、トングで挟んで一人1個ずつもの凄い勢いで渡してくれる。両手がふさがっていても、ついでにお茶も渡してくれる。
蒸かし立てだからかちょっと皮がぺしょっとしていたけれど、美味しいお饅頭だ。店内では「製造直売ですよ。」とケースの向こうでおばあさんが控えめに売り込んでいる。
しかし、我々は今到着したところだし、ご馳走になっただけで退散した。何だか申し訳ない。
宿に入る前に西の河原公園に立ち寄った。
西の河原公園には大きな露天風呂もあって、そちらが目当てらしい「お風呂グッズ」らしきものを抱えた観光客の姿も多い。
温泉が川になって結構な勢いで流れていたり、ここは河原ですよねというところに熱いお湯が広がっていたり、何だか不思議な光景だ。雪があるせいか、「鬼の棲む場所」といった荒涼とした感じはそれほど受けない。
地面に広がって流れるお湯に触ってみると、ものすごく熱いところと、足湯くらいはできそうという感じのところと、様々だ。
この公園にも足湯があって、のんびり浸かっている若いお嬢さんの姿もあった。
15時くらいに本日の宿である草津ホテル別館 綿の湯にチェックインした。
ロビーのソファに案内され、お茶かコーヒーをと言っていただいてコーヒーをリクエストする。出されたお饅頭は富貴堂のお饅頭だ。
確か草津温泉では珍しいという、こしあんのお饅頭である。黒糖の入った茶色い皮のお饅頭だ。美味しい。
こちらはもちろん蒸かしたてではないので、少し皮の表面が固く感じたけれど、蒸かし立てを食べた直後だったからだと思う。
本館3階、草津ホテルを正面に見る、ちょうどお宿の入口の真上に当たるお部屋だった。
ドアを出るとすぐそこに図書コーナーがあり、コーヒーメーカーと麦茶のポット、足湯コーナーもある。
お部屋は和洋室で、デイベッドもある。やはり畳に座れるのは有り難い。
加湿器が用意されていたり、お風呂に行くときのために籠が用意されていたり(母も私も荷物が多いのでこの籠は使わなかった)、なかなか洒落ている。
お部屋や宿の案内の紙が渡され、本日の夕食のメニューもそこに書かれている。
綿の湯さんに泊まった方のブログに、草津ホテルの日帰り入浴が可能と書かれていたけれど、お部屋の案内の紙に「できません」と明確に断り書きがあった。珍しく母が「目の前のホテルだったら、外湯も行ってみたい。」と行く気になっていたのに残念である。
そして、時間が余ってしまう。
案内の紙に入っていたクーポン券で観覧料が50円引きになることに後押しされ、熱乃湯の湯もみショーを見に出かけた。
熱乃湯に到着すると、まだ開演15分前なのに結構な行列ができていた。16時30分からの、本日最後の湯もみショーだったからかも知れない。
チケットを購入して列の最後尾につく。
開演少し前に扉が開き、1階はすでに一杯だったので、2階に上がった。湯もみショーには湯もみ体験もあるので、体験をしたい場合は1階にいないと手を挙げづらいと思う。
1階はベンチ席を入れて2〜3重に、2階はベンチ席を入れて2重に手すりを囲んだくらいの入りだ。
昨年に建て替えられ、リニューアルオープンしたばかりだそうで、木目も清々しい造りになっている。
正味20分くらい、湯もみの実演、20人限定だという湯もみ体験、草津節と草津湯もみ唄の歌と踊りを楽しんだ。
「目を見張るような」内容ではないのに、何故だか「結構楽しかった」と思えるのが不思議だ。
湯もみ唄の最後に、バシャバシャと派手にお湯を叩くシーンがあったのがかなり楽しかった。
熱乃湯を出ると、ちょうど湯畑のライトアップが始まっていた。その湯畑と夕焼けを鑑賞する。
熱乃湯のチケットの裏に湯の香本舗というお店限定の花豆チョコレートと草津の湯の発泡入浴剤の宣伝が載っていてかなり気になったので、早速購入した。
別の温泉で湯の花を買って帰ったこともあるけれど、硫黄の香りが強く、自分もお風呂も残り湯を使った洗濯物も全部が硫黄の匂いになってしまってなかなか使いづらかったので、この発砲入浴剤はなかなかいいアイデアだと思う。
17時半くらいに宿に戻った。夕食は18時半からでお願いしてあったので、まだ間に合うと温泉に行ったら、貸切状態だった。贅沢している気分だ。嬉しい。
綿の湯では2種類の源泉を引いていて、右側の少し白濁したお湯が「わたのゆ」、左側の無色透明のお湯が「万代鉱」である。
宿のサイト等では、「わたのゆは柔らかいお湯で、万代鉱はかたいお湯」と説明されている。正直なところ、その違いが私には判らない。万代鉱の方が湯温が高いせいか、ちょっとピリピリするなと思ったくらいだ。
お湯に浸かっているときは感じなかったのに、お風呂上がりに自分から硫黄の匂いがしてちょっと驚いた。
お風呂上がりに麦茶のポットが用意されているのが嬉しい。また、化粧水や乳液などのアメニティやドライヤーも用意されている。
18時半から待望の夕食である。
お食事は2階にあるレストランでいただく。テーブルが全て埋まっていたから満室だったのかも知れない。
泊まっているのは若い人が多くて、うちの母が最年長の宿泊客だなという感じだ。
先付け:はなびら茸 鶏肉 胡麻和え
八寸:一口寿司 豚角煮 京芋と蕪のすり流し みそ漬け3種盛り 季節の白和え 胡麻豆腐 エリンギのピクルス
酢の物:蟹 帆立 白菜 ゼリー寄せ
お造り:鮪 カンパチ 甘海老
煮物:フォアグラ大根
洋皿:ローストビーフ
蓋物:茶碗蒸し 湯葉餡
鍋:鶏つくね鍋
蒸物代わり:群馬県産もち豚の冷しゃぶ
椀 ごはん 香の物
水菓子:抹茶ババロア
最初、母は生ビール、私は迷った末に白ワインをいただいた。
ローストビーフが並んでいたし、フォアグラ大根が後で出されることは知っていたので、2杯目に赤ワインをいただこうという魂胆である。
美味しい。
八寸の胡麻豆腐や京芋と蕪のすり流しは最初から並んでいるのではなく、後から温かいものが出されて嬉しい。
黒蜜のかかった抹茶ババロアまで美味しくいただいた。
お部屋に戻ろうというときに、冷水のポットをいただけたのも有り難い。
お部屋に戻ったのが20時前だった。
ワイン2杯でかなりお酒が回っている感じだったので、コーヒーをいただいてゆっくり飲む。
母は生ビール一杯でやはりお酒が回ったらしく「眠い。」と言い、眠ってしまってもいいように早々に歯磨きをしている。この後で温泉に行く気はないらしい。
私はゆっくり食休みをして21時半くらいにもう1回温泉に行った。
またもや、貸切状態である。嬉しい。母は「若い人は温泉に何回も入ったりしないのよ。」と言う。そうなのだろうか。勿体ないなぁと思うけれど、昼間に外湯巡りを堪能していたのかも知れない。
夕食前に外湯巡りに行こうというご夫婦とすれ違ったのを思い出した。
湯上がりにマッサージチェアもゆっくりたっぷり堪能し、お部屋に戻ったら母がもう半ば眠っていた。
お部屋の電気を調整し、喉に悪いかなぁと思いつつエアコンは付けっぱなしにして、その代わり濡らしたタオルをタオル掛けにかける。
23時前には、二人して、すぐ側を流れる川の音を聴きながら眠りについた。
-> 草津温泉旅行記2日目