2016年5月4日(水曜日)
もう10年くらい前に熊野古道を歩くツアーでご一緒したお姉様方お二人と、その後もお食事会を開いたり、温泉旅行に行ったりしている。
昨年に引き続き今年のGWにも温泉旅行に行くことになった。
行き先は私の独断により、秩父である。近場で、かつ、一生のうちに47都道府県全てで宿泊するという私の目標を達成するために埼玉県に泊まろうと思ったことが選定の理由だ。
池袋駅に11時に集合した。
最初、西武線の改札口集合を指定したところ、「それは判りにくいと思う。」ということで、JR構内のユニクロ前集合に変更した。「エスカレーターを降りれば、ユニクロがある区画に行ける」という至れり尽くせりの指示だ。
池袋駅のいけふくろうは実は割と判りにくい場所にあるし、JR構内だっていくつかに分断されているし、この集合場所と指定方法は上手いと思う。
お一人が10分くらい遅刻したものの、我々が乗る特急秩父号は11時30分発である。西武池袋駅構内にあった福寿園で車内のおやつとしてヴァッフェルを購入する余裕もあった。
西武秩父駅でもsuica等が使えることは確認済みだ。発券してあった特急券は、特急のホームに入るところでチェックがあったように思う。
すでに待ち構えていた車両を見て「地味だね。」と言い合う。
もっとも、外観は地味だけれど、車内はブルー系で統一され、座席間も広く、乗り心地は快適だ。
7両編成でお手洗いと自動販売機が1号車と7号車にある。
車内放送で満席だと言っていた。
ちょうどお昼の時間帯だから周りにはお弁当を食べている人も多い。我々も先ほど購入したヴァッフェルをいただいてお腹を宥める。
12時58分、西武秩父駅に到着した。
宿のすぐそばにあるバス停に行くバスは14時30分発で、その前にお昼ごはんだ。
一応、「ツアーコンダクター」としてお昼を食べるお店をいくつかチェックしていた。ところが! iPadに入れておいたら、何故かネットに繋げることができない。家に帰って来て再設定が必要だったから、どこかでネット環境の設定がおかしくなっていたらしい。
そうなると、店名等はメモしてあったものの、お店の場所が判らない。
お姉様のお一人が「私の勘で!」とおっしゃってくださり、その方が間違いないと歩き始めた。
駅前に出ていたお弁当屋さんも含め、どこも混雑している。
西武秩父駅から歩くこと3〜5分くらいのところで、「大当たりか大はずれかどっちかだと思う。」ともの凄いことをおっしゃりつつお姉様が指差したのが、三義屋である。
精肉店がやっているお店のようだ。
「ちょっと入りにくい。」と言い合いつつ中に入ると年配のご夫婦が出ていらした。カウンターに座り、やっぱりここはお肉でしょうと3人ともとんみそ定食をお願いする。他は、お魚の定食(一つはイワナだった)が2種類あったと思う。
とんみそ定食って何だろうと思ったら、みそ漬けにした薄切りの豚肉を焼いたものがメインだった。キャベツの千切りとポテトサラダ、バナナが添えられる。
ごはんにわかめのお味噌汁、山菜にお漬物が付いて完成だ。
濃いめの味付けにごはんが進む。そしてまた、このごはんが美味しい。
「大当たり」だった。
駅に戻ってバスを待つ。
西武秩父駅では、今、西武秩父仲見世通りを改築して温泉施設なども併設させようとしている。工事中だ。
お土産物屋や食べ物屋、酒屋さんなどは営業していた。
お姉様はこの酒屋さんで秩父錦という地元のお酒の試飲をしていた。帰りにお父上にお土産に買って帰ると言う。
そうこうしているうちに時間になり、西武秩父駅14時30分発皆野駅行きのバスに乗り込んだ。
このバスを逃すと、最寄りのバス停に行くバスは17時過ぎまでない。マイクロバスよりは大きい、普通の路線バスよりは小さいバスは座席が8割方埋まっている感じだ。
羊山公園に行く車で道が渋滞し、通常は30分弱で行くところを40分くらいかかり、バス停「札所一番」に到着した。
秩父三十四観音霊場の第一番札所である四萬部寺からすぐのところにある旅籠一番が本日のお宿である。
同じバスに乗って同じバス停で降りたあと二組が同宿の方々のようだ。
チェックインは入口横にある小さな建物(夜はシングルモルトバーになる)で行い、我々は道路を挟んだ向かい側にある別館のお部屋に案内された。
お部屋が暗い! と思ったら、窓の外に崖が迫っていた。それは暗い筈である。
古くて暗いという第一印象のためか、何となく湿っぽいような気もするお部屋でしばしまったりする。
それぞれお茶やおやつを持って来ている。まったりの準備は万端だ。
お土産の交換もいつものことで(もっとも私はいただくばっかりになってしまっている)、今回もしおりや入浴剤、歯ブラシなどなどをいただいた。
ゆっくりおしゃべりもしたいし、18時の夕食までに四萬部寺にお参りもしたいし、温泉にも入りたい。
16時くらいにお散歩に出た。
四萬部寺までは徒歩30秒である。流石に札所一番のお寺で、大型バスが何台も駐まれるような駐車場も用意されている。
四萬部寺は「しまぶじ」と読む。
本堂の正面の彫刻が凄い。地獄之図と極楽之図が彫られている。本堂の傷みが激しく、修復のための寄付を募っていた。
左の写真で、右側に写っているのが施食殿で、中には八角輪蔵が納められている。
施食殿の隣には秩父札所連合会事務所があり、巡礼用品などが売られていた。
ご朱印帳を持って行くのを忘れたので、紙に書いたものをいただいて(300円)、家に帰って貼ることにした。
お姉様のお一方が「秩父三十四観音霊場巡りをしたい!」とおっしゃり、紙に書いたものをいただこうというのを止め、秩父三十四観音霊場巡り専用の納経帳の購入をお勧めした。
全てのお寺の名前が順番に書かれ、そのお寺にまつわる(と思われる)和歌がそれぞれに書かれている。
一番札所の御朱印はすでに描かれており、日付だけ入れていただいていた。
お宿に戻るには少し早いのでお散歩でもしようかと思ったら、宿の前にアクアファーム秩父という看板が出ていた。「卵」のお店なのか農場なのか、とにかく何だか気になるので行ってみることになった。
道端やおうちのお庭に沢山のお花が咲いている。秩父って何だか凄いなぁと思う。もちろん季節だからということもあるだろう。
歩くこと数分で到着したアクアファーム秩父は、一言で言うと養鶏場だった。
プレハブの建物があって、その中でパックに入った卵などが売られている。入口横に冷蔵庫があって、プリンが売られている。
卵形のケースに入って1個600円。高い!
しかし、ちょうど3個あるのも何かのご縁である。もう16時半になるところだけれど、温泉に入ればお腹も空き、夕食を食べられる隙間も空くだろうと購入し、その場でいただいた。
ほとんどオレンジ色に近い色のプリンは、「詰まっている」感じがして美味しい。
ここのご主人がお話好きな方で、彩美卵「輝」という卵のことを色々と教えてくださった。
「何が違うんですか。」と端的に質問したところ、品種と餌が違うと即答だ。地鶏を掛け合わせていて、1羽が3〜4kgあるそうだ。またかなり凶暴な奴で、足の後ろのところについているトゲ(とは言わないような気もする)で長靴を突き抜けられ怪我してしまったとおっしゃる。
奥様は棒を持って鶏を蹴散らしながら鳥小屋に入るらしい。
壁に色紙がたくさん貼られていて、テレビでもかなり取り上げられているようだ。
テレビの影響というのはもの凄くて、テレビに出て以降、プリンの売れ行きがもの凄いらしい。それで、今は「輝」という一番お高い卵を使ったプリンしか作れないとおっしゃる。
でも、お勧めなのは、普通の(?)「彩美卵」のMサイズくらいだなぁとおっしゃる。それでも1パック500〜600円くらいだった。なかなか買う勇気が出ないお値段である。
「明日の朝買って、家までずっと持ち歩いても大丈夫ですか?」と聞いたら、卵は気温30度を超えると細胞分裂が始まる(孵化の準備が始まる)ので、傷みやすくなるけれど、別に大丈夫だよ、でも重いからネットで買ってもらった方がいいかもね、というお話だった。
毎週金曜に旅籠一番に卵を納めていて、土日に泊まると朝食に卵かけごはんが出るけれど、もう木曜だから食べ切っちゃっているだろうなというお話だ。残念である。
お風呂は本館に二つ別館に一つある。
本館の二つのうち一つはお部屋単位で貸切にできる。特に予約等は必要なく、使うときには「貸切中」の札を出しておいてくださいというお話だ。
貸切ではないお風呂二つは、19時を境に男女で入れ替わる。
本館に行ってみると、貸切が空いていたのでそちらに入ることにした。
カランが二つある。貸切でない方のお風呂もカランは三つだから、大きさはそれほど違わない。
二つあるカランも、二つ同時に使うとお湯の出が悪くなってしまう。何となく交替で洗い、お湯に浸かる。
確か、島府の温泉を運んで来ているとどこかで読んだような気がする。無色無臭のお湯で、「いかにも温泉」な感じではない。
そして、かなり熱いお湯だった。「扇風機が欲しいねー。」と言い合う。
そのまま本館のお食事処で夕食をいただいた。
テーブル席になっていて、満席である。本日、こちらのお宿は満室のようだ。
生ビールをお願いし、早速食べ始める。
本日の夕食のメニューはこんな感じである。
鶏香草焼き
秩父吉田産大豆の湯葉さし
薬膳信州産山伏茸のフライ
徳島産鮎塩焼き
季節の煮もの盛り合わせ
越後湯沢よりこごみ胡麻あえ
長崎産車海老にアボガド
けんちん汁
ごはん
香のもの
パンナコッタを季節の果物と小豆でサンドに
アクアファーム秩父のご主人が「これでもかって出てくるよ。」と言っていたのは、掛け値なしに本当のことだった。
最初に並べられたお皿だけでもびっくりしたし、さらに鮎の塩焼き、山伏茸のフライ、ごはんと出てきたときにはどうしようかと思ったくらいだ。
「ごはんは軽くお願いします」と頼んだらお茶碗で出してくださったけれど、普通はお櫃で供されるようだ。びっくりである。
しかもこれが美味しくて、1時間以上時間をかけ、ゆっくりとほぼ完食した。
お部屋に戻るとお布団が敷いてあった。
3人ともお腹が苦しくて寝転がってしまう。
とてもではないけれど、すぐお風呂に行くなんて無理である。お腹がいっぱい過ぎる。
何となくテレビを見ながらおしゃべりする。
何とかお腹も落ち着いたところでお風呂に行ったのは22時近かったと思う。
別館の1階にあるお風呂にだけは露天風呂がある。周りが見える訳ではないけれど、何だか嬉しい。
夕方に入ったお風呂よりも温めで、外の風に吹かれつつのんびりじっくりと浸かることができた。
23時くらいに部屋に戻り、お姉様のお一人はすぐに寝入ってしまい、もうお一方と私とお布団に入ってしばらくおしゃべりをしていた。
「明日の朝、お散歩して、お風呂に入って、それから朝食を食べたい。」という話になり、目覚ましを6時半にセットし、寝る体制に入ったのは翌1時前だったと思う。
-> 秩父旅行記2日目