屋久島旅行記1日目その1
2017年10月7日(土曜日)
自宅最寄り駅5時21分発の電車に乗ろうと思い、目覚ましを4時にかけておいたのに、目が覚めたら4時半で滅茶苦茶焦った。ここのところ残業続きで、荷造りも終わっていない。
慌てて起き出して、グラノーラとフルーツで朝食にする。
しかし、もっと焦ったのがこの後で、5時前にタクシー会社に電話したところ、「回せる車がありません。」と言われてしまった。
雨の3連休初日を舐めていたらしい。
近隣に営業所のあるタクシー会社数社に順番に電話し続け、何とか「15分後なら。」と言ってくれたところにお願いする。
もう、電話を掛け続けたこの15分ほどは「このまま旅行に行けないんじゃないか」と心の底から焦りまくった。
何とか予定の電車の1本後の電車に乗ることができたときには、疲労困憊、脱力状態だった。
電車に乗ったら乗ったで山手線が止まったりして焦る。どうにか集合時刻ジャストに羽田空港の集合場所に到着することができた。
ほっとする。
受付したのは、母と私の二人が最後だったのようだ。
添乗員さんに受付をしてもらった後、母と二人分の荷物詰め込んだ大きめのキャリーケースを座預けるべく列に並んだ。
これがかなり長い行列になっていて、この間にお昼ごはんを買っておいてもらおうと母の携帯に電話し続けても一向に出る気配がない。
全くもう! と思っているうちに順番が来て、そういえば鹿児島までの搭乗券しか貰っていなかったけれど、無事に屋久島まで荷物を預けることができた。出発時点で預入荷物が10.2kgもある。我ながら何を詰め込んだんだろうと思う。
慌てて母のところに戻り、お昼ごはんに母は「柿の葉ずし」を、私は銀座福ひろの「炭火焼鯖寿司」を購入した。お弁当売場も大混雑だ。
セキュリティチェックで母のトレッキングシューズが引っかかったこともあり、お手洗いに寄って搭乗口に辿り着いたのと同時くらいに搭乗開始となった。
羽田空港8時5分発のJAL643便は、30分近くも空港内を走り続けたらしい。
座った途端に寝て起きて、まだ飛行機が飛び立っていないことに驚いた。
鹿児島空港には定時の9時55分に到着した。飛行機を降りたところで、ツアーメンバー14人が初集合である。
4人家族が一組、父子二人連れが一組、我々母子、そして3組のご夫婦だ。3連休だからか、年齢層もそれほど高くない。中央値50代というところではないだろうか。
そのまま 屋久島空港行き日本エアコミューター3743便の搭乗口に直行し、10時10分搭乗開始、10時15分に離陸、予定どおり10時55分に屋久島空港に到着した。
屋久島に到着する少し前、飛行機の窓から見える平べったい島は種子島である。写真を撮っら、平べった過ぎて島かどうか判らないくらいだった。
そちらは快晴だったのに、屋久島は雲に覆われている。
預入荷物が人の手で運ばれて来て「おぉ!」と思いつつ引き取り、三々五々、お迎えに来てくださっていた屋久島といえばというまつばんだ交通のバスに乗り込む。
明日は西部林道に行くため22人乗りの小型バスに乗る。今日は(後で判ったことでは)3日間大きさの違うバスに乗った中で真ん中の大きさのバスだった。14人でほぼ一人二席使える大きさだったと思う。
空港では晴れていたのに、バスが走り出したら雨が降り出した。天気予報は3日間晴れの予報だ。さすがは1ヶ月に35日雨が降る島である。
バスガイドさんに「しばらく行くと山道になりますから、お昼を食べる方は今のうちに。」という案内があり、11時半くらいにお昼ごはんをいただいた。
ガイドさんは、立て板に水のごとく「屋久島に熊はいません。」「野ウサギもいません。」「このホテル屋久島山荘で林芙美子が”浮雲”を書きました。」「屋久島にモスバーガーができたときには、その前の道路が1週間、渋滞しました。」「11月に天皇皇后両陛下がいらっしゃるので島内のあちこちが工事中です。」「10月10日に種子島からロケットの打ち上げがあります。」「屋久島には、日本の植物のうち70%の種類があります。」「苔とシダが特に多いです。」「屋久島の人口は13000人です。」「大正時代に台湾から入って来たぽんかんが今は特産物になっています。」等々の話をされていた。
もちろん、これらは私が覚えていられたほんの一部である。
本日最初の目的地は、紀元杉である。
その後、少し戻ってヤクスギランドを歩き、15時半くらいにはホテルに入る予定である。
海沿いを走る道から、山の中に入る道に入ると、道幅が狭くなり、くねくねしだし、がんがん登っていることが感じられる。
途中、ヤクシマサルたちがガードレール沿いに並び、寛いでいる姿を見ることができた。
これはノミ取りをしている訳ではなく、お互いに毛繕いをしているところだそうだ。
小猿もいて可愛い。
12時20分頃、バスは紀元杉に到着した。
道路から徒歩0分で見られる「屋久杉」である。
樹齢1000年を超えた杉が「屋久杉」で、それ以下の若い杉は「小杉」と呼ばれるそうで、樹齢900年でも若いと言われてしまうとは、一体どれだけの長老がいるんだろうという感じだ。
「紀元杉」は、高さ19.5m、周囲8.1m、樹齢3000年である。
立派すぎる「長老の木」である。
「最初で最後の集合写真です。」とガイドさんに言われ、全員で写真を撮ってもらった後、紀元杉の周り作られた木道に降りた。
木道というか階段が整えられ、ちょうど記念写真を撮りやすい感じで少し広いデッキのようなところまで用意されている。
そこから見上げると、何だか色々な木や蔦が紀元杉に絡みついているように見える。
ツアーメンバー14人はなかなか快適な人数で、代わる代わる記念写真を撮ってもらうのも余裕だ。
ちゃんと覚えていないところが情けないけれど、紀元杉は木肌に触ることができた、ような気がする。
紀元杉からほんの少しだけ上がったところに、紀元命水という湧き水がある。
ガイドさんが言うには「一口飲むと寿命が30年延びる」そうだ。
もちろん、飲んでみる。
標高が1230mあって少し涼しく、「冷たくて美味しい」という感じではない。どちらかというと、土っぽい香りが少し入っているように感じられた。
何というか、地面をくぐってきた水という感じだ。
我々が紀元杉と紀元命水を味わっている間に、バスが少し先まで行ってUターンしてきてくれた。
私の運転技術では、屋久島をレンタカーで旅行するのは無理だよなぁと改めて思う。ここまでの道も結構細くて、寄せたり下がったりしてすれ違ったところも結構あった記憶だ。
バスに乗って15分ほど戻ったところが、ヤクスギランドである。
添乗員さんが「森林環境整備推進協力金」を支払って手続きをしてくれ、13時、ガイドさんの先導で50分コースを歩き始めた。
ヤクスギランドでは、50分コースまでは木の階段や遊歩道が整備されていて、普通の靴でも充分歩くことができる。
バスガイドさんもスニーカーだった記憶だ。
歩き始めてすぐ、「くぐり栂」をくぐる。これが「栂の木ってこんなに太くてデカいものだったっけ?」というくらい迫力がある。
多分、この二股に分かれた木の間を抜けるようにわざわざ遊歩道を作ったのだと思う。
ヤクスギランドでは、倒木更新の「始まり」も見ることができた。
屋久島は花崗岩の島で土壌が薄いため、土から栄養分を摂ることが難しいらしい。
しかも、木が倒れれば覆い茂っていた葉もなくなるから、倒木には日光が射すことになる。陽の光と倒れた木の養分とを得て、倒木に杉の木の赤ちゃんが生まれるそうだ。
バスガイドさんがサクサクと進み、添乗員さんが殿を務めている。
私と、もうお一人、熱心に写真を撮っている女性がいらして、二人で最後尾を争うような感じになる。ちょっと心強い。
上を見ても横を見ても緑が濃い。
そして、何だか不思議な様子をしている。
歩き始めて10分くらいで林泉橋まで来た。
何というか、普通の橋である。
橋から上流を見れば岩がごろごろとしており、下流を覗き込むと川底の砂が見えている。
かなり水量が少ない。雨があまり降っていないのだろうか。
それにしても綺麗な水である。
林泉橋からすぐのところで、とても判りやすい「切り株更新」をした(しつつある?)木を見ることができた。
仕組みとしては倒木更新と同じで、伐採された後の陽の光が当たる切り株の栄養を得て、木々が育つ。
ただ、切り株ができるのは人の手で伐採したからで、そのため「倒木更新」と「切り株更新」は分けて考えられているらしい。
元々の樹脂分が多い上、風雨や日光を苔が遮るため、倒木も切り株も分解されるまでに時間がかかる。だから、充分に育ちきった後、根元の倒木や切り株があった場所に空洞ができる。
何とも気の長い世代交代である。
ガイドさんと離れて歩いていたせいか、どうも私は千年杉を見落としたか、千年杉だと認識せずに見ていたか、していたらしい。
苔に気を取られて主に下を向いて歩いていたせいかも知れない。
それもまた良しということで、荒川橋(吊り橋)までの景色はこんな感じである。
一際明るい茶色で目立っているのは、ヒメシャラの木だ。
足もとや、遊歩道のすぐ脇を見れば、名前も知らない、シダなのか苔なのかすら私には判らない小さな世界が展開されている。
ガイドさんは「この先端に光っている水滴を私はダイヤモンドだと思っています。」と語っていた。
恐らくは色々と見逃したり、でもたくさん深呼吸をしつつ、できるだけきょろきょろと周りを見回しながら歩き、30分くらいで荒川橋という吊り橋に到着した。
-> 屋久島旅行記1日目その2
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