タスマニア旅行記3日目その1
2018年4月30日(月曜日)
6時に起床した。
うっかりトラベルクロックを荷物に入れるのを忘れてしまい、iPadを目覚まし代わりに使っている。部屋の中にパッと見て時間が判る時計がないのはちょっと不便だ。
外を見ると朝焼けが綺麗だったので、慌てて色々と着込んで外に出た。
道の真ん中でしゃがみ込んで写真を撮っていたら、お隣のキャビンだったツアーメンバー唯一の男性がやはり写真を撮りにいらしていた。一眼レフに大きくて長いレンズを付け、動物写真への並々ならぬ本気度を感じる。
7時オープンに間に合うようにレストランに向かった。
ほとんど一番乗りで、窓際の席を選ぶ。窓から池が見えて気持ちがいい。
朝食のビュッフェのメニューも豊富で、トーストとクロワッサンを焼きすぎてしまったのが我ながら惜しい。
さらにお代わりして、カットフルーツにヨーグルトとレザーウッドの蜂蜜をかけていただいた。
ゆっくり朝食をいただき、部屋に戻ろうとしたら道が判らない。
森の中の道をぼんやり歩いて来てしまったのが敗因である。少し遠回りになるけれど車道を歩いて戻る。次にキャビンからレストランに来るときには、よくよく周りを見なければと思う。
ロッジ内に小川が流れ、橋が架かったりしている。方向音痴の私が迷うのも当然である。
晴れ間も見えていた空にはだいぶ雲が広がっている。相当に寒い。タスマニアでも、朝焼けはその日が雨降りになる兆しなんだろうか。
部屋に戻り、身支度をする。
長袖Tシャツに半袖Tシャツを重ね、そのうえに長袖シャツ、フリース、レインウエアを重ねる。下もサポートタイツに薄く綿の入ったパンツを履く。どれだけ寒がりなんだという格好である。
8時半にKさんが迎えに来てくださり、まずは別のロッジで売られているチーズを買いに寄り道する。アシュグローブという会社が有名で、このツアーでも工場に立ち寄ることになっている。その味見をさせてくれるらしい。
その後、昨日もクレイドルマウンテンを見に来たダブ湖の駐車場に向かった。今日の午前中は、このダブ湖を一周するハイキングである。
高曇りという感じで、雨は降らなさそうである。
クレイドルマウンテンも雲がかかりつつもしっかり見えている。
9時15分に、時計回り方向にハイキングをスタートさせた。
Kさんは植物にも詳しくて色々と教えてくれる。だが、如何せん覚えられない。復唱しながら歩いても全く覚えられなかった。我ながら素晴らしい記憶力である。
左の葉っぱは「レモンタイム」だったと思う。
手で葉っぱを強く擦るといい匂いがして、それで覚えている。
実際に歩いているときも「これだっけ?」「こんな形の葉っぱだったような。」等々と言い合い、いくつかの種類の木に触ってみてやっと当たる感じだった。
右の写真の赤っぽい実はピンクマウンテンベリーだ。”ベリー”と聞いたら「食べられるかどうか。」をKさんに質問したに違いないのに、果たしてこの実を食べられるかどうか、全く覚えていない。
どうだったろうか。
白っぽいピンクのお花は「バイエラ」である。と思う。その学名よりも「アイノカンザシ」という名前がやけに印象的に残っている。
自分の記憶力に全く自信がないので聞いたことはできるだけメモを取るようにしているものの、このときは、「体力がない」ことと「自分が一番体力がない」という二つの理由で、歩きながらメモを取る余裕が全くなかった。
返す返すも残念である。
歩き始めて20分くらいで、氷河岩に到着した。
もちろん、登る。
昔はここから飛び込む人が多かったため「自殺岩」と呼ばれていたらしい。
今の名前が「氷河岩」になっているのは、氷河が通ったというか削った跡が岩の表面に線状に残っているためだ。「きっと、どうしてこんな写真を撮ったのか、後で見たら判らないよね。」と言い合いながら写真を撮る。
そして、この岩の上からの眺めがなかなか良い。
物覚えが悪い私でも、ツアーメンバーみなさんで何となく気に入って名前を連呼し、何とかして覚えようとやっきになったいくつかの植物は今でも名前と姿が(かろうじて)一致する。
椰子の木みたいな木もその一つで、「パンダニ」という名前だ。
椰子の木みたいな見た目をしつつ、ヒースの一種で、タスマニア固有種の一つらしい。
こうして後になって思い返そうとするとやはり色々と忘れている。この前の日に立ち寄ったインフォメーションで販売されていた植物図鑑を購入しておけば良かったと思う。
もう一つ、覚えたのが「バンクシャー」だ。
左のまだ若い状態から右のちょっと時間のたった状態へ、どんどん水気を失って固くなっていく、という説明があったと思う。
オーストラリア原産の植物で、乾燥したところが好きらしい。それなのに、どうしてダブ湖の湖畔にたくさん生えていたのかは謎である。
今回のツアーの目的の一つが、ナンキョクブナの黄葉である。
ちょっと遅かったか、くらいのタイミングで、ダブ湖の対岸の崖っぷちに黄葉したナンキョクブナが生えているのを見ることができる。
ナンキョクブナには常緑のものと落葉のものとがあり、タスマニアの固有種で黄葉するのはこのナンキョクブナだけである。
Kさんは「なんとかファガス」と学名を何度も教えてくれたけれど、いったん覚えやすい「ナンキョクブナ」でインプットしてしまった私の脳みそは最後まで変換してくれなかった。
コースタイムよりもだいぶゆっくりの1時間半くらいをかけて、スタート地点のちょうど反対側、クレイドルマウンテンの麓といった場所に到着した。
確か、ベンチがあった記憶だ。
荷物を下ろし、Kさんが朝購入したチーズを切り分けてくださって、遠慮なくいただく。このときは、プレーンなチーズとと山葵が入っているチーズを賞味した。
山葵入りは辛みというよりは香り付けという感じだ。
クレイドルマウンテンが随分と角度を変えてそびえているところをじっくり鑑賞したら、後半のスタートである。
後半はひたすらナンキョクブナを追った。
ほぼ出発地点に戻ってくると、ナンキョクブナとクレイドルマウンテンの競演を見ることができる。
Kさんは「ちょっと遅かった。」と残念がっていたけれど、私としてはかなり満足だった。
ボート小屋まで戻ってくればほぼ1周である。
ダブ湖の水が茶色っぽく黒っぽく見えるのは、ボタングラスという植物の根から溶け出したタンニンが含まれているからだ。タンニンを含んだ水は表面に油膜が張ったようになり、それで鏡面になるという。
ゆっくり歩いて、ゆっくり休憩もして、写真もたくさん撮って、1周3時間だった。
とにかく雨に降られなかったのが有難い。その代わり、ずっと風に吹かれていたせいか目が乾く。
ツアーメンバーのみなさんは「何ということもない。」というご様子で、私一人でへとへとになっていたように思う。
駐車場にあるお手洗いに寄った後、車でワルトハイム・ハットに移動した。
今日のお昼ごはんは、見晴らしの良い場所に立つハットで、ランチバッグをいただく。
マスタードが効いたサンドイッチが美味しい。オーストラリアン仕様のサンドイッチ二つは日本人には多すぎるのでKさんがお願いして1パックにしてもらったと聞いて、何だか可笑しい。
Kさんが温かい飲み物を作ってくれる。
「インスタントなんだけど美味しいんだよ。」と言われたカフェオレが、甘くなくて確かに美味しい。コールズというスーパーのプライベードブランドの商品だそうだ。そういえばスーパーで見つけたら買おうと思っていたのにすっかり忘れていた。
デッキにベンチを持ち出し、眺めを満喫しながら食べていたら、カラスが寄ってきてどうも我々のごはんを狙っている気配だ。慌てて室内に戻った。
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