烏場山 山歩き旅行記
2019年1月12日(日曜日)
ツアーの集合は7時20分、上野駅近くの駐車場だった。
受付で「烏場山」の読みが「からすばやま」であることを知る。それくらいは事前に予習をしておこうよと自分にツッコミを入れた。
7時過ぎに受付をしてもらい、バスの到着までしばらく待つ。
バスは24人乗り、今回の参加者は20名である。
前回の反省に基づき、また南房総といえど今日はかなり冷え込む予報なので、大分着込んでいる。
上野駅出発時点では、上はヒートテックのタンクトップ、長袖Tシャツ、半袖Tシャツ、長袖シャツ(薄手)、ちょっと厚手のフリース、レインウエアの上を重ねていた。下はスポーツタイツに、薄綿入りのパンツを重ねた。
使い方を練習しようと、ストックをリュックにくくりつけている。
7時20分にバスが出発し、30分強走ったらうみほたるに到着した。
トイレ休憩兼お買い物タイムである。お買い物といってもお土産ではなく、行動食が足りない人、お水が足りない人は買い足しておいてくださいと言われた。
うみほたるを出発してからもバスは順調に走り、「雨があがって欲しい」という全員の願いを乗せ、当初予定よりも30分ほど早く、9時半前に和田浦の駐車場に到着した。
お手洗いを済ませ、身支度を済ませ、靴紐を結び直し、9時35分くらいに駐車場を出発した。
一応、雨はあがっている。
この駐車場に16時くらいに戻ってくる予定だ。
フリースを脱ぎ、ジップロックに無理矢理詰め込んでリュックに入れる。
私は思いつきもしなかったけれど、出発の時点でツアーの半分くらいの方はリュックカバーを装着されていた。慣れている方は違う。
菜の花はもちろん、ポピーや、温室の中ではストックが咲いている。
花畑を抜けて、アスファルトの道を歩くこと20分くらいで花嫁街道入り口に到着した。
ここにもお手洗い(確かバイオトイレ)がある。我々はスタートしたばかりだし、誰も使っていなかった記憶だ。
リュックを下ろし、ガイドさんの先導で準備運動をする。
ちょうど乗用車が入ってきて、3〜4人の方が装備を整えて出発して行った。
和田浦の駐車場から花嫁街道入口までの間だったか、花嫁街道入口に到着した後だったか、可愛らしい道祖神が道ばたにあった。
流石、「花嫁街道」である。
この「花嫁街道」は「和田浦歩こう会」が看板や道の整備に尽力してくださっている。
最初は急登だというガイドさんの説明があり、レインウエアの上をここで脱いだ。
前回の反省に基いてニットキャップを被り、手袋を二重にしている。レインウエアを脱いでちょうどいいくらいだ。
階段のような道を30分で一気に上がり、標高180mの第一展望台を通過した。
「第一展望台」という名前は付いていても、ここには「眺望」はほとんどない。木が育って、眺望を完全に遮ってしまっている。
第一展望台から約20分、さらに標高を20mほど上げて、11時前に第二展望台に到着した。
ここから後は急な登りはほとんどないとガイドさんに言われ、脱いでいたレインウエアを着込み、水筒のお茶を一口飲む。
「うみほたる」で水の小さいペットボトルを購入し、ウエストバッグに入れている。歩きながらお水が飲めて便利である。でも、温かいお茶が美味しい。
第二展望台からは、房総の海が見下ろせた。
しかし、何しろ今日は曇り空である。海は薄いグレー、空は白っぽく霞んでいて、「おぉ! 海だ!」という感動はない。ちなみに「うみほたる」にいたときも同様で、かろうじて工業地帯が見えるなぁというくらいの展望しかなかった。
第二展望台を過ぎた辺りは、マテバシイの林が広がっていた。
ツアータイトルにもなっていたくらいだから、「見どころ」の筈だ。
しかし、今回はツアーメンバーの方々の中にも植物好きの方があまりいらっしゃらなかったようで、特に盛り上がることもなかった。
ガイドさんも特に植物に詳しいという感じではなさそうだ。
マテバシイの林の横を通り過ぎ、本日の目的地である「烏場山」の山頂を見ることができた。
といっても、富士山のようにすっくと立っている訳ではない。稜線の一部、という感じだ。
木がまばらっぽくなって、ぼさぼさっと木が生えている感じのところが烏場山山頂である。
「ぐるっと回ってあそこまで行きます。」と言われると、もの凄く遠いように感じられる。
第二展望台から5分ほど歩くと、経文石があった。
このコースで、ここまで大きな岩が露出しているところは他にない。
「お経がどこかに彫ってある訳じゃなさそうですね〜。」と言って笑われてしまう。しかし、後で調べたら、昔はこの経文石の下を登山道(花嫁街道)が通っていて、見上げると梵字をかすかに確認することができたらしい。
今は風化してしまっているということだ。
花嫁の無事や幸せを祈ったんだろうか。
経文石から15分くらいで「じがい水」の標識の横を通った。
細い道が伸びていたから、花嫁街道を外れて歩かないと「水」を見ることはできないようだ。
「じがい水」は「自我井水」の字を当てる。このお水を飲んだ後で自害した人がいるといった伝説が残っていたり、かくし田の水源として使っていたという話があったりする。
真相は謎である。
ポツポツと降っていた雨が、じがい水を通り過ぎて小さな山頂のまき道を通った辺りから本降りになってきた。
木々がだいぶ雨を遮ってくれているものの、レインウエアを叩く音がする。
風も出てきたため、11時40分、駒返しで昼食となった。
大きな木の根元で雨を避け、これまた前回の反省を元に持ってきたクッションを敷いて座ると、まずレインパンツを履いた。
食べ終わってからだと忙しそうだし、食べている間も雨が当たって濡れそうだし、ここはレインパンツ装着が最優先事項という判断である。
ついでに、リュックカバーも装着した。ストックをくくりつけている分、上手くカバーを嵌めることができない。これは要検討事項だ。
身支度を先に整えたものの、何となく食欲がない。
ここまで休憩のたびにチョコや干し梅を口にしていたからか、雨で気持ちが落ち込んでいるからか、あるいはその両方が原因かも知れない。
甘い物なら食べられそうな気がして、お惣菜パンはパスし、甘い菓子パンを二つ食べた。ほうじ茶も飲む。山専ボトルは保温性能は抜群だけれど、その分、直接飲めずにコップに注ぐ必要があるところが面倒くさい。
30分の予定を「あまり休むと体が冷えるので。」とガイドさんが言い、20分後には出発したと思う。
10分ほど歩いて見晴らし台に到着したとき、雨は少し弱まっていた。
でも、雨である。
雨が降り出してからこちら、ひたすら黙々と一列になって歩いている。
何だか修行のような気分にすらなってくる。
見晴らし台から第三展望台までも5分くらい、そこからさらに15分くらいで烏場山山頂に到着した。
看板と一緒に撮ってもらった自分の写真を後で見たら、これが本当にヒドかった。
雨はまだ降っていて、レインウエアのフードと重ねて被っていたニットキャップがどんどんずり落ちてきて、それが邪魔で何度も上げたり被り直したりしていたせいで、髪はぐちゃぐちゃ、修行のようだと思っていることが顔に出て疲れ切っている。
それほど大雨ではなかったし、レインウエアもきっちり濡れから守ってくれていたのにこの体らくかと笑えた。
山頂を出発してからは、雨が弱まったのと、頭上の木々の葉っぱが茂っていたのと、多分両方で、雨はそれほど気にならなくなった。
それでも、下り道だし、「やせ尾根」と言われる、両方が下に落ちている道を歩いたし、やはり修行状態である。
防水手袋を嵌めてしまうとカメラの操作がしづらく、全く写真を撮っていない。ガイドさんが、ポイントで足を止めて説明してくれた際に時間の記録も兼ねて撮っていたくらいだ。
烏場山山頂から1時間弱、14時25分くらいにマテバシイの大木のある見晴らし台まで降りてきた。
見晴らし台から少し下り、登り返したところが金比羅山(標高121m)である。
70m降りてくるのに25分くらいかかっている。
そして、この金比羅山からの下りが難所だった。
お天気が良ければ多分、大したことのない「注意してください。」という感じの下り道だ。それが、雨が降っている、足下が濡れているとなると、階段の土止めになっている木や露出している石などが結構滑る。
贅沢なことに、この下りでガイドさんのすぐ後ろを歩かせてもらった。要するに、私が一番の初心者かつ危なっかしいと、ガイドさんが判断しみなさんが譲ってくださったのだ。的確すぎる。
ガイドさんに「前を歩いている人を見ていれば、どこが滑って危ないか判るでしょう。」と言われ、「いえ、ガイドさんは全く危なげなく歩いているので判りません。」と心の中で答えつつ、ゆっくり下る。
ガイドさんも「滑りやすくて危ないので、少し間隔を空けて降りてきてください。」と声をかけている。
祠を過ぎた後もまだ急な下り坂が続き、足下が悪いと疲労が倍にも3杯にもなるんだなぁと思う。
金比羅山から下ること20分、木の階段(ここでもガイドさんは足下が濡れていることと、階段自体の強度を心配して、「あまりたくさんの人数で階段を降りないように。」と注意していた)を降り、黒滝に到着した。
14時10分くらいのことである。
黒滝からは水辺沿いの道を歩き、飛び石のような橋や木の橋を渡り、少しばかりアドベンチャー気分を味わって、5分ばかりで花園広場に到着した。
サザンカの大きな木が並んでいて、綺麗である。
広々とした本当の「広場」で、ここにもトイレがあった。
雨は完全に止んでいた。良かったー、と思う。
添乗員さんは「やったー!」と喜んでいる。しかし、ここから最初の和田浦駐車場までは40〜50分かかる。ガイドさんは「ここからがキツイんです。」と言う。
ここから「黒滝ハイキングコース」を歩き、抱湖園」を経由してスタート地点を目指す。
休憩後、14時35分くらいに出発した。
そして、いきなりの登りである。
結構な急坂で、「花園広場でもうおしまいと思ったのに〜!」と何故だか騙されたような気分になる。
レインウエアといえば、ふと気がつくとレインパンツの裾の内側だけ、もの凄く泥はねしていた。
「何故だ?」と思っていたら、ベテランの方から「一本道で歩いているからよ。」とご指導いただいた。山では1本の線の上を歩くのではなく、肩幅に引いた2本の線の上を歩くように歩くといいそうだ。そうすれば重心が下がってコケにくくなると他の方も教えてくださる。
それ以降、2本線を意識して歩く。これが結構難しい。
「レインパンツがこすれる音がするようじゃダメ!」「また1本線で歩いている!」と厳しい指導を受ける。
雨も止んだし、意外な急坂に暑くなってしまい、レインウエアの上を脱いだ。
濡れているレインウエアをリュックにしまうのも面倒で、乾くようにできるだけ広げて手に持って歩く。
ふと気がつくと、日が差し、青空も見えていた。
海も、歩き始めたときよりは、大分色が明るくなってきているように思う。
添乗員さんと「青空ですよ!」「今日初めて見ましたね!」と喜び合う。
スタートした頃から「抱湖園に寄る」「和田浦で切り花栽培を初めて行った場所である」と言われていて、そのつもりがなくても期待が高まっていたらしい。
この池が和田浦で切り花栽培を始めた間宮七郎平という方の残した池であり、抱湖園である。
お花畑があると思っていたので、何だかがっかりしてしまった。
もう少しすると、元朝桜という寒桜が綺麗に咲くそうである。
抱湖園まで来てしまえば地上はすぐそこで、下り坂もおしまいである。
アスファルトの平坦な道を歩き、15時15分にスタート地点の駐車場に到着した。
本日の歩行時間は4時間45分、ガイドさんの想定より15分長かった。雨が降って足下が悪かったことを思えば上出来である。
駐車場のお手洗いを借り、身支度を整え、特に靴の泥を念入りに落とし、整理体操を行う。
多分、バスが出発したのが15時半くらいだったと思う。
うみほたるで帰りもトイレ休憩を取り、道も空いていてバスが順調に走ってくれて、上野駅には17時半くらいに到着した。
色々と勉強になった山歩きだった。
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