ニュージーランド旅行記4日目その1
2019年1月29日(火曜日)
6時45分に起き、顔を洗って身支度をする。半袖Tシャツにジップオフしたズボン、虫除けを兼ねてゲイターを付ける。
7時前くらい食堂に行くと、ランチを作るための準備がすでに整っていた。
パン、ペースト各種、具材各種、ランチボックス(好きな野菜を入れてサラダを作る人が結構いた)にラップ、紙袋が用意され、それぞれ好きな具を挟んでサンドイッチを作る。
これが結構楽しい。
歩きながら食べるおやつも用意されていて、チョコレートとドライフルーツをもらう。
昨日のうちにお水をもらい、用意されていたティーバッグをいただいてペットボトル2本のうち1本にハーブティを作ってある。
夜の間に飲んでいたペットボトルのお水を空けて、新しいお水をもらう。
追って朝食も用意される。
食後にお腹を落ち着かせる時間が欲しくて少し待つと供されるというホットミールはパスし、フルーツのシロップ漬けとグラノーラにヨーグルトをかけ、ハーブティと一緒にいただいた。
ツアーメンバーの方が「食べきれないから。」とおっしゃったバナナ半分も有難くいただく。
何しろ、朝は忙しい。
サンドイッチ作りと朝食を済ませたのが7時40分、それから歯磨きをして、荷造りをして、8時25分には歩ける格好でロビーに集合である。
ここで「入らない!」と焦るのが嫌で、45Lという大きなリュックを選んだ。
かなさんのピアノ伴奏で、8時25分、我々ツアーメンバーによるラジオ体操が始まった。
当然、世界各国から来た方々は「何だ?」という顔でこちらを見ている。
始めてみると、意外とラジオ体操を忘れていることに気がついた。無意識に体を動かしていたら、「それは違います。」とかなさんからツッコミが入った。
日本に住んでいたことがあるという外国人女性がいらして、いつの間にかラジオ体操に参加されていた。
ラジオ体操を終えて8時35分、出発である。
リュックのポケットに500mlのペットボトルを2本入れ、ウエストバッグに180mlの小さなペットボトルを入れる。
ウエストバッグには他に、パスポート、お財布、ハンカチ、ティッシュ、メモ帳とボールペン、カメラ、虫刺されの薬・日焼け止め、リップクリーム、おやつを入れた。
帽子を被り、手ぬぐいを首に巻き、サングラスをぶら下げる。
ロッジを出発してすぐ、ロッジの前の川にかけられた吊り橋を渡った。
これが結構揺れて、楽しいといえば楽しい、コワイといえばコワイ。
お天気は曇りである。
2日目のこの日に歩く道は「簡単」らしい。実際、歩き始めはアップダウンもほとんどなく、道は広めで平らだ。水たまりがほとんどないのも有難い。
右手には先ほど渡ったばかりの川が流れているが、姿は見えない。
その代わり、コマドリが木々の間を飛んでいるところが見えた。
ミルフォード・トラックでは、1マイルごとに標識が立てられている。
この日、1マイルの標識も通り過ぎた筈だけれど、見逃してしまった。
早めにスタートしたもののどんどん皆さんに追い抜かれ、2マイルの標識を通過した9時7分の時点ですでに一人で歩いていたような気がする。
2マイルの標識を通り過ぎてから10分くらいで、ウェットランドへの分岐に到着した。
ここは結構みな寄り道しているらしく、標識の周りにリュックがたくさん並べられている。
こういう感じで、横道に入るときにはリュックを置いて行くルールだ。最後尾を歩いてくるガイドさんに見落とされないようにするためである。
昨夜の説明会資料によると、元々ニュージーランドにあった湿原は農地化されたりして、現在は、元々あった湿原の10%程度しか残っていない。
ここはその貴重な10%の一部である。
湿原は、乾いた時期には周りの植物に水を供給し、大雨が降れば水を吸収して洪水を防ぎ、いわば貯水池のような役割を果たしている。
湿原には木道が設えられていた。
ちょうど木道の一番奥に到着した頃、かなさんが追いついてきて、色々と説明してくれた。
右上の写真の、真ん中の雪山の左側の山が、グレイドハウスロッジからも見えていたsentineil(だったか・・・)山である。
この辺りには水苔もあって、手折っても元の場所に戻しておけばまたそこで定着できるという。強靱な生命力である。
また、赤い花弁の食中花も生えている。
今のところ被害はないものの「噛まれたら大変」と前評判の高い(?)サンドフライを食べてくれるという。
右の写真は、マヌカハニーのあの「マヌカ」の木である。枝は黒く、時期には白いお花を咲かせる。
15分ほどの寄り道で、ウエットランドを後にした。
道の真ん中にコマドリがいて、すぐ足下まで寄ってきたりする。
ミルフォード・トラックでは、コマドリに意地悪する人も捕まえようとする人もいないから、みな人懐こい。
誰かと一緒のときは、大抵、おしゃべりしながら歩いている。
ただ、ミルフォード・トラックでは「みんな一緒に」歩く訳ではなくて、それぞれが自分のペースで歩いている。我々ツアーメンバーも然りだ。
そうすると、とろい私などはあっという間に置いて行かれ、ほとんど一人で歩くことになった。
一人で歩いているとき、意外と「何も考えない」とか「頭を空っぽにして歩く」ことは難しい。
こんな清々しい場所に来て、仕事のことをつい考えたりしている。
頭を空っぽにすることは難しいにしても、意識して深呼吸するようにしていた。
あとは、リュックのチェストベルトをもう少し締めようかとか、ウエストバッグの紐とリュックのウエストベルトが当たるなぁとか、二重にした靴下の内側に履いた五本指ソックスがもぞもぞするなぁとか、そんなことを考えていたような気がする。
ウエットランドから10分くらい歩いたところで、右側からひょいっと誰かが現れた。
そこから川岸に降りることができるようだ。
「綺麗なビーチがあるよ。」と言われて河原に降りてみたら、いきなり開けて水があって、その水が綺麗で、教えていただいたとおりの気持ちの良い場所だ。私に分かる英語で教えてくれたことに感謝である。
ただ、河原の石が大きくてごつごつしていて歩きにくい。道を逸れるのにリュックを背負って来てしまったので、早々に戻った。
先ほどの河原からほんの2〜3分、9時55分にクリントン・ハットに到着した。
我々のグループは「ガイドウォーク」に参加してミルフォード・トラックを歩いている。
もう一つの方法として「個人ウォーク」で歩くこともでき、そちらの定員は確か1日40人だったと思う。
個人ウォークでは、泊まるべき山小屋にベッドとマットレスが用意されているのみで、食べるものも寝袋もすべて自分で持ち運ぶ必要がある。
クリントン・ハットは、その個人ウォーク用のハットで、我々はお手洗いを借りたり、お水を補給したりすることができる。
もちろん、ここに泊まった方々はとっくに出発していて、管理人の方も見当たらず、人っ子一人いなかった。
クリントン・ハットを10時に出発し、5分後には3マイルの標識の横を通り過ぎた。
道は整備されていてる。本当に稀に、倒木が道を塞いだりしているくらいだ。
平らだし、ぬかるみも水たまりもないのが有難い。
一方通行で分かれ道もなく、道に迷う心配もない。
気持ちよく歩くことができる。
こんな景色と森と道を独り占めだ。
ウエットランドだけでなく苔があちこちにあって、やっぱり屋久島っぽいなぁと思う。
試しに苔を手のひらで押してみたら、3cmくらいもあって驚いた。
そんなことをして遊んでいたら、ガイドさんや添乗員さんたちが追いついて来て、しばらく一緒に歩かせてもらった。
色々と教えてもらえるのが楽しい。そして、覚えていられないのが申し訳ない。
10時30分に4マイルの標識を通過した。
1.6kmに25分だから、1kmに換算すると15分ちょっとで歩いている。結構な重さのリュックを背負い、きょろきょろわくわくしながら歩いていることを考えると、私にしては上出来なペースである。
歩きやすい条件が揃っているお陰だ。
歩きやすいと言いつつ、こんな道を通ることもある。
たまにアドベンチャー(というほどでもないけれども)なのが楽しい。
木々に結ばれているオレンジのリボンは、進むべき方向を示してくれる目印だ。この隙間を通りなさいと示してくれている。
歩いていると、お花が目に入ったり、再びコマドリが遊んでくれたりする。
それも嬉しい。
お花は、夏の盛りということを考えると意外と咲いていないなぁという印象だ。
お花の季節は、もう少し早いのかも知れない。
実際、この翌日にマッキノンパスまで標高を上げて歩いたときの方が、お花をたくさん見かけたと思う。
その代わり、なのかどうか、折れて倒れた木の裏側に真っ白なキノコが生えていたりする。
道の両脇にある岩に苔が生え、その苔を伝って水がしたたり落ちている様子もあちこちで見ることができる。
やはり「1年に300日雨が降る」と言われるだけあって、森は豊かに水を内包している。
それでも、この日は実際のところ、いつもよりもずっと「乾いて」いたようだ。
「気分転換」の役割を果たしてくれたこの橋も、雨が降り、川の水かさが増したときには、張られたネットと併せてきっと命綱のような存在になるのだと思う。
5マイルの標識は見落としたらしい。
11時33分、6マイルの標識を通り過ぎた。
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