出雲旅行記2・3日目
2019年6月2日(日曜日)
14時頃、旧大社駅に到着した。
国鉄大社線の終着駅だった大社駅の駅舎等は残され、重要文化財に指定されている。この駅舎は大正13年にできたそうだ。
今では和風建築の駅舎自体が貴重だし、神社様式を取り入れた駅舎としても貴重である。
平成2年にJR大社線が廃線となった後も残され、内部も無料で見学することができる。
駅舎内は、外観とは打って変わって洋風である。
シャンデリアなども下がっている。
駅舎を通り抜けてホームに出ることもでき、ホームからは、精算所や改札の様子を見ることができる。
木造建築の味のある精算所で改札だ。
ホームに停車していたのはD51である。蒸気機関車の代名詞ともいえる、いわゆる「デゴイチ」だ。
まさかそんなものと出会えるとは思っていなかったので驚いた。
昭和49年に本州を最後に走ったその機関車だというから、さらに驚く。
昭和50年からは出雲大社神苑に置かれ、平成13年に旧大社駅に移設されている。
運転席にも上がることができた。
旧大社駅の近くに、出雲大社の一の鳥居である「宇迦橋の鳥居」がある。せっかくなので、一の鳥居から神門通りを歩いてみる。
この鳥居は、大正4年に、ここから始まる松並木の松280本とともに寄進されたものだ。
鉄筋コンクリート製で、真っ白なその姿はかなり目立つ。目立つというか、若干、異様だ。
高さ23mで、随分と大きく感じる。しかし、出雲大社本殿はさらに1m高い。
出雲大社にある国旗掲揚のポールは高さ48mで、その昔にあったという大社本殿の高さに揃えてあるというし、出雲大社は「高さ」とか「数字」に拘りのある神社なのかも知れない。
宇迦橋の鳥居に掲げられた「出雲大社」という額面は、畳6畳分もあるという。高すぎて大きすぎてよく判らない。
「宇迦橋の鳥居」から神門通りが始まる。
車の通りもあまりないので、ぶらぶらと歩く。
すぐ、一畑電鉄の出雲大社前駅に来た。昨日は気づかなかったけれど、日本最古級だというオレンジ色の電車が展示されていて、こちらも自由に中に入り、見学することができる。
展示されている車両は、映画「RAILWAYS」にも多く登場したというデハニ50形で、今ではほとんど見られない荷物室付きの車両だ。
手動の扉が残っているのも貴重だという。概ね、使っているうちに自動扉に改造されてしまって、原形を留めている車両はほぼないらしい。
先ほどの旧大社駅は「ドライブの途中に立ち寄った」という感じの人がちらほら、こちらは「電車を見に来た」という感じの人がちらほらと見学していた。
少し先にあった観光案内所で、次はどこへ行こうかと窓に貼られた地図を眺めていたら、中にいた方から声をかけていただいた。
夕方まで時間があるんです、出雲大社へは午前中に行きました、とお話ししたら、出雲歴史博物館と稲佐の浜をお勧めいただいた。
博物館も午前中に行っているので、せっかくだからと稲佐の浜に行くことにする。
神門通りをそのまままっすぐ上がって行き、勢溜の大鳥居にぶつかったところで左に折れる。
出雲大社正門前のバス停を過ぎた最初の角を左に折れると、そこが神迎の道である。
10月に日本中の神様が出雲に集まる際、みなさま稲佐の浜に上陸し、神迎えの道を歩いて出雲大社までいらっしゃるそうだ。
道沿いの家々に竹の花瓶のようなものが吊され、お花が生けられていて、神様を歓迎する印かしらと思っていたところ、実は竹の潮汲箍で地元の方は稲佐の浜の海水を汲んで身を清めるのに使っているらしい。
結構遠いなぁ、まだかなぁと思いながら歩くこと20分強くらいで、稲佐の浜に到着した。
天照大神のお使いの神様が、大国主命に国譲りを迫ったことで有名な場所であるらしい。
この日は暑く、浜にある大きな岩の周りで海に入って遊んでいる子供達が結構いた。実際、この場所は島根県で最初に開かれた海水浴場でもある。
大きな岩の上には鳥居が立っていて、そちらにいらっしゃる神様へのお供えとしてか、岩のくぼみにはお金が詰め込まれていた。
何だか変な感じである。
この岩にお祀りされている神様が誰なのかはよく判らなかった。
稲佐の浜の近くには、実際に建御雷之男神が大国主命に国譲りを迫った際に「背にしていた」と言われる屏風岩がある。
要するに薄っぺらい高さ2〜3mくらいの岩である。
この岩を背にして話をしたということは、建御雷之男神はそれほど上背のある神様ではなかったのだなぁと不遜なことを考えた。
16時過ぎのバスで出雲大社連絡所に戻り、歩き疲れたし暑くて喉も渇いたし休憩しようと日本ぜんざい学会壱号店に行ったところ、今日はもう受付を終了しましたと言われてしまった。閉店30分前までに入らないといけなかったらしい。残念である。
しかし、気分はもうぜんざいである。
近くにあったくつろぎ和カフェ 甘右衛門に入った。
オーダーはもちろんぜんざいである。
セットの飲み物は選ぶことができ、冷たい煎茶をお願いする。
「ぜんざい」は、神在祭で振る舞われた「神在餅(じんざいもち)」が元になっているとも言われているというし、歩き疲れたし、ここは甘い物をいただくのが王道というものである。
落ち着いた雰囲気のお店で、ゆっくり寛いだ。
JR出雲市駅で夕食を調達できるかどうか確信が持てず、安心のためにも日本海というお店で今日の夕食用に焼き鯖寿司を購入する。
お土産に、UONOYAで島根県産というノドグロのお出汁を買ったり、大社珈琲で令和を記念したコーヒー豆を購入したり、出雲かみしおで「私には塩のミネラルの味はよく分かりません」と思いながらお塩を購入した。
出雲大社連絡所発17時50分のバスに乗り、JR出雲市駅に向かう。
もう1本前のバスに乗るつもりが、ぜんざいとお土産に時間を使いすぎてしまい焦る。渋滞することもなく18時半前に出雲市駅に到着したときにはほっとした。
駅構内にあるセブンイレブンにも、若干のお土産物やお弁当、お酒などが売っている。焼き鯖寿司のお供に、ミニサイズの日本酒があったので購入する。1本は父へのお土産である。
サンライズ出雲の発車は18時51分である。
出雲市駅始発ながら、入線時刻は5分前とか3分前とか、本当にギリギリだったと思う。
入線してくるサンライズ出雲の正面の顔と乗車口横の行き先表示を撮って急いで乗り込んだ。
私が一晩を過ごすのは4号車26番、シングルデラックスのお部屋である・階段を2〜3段上がった左右に向かい合うようにある扉を入る。
同じ車両にシングルデラックスの乗客専用のシャワー室があり、お部屋にシャワーカードが付いていて有難い。
発車と同時にシャワーを使っている方がいらして、「なるほど賢い、そうすれば間違いなく未使用の綺麗なシャワー室を使用できるんだわ」と思った。
左側がベッドでその上に窓があり、正面が入口の扉、右側にハンガーがかかっていて、その下がデスクとイス(壁に向かって座る)だ。さらに写真を撮っている私の後ろに洗面台がある。
発車してすぐに車掌さんが来て、アメニティグッズを手渡してくれた。
車内探検に行き、随分と空室があることに驚く。出雲市駅出発直後だし、途中駅で乗車する人もたくさんいるのだろうと思う。
それにしても空いていて、のびのび座席には女の子が一人いるだけだった。
お部屋の窓は海側(進行方向に向かって右側)にあり、宍道湖を見ることはできない。
ラウンジは逆に進行方向に向かって左側に窓があり、おじさま方が酒盛りを始めている中に割り込んで、宍道湖の夕日を何とかカメラに収めようと苦心する。
がんばっていると、おじさま方も「幻想的だねぇ」などと窓の外を見始め、何となく満足する。
松江駅に近づくと電車は宍道湖から離れてしまう。
そのタイミングで部屋に戻ろうとしてシャワー室を覗いてみると空いていたので、夕食前にシャワーを浴びることにした。
シャワー室にもリンスインシャンプーとボディソープが用意されているけれど、先ほどもらったアメニティの中からシャンプーとコンディショナーを有難く使わせていただく。
お湯が出るのは6分で、これは北斗星と一緒だ。
「お湯を6分間流せる」のであれば髪を洗うにも十分だ。シャワー室自体は確か30分使えたと思う。
バスタオルは持参する。この分、荷物が多くなるのは仕方がない。
北斗星とは違い、シングルデラックスでもシャワーとトイレは共用で、そうそう変なカッコになる訳にも行かないのが面倒くさい。
シャワー室にはドライヤーもあったけれど、狭くて揺れるところでドライヤーを使うのは結構大変で、タオルドライだけでお部屋に戻った。
汗を流してさっぱりし、夕食をいただく。
出雲大社前で購入した焼さば寿しと、出雲市駅のセブンイレブンで購入した日本酒である。
お酒をちびちび舐めながらいただく焼さば寿しはなかなかのものである。
ベッドに足を伸ばして座り、真っ暗な外の景色を(というよりも時々現れる明るい場所を)眺めながらいただいた。
お酒の効果か、かなり眠い。
灯りを消してみても、窓がカーブを描いているせいか、星空を拝むことはできなかった。ちょっと残念だと思いつつ、早々に就寝した。
2019年6月3日(月曜日)
目が覚めたとき、サンライズ出雲は富士駅の辺りを走っていた。外はもう明るい。
部屋の外に出て、反対側の窓から見てみたところ、富士山は山裾が見えているだけで、ほぼ雲の中に隠れてしまっていた。これまた残念である。
相模湾の辺りでは雨も降り出した。旅行中に降らなかっただけ、良しとするべきだろう。
東京駅に7時過ぎに到着した。
朝食は東京駅で食べてから帰宅する心づもりである。
駅構内のRISO CANOVIETTA グランスタ店でトーストとトマトソースのスープリゾットのセットをいただいた。粉チーズ(多分、ちゃんとした名前があると思う)にオリーブオイルをかけたものをパンにつけたりスープに入れたり、味の変化を楽しめるのも嬉しい。
朝食を終えて家に電話すると、母が「お昼ごはんに駅弁を買ってきて。」とおっしゃる。
なるほどと大混雑している駅弁屋さんでお昼を買い込み、重くなった荷物とともに帰宅した。
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