ニュージーランド旅行記4日目その3
2019年1月29日(火曜日)
15時にBUS STOPに到着した。
緑色の看板に、正しく「BUS STOP」と書いてある。
もちろん、ここにバスがやってくる訳ではない。
この先、ポンポローナ・ロッジに行く手前に川が流れており、雨量によっては「氾濫」に近い状態になることもある。そういったときに、雨が止んだり水が引いたりするのを待つための場所である。
その実体は、掘立小屋だ。
しかし、屋根があって、壁があって、ベンチが置いてある。上等だ。
しばしの休憩後、BUS STOPを出発するとすぐ「ガレ場」に到着した。
ここにもある緑の看板の上にある張り紙には「洪水で堤が不安定な状態になってしまったので、左に5分オレンジのリボンを辿って登り、非常用の橋を渡ってください」的なことが書いてある。
後で聞いたところによると、トップグループに付いていたガイドさんが、参加者を下で待たせ、あっという間に登りながら目印にオレンジのリボンを付けていったそうだ。
何て高すぎる身体能力だろう。
かなさん言うところの「明日の予行練習」 をこなすべく、オレンジのリボンを辿りながら登る。
実際のところ、5日目の峠越えの道はきちんと整っている箇所が大部分で、ガレ場はほんの一部である。
しかし、そんなことは知らないので、かなり戦々恐々として添乗員さんと一緒にゆっくり歩く。
道なき道をオレンジのリボンの後を辿って行く。当然、ゆっくり登ることになる。
若干のアドベンチャー気分も味わえるし、お天気も曇りで歩きやすい。
何よりゴールが見えていて距離も短かい。
お陰で、このガレ場が凄く大変だと思った記憶はない。割と楽しく登れたと思う。
もっとも、BUS STOPからほぼ平らな位置で橋が渡されていたのが見えて、「あっちだったら楽ちんだったのに」と思ったのも本当である。
「非常用の橋」に向かって折れる角にはガイドのアナさんが待っていてくれて、「あの橋を渡って右に折れ、ここから見えるあの看板を左に曲がればすぐだから」的なことを教えてくれる。
彼女はここでずっと道案内をしてくれている訳だ。
「非常用」の割にちゃんとした橋を渡り、再び森の中を歩いていると、向こうから歩いてくるカズアキさんと行き会った。しかも、荷物も背負っていない。
「どうしたんですか?」と尋ねると、先ほどのBUS STOPにストックを置いて来てしまったので取りに戻ると言う。
確かに、BUS STOPの横にストックが立て掛けてあったのを見た記憶がある。
すると、添乗員さんが「私、アナに言って、最後尾を来るガイドさんにピックアップするよう無線で連絡してもらいます!」と言って、あっという間に引き返して行ってしまった。
ガイドさんも凄いし、彼女の体力と応用力にも脱帽である。
橋からロッジ入口まで10分弱くらい歩き、無事、15時20分に本日の宿であるポンポローナ・ロッジに到着した。
靴の泥を拭うために、ブラシを向かい合わせてくっつけたようなものが用意されている。よくよく泥を落とし、入口に用意されていたビスケットとジュース、お水のうち、お水をもらう。
それほど暑くなかったし、途中で長袖シャツを脱ぎ着したくらいだから、それほど喉が渇いた感じはしない。
この日、16kmを歩いている間に飲んだお水は700ccだった。
ポンポローナロッジは、崖っぷちというか斜面を利用して建てられている。3階層(だったか?)あって、階段の両脇に廊下が延びてお部屋が並んでいる。
シャワーとトイレは階層ごと、男女別にある。
ここでは、我々ツアーの女性陣は添乗員さんも含めて一つのお部屋が割り当てられた。6人部屋で、2段ベッドが三つある。
ツアーメンバーの中で私が最後尾だったらしく、先に到着した方々は荷ほどきをし、シャワーも浴びて、ロビーでアフタヌーンティと洒落ていらっしゃるようだ。
カメラの電池が怪しくなっていたので充電を始め、ビーチサンダルに履き替えて靴を乾燥室に入れて乾かす。
シャワーを浴びて洗濯をし、何故だか晴れてきたせいもあって暑いなぁと思いながら長袖シャツと山スカートに着替える。
洗濯物を乾燥室に干すのと入れ替わりで靴を取り込み、部屋の中に入れておく。
このロッジでは、靴を部屋の外に置いておくと、ケアという鳥にいたずらされてしまう。
シャワーを浴びているときに、右足のちょうどゲイターの上端が来ていた辺りに、サンドフライに刺された跡が横一列で並んでいることに気がついた。
タイツも履いていなかったし、ゲイターの隙間から入り込んで刺しまくってくれたらしい。
赤くポツポツと刺された跡が並んでいて、非常にみっともない。しかし、それほど痒くないのは有難い限りである。
ポンポローナ・ロッジの「ポンポローナ」はスペイン語で「スコーン」の意味である。当然、このロッジのアフタヌーンティ・タイムにはスコーンが供される。
16時頃にラウンジに行き、スコーンと紅茶をいただいた。クロテッドクリームとイチゴジャムもあって本格的だ。イチゴジャムと並んでトマトケチャップが並んでいた理由は謎である。
空になったペットボトルを洗ってお水を入れ、ティーバッグももらって明日用のお茶を作る。
スコーンをいただいて一息入れ、どうにも筋肉痛の予感が激しかったので、お部屋に戻ってシーツをセットしたり、ストレッチをしたり、メンテナンスに努める。
歩いている間、チェストベルトとショルダーベルトにちょっとでも違和感があったら直すように気をつけていた成果か、背中はそれほど痛くなっていない。
18時前に夕食に行こうとお部屋を出ると、青空が広がっていた。
山の上には雪も見える。
下に見えているのは、ロッジの下の階のお部屋の屋根である。
しばし、全員で入れ替わり立ち替わりの写真撮影タイムになった。
「食堂」などと言っては申し訳ないようなおしゃれな空間で夕食をいただく。
前菜 は何故だかアラブ料理風である。ホブスに豆、チーズやディップ、オリーブの入ったトマト煮込みもある。
メインはチキンのレモンソースを選んでいる。白ワインがいいなとカウンターのお姉さんに伝えたところ、シャルドネをお勧めしてもらった。
デザートのクレームブリュレまで美味しくいただく。
コーヒーや紅茶はセルフサービスだ。
19時半過ぎから翌日の説明があった。
明日は6時起床、6時15分から昼食づくり、7時に朝食である。
全体での一通りの説明が済んだところで、我々ツアーメンバーには、引き続きかなさんからの説明がある。有難い。
明日の午前中はとにかくひたすら果てしなく登って行く行程である。
かなさん曰く「登りじゃないところはほとんどありません。あったらラッキーだと思ってください。」。
しかし、実際は6マイルで700mを上がる登りよりも、3.5マイルで900mを下る後半の方がより辛いという。本当か、と思う。
また、かなさんから7時20分にラジオ体操開始、7時半出発と厳命があった。
また、「最初の休憩場所であるミンタロ・ハットで必ずお水の補給をしてください。」と注意があった。
明日のポイントは「水分補給」のようだ。
あまり言いたがらないかなさんに食い下がって聞いたところによると、明日の天気は「小雨」で、かなり暑くなる予報らしい。
マッキノン峠を過ぎ、さらに30分くらい登るとパスハットに到着、ここでお昼休憩になる。
「パスハットを13時までに出なければ、サザーランド滝に行くことはできないと思ってください。」という話だ。サザーランド滝に行く人は、明日の宿であるクィンティン・ロッジを16時半までに出ることになっていて、パスハットからの下りに3時間は楽にかかるらしい。
途中、長い木の階段があって、そこに青い鴨がいる、かも知れないので探してみてくださいと言われた。
果たしてそんな余裕があるものかと思う。
明日の夕食を選び、説明も聞き終えたら、ストレッチタイムである。
かなさんが講師役になり、ラウンジの絨毯が敷かれたところを利用して、我々ツアーメンバーと、ガイドさん達も加わる。これが結構気持ちいい。
ストレッチの後は治療タイムだ。
腰や膝に痛みが出た方はテーピングをしてもらっていたし、私は左足の親指の脇にマメができかけていたのと、左足の小指が元からボロボロだったのがさらにボロボロになってきたので、その両方にテープを貼ってもらった。
21時くらいに治療タイムが終了し、就寝準備開始である。
みなさんもの凄く手際が良くて、私などぼーっとしているとあっという間に置いて行かれてしまう。
歯磨きをし、お手洗いを済ませ、ふと気がつくと21時半には私ともうお一方の他はすっかり寝入っていらした。
それも凄いけれど「明日の朝も早く起きて走る。」と言っている添乗員さんも凄い。凄い人だらけである。
21時半頃、夕焼けを見ることができた
日が長い。
暗くなってからお手洗いに行ったところ、ポンポローナ・ロッジでは、外廊下には灯りがあり、お手洗いには灯りがなかった。
各自が持っているライトが頼りである。
歩いているときはウエストバッグとして使っているバッグを、ロッジに着いた後はショルダーバッグにして持ち歩いている。
これが結構便利である。
寝るときにもベッドに持ち込んで、バッグを手にすれば、水もライトも時計も手にできる。我ながらいいアイデアだ。
前日のグレイドハウス・ロッジでは、「断続的ながら眠れた」という感じだったけれど、このポンポローナ・ロッジでは、何故だか全く眠れなかった。
普段から全く運動をしない私がこれだけ歩いているのだから、疲れていない筈がない。それなのに、何故か本当に眠れない。
この日の夜、「眠れた」とか「うとうとして目が覚めた」という記憶が全くない。
もしかして一睡もできなかったかも知れない。しかし、そんな調子で普段から全く運動をしていないような私が、曲がりなりにも峠越えのキツイ道を歩くことができただろうか。
未だに、謎である。
4日目の歩数 31649歩
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