奥入瀬旅行記2日目その1
2019年8月30日(金曜日)
朝起きたら、そこは大雨だった。
本当にそんな感じである。5時45分に目が覚めて、外を見たらそこは大雨だった。
起き抜けですぐ露天風呂に行き、体を温める。
もちろん、露天風呂から外を見たところで、やはり大雨である。
6時50分くらいから朝食を食べに行く。
せっかく青森県(十和田プリンスホテルは秋田県にあるとはいえ)に来たのだからと、りんごカレー、りんごと豆乳のスープ、りんごジュース、りんごのフレンチトーストにサラダというりんご尽くしの朝食メニューを作った。
ヨーグルトに添えたジャムをブドウジャムにしたところが、我ながら惜しい。
朝食を食べ終える頃には雨もあがったようだ。ホテルの庭に出て少し散歩する。
目の前は十和田湖である。
湖に緑の芝生、木々も爽やかで「晴れていればさぞや」というロケーションである。
雨は落ちていなかったものの、芝生はもちろん濡れていて、足下がバシャバシャする。
お部屋に戻り、備え付けのコーヒーミルで豆を挽いて食後のコーヒーと洒落る。
できることは全部やらなくっちゃ、いただけるものは全部いただかなくっちゃ、という貧乏性のなせる業だ。
「なつぞら」を見ながらしばしリラックスである。
朝起きてからずっと空を見上げてはお天気に一喜一憂している。朝からというよりは、昨日から一喜一憂しかしていないかも知れない。
チェックアウト前、ふと気がついて露天風呂に行ってみたところ誰もいなかった。
靴下を脱いで、少しだけお湯に浸かって足湯気分を楽しむ。
お庭に出てみると、雨は何とかあがり、若干、空も明るくなってきたようである。
何とかこのまま降られることなく保っていただきたい。
9時にホテルを出発し、バスで移動して子ノ口に到着したのが9時25分くらいだった。
ここで奥入瀬渓流を案内してくださるガイドさんと合流し、かつトイレ休憩を取る。
雨がまたポツポツ降り出し、かつガイドさんお二人はレインウエアに身を固めていらっしゃるし、口を揃えて「足下が悪いので気を付けてくださいね。」とおっしゃる。
子ノ口から歩き出すのかと思ったらそうではなく、再びバスに乗り込んで、銚子大滝まで行った。
9時45分、舗装されつつもかなり水たまりが出来ているところから歩き始める。
とりあえず、雨が落ちていないのが有難い。
2班に分かれ、それぞれにガイドさんが付く。ガイディングレシーバーも用意され、少し離れてしまっても説明を聞くことができる。
歩き始めてすぐ、銚子大滝に出会った。
銚子大滝は奥入瀬の本流にかかる唯一の滝である。奥入瀬渓流は滝が多いイメージだったので意外である。
写真では低く見えるし、実際に見たときもそれほど高さがあるとは思わなかったけれど、高さは7mある。
幅も20mあり、イメージよりもずっと実寸の大きな滝である。
十和田湖は注ぎ込む川を持たず、奥入瀬も含めて十和田湖から「流れ出る」川しか持っていない。
奥入瀬渓流も、十和田湖から流れ出している川である。
ガイドブックなどでは「奥入瀬を遡るように」歩くことを推奨しているけれど、今回のツアーでは逆に奥入瀬の流れに沿って歩く。
この滝は十和田湖に近いところにあり、お銚子のくびれたところのような役割を果たしているという説明があった。
渓流沿いにはもみじなどもあって、紅葉の時期にはさぞやと思う。
この辺りでは、時々日も差してきて、その明るさが嬉しい。
15分も歩かないうちに九段の滝に到着する。地層の複雑さが「九段」になって落ちる滝を生んだそうだ。
この辺りはまだ上流なので、渓流の水もまだそこそこ見られる色をしている。
奥入瀬渓流では、夜の間は水門を閉じていて、朝になると開く。
昨夜から今朝にかけて雨がかなり降ったので、支流がかなり濁っており、下流に行くに従ってさらに水が茶色くなって行くことになる。
ガイドさんたちは、透明な流れを普段から目にしていらっしゃるからか、今年の夏は非常に雨が少なくてその数少ない雨に当たった我々がかなり気の毒だったようで、渓流よりもお花など植物の説明に力を入れてくださっていたように思う。
多分、左上からジャコウソウ、地衣類、左下からゼンマイ、ツリガネソウである。
水滴を受けた風情が可憐である。
地衣類がいる場所には、シダは生えることができないと教えてもらった。
姉妹滝、双白髪の滝(多分、写真左)、不老の滝と続き、白糸の滝(写真右)で、ツアーの奥入瀬渓流歩きの前半が終了した。
昨日は大雨だったとはいえ、夏の水不足はかなりのもので、奥入瀬を流れる水はかなり少なめである。
白糸の滝の辺りでも、砂利が見えているところは、普段は川の一部だと案内があった。
白糸の滝から5分くらいバスに揺られ、阿修羅の流れの辺りから奥入瀬渓流歩きが再開された。
歩いているときは、とにかく大雨の中ではなかったことが有難くてあまり判っていなかったけれど、こうして写真を見るとガイドさんたちが我々一行を気の毒がってくださっていた理由がよく分かる。
水が見事に茶色い。
しつこく繰り返す。とにかく水が茶色い。
水が茶色過ぎて、梅花藻も見えない。
見えないとなると見たくなるもので、川面に近いところからじーっと川底を見ようとがんばる。いくらがんばっても、ひたすら茶色い水が流れているだけだ。
奥入瀬に多いブナの木は、倒れてもなかなか分解されない。さらに川の中に倒れた木は片付けないことになっている。ガイドさんは、キノコがブナの木を分解するのをただひたすら待つのだとおっしゃる。
それはなかなか分解されないに違いない。
道路沿いの方を見ると、馬門岩が連なっている。
十和田神社に向かう人々が、ここで馬を繋いだことから「馬門岩」と呼ばれている。
ブラタモリ風にいうと、これらは「ヨウケツギョウカイガン(溶結凝灰岩)である。
火山岩が冷えるときに縮み、縮んだときにひびが入ったらしい。
奥入瀬渓流沿いの遊歩道は、一部は車道に出るところもあるし、渓流・遊歩道・車道が間隔なく並んでいる箇所も意外とある。
8月末はピークシーズンではないためか、それでも、車の音をうるさく思うことはほとんどなかった。
バスガイドさんによると、これが紅葉のシーズンになるとこの道はずらっと車が並びほとんど身動き取れない状況になるそうだ。
上左の白い花は多分「タカノツメ」で、右の黄色い花は「ミズヒキ」である。
下左はもう少し手前にあった「ハナイカダ」で最初に聞いたときは弘前城の花筏を思い浮かべて「何のこっちゃ」と思っていた。
下右は、水の奥の中島に生えている緑の草がポイントである。「トクサ」といって、名前のとおり、砥石のようにギザギザして痛いところからその名が付いた植物だ。
凍結して裂けてしまったブナの木を教えていただいたり、川沿いにしばらく屏風岩が続いたり、一部だけ気の早い葉っぱが黄葉していたり、この辺りになると日の光も差してきて、足下がぬかるんではいるものの、結構楽しく歩いていたように思う。
せっかくなら子ノ口までの14kmをゆっくり遡りたかったとも思う。母は次の日に「膝が痛い。もうあんなに長く歩けない。」等々と言っていたけれど、それは多分油断してサポータを省略したためだと思われる。川沿いだからほぼ平らだし、気候のいい時期なら楽勝で行けそうだ。
阿修羅の流れから45分ほどかけ、石ヶ戸の瀬の辺りもそこそこに11時30分くらいに石ヶ戸休憩所に到着した。
これで奥入瀬渓流散策は終了である。寂しい。
お手洗い休憩の後、再びバスに乗り込み、蔦温泉に向かった。
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