栃尾又温泉旅行記1日目
2019年9月29日(日曜日)
宿の送迎バスが上越新幹線浦佐駅に来てくださるのが13時半である。その時間に間に合うように行けば良い。
しかし、雨がポツポツと降り始めたので、少し早めにミラコロを転がして家を出発した。
上野駅に11時10分過ぎに到着する。
11時46分発の上越新幹線に乗るまで、時間はまだたっぷりある。
イーションでスペイン産ベジョータイベリコ豚重のお弁当を、すぐそばにあるキノクニヤ アントレでロゼのカップワインを購入した。
自動販売機で麦茶のペットボトルを購入したら準備万端である。
11時半くらいに新幹線のホームに降りた。
とき319号はガラガラだった。
二人並びの席の窓際の指定席を取っていて、お隣はずっと空席だった。ミラコロを足下に置いているし、これは有難い。
出発してすぐ、買い込んだお弁当を開き、ロゼワインも開ける。
「湯治に行くのに、この脂たっぷりのお昼ごはんでいいのか」という疑義はなかったことにして、美味しくいただいた。
13時13分に新幹線は浦佐駅に到着した。
何というか、何もない駅である。
宿からの送りのバスは12時半過ぎに駅に到着することになっている。考えていた「どこかでお昼ごはんを食べる」「駅でお弁当を買って新幹線で食べる」という二つの選択肢のうち、後者はこの時点で消えた。
買うとしたらセブンイレブンかニューデイズになりそうだし、せっかくなら、もう少し「旅情」というものが欲しい。
待合室で待っていると、宿の方がお迎えに来てくださった。
待合室にいた3/4くらいは、同じ宿に泊まる方々だったようだ。10人以上はいたと思う。なかなか繁盛しているようである。
ぞろぞろと移動し、宿のマイクロバスに乗り込んだ。駅から車で30分くらい、ロゼワインを飲んだせいか完全に眠り込んだ。
山道を上り、2泊お世話になる栃尾又温泉の自在館に到着した。
まずは、ロビーで色々と説明していただいた。
このお宿は割とセルフサービスな感じで、その「セルフサービス」が充実している。
お部屋にお茶セットがない代わり、ロビーにエスプレッソマシンや、冷やした温泉水、お湯のポットにティーバッグ、お茶菓子(温泉まんじゅうにおせんべい、カントリーマウムなどがプラスチックのバスケットに入っている)が用意され、自由にいただくことができる。
栃尾又温泉には3軒のお宿があり、この3軒の宿泊客は共同のお風呂である「したの湯」「うえの湯」「おくの湯」に浸かることができる。
不思議なシステムだ。
自在館からは、したの湯はずっと屋内を通じて行くことができ、うえの湯とおくの湯のある建物には一度外に出る必要がある(といっても、外を歩くのは最短5mくらいだ)。その往復も、館内着である作務衣で行ってしまっていいらしい。
帰りの送りのバスと、自在館に三つある貸切湯は、ロビー階のエレベータ前にある掲示板にぶら下がっている予約表に書き込んで利用する。
実際に貸切湯を使うときには、その掲示板にぶら下がっているおしゃもじを持参する。
なかなか合理的なシステムである。
説明後、作務衣とバスタオルを持って、(ミラコロは説明を受けている間に宿の方が運んでくださった)自分のお部屋に行った。
今回、私が宿泊するのは「一人客専用」の和室6畳(トイレなし)のお部屋である。
行ってみると、エレベータ前にお茶セットがあり、角を曲がってお手洗い、そのお隣のお部屋だった。
もしかしてトイレの水音が聞こえるかしらと心配したものの、実際はほとんど聞こえてこなかった。
そうなると、お手洗いが近いというのはなかなか便利である。
ロビーから冷たい温泉水の入ったポット(たくさん用意されている)と温泉まんじゅうを持ってきたり、エレベータ前のお茶セットコーナーで緑茶をティーバッグで入れて持ってきたりして、お部屋を「滞在用」に整える。
お部屋には茶香炉が焚かれていて、いい香りである。
洗面台はあるし、テレビがあり、wifiも入る。何故か胃薬と絆創膏も置かれている。敢えて難を言うと、この座椅子が滑りやすくて座りにくいことくらいだ。
私が泊まったお部屋はお布団のお部屋で、同じサイズでベッドのお部屋もある。どちらもお布団はムアツふとんである。
共同湯は1日おきに男女が入れ替わり、今日はうえの湯としたの湯が女湯、おくの湯が男湯である。
「したの湯」は源泉からすぐのところにあり、建物に風情もあって、いわば栃尾又温泉の「顔」となるお湯である。
それなのに、まず「うえの湯」に行こうとする私は、我ながら天邪鬼である。
予約表を見ると、今日の貸切湯はほぼ一杯だった。
私は2泊するし、明日の女湯は「おくの湯」だけだし、一日お湯に浸かっているだけの予定である。
明日の予約表はガラガラで、好きな時間に予約を書き込んだ。
うえの湯には、2階にある渡り廊下を渡って大正棟に行き、その大正棟を通り抜けた先にある出入り口から行くことができる。
大正棟は、いわゆる「湯治宿」の趣だ。現在は自炊場は使われておらず、こちらに宿泊する場合もごはんは出していただける。
ちなみに、自在館から歩いて行ける範囲にコンビニ等々はない。
栃尾又温泉は、宿3軒、共同湯、薬師堂、以上、という感じの場所だ。
栃尾又温泉はラジウム泉で、かつ源泉が人肌の温度である。
その人肌の温泉に1時間でも2時間でも浸かる、というのが、昔から伝わる入浴法だ。
40度くらいに加熱したお湯の浴槽も用意されて、最後に「あがり湯」として温まることが推奨されている。
私が行った15時過ぎのうえの湯は誰もいなくて貸切状態だった。やはり、源泉に近くて、雰囲気のあるしたの湯の方が人気らしい。
青いタイルに「銭湯みたい」という評もあるようだ。私は結構好きな感じである。
窓が大きく、浴槽も広く、全体に明るいのが良い。
ぼーっとしていると、文庫本をジップロックに入れた方など2〜3人がいらした。浴槽が広いし、みなさんほとんどしゃべらずにひたすらお湯に浸かっていて、ほとんど一人でいるのと変わりない。
1時間でも2時間でもお湯に浸かるのが流儀だから、慣れている方はお水をペットボトルに入れて持ち込んだり、空のペットボトルを持参して飲泉したり、本を持ち込んだりされているようだ。
お湯は、無色透明で、特に匂いもない。
36〜37度の源泉を掛け流しにしていて、加水も加温もない。
何というか、塩素なしのプールに浸かっているような感じだ。
浴槽が深めになっていて、周りの段になっているところに座っても、普通にしていると肩まで浸かる感じになる。のぼせる心配がないのも良い。
1時間ばかり、ひたすらお湯に浸かった。
ロビーに置いてある「かぼす温泉水」で水分補給し、そのまましたの湯に行った。
したの湯には洗い場がなく、こちらはもうまさに「ひたすら浸かる」温泉である。
うえの湯と同様、人肌の温度の浴槽と、加温した温度の浴槽がある。
4〜5人が常にいる、という感じだ。
目をつぶっている人も多い。自分の実感からすると、それは「瞑想している」というよりも「寝落ちしそうになっている」のではないかという気がする。
しゃべったり本を読んだりすることもなく、体温と同じくらいのお湯にひたすら浸かっていると、本当に眠くなってくる。
浴槽の縁に並んでいる中から枕にちょうどいい感じの石を見つけ、何となくうつらうつらしているうちに1時間半くらい経っていた。
17時半過ぎに上がり、「流石にトータル2時間もお湯に浸かっているとだるいよ」「のぼせることはないけど手足がふやけているよ」と思う。
お部屋に戻って一休みしたら、18時15分からと指定された夕食の時間である。
食堂に行くと、結構一人のお客さんが多く、窓に向けて7〜8卓、一人用のテーブルが並んでいた。もちろん、ご夫婦やお友達同士で来ている方もいらっしゃる。
私が頼んでいたのは一汁四菜のコースで、献立はこんな感じだった。
ごはんとおつゆ、お茶はセルフサービスである。
ごはん(魚沼産こしひかり)
けんちん汁
めかぶと山芋のわさび和え
茄子と玉ねぎの酢の物
豆乳蒸し
豚しゃぶの黒酢ドレッシング
ヨーグルトゼリー・りんご・キウイ
こちらに地元のお酒だという緑川酒造の吟醸を1合いただいた。
お燗にするか常温かと問われ、常温でお願いする。
何というか、お酒らしい日本酒で、ちびちびいただくのが相応しい。ゆっくりいただいた。
食後、ロビーでコーヒーをいただいてからお部屋に戻った。
それでも眠い。ひたすら眠い。
お部屋にはお布団も敷いてあるし、お部屋に戻ってお布団に横になったら、あっという間に寝入ってしまったらしい。
目が覚めたら22時過ぎだった。びっくりである。
うえの湯としたの湯は、23時まで入ることができる。
せっかく目が覚めたし、したの湯に行った。
階段を下っていると雨音が聞こえる。おえ部屋にいると川のせせらぎの音が常に聞こえており、川音に紛れて雨が降っていることには気がつかなかった。
30分くらいぬる湯に浸かり、23時少し前にあがった。
階段を上っていたら、6〜7cmくらいのカエルがいて驚く。思わず足を止めてしげしげと見入っていたら、後から上がってきた方に「どうかしましたか?」と声を掛けられた。
「カエルがいるんですよね〜。」と答えると、「ここにもいますよ。」と指さされた。確かに、窓ガラスにしがみついている2cmくらいのカエルがいる。
カエルをこんな至近距離で見たのは子供の頃以来かも、と思う。
誰もいないロビーでドクダミ茶をいただきながら一息入れる。
流石にお茶菓子は片付けられていたものの、お茶や温泉水のポットなどは本当にいつでも用意されているようだ。有難い。
お部屋に戻り、0時前に就寝した
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