ニュージーランド旅行記6日目その2
2019年1月31日(木曜日)
マッケイ滝を出発してしばらくは前後に歩いている人がいて、前になったり後ろになったりしながら歩いた。
道は相変わらず細い。
11時半過ぎに27マイルの標識を通過する。
空は完全に晴れ渡り、結構な暑さである。
景色の良いところに来て、グループで写真を撮っている方々がいらした。全員揃った写真のシャッターを切ったら、こちらの写真も撮ってくださった。
有難い。
片側は壁のような岩で、反対側から別の岩が突き出しているようになっているような箇所もある。
細い。
ついでに足下には木が倒れていて踏み越えなくてはならない。
その踏み越えるところに滑り止めが施されていて、芸が細かいよ、至れり尽くせりだよと思う。
12時過ぎにポセイドン・クリークにかかる吊り橋を渡る。
マッケイ滝からは、ずっとエイダ湖に沿って歩いており、エイダ湖に注ぎ込む(あるいはエイダ湖から流れ出る)川を何度か渡った、と思う。
暑くなって大汗をかいている。水辺の涼しさは気持ち良い。
どうも私は28マイル標識を見逃し、その昔はガイドさんが電話していたという「テレグラフ・ポイント」も見逃したらしい。
昔は、ミルフォード・トラックに沿って、スタート地点のグレイド桟橋から終点のミルフォードサウンドまで、電話線が敷かれていたそうだ。
そして、テレグラフ・ポイントに到達すると、ガイドさんはミルフォードサウンドに電話し、サンドフライポイントまでの迎えの船を呼んでいたという。
今は、もちろん衛星電話が活躍している。
12時半前に29マイル標識を通過した。
そこからすぐ木々の間から右手にエイダ湖が見えて来た。
そして、道は徐々に上り勾配となり、崖を削ったような道になる。
ロッキーカッティングは、ミルフォード・トラックで一番最後に開通した区間である。崖を削らなくてはならず、難工事であり大工事だったのだろう。
アイルランド人の鉱夫たちの手により、1898年に完成している。
ロッキーカッティングの上り始めのところに、その旨を書いたプレートがはめ込まれているらしい。かなさんに昨日教えてもらっていたにも関わらず、こちらも見逃してしまった。
のんびりマイペースで歩いていたつもりが、時々、一心不乱に歩いてしまっていたらしい。
「今日はずっと緩やかな下り」と思っていたこともあって、時々現れる上り道がえらくきつく感じられる。
どこかで一緒になったカズアキさんに「登り坂が出てくると心が折れる。」と言ったところ「それは言い得て妙だ。」とえらく喜んでくれた。きっと同じように感じていたのだと思う。
ロッキーカッティングを登り切ると、眼下にエイダ湖の一部と思われる砂州を見ることができた。
こういう景色を見られると、少しばかり元気が出る。
ロッキーカッティングを過ぎてからも、道は緩やかに上ったり下ったりしていたと思う。
ずっと森の中を歩く感じだったので、先が全く見通せない。
時々、前後になった方々が話す声が聞こえて来て、少しほっとしたり、焦ったりする。
アップダウンとは別に、時々「雨が降ったらここは川になるんだろうな」という溝が道を横切っていることがある。
青空になって「今日は雨は降らないよね」というお天気になってからも、添乗員さんは「(歩いているときに)足首くらいは水没するかも。」と言い続けていた。
昨日が雨だったし、添乗員さんは以前に腰まで水に浸かって歩いたこともあるとおっしゃる。
今回はラッキーで、トレッキングシューズの靴底より浅い水たまりや「水の流れ」があったくらいだった。
13時20分、ジャイアントゲート滝手前にあるランチシェルターに到着した。
このランチシェルターの手前にあった筈の30マイルの標識は見逃している。
標識があるなぁ、何だろうと思って横道をのぞき込んだら、添乗員さんが東屋にいるのが見えた。
雨の場合は、ここでランチ休憩になるそうで、お手洗いもある。
この日はいいお天気だったので、お手洗いだけ済ませて、ジャイアントゲート滝が見える河原(湖の岸辺なのかも知れない)でお昼にしましょうと声をかけていただいた。
ランチシェルターを出て、ジャイアントゲート・ブリッジを渡ると、ジャイアントゲート滝が見えた。
河原(なのか湖岸なのか)に降りて、適当な倒木を椅子代わりにしてトレッキングシューズを脱ぐ。
ザックから朝作ったサンドイッチを取り出して食べる。デザートはオレンジだ。
お天気もいいし、滝のマイナスイオンも気持ちがいい。
ここではホットドリンクのサービスがない。昨夜からペットボトルにティーバッグを入れて作った紅茶をサンドイッチと一緒にいただく。
ランチを食べ終わって一休みし、裸足になって水に入ってみた。
冷たい。
ここで泳いでいる人もいて、どれだけ寒さに強い心臓の強い人なんだと思う。ビールくらいは十分に冷やせそうな、キーンと冷たい水である。
ずっと歩いて来た足をクールダウンさせるにちょうどいい。それでも長い時間は入っていられないし、ここで泳いだら心臓麻痺でも起こしそうである。
パシャパシャやって気が済んだところで岸に戻り、元の倒木に座って足を乾かす。河原は土ではなく石で、汚れは気にしなくていい。
ここまで首に巻いてきた手ぬぐいで足を拭き、よれて気持ちが悪かった五本足の靴下も脱いでしまう。行程はあと2時間弱というところだし、アップダウンもほぼないので問題ないだろう。
新しい手ぬぐいを首に巻いて、出発準備完了である。
ガイドさん4人のリーダーであるララちゃんと記念写真を撮ってもらい、14時に出発した。
14時15分に31マイルの標識を通過した。コケとシダの森の中を歩いて行く。
ランチ休憩を挟んで、前後にツアーメンバーの方がいらしたり、人の気配があるのも、これはこれでいいものである。
それでもやっぱり、一人でのんびり歩く贅沢さは何にも代えがたい。
ペースを落とし、緑の中、緑と水の気配がたくさん含まれた空気を吸いながら、頭を空っぽにしてただ一人で歩く。
14時45分に32マイルの標識を通過した。
ここから先は、囚人たちが作った道が続く。道幅も広くなり、アップダウンはほぼなくなってひたすら平坦な道を歩くことになる。
ますます、頭は空っぽだ。
32マイル標識から少し歩いた道の真ん中に(推定)ウェカがいた。
何人もでカメラを構えて写真を撮っていても、ウェカの方は全くこちらを頓着していない。
人に慣れているというより、人に危害を加えられるとは思ったこともない、という感じに見える。
寄り道をしつつも、歩きやすい道を順調に歩けてしまって寂しい。
木々の間から、川(だと思う)が見えるなぁと思ったら、すぐその先に33マイルの標識があった。
ゴール地点は33.5マイルだ。
あと半マイルである。寂しい。
寂しい気持ちは気持ちとして、ゴール地点は何しろ「サンドフライポイント」である。サンドフライに備えて虫除けスプレーをガンガン自分に吹き付けた。
ゴールが近づき、さらに道幅も広がってかなり歩きやすくなる。
33マイルの標識からすぐのところにあった、キャンプ・オーブン・クリークという川にかかっている橋も、これまで渡ってきた橋に比べてその幅が大分広がっていた。
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