カンボジア旅行記3日目その2
2020年1月1日(水曜日)
アンコール・ワットの十字回廊に残る江戸時代の日本人の落書きを見学した後は、階段を上り、第二回廊に向かう。
連子窓は、算盤の玉を繋いだような形の柱を並べた窓で、装飾としての役割と、光と風を通すという役割と、その両方を備えているクメール建築の特徴の一つである。
この連子窓を通して差した光が床に模様を作る様子、という写真を撮りたいなぁと何となく機会を狙っていたものの、その機会に恵まれなかった。恐らく、午前中よりも午後の方が、そういう写真を撮るのに向いているのだと思う。
それはそれとして、壁に映っている影を光もなかなか格好いいと思う。
何故か連子窓に注目したのみで第二回廊は通り過ぎた。
そのまま、第三回廊への階段を上るための列に並んだ。まだ10時半である。
第三回廊は入場制限を行っており、順番待ちの列ができている。
この階段が急でかつ風が強いため、帽子は禁止されている。帽子をリュックにしまうついでにカメラも仕舞う。これは手すりに捕まらないと上れない角度だ。70度だという話だ。
10分弱並んだら順番が来て、階段を慎重に上る。
ガイドさんは上らないらしく、自由見学だ。戻りの時刻が指定されないのか? と思いつつ上がる。
アンコール・ワットの第3回廊中央祠堂の高さは65mで、シェリムアップではこれより高い建物は建ててはいけないことになっている。
東方向は、ほぼ密林である。
第二回廊、第一回廊のすぐ外まで木々が迫り、その先も見渡す限り木々が続いている。
アンコール王朝の時代もこの景色だったのか、それとも家々が立ち並んでいたのか、どうなんだろうと思う。
そして、アンコール・ワットは上から見ても迷路みたいだよと思う。
第三回廊にはデバターがたくさん残り、かつ凝った彫刻が施されている。
窓の外、ぐっと回り込まなければ見えないようなところにもデバターがあって、多分、私が気がつかなかった綺麗なデバターが他にもたくさんあったんだろうなと思うとちょっと悔しい。
つい、窓からの景色に気を取られてしまった。
西方向は、西塔門から歩いて来た参道やその向こうまで見渡すことができる。
遠くに気球が上がりつつある様子も見える。気持ちよさそうだ。
例えば、ここから見える中庭のようなところに人々が集っていたら、相当「神」の気持ちになれたんじゃないかしらと思う。
中央祠堂には仏像が安置され、カンボジアの方が熱心にお参りしている様子が見えた。信仰の場には何となく近寄りがたい。
中央祠堂が建つ中庭のようなところにもほとんど入らなかったし、中央祠堂へ続く回廊に足を踏み入れもしなかった。
中央祠堂には美人かつ保存状態の良いデバターが数多くあると後でガイドブックで読み、そうと知った今となってはちょっと残念である。
やはり、ツアー旅行であっても下調べは重要だ。
その代わり第三回廊で何をしていたかというと、遠くを眺め、上を見上げてばかりいたた。
それだけでもあっという間に時間が経ってしまい、第3回廊から最後に降りたのは私だった。
ツアーメンバーのみなさまをお待たせして申し訳ない。
第3回廊から降りた後は、先ほど素通りした第2回廊に戻り、レリーフの見学を続けた。
第2回廊南面の一番東側は、レリーフが三層に分かれている。
一番上が天国、真ん中が現在(現世?)、一番下が地獄である。
その隣では地獄がクローズアップされ、水牛にまたがり16本の剣を後光のように背負った閻魔様(冥界の王のヤーマ)が審判を行っているレリーフが現れる。
審判の次に最後の「仕分け」が待っている。剣を持ち顔が欠けてしまっている誰かに指図され、本格的に地獄に落ちたり逆さづりにされたりしている人々が描かれている。
東面には、乳海攪拌が描かれている。
「乳海攪拌」は、ガイドさんによると、「神と悪魔が協力し、蛇で(何かを)かき回すことによって不老不死の薬である”アムリタ”を得る」というお話であるらしい。
真ん中にいる大亀に乗ったヴィシュヌ神の采配に従って左右から綱引きのように蛇を引っ張り合うことで、「攪拌」され、1000年かけてついには「アムリタ」ができあがる。
この綱引きの様子が40mにわたってレリーフに彫られている。
左から引っ張っているのが悪魔チーム、右から引っ張っているのが神様チームである。
そして、神様チームの最後方で力を振るっているのが、マハーバーラタでラーマ王子に協力したお猿の将軍であるハヌマーンだ。ややこしい。
私の勝手な想像では、アンコール王朝の方々は多分このハヌマーンというキャラが好きで、感謝も敬愛もしていて、それでここに特別出演しているのではないかと思う。
アンコール・ワットの見学はこれで終了となった。3時間たっぷり見学してもやはり全然見切れていない。もっと見ていたい。
しかし、そろそろ体力の限界でもある。
そのままアンコール・ワットの東側に抜けると、裏側にはほとんど人がいなかった。静かだ。
真東からだと中央祠堂と2本の尖塔しか見ることができない。
しかし、そのまま南側に回ると、オリジナルのナーガとともに中央祠堂と尖塔4本の五つ全てを見ることのできる角度があった。
まるでお化け煙突のようである。色々と計算され尽くされた建築物なのだなぁと思う。
正午ちょうどにバスに戻った。
昼食の前に、昨日行きそびれてしまったアンコールクッキーに立ち寄る。
何というか、小綺麗かつ小洒落た感じの建物で、我々のようなツアー客でごった返している。凄い。
定番かつお約束かしらと思い、アンコール・ワットの形を模したアンコールクッキーを購入した。
この後すぐランチでなければ、アンコールクッキーが経営するカフェでマンゴースムージーを飲みたかった。それがちょっと残念である。
25分一本勝負のお買い物タイムの後は、ソカ・アンコール・リゾートの中にある竹園という日本食レストランでランチである。
畳のお部屋の個室に靴のまま入って良いと言われ、ツアーメンバー一同、相当にためらう。かなりの抵抗を感じる。
お部屋は掘りごたつ式になっていて、足が楽なのが嬉しい。
アンコール・ビールの生(4ドル)があると言われてそちらを頼み、最初に出てきたサラダと一緒に早速飲み始める。
どんな鯖の味噌煮なんだろうと思っていたら、かなりちゃんとした和食、ちゃんとした鯖の味噌煮だ。
海外で日本食をいただくこと自体あまりないとはいえ、海外で日本食をいただいて「美味しい」と思ったのは多分初めてだ。
13時45分に竹園を出発した。ホテルに戻り、次の観光への出発のため14時50分ロビー集合と案内があった。
約1時間の休憩である。
気分的には昨日の20分休憩よりも忙しい。
着替え、メールチェックし、水筒の用意をし、午後の観光のために双眼鏡を荷物から出したらあっという間に1時間が過ぎた。
午前中に着ていたタンクトップには今日も塩が吹いていた。
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